物理学・化学(基礎)

酸・塩基とpHをわかりやすく解説!中和反応の基本と指示薬の使い分け

結論から言います — 酸・塩基・pHの要点

酸(さん)と塩基(えんき)は、化学の世界で「正反対の性質を持つ2大グループ」です。試験では定義・pH・中和反応が定番で出ます。

要点をまとめると――

  • → 水に溶けてH⁺(水素イオン)を出す物質。レモンや酢が酸っぱいのはコレ
  • 塩基 → 水に溶けてOH⁻(水酸化物イオン)を出す物質。石けんがぬるぬるするのはコレ
  • pH → 酸性かアルカリ性かを表す「ものさし」。7が中性、小さいと酸性、大きいとアルカリ性
  • 中和反応 → 酸と塩基を混ぜると、互いの性質を打ち消して「塩(えん)+水」ができる

危険物の世界では硝酸(第6類)や酢酸(第4類)のように「酸」の性質を持つ物質が登場します。それぞれの危険性を理解するために、まずは酸・塩基の基本をしっかり押さえましょう。

酸とは? — 水に溶けてH⁺を出す物質

レモンをかじると酸っぱい。お酢を舐めるとツーンとくる。あの「酸っぱさ」の正体が酸(さん)です。

化学的な定義はこうなります。

「水に溶けたとき、水素イオン(H⁺)を出す物質」= 酸

これをアレニウスの定義と言います。覚える名前はこれだけでOKです。

例えば塩酸(えんさん)の場合:

HCl → H⁺ + Cl⁻

水に溶けると、H⁺(水素イオン)とCl⁻(塩化物イオン)に分かれます。このようにイオンに分かれることを「電離(でんり)」と言います。化学反応式やイオンの基本については「化学の基礎 — 物質の分類・化学反応式の読み方」で詳しく解説しています。

酸の主な性質

  • 酸っぱい味がする(食品の場合。試薬は絶対に舐めちゃダメ!)
  • 青色リトマス紙を赤色に変える
  • 金属と反応して水素ガスを発生させる(亜鉛+塩酸→水素がブクブク)
  • 水溶液のpHは7未満

強酸と弱酸 — 「全部出すか、一部だけか」

ここで大事なのが「強酸」と「弱酸」の区別。

  • 強酸 = 水の中でほぼ100%電離する(H⁺を全部放出)
  • 弱酸一部しか電離しない(H⁺をちょっとだけ放出)

イメージとしては、袋いっぱいのビー玉を全部ぶちまけるのが強酸。ちょっとだけ転がり出るのが弱酸です。

分類 代表的な酸
強酸 塩酸(HCl)、硫酸(H₂SO₄)、硝酸(HNO₃)
弱酸 酢酸(CH₃COOH)、炭酸(H₂CO₃)

ここで注意!「強い・弱い」は「危険度」の話ではなく「電離の程度」の違いです。弱酸でも濃ければ十分危険なので油断禁物です。

塩基(アルカリ)とは? — 水に溶けてOH⁻を出す物質

石けんで手を洗うと、ぬるぬるしますよね。あの感触は塩基(えんき)の性質です。

「水に溶けたとき、水酸化物イオン(OH⁻)を出す物質」= 塩基

「アルカリ」という言葉もよく使われますが、これは塩基が水に溶けた状態のこと。日常会話ではほぼ同じ意味です。

例えば水酸化ナトリウム:

NaOH → Na⁺ + OH⁻

塩基の主な性質

  • ぬるぬるする(タンパク質を分解するため。だから強い塩基は皮膚を傷める!)
  • 赤色リトマス紙を青色に変える
  • 苦い味がする(こちらも舐めちゃダメ)
  • 水溶液のpHは7を超える

強塩基と弱塩基

分類 代表的な塩基
強塩基 水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)
弱塩基 アンモニア水(NH₃水溶液)

水酸化カルシウムは消石灰(しょうせっかい)とも呼ばれ、酸性土壌の中和や、こんにゃくの製造にも使われています。身近な塩基の代表格ですね。

酸と塩基のちがい
酸(さん)
定義:H⁺を出す物質
味:酸っぱい
リトマス紙:青→
代表例:塩酸・硫酸・硝酸
pH:7未満
塩基(えんき)
定義:OH⁻を出す物質
味:苦い
リトマス紙:赤→
代表例:NaOH・KOH・Ca(OH)₂
pH:7を超える

pHとは? — 酸性・アルカリ性の「ものさし」

「この水溶液はどれくらい酸性なの?」を数値で表すのがpH(ピーエイチ)です。正式名称は水素イオン指数

pHは0〜14の数値で表します。

  • pH 7 = 中性(純水がこれ)
  • pH 7未満 = 酸性(数字が小さいほど強い酸性)
  • pH 7超 = 塩基性(アルカリ性)(数字が大きいほど強いアルカリ性)
pHスケール(0〜14)
pH 0〜2
強酸性
胃液・レモン
pH 3〜4
弱酸性
食酢・炭酸水
pH 5〜6
微酸性
コーヒー・雨水
pH 7
中性
純水
pH 8〜9
弱塩基性
海水・重曹
pH 10〜11
塩基性
石けん水
pH 12〜14
強塩基性
NaOH水溶液
← 酸性が強い
アルカリ性が強い →

pHの「1」は10倍の差

ここで重要なポイント。pHが1変わるとH⁺の濃度は10倍違います。

つまり――

  • pH 2の水溶液は、pH 3の水溶液より10倍酸性が強い
  • pH 1なら、pH 3の100倍酸性が強い

「たった1の差」が実は「10倍の差」。だからpH 1の胃液はpH 3の食酢よりはるかに強い酸性なんですね。

中和反応 — 酸+塩基→塩+水

酸と塩基を混ぜるとどうなるか? お互いの性質を打ち消し合って、「塩(えん)」と「水」が生まれます。これが中和反応です。

中和反応のしくみ

H⁺を持つ
塩基
OH⁻を持つ
塩+水
H⁺+OH⁻=H₂O
互いの性質を打ち消し合い、中性に近づく

具体的に見てみましょう:

HCl + NaOH → NaCl + H₂O

(塩酸 + 水酸化ナトリウム → 塩化ナトリウム + 水)

何が起きているかというと――

  • 酸のH⁺と塩基のOH⁻がくっついて → H₂O(水)になる
  • 残ったCl⁻Na⁺がくっついて → NaCl(塩化ナトリウム=食塩)になる

「塩(えん)」と「塩(しお)」は違う

上の例では偶然「食塩(NaCl)」ができましたが、化学用語の「塩(えん)」は食塩だけのことではありません。酸のマイナスイオンと塩基のプラスイオンが結合してできる化合物は、すべて「塩」と呼びます。

H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O

(硫酸 + 水酸化ナトリウム → 硫酸ナトリウム + 水)

この場合の「塩」は硫酸ナトリウム(Na₂SO₄)です。食塩とは全然違う物質ですね。

中和反応は発熱反応

中和反応ではエネルギーが放出されます(中和熱)。酸と塩基を混ぜると溶液の温度が上がるのはこのためです。「燃焼の3要素と発熱反応」でも触れた発熱反応の一種ですね。

身近なところでも中和は大活躍しています。

  • 胃もたれに胃薬を飲む — 胃酸(HCl)を制酸剤(NaHCO₃ など)で中和して楽になる
  • 酸性の土壌に石灰を撒く — 消石灰(Ca(OH)₂)で中和して作物が育つ環境にする
  • 工場の廃液処理 — 酸性の排水を塩基で中和してから放流する

指示薬 — 酸性・アルカリ性を見分ける道具

「この水溶液は酸性? アルカリ性?」を手軽に調べるのが指示薬(しじやく)です。色の変化で酸性度がわかります。

指示薬 酸性 アルカリ性
リトマス紙 青→赤 赤→青
フェノールフタレイン 無色 赤紫(ピンク)
BTB溶液 黄色 青色

覚え方のコツ

  • リトマス紙:「酸で赤(さんであか)」— 酸性で赤くなると覚える。アルカリ性はその逆で青
  • フェノールフタレインアルカリ性のときだけ反応してピンクに。酸性〜中性では無色のまま。ピンクになったら「あ、アルカリ性だ」とわかる
  • BTB溶液:色が「黄→緑→青」の順に変わる。信号機と同じ色順で覚えると楽です(中性の緑が真ん中)

特にフェノールフタレインは試験で頻出。「アルカリ性でだけピンクに変色する」という特徴を押さえておきましょう。

危険物と酸・塩基 — 試験で問われるポイント

酸・塩基の知識は、危険物の性質を理解するためにも直結します。

酸の性質を持つ危険物

  • 硝酸(HNO₃)第6類危険物(酸化性液体)。強酸であると同時に強力な酸化剤。金属を溶かし、有機物と激しく反応する。第6類に分類されるのは「酸だから」ではなく「酸化力が強いから」
  • 過塩素酸(HClO₄) — 第6類危険物(酸化性液体)。最も強い酸の1つで、強い酸化力も持つ
  • 酢酸(CH₃COOH) — 第4類危険物(第2石油類・水溶性)。弱酸だが引火性がある液体。食酢の主成分(濃度3〜5%)。引火性液体なので第4類に分類される

重要な視点 — 「酸=第6類」ではない!

消防法の分類は「酸性かどうか」ではなく、物質の危険な性質(酸化性・引火性・自然発火性など)で決まります。

たとえば硫酸(H₂SO₄)や塩酸(HCl)は代表的な強酸ですが、消防法上の「危険物」には分類されていません。引火性もなく、常温では酸化剤としての危険性も該当しないためです。

「酸」と「酸化性」は似た言葉ですが、意味が違います。酸化と還元について詳しくは「酸化と還元をわかりやすく解説!3つの定義・酸化剤と還元剤・危険物との関係」で解説しています。

試験で狙われる!引っかけパターン5選

❶ pHの大小を逆に覚える
「pH7未満=酸性」「pH7超=塩基性」が正解。数字が小さいほど酸性が強いのがポイント。「大きい=酸性」と勘違いすると全問アウトです。

❷ 「酸=危険、塩基=安全」の思い込み
水酸化ナトリウム(NaOH)は強塩基ですが、皮膚を溶かすほど危険。酸にも塩基にも危険な物質があることを忘れずに。

❸ 中和反応の生成物を間違える
酸+塩基→「塩(えん)+水」が正解。「水素が出る」「酸素が出る」は金属との反応や分解反応の話であって、中和では出ません。

❹ リトマス紙の変色方向が逆
酸性で「青→赤」、塩基性で「赤→青」。語呂合わせ:「酸で赤(さんであか)」で覚えましょう。逆に書いてある選択肢がよく出ます。

❺ フェノールフタレインが「酸性で赤くなる」と勘違い
フェノールフタレインは塩基性(アルカリ性)でだけ赤紫(ピンク)に変色します。酸性〜中性では無色のまま。「赤=酸」のイメージに引きずられないように!

試験直前チェックカード

5秒で確認!これだけは覚えて会場へ

✔ 酸=H⁺を出す / 塩基=OH⁻を出す(アレニウスの定義)

✔ pH7=中性、7未満=酸性7超=塩基性

✔ pHが1変わると濃度は10倍違う

✔ 中和反応:酸+塩基 → 塩(えん)+水(発熱反応)

✔ リトマス紙:酸で青→赤、塩基で赤→青(「さんであか」)

✔ フェノールフタレイン:塩基性でだけピンク(酸性~中性は無色)

✔ BTB溶液:酸性=黄、中性=、塩基性=青

✔ 強酸・弱酸の「強・弱」は電離の程度(危険度ではない)

まとめ問題で理解度チェック!

ここまでの内容を問題で確認しましょう。

【問題1】酸の定義

アレニウスの定義において、酸とは次のうちどれか。

  1. 水に溶けてOH⁻を出す物質
  2. 水に溶けてH⁺を出す物質
  3. 水に溶けて電子を放出する物質
  4. 水に溶けて酸素を発生する物質
解答を見る

正解:2(水に溶けてH⁺を出す物質)
アレニウスの定義では、酸は水中で水素イオン(H⁺)を生じる物質です。選択肢1はOH⁻なので塩基の定義。選択肢3の電子の放出は酸化・還元の話なので混同しないようにしましょう。

【問題2】pHと液性

pH 11の水溶液の性質として正しいものはどれか。

  1. 強い酸性を示す
  2. 中性である
  3. 弱い酸性を示す
  4. 塩基性(アルカリ性)を示す
解答を見る

正解:4(塩基性(アルカリ性)を示す)
pHは7が中性、7未満が酸性、7を超えるとアルカリ性です。pH 11は7を大きく超えているので、アルカリ性(塩基性)を示します。

【問題3】中和反応

塩酸(HCl)と水酸化ナトリウム(NaOH)の中和反応で生成する物質の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. 塩化ナトリウムと水
  2. 硫酸ナトリウムと水
  3. 塩化ナトリウムと水素
  4. 塩化ナトリウムと酸素
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正解:1(塩化ナトリウムと水)
HCl + NaOH → NaCl + H₂O。酸のH⁺と塩基のOH⁻が結合して水(H₂O)が生成し、残ったCl⁻とNa⁺が塩化ナトリウム(NaCl)を形成します。中和反応で水素ガスや酸素ガスが発生することはありません。

【問題4】指示薬

フェノールフタレイン溶液を加えたとき、赤紫色(ピンク色)に変化する水溶液はどれか。

  1. 塩酸
  2. 食酢
  3. 純水
  4. 水酸化ナトリウム水溶液
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正解:4(水酸化ナトリウム水溶液)
フェノールフタレインはアルカリ性の水溶液でだけ赤紫色に変色します。塩酸・食酢は酸性、純水は中性なので無色のまま。水酸化ナトリウム水溶液は強いアルカリ性なのでピンクに変わります。

【問題5】応用 — 危険物と酸

硝酸(HNO₃)が消防法で第6類危険物(酸化性液体)に分類される理由として、最も適切なものはどれか。

  1. 水に溶けてH⁺を出す強酸だから
  2. 金属を腐食する性質を持つから
  3. 強い酸化力を持ち、有機物等と激しく反応するから
  4. 水より重い液体だから
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正解:3(強い酸化力を持ち、有機物等と激しく反応するから)
消防法の分類は「酸性かどうか」ではなく、物質の危険な性質で決まります。硝酸は強酸であると同時に強力な酸化剤で、有機物やその他の可燃物と激しく反応するため、「酸化性液体」として第6類に分類されています。なお、同じ強酸でも硫酸や塩酸は消防法上の危険物には該当しません。

全問正解できましたか? 酸・塩基の基本がわかると、危険物の性質もグッと理解しやすくなります。化学反応式の読み方については「化学の基礎をわかりやすく解説!物質の分類・化学反応式の読み方・溶解と水溶性」もあわせて読んでみてください。

【問題5+】応用 — 酸・塩基の総合問題

次の記述のうち、酸・塩基とpHに関する説明として誤っているものはどれか。

  1. pH 3の水溶液はpH 5の水溶液に比べて、水素イオン濃度が100倍高い
  2. フェノールフタレイン溶液は、酸性から中性の水溶液では無色である
  3. 硫酸と水酸化カリウムの中和反応では、硫酸カリウムと水が生成する
  4. 弱酸は強酸より安全であるため、取扱いに注意は不要である
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正解:4(弱酸は強酸より安全であるため、取扱いに注意は不要である)
「強酸・弱酸」は電離の程度を表す分類であり、危険度と直結しません。弱酸でも高濃度なら十分に危険です。例えば、弱酸である酢酸(CH₃COOH)は第4類危険物の引火性液体に該当します。選択肢1はpH1あたり10倍なので2段階=100倍で正しい。選択肢2はフェノールフタレインの性質そのまま。選択肢3はH₂SO₄ + 2KOH → K₂SO₄ + 2H₂Oで正しい反応です。

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