物理学・化学(基礎)

密度・比重と気体の法則をわかりやすく解説!蒸気比重の計算とボイル・シャルルの法則

結論から言います

密度は「1cm³あたり何グラムか」、比重は「水(または空気)と比べて何倍重いか」です。似ているけど単位の有無が違います。

そして気体には3つの法則があります。ボイルの法則(温度一定なら圧力と体積は反比例)、シャルルの法則(圧力一定なら体積は絶対温度に比例)、ボイル・シャルルの法則(両方を組み合わせたもの)。

蒸気比重 = 分子量 ÷ 29(空気の平均分子量)― 第4類の蒸気は全て空気より重い!

この記事では、密度・比重の違いから蒸気比重の計算方法、ボイル・シャルルの法則まで、試験に出るポイントをまとめて解説します。

密度って何? ― 1cm³あたりの「重さ」

密度(みつど)とは、物質の「ぎゅっと詰まり具合」を数値化したものです。

計算式はシンプル。

密度 = 質量 ÷ 体積(g/cm³ または kg/m³)

たとえば、1cm³の鉄は約7.87g、1cm³の水は1g。鉄のほうがギュッと詰まっている ―― つまり密度が大きいということです。

身近な例で言うと、同じ大きさの発泡スチロールと鉄球を持ち比べたとき「鉄のほうがずっしり重い」と感じますよね。あの感覚が密度の違いそのものです。

危険物試験で出る密度のポイント

  • 水の密度 = 1 g/cm³(4℃のとき)―― これが基準になる
  • ガソリンの密度は約0.65〜0.75 g/cm³ → 水より軽い → 水に浮く
  • 二硫化炭素の密度は約1.26 g/cm³ → 水より重い → 水に沈む

第4類危険物(引火性液体)の多くは水より軽いのですが、二硫化炭素・グリセリン・ニトロベンゼン・クロロベンゼン・酢酸・エチレングリコールなどは水より重い ―― これは試験の定番ひっかけポイントです。詳しくは「第4類危険物の共通性質」で解説しています。

比重って何? ― 水と比べた「重さの比率」

比重(ひじゅう)とは、ある物質が基準の物質と比べて何倍重いかを表す数値です。

比重 = 物質の密度 ÷ 基準物質の密度(単位なし!)

密度と比重の最大の違いは「単位があるかないか」です。

密度 比重
定義 1cm³あたりの質量 基準物質との質量の比
単位 g/cm³、kg/m³ なし(ただの数値)
基準 なし 液体・固体→水、気体→空気
例(鉄) 7.87 g/cm³ 7.87

ちょっと待って、数値が同じじゃない? ―― そうなんです。水の密度が1 g/cm³なので、g/cm³の密度の数値と比重の数値は実質イコールになります。試験では「比重が1より大きい → 水より重い → 沈む」「比重が1より小さい → 水より軽い → 浮く」を判断できればOKです。

蒸気比重 ― 第4類の蒸気が低いところにたまる理由

ここからが危険物試験のメインテーマ。蒸気比重とは、その気体が空気と比べて何倍重いかを表す数値です。

蒸気比重 = 分子量 ÷ 29

※29 = 空気の平均分子量(窒素28×78% + 酸素32×21% ≈ 29)

主な物質の蒸気比重

物質名 分子量 蒸気比重
メタノール(CH₃OH) 32 32÷29 ≈ 1.1
エタノール(C₂H₅OH) 46 46÷29 ≈ 1.6
アセトン(CH₃COCH₃) 58 58÷29 = 2.0
ジエチルエーテル(C₂H₅OC₂H₅) 74 74÷29 ≈ 2.6
二硫化炭素(CS₂) 76 76÷29 ≈ 2.6

全部1より大きいですよね。実は、第4類危険物の蒸気はすべて空気より重い(蒸気比重 > 1)んです。

空気より重い蒸気は低いところに流れてたまります。ガソリンをこぼしたとき、目に見えない蒸気が床に沿って広がり、離れた場所の火花で引火する ―― これが引火性液体の怖さです。だからガソリンスタンドや工場では低所の換気が重要になるんですね。

蒸気比重の計算は「引火点・発火点・燃焼範囲の違いをわかりやすく解説」でも扱っています。

ボイルの法則 ― 温度一定なら「圧力×体積」は一定

ここからは気体の法則です。まずはボイルの法則(1662年)。

温度が一定のとき、気体の圧力Pと体積Vは反比例する

P₁V₁ = P₂V₂

注射器をイメージしてください。口を指でふさいで、ピストンを押し込むと中の空気はギュッと縮みますよね。体積が半分になれば、中の圧力は2倍になる ―― これがボイルの法則です。

逆に、体積を2倍に広げれば圧力は半分。圧力と体積はシーソーの関係(反比例)なんです。

計算例

温度一定で、1気圧・6Lの気体を2Lに圧縮したら圧力は?

P₁V₁ = P₂V₂ → 1 × 6 = P₂ × 2 → P₂ = 3気圧

体積が1/3になったから、圧力は3倍。シンプルですね。

シャルルの法則 ― 圧力一定なら体積は絶対温度に比例

次はシャルルの法則(1787年)。

圧力が一定のとき、気体の体積Vは絶対温度Tに比例する

V₁/T₁ = V₂/T₂

温度を上げると気体は膨張する ―― これは直感的にわかりますよね。暑い日に車のタイヤがパンパンになったり、ペットボトルを温めると膨らんだり(温度と体積の関係は「熱の性質」でも扱っています)。シャルルの法則はそれを数式にしたものです。

絶対温度とは?

ここで注意。シャルルの法則では絶対温度(ケルビン: K)を使います。

T(K)= t(℃)+ 273

0℃ = 273K、100℃ = 373K、-273℃ = 0K(絶対零度)

なぜ℃ではなくKを使うのか? ―― 0℃の気体を2倍の温度にしたとき「0×2 = 0」になってしまったら計算が成り立たないからです。絶対温度は分子の運動が完全に停止する-273℃を0とする温度(物質の状態変化と温度の関係は「物質の三態変化」で詳しく解説しています)なので、比例計算がちゃんとできます。

計算例

圧力一定で、27℃で3Lの気体を127℃にしたら体積は?

まず絶対温度に変換:T₁ = 27 + 273 = 300K、T₂ = 127 + 273 = 400K

V₁/T₁ = V₂/T₂ → 3/300 = V₂/400 → V₂ = 4L

温度が300K→400K(4/3倍)になったから、体積も4/3倍。℃のまま計算すると答えが狂うので、必ずKに変換するのを忘れないでください。

ボイル・シャルルの法則 ― 2つを合わせた万能公式

ボイルとシャルルを1つにまとめたのがボイル・シャルルの法則です。

P₁V₁ / T₁ = P₂V₂ / T₂

圧力・体積・温度の3つが同時に変わっても使える

試験では、ボイルかシャルルのどちらかだけで解ける問題が多いですが、3つの変数が同時に変わる問題が出たらこの公式を使います。

計算例

27℃・2気圧で3Lの気体を、327℃・1気圧にしたら体積は?

T₁ = 300K、T₂ = 600K

P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂ → (2×3)/300 = (1×V₂)/600 → V₂ = 12L

温度が2倍+圧力が半分 → 体積は2×2 = 4倍になったわけです。

3つの法則を整理しよう

気体の3つの法則まとめ
ボイルの法則
条件:温度一定
関係:PV = 一定
一言:押すと縮む
イメージ:注射器
シャルルの法則
条件:圧力一定
関係:V/T = 一定
一言:温めると膨らむ
イメージ:風船を温める
ボイル・シャルル
条件:なし(万能)
関係:PV/T = 一定
一言:全部まとめ
使い所:3変数同時変化
試験でよく引っかかるポイント

1. 比重と密度を混同する
密度には単位(g/cm³)があり、比重には単位がありません。数値は同じになることが多いですが、「比重の単位は g/cm³ である」は誤りです。

2. 蒸気比重の計算で分母を28にする
窒素の分子量28と混同しがちですが、空気の平均分子量は29です(窒素28×0.78 + 酸素32×0.21 ≈ 29)。蒸気比重 = 分子量 ÷ 29が正しい計算式です。

3. 「第4類は全て水より軽い」と覚える
第4類の多くは水より軽い(比重<1)のは事実ですが、二硫化炭素・グリセリン・ニトロベンゼン・エチレングリコールなどは水より重い例外です。「全て軽い」は誤りです。

4. ボイルの法則とシャルルの法則を逆に覚える
ボイル=温度一定(圧力と体積が反比例)、シャルル=圧力一定(体積と絶対温度が比例)。「ボ(イル)は反(比例)」と語呂で覚えましょう。

5. 気体の体積は「温度(℃)」に比例すると答える
シャルルの法則で体積が比例するのは絶対温度(K)です。℃のまま計算すると全く違う答えになります。0℃ = 273K を忘れずに変換しましょう。

試験直前チェックカード

✔ 比重>1 → 水より重い(沈む)/ 比重<1 → 水より軽い(浮く)

✔ 蒸気比重 = 分子量 ÷ 29(空気の平均分子量)

✔ 第4類で水より重い例外:二硫化炭素・グリセリン・ニトロベンゼン・エチレングリコール等

✔ 第4類の蒸気は全て空気より重い(蒸気比重 > 1)→ 低所にたまる

✔ ボイルの法則:P₁V₁ = P₂V₂(温度一定・圧力と体積は反比例)

✔ シャルルの法則:V₁/T₁ = V₂/T₂(圧力一定・体積は絶対温度に比例)

✔ 絶対温度 T(K) = t(℃) + 273 … 0℃ = 273K

✔ ボイル・シャルルの法則:P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂(万能公式)

まとめ問題

理解度をチェックしましょう。全5問です。

【問題1】密度と比重の違い

密度と比重について、正しいものはどれか。

  1. 密度と比重は同じ意味で、どちらも単位がある
  2. 比重は水を基準とした比率であり、単位はない
  3. 気体の比重の基準物質は窒素である
  4. 比重が1より大きい液体は、水に浮く
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正解:2
比重は基準物質との質量の比であり、単位はありません。液体・固体の基準は水(4℃)、気体の基準は空気です(窒素ではない → 3は誤り)。比重が1より大きい = 水より重い = 沈む(→ 4は逆)。密度には g/cm³ などの単位がある(→ 1は誤り)。

【問題2】蒸気比重の計算

分子量58の物質の蒸気比重として、最も近い値はどれか。

  1. 0.5
  2. 1.0
  3. 2.0
  4. 5.8
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正解:3
蒸気比重 = 分子量 ÷ 29 = 58 ÷ 29 = 2.0。分子量58はアセトンに相当します。蒸気比重が2.0ということは、空気の2倍の重さ → 低いところにたまりやすいということです。

【問題3】ボイルの法則

温度一定で、4気圧・5Lの気体を10Lにした。このとき圧力はいくらか。

  1. 1気圧
  2. 2気圧
  3. 8気圧
  4. 20気圧
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正解:2
P₁V₁ = P₂V₂ → 4×5 = P₂×10 → P₂ = 2気圧。体積が2倍になったので圧力は1/2(反比例)。ボイルの法則は「温度一定」が前提です。

【問題4】シャルルの法則

圧力一定で、27℃で6Lの気体がある。この気体を327℃にしたとき、体積はいくらか。

  1. 12L
  2. 72L
  3. 2L
  4. 6L
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正解:1
T₁ = 27+273 = 300K、T₂ = 327+273 = 600K。V₁/T₁ = V₂/T₂ → 6/300 = V₂/600 → V₂ = 12L。温度が2倍(300K→600K)になったので体積も2倍。必ず絶対温度(K)に変換してから計算しましょう。℃のまま計算すると 6×(327/27) = 72.7L という間違った答えになります(選択肢2のひっかけ)。

【問題5】蒸気比重と危険性

蒸気比重について、誤っているものはどれか。

  1. 蒸気比重が1より大きい蒸気は、空気より重く低所にたまりやすい
  2. 蒸気比重は、物質の分子量を空気の平均分子量(約29)で割って求められる
  3. 第4類危険物の蒸気は、すべて蒸気比重が1より大きい
  4. 蒸気比重が大きい蒸気は、高所にたまりやすく上方の換気が重要である
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正解:4(誤っているもの)
蒸気比重が大きい = 空気より重い = 低所にたまりやすいので、低所の換気が重要です。「高所にたまりやすく上方の換気が重要」は逆です。1〜3はすべて正しい記述です。

【問題6】複合問題 ― 蒸気比重とボイル・シャルルの法則

分子量78の引火性液体の蒸気について、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. この蒸気の蒸気比重は約2.7であり、空気より重い
  2. この蒸気は低所に滞留しやすいため、低所の換気が重要である
  3. 温度一定で、この蒸気の体積を1/3にすると、圧力は3倍になる
  4. 圧力一定で、この蒸気を27℃から54℃にすると、体積は2倍になる
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正解:4(誤っているもの)
1: 蒸気比重 = 78÷29 ≈ 2.69 → 正しい(分子量78はベンゼンに相当)。
2: 蒸気比重 > 1 なので低所に滞留 → 正しい。
3: ボイルの法則(P₁V₁ = P₂V₂)より、体積1/3で圧力3倍 → 正しい。
4: 誤り。27℃ = 300K、54℃ = 327K。シャルルの法則で V₂ = V₁×(327/300) ≈ 1.09V₁。体積は約1.09倍であり、2倍にはなりません。℃の数値が2倍(27→54)でも、絶対温度では2倍になっていないため体積も2倍にはならない ―― これがシャルルの法則の典型的なひっかけです。

物理・化学が苦手なら、参考書や通信講座の活用も

計算問題や気体の法則は独学だと理解しにくいテーマです。おすすめの教材は「参考書・問題集の選び方」でまとめています。動画で学びたい方はSAT危険物取扱者講座も選択肢のひとつです。

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