乙種第2類(可燃性固体)

硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉・金属粉・マグネシウム・引火性固体をわかりやすく解説!第2類危険物の全物質

結論から言います

第2類危険物(可燃性固体)には7つの品名があります。この記事では全物質を個別に解説し、試験で狙われる「消火に水が使えるか」「水と反応するか」「色は何色か」を物質ごとに整理します。

最大のポイントは消火方法の使い分けです。赤りんと硫黄は水が使えますが、それ以外は基本的に注水厳禁。この違いを理解することが合格のカギです。


硫化りん(りゅうかりん)— 指定数量100kg

硫化りんは、りん(P)と硫黄(S)の化合物です。3つの種類があり、それぞれ性質が異なります。

物質 外観 融点
三硫化四りん
(P₄S₃)
黄色の結晶 172℃
五硫化二りん
(P₂S₅)
淡黄色の結晶 約290℃
七硫化四りん
(P₄S₇)
淡黄色の結晶 約310℃

共通する特徴

水と反応して硫化水素(H₂S)を発生 — 腐卵臭のある有毒ガス
・燃焼すると亜硫酸ガス(SO₂)を発生 — 刺激性のある有毒ガス
・二硫化炭素に溶ける
消火は乾燥砂(注水厳禁!水と反応してH₂Sが出る)

三硫化四りん(P₄S₃)がよく出る

試験では三硫化四りんが最も出題されます。マッチの原料として使われており、発火点が約100℃と非常に低いのが特徴です。ちなみにマッチの箱の側面(擦る面)には赤りんが使われており、マッチ1本のなかに第2類が2種類も含まれています。

⚠️ 注水厳禁の理由

硫化りんに水をかけると硫化水素(H₂S)が発生します。H₂Sは空気より重く、低い場所にたまり、高濃度では命に関わる猛毒ガスです。さらに可燃性でもあるため、火災中に発生すると二次災害を引き起こします。


赤りん(あかりん)— 指定数量100kg

項目 内容
外観 赤褐色の粉末
発火点 約260℃
比重 2.1〜2.3
水との反応 反応しない(水に溶けもしない)
消火方法 水噴霧OK・泡OK・粉末OK・乾燥砂OK

赤りんは第2類のなかでは比較的安全な物質です。水とは反応しないため、消火に水が使える貴重な存在です。

マッチの箱の側面(擦る面)に赤りんが塗られています。マッチの頭を擦ると、赤りんの摩擦熱で頭薬(三硫化四りん+塩素酸カリウム)に着火するという仕組みです。

黄りん(第3類)との比較 — 超頻出!

りんには「赤りん」と「黄りん」がありますが、性質はまるで違います。

比較項目 赤りん(第2類) 黄りん(第3類)
赤褐色 淡黄色〜白色
自然発火 しない する(約50℃で発火)
毒性 低い 猛毒
保管方法 容器に密封 水中保存

黄りんは空気に触れると自然発火するため水中に保存します。赤りんはそこまで不安定ではありませんが、酸化剤と混合すると摩擦で発火する点には注意が必要です。

黄りんの詳しい性質は「第3類の共通性質」と「第3類の物質①(カリウム・ナトリウム・黄りん等)」で解説しています。


硫黄(いおう)— 指定数量100kg

項目 内容
外観 黄色の固体(粉末・塊状)
融点 約115℃(非常に低い!)
沸点 約445℃
比重 2.07
水との反応 反応しない
消火方法 霧状の水OK、棒状放水NG

硫黄は温泉地で見かけるあの黄色い塊です。試験で押さえるべきポイントは3つあります。

ポイント① 融点が約115℃と非常に低い

硫黄は火災時に溶けて液体になり、流れ出します。だから棒状放水(ホースで直接水をかける)は禁止。勢いよく水をかけると溶けた硫黄が飛び散り、火災が拡大します。霧状の水で静かに冷却するのが正解です。

ポイント② 電気の不良導体(絶縁体)

硫黄は電気を通さない絶縁体です。そのため静電気が蓄積しやすく、粉末の移し替え時に静電気の火花で引火する危険があります。接地(アース)を取って静電気を逃がすことが大切です。

ポイント③ 燃焼で亜硫酸ガス(SO₂)を発生

硫黄が燃えると青い炎を出し、亜硫酸ガス(SO₂)という刺激性の有毒ガスが発生します。消火活動時には防毒マスクが必要です。


鉄粉(てっぷん)— 指定数量500kg

項目 内容
定義 目開き53μmのふるいを通過するものが50重量%以上
外観 灰白色の粉末
比重 7.86
消火方法 乾燥砂(注水厳禁

「鉄が燃えるの?」と思うかもしれませんが、微粉末にすると表面積が激増して空気との反応性が上がるため、鉄でも燃えます。塊の鉄は溶接のトーチで熱してもなかなか燃えませんが、鉄粉をまけばスチールウールのように火花を散らして燃焼します。

鉄粉は他の金属粉より燃えにくいため、指定数量が500kgと大きめです。ただし、油分がしみた切削屑(せっさくくず)は酸化熱が蓄積して自然発火する可能性があるため、工場では管理が重要です。


金属粉 — アルミニウム粉・亜鉛粉

金属粉の定義は、目開き150μmのふるいを通過するものが50%以上の金属の粉です。ただし、アルカリ金属・アルカリ土類金属・鉄・マグネシウムは別の品名で扱うため除外。銅粉・ニッケル粉も除外されます。

アルミニウム粉

項目 内容
外観 銀白色の粉末
比重 2.70
特徴 両性金属(酸にもアルカリにも反応してH₂発生)
消火方法 乾燥砂(注水厳禁

アルミニウムは空気中で酸化皮膜(Al₂O₃)を形成するため、塊の状態では比較的安定です。しかし粉末にすると皮膜が薄くなり、粉じん爆発の危険が高まります。

両性金属という性質が重要。酸(塩酸・硫酸)とも、アルカリ(水酸化ナトリウム)とも反応して水素ガスを出します。だから酸・アルカリ・水すべてとの接触を避けなければなりません。

亜鉛粉

項目 内容
外観 灰青色の粉末
比重 7.13
特徴 両性金属、湿った空気中で自然発火の可能性
消火方法 乾燥砂(注水厳禁

亜鉛もアルミニウムと同じ両性金属。加えて、湿った空気中で酸化熱が蓄積し自然発火する可能性があるため、乾燥した場所で保管する必要があります。


マグネシウム

項目 内容
定義 目開き2mmのふるいを通過しない塊状・直径2mm以上の棒状は除外
外観 銀白色の軽金属
融点 約650℃
比重 1.74(実用金属で最も軽い)
消火方法 乾燥砂(注水厳禁・CO₂も厳禁

マグネシウムは第2類のなかで最も消火が難しい物質です。理由は3つあります。

① 水と反応して水素ガスを発生

水をかけると水素ガス(H₂)が発生し、爆発的に燃焼が激化します。注水は絶対NG。

② 二酸化炭素中でも燃える

通常の火災ではCO₂消火剤で酸素を遮断すれば消火できますが、マグネシウムはCO₂からも酸素を奪い取って燃え続けます

2Mg + CO₂ → 2MgO + C

つまりCO₂消火剤も使えないのです。

③ 白色の強い光を出して燃焼

マグネシウムが燃えるとまばゆい白色の光を発します。この性質を利用して、昔のカメラのフラッシュバルブ閃光弾(せんこうだん)に使われていました。

💡 マグネシウム火災の消火法

水もCO₂もダメなら何で消すのか? → 乾燥砂で覆って窒息消火。または金属火災用の特殊粉末消火剤を使います。マグネシウム火災は消防の現場でも対応が難しい火災の1つです。


引火性固体 — 指定数量1,000kg

項目 内容
定義 1気圧で引火点が40℃未満の固体
代表例 固形アルコール、ゴムのり、ラッカーパテ
消火方法 泡・粉末・CO₂(第4類に準じた消火)

引火性固体は第2類のなかでは異色の存在で、性質は第4類(引火性液体)に近いです。固体だけど可燃性の蒸気を出して引火するため、消火方法も第4類と同じ泡・粉末・CO₂が有効です。

固形アルコールは旅館の一人鍋や料理の保温に使うあの青い固形燃料。メタノールをゲル状に固めたもので、引火点は約11℃と非常に低いです。

ゴムのりは生ゴムを石油系溶剤に溶かした接着剤。見た目は固体(のり状)ですが、常温でも可燃性の蒸気を発生します。ラッカーパテは自動車の板金修理に使われる充填材で、有機溶剤を含むため引火点が低い物質です。


消火方法の総まとめ — これが出る!

第2類 物質別の消火方法
水が使える
赤りん(水噴霧OK)
硫黄(霧状水OK)
 ※棒状放水はNG
引火性固体(泡OK)
注水厳禁
硫化りん(H₂S発生)
鉄粉(H₂発生)
金属粉(H₂発生・爆発)
マグネシウム
 (H₂発生 + CO₂も×)

乾燥砂はすべての第2類に使えます。迷ったときの最終手段として覚えておきましょう。


色の違いも押さえよう

物質
硫化りん 黄色〜淡黄色
赤りん 赤褐色
硫黄 黄色
鉄粉 灰白色
アルミニウム粉 銀白色
亜鉛粉 灰青色
マグネシウム 銀白色

色の覚え方:「黄色系=非金属(硫化りん・硫黄)」「銀白色=金属(Al・Mg)」「灰色系=鉄・亜鉛」「赤=赤りんだけ」—— 4グループで整理すると混同しにくいです。


まとめ

第2類の全物質のポイントを一言ずつ整理します。

硫化りん — 水でH₂S発生、マッチの原料、注水厳禁
赤りん — 赤褐色、安定、水で消火OK、黄りん(第3類)とは別物
硫黄 — 黄色、融点115℃で溶融流出注意、霧状の水OK・棒状放水NG、静電気蓄積
鉄粉 — 53μm定義、燃えにくいので500kg、乾燥砂消火
金属粉 — Al粉・Zn粉は両性金属(酸にもアルカリにもH₂発生)、注水厳禁
マグネシウム — 比重1.74で軽い、白い光で燃焼、水もCO₂もNG
引火性固体 — 引火点40℃未満の固体、固形アルコール等、第4類に準じた消火


理解度チェック!

問1 赤りんの性質について、正しいものはどれか。

(1)水と反応して硫化水素を発生する
(2)空気中で自然発火するため水中に保存する
(3)赤褐色の粉末で、消火に水を使うことができる
(4)発火点は約50℃で、常温で発火する危険がある

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正解:(3)
赤りんは赤褐色の粉末で、水とは反応しないため消火に水噴霧・泡が使えます。(1)水と反応してH₂Sを出すのは硫化りん。(2)水中保存するのは黄りん(第3類)。(4)発火点は約260℃で、常温では安定です。

問2 硫黄の火災について、誤っているものはどれか。

(1)燃焼すると亜硫酸ガス(SO₂)を発生する
(2)融点が約115℃と低く、溶融して流出する危険がある
(3)棒状放水で迅速に消火するのが最も効果的である
(4)静電気が蓄積しやすいため、接地(アース)が重要である

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正解:(3)
硫黄は融点が低いため、火災時には溶けて液体状態になっています。棒状放水すると溶融した硫黄が飛び散り、火災が拡大します。霧状の水(水噴霧)を使って静かに冷却するのが正解です。

問3 マグネシウムの消火方法として、適切なものはどれか。

(1)大量の水で冷却する
(2)二酸化炭素消火剤で窒息消火する
(3)泡消火剤で覆う
(4)乾燥砂で覆って窒息消火する

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正解:(4)
マグネシウムは水と反応して水素ガスを発生し(注水厳禁)、CO₂からも酸素を奪って燃え続けるため(CO₂消火剤も不可)、乾燥砂で覆うのが正解です。泡消火剤も水を含むため使えません。

問4(応用) アルミニウム粉と亜鉛粉に共通する性質として、正しいものはどれか。

(1)酸とは反応するが、アルカリとは反応しない
(2)水とは一切反応しない安全な金属である
(3)酸にもアルカリにも反応して水素ガスを発生する両性金属である
(4)銅やニッケルと同じく、危険物の金属粉には含まれない

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正解:(3)
アルミニウムと亜鉛はともに両性金属で、酸(塩酸・硫酸等)にもアルカリ(水酸化ナトリウム等)にも反応して水素ガスを発生します。(1)アルカリとも反応します。(2)水とも反応してH₂を発生する危険があります。(4)銅粉・ニッケル粉は除外されますが、アルミニウム粉・亜鉛粉は金属粉に含まれます。

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