甲種の性質(全類横断)

【甲種】危険物の保存・水との反応|保護液・容器・消火をSDSで確認

保存方法は「類別」だけで決めない

甲種では、黄りん、アルカリ金属、有機金属化合物、ニトロセルロース、過酸化物などについて、空気・水・熱・衝撃との関係が問われます。試験対策では代表的な組合せを整理できますが、実際の保管・消火・漏えい対応は、類別や語呂合わせだけでは決められません

同じ物質名でも、濃度、溶媒、安定化剤、含水率、容器、製品組成で取扱いが変わります。この記事では「試験で確認する分類」と「実務でSDSへ戻る判断」を分けて整理します。

公式情報で確認するポイント

第1類〜第6類の性状と品名はe-Gov法令検索の消防法 別表第一総務省消防庁「危険物とは?」で確認できます。個別製品の保管、容器、混触危険物質、消火方法は製品SDSと供給者の指示を確認してください。

安全上の注意:この記事は試験学習用です。危険物を水や空気に触れさせる実験、保護液の入替え、別容器への移替え、消火の試行は行わないでください。

代表物質を「目的」と「確認事項」で比較する

代表物質・製品群 試験で押さえる関係 実務で確認すること
黄りん 第3類。空気との接触を遮る目的で水中に保持する代表例 指定容器、水位、温度、供給者SDS
ナトリウム・カリウム・リチウム 第3類。水との反応に注意し、保護液中で扱われる代表例 物質別の指定保護液、容器、表面状態。密度だけで判断しない
アルキルアルミニウム・アルキルリチウム 第3類。自然発火性・禁水性を示す製品がある 濃度、溶媒、不活性雰囲気、移送設備、製品SDS
ニトロセルロース・ピクリン酸 第5類の品名に関係し、湿潤・鈍感化された製品がある 含水率・湿潤剤・安定化状態・容器材質。乾燥品と同一視しない
過酸化水素・有機過酸化物製品 分解でガスや熱を生じる場合がある 濃度、安定化剤、温度、汚染防止、指定容器の通気設計

水との反応は、発生物と反応条件を物質別に見る

「水と反応する」という共通点だけで、反応生成物や激しさを一律に扱うことはできません。代表的な試験知識は次のとおりです。

物質群 代表的な確認点 注意
アルカリ金属・金属水素化物 水との反応で水素を生じる代表例がある 発火、飛散、腐食性生成物を伴う可能性
炭化カルシウム 水との反応でアセチレンを生じる 可燃性ガスの発生
金属のりん化物 水分との反応でホスフィンを生じるものがある 毒性・自然発火性を含め物質別確認
無機過酸化物 水との反応で過酸化水素や水酸化物を生じ、条件により酸素発生・発熱へ進む場合がある 「すべて直ちに酸素を出す」と単純化しない
フッ素を含むハロゲン間化合物 加水分解で腐食性・有毒なフッ素化合物を生じる場合がある 反応式・消火方法は物質別SDSを確認

消火方法を確認する4段階

  1. 物質・製品を特定:類だけでなく品名、濃度、溶媒、状態を確認する
  2. SDS第5項を確認:適切な消火剤、不適切な消火剤、特有の危険有害性を読む
  3. 施設手順を確認:設備、保有消火剤、退避範囲、通報手順に従う
  4. 消防機関の指示を優先:個人で接近・実験・消火剤の試行をしない

水が適応するかどうかも、類別だけではなく物質、製品状態、火災規模、設備で変わります。「第5類なら必ず大量の水」「第6類ならハロゲン間化合物以外はすべて水」のような一律な覚え方を、実務へそのまま持ち込まないでください。

理解度チェック5問

分類知識とSDSへ戻る判断を確認します。

Q1:黄りんについて適切な説明はどれか。(1)第2類である (2)禁水性だけを持つ (3)第3類で、水によって空気との接触を遮る考え方がある (4)第4類である → 解答を見る

正解:(3)
黄りんは第3類です。水と反応させるためではなく、空気との接触を遮る目的で水中に保持される代表物質として学びます。

Q2:ナトリウム・カリウム・リチウムの実際の保管確認として適切なのはどれか。(1)水中に入れる (2)密度だけで保護液を自作する (3)製品SDSと供給者指定の容器・保護液を確認する (4)空気中に開放する → 解答を見る

正解:(3)
いずれも水との反応に注意が必要です。実務では物質名だけで方法を決めず、製品SDS、供給者指定の容器、施設手順を確認します。

Q3:炭化カルシウムが水と反応したときに生じる代表的な可燃性ガスはどれか。(1)酸素 (2)アセチレン (3)二酸化炭素 (4)塩素 → 解答を見る

正解:(2) アセチレン
炭化カルシウムは第3類の品名に含まれ、水との反応でアセチレンを生じます。試薬を使った再現は行わないでください。

Q4:過酸化水素や有機過酸化物の容器について適切なのはどれか。(1)別容器へ移して完全密閉する (2)常に開放容器にする (3)分解ガスへの設計を含む指定容器・製品SDSに従う (4)金属容器なら種類を問わない → 解答を見る

正解:(3)
濃度、安定化剤、温度、汚染、容器設計で危険性が変わります。「密栓禁止」とだけ覚えず、指定容器と製品SDSを確認します。

Q5:実際の火災で消火剤を選ぶ方法として適切なのはどれか。(1)類別だけで一律に決める (2)個人で少量に水をかけて試す (3)製品SDS・施設手順・消防機関の指示を確認する (4)どの危険物にも水を使う → 解答を見る

正解:(3)
同じ類でも物質、濃度、状態、火災規模、設備で対応が異なります。個人で試さず、定められた緊急時手順を優先します。

まとめ――代表例を覚え、実務では製品情報へ戻る

  • 黄りんは第3類で、空気との接触を遮るため水中に保持する代表例
  • アルカリ金属の保護液は、密度の語呂だけでなく製品SDS・指定容器で確認する
  • 有機金属化合物、湿潤された第5類、過酸化物製品は濃度・溶媒・安定化状態で取扱いが変わる
  • 水との反応生成物は物質別に整理し、消火方法はSDS第5項と施設手順で確認する

次は甲種模擬試験 第1回で、分類・物化・性質をまとめて確認できます。

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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