乙種第5類(自己反応性物質)

第5類危険物とは?11品名・指定数量10kg/100kg・共通性質

第5類危険物は自己反応性物質

第5類危険物は、消防法上「自己反応性物質」とされる固体または液体です。法令上の性状を示す11の品名区分があり、指定数量は第一種自己反応性物質が10kg、第二種自己反応性物質が100kgです。

有機過酸化物や硝酸エステル類だけでなく、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ヒドラジンの誘導体、金属のアジ化物なども含まれます。したがって、第5類を「すべて分子内に酸素を持つ物質」と説明することはできません。

先に3点:「第5類」は消防法の類別、「第一種・第二種」は指定数量を分ける性状区分、「タイプA〜G」はGHSの自己反応性化学品に使う別の分類です。同じ言葉が出ても一対一に対応させません。

法令上の定義・品名・指定数量

定義と品名はe-Gov法令検索の消防法別表第一、政令で追加される品名、性状試験、指定数量は総務省消防庁の消防法令抜粋、類別の概要は消防庁「危険物とは?」で確認できます。

消防法第5類とGHS自己反応性化学品は別に判定する

消防法別表第一は危険物を第1類〜第6類へ分け、第5類の品名と性状を定めます。一方、GHSはラベル・SDSで危険有害性を伝えるための分類体系で、自己反応性化学品をタイプA〜Gに分けます。厚生労働省「GHSとは」でも、タイプごとの絵表示・注意喚起語・危険有害性情報を確認できます。

確認する区分 この記事での役割 読み違い
消防法の第5類・品名 国内の危険物規制における類別・品名を確認 GHSのタイプ名から消防法該当を即断しない
第一種・第二種 指定数量10kg・100kgを分ける GHSタイプA・Bとの対応表にしない
GHSタイプA〜G ラベル・SDS上の自己反応性化学品の危険性を確認 消防法の第一種・第二種へ置き換えない

同じ製品について両方の情報が必要な場合があります。消防法該当は法令・所轄消防機関、作業時の危険有害性は製造者の最新版SDSとラベルを確認してください。

法令上の11の品名区分

番号 品名 代表例・確認点
1 有機過酸化物 ジベンゾイルペルオキシドなど
2 硝酸エステル類 ニトログリセリン、ニトロセルロースなど
3 ニトロ化合物 TNT、ピクリン酸など。硝酸エステル類と区別
4 ニトロソ化合物 ニトロ化合物とは別の品名
5 アゾ化合物 AIBNなど。温度管理を製品別に確認
6 ジアゾ化合物 アゾ化合物とは別の品名
7 ヒドラジンの誘導体 ヒドラジンそのものと誘導体を混同しない
8 ヒドロキシルアミン 濃度・安定化・温度条件を確認
9 ヒドロキシルアミン塩類 純物質と塩類を分ける
10 その他のもので政令で定めるもの 金属のアジ化物、硝酸グアニジン、1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン、4-メチリデンオキセタン-2-オン
11 前各号のいずれかを含有するもの 組成や省令上の除外条件も確認

指定数量は品名だけでは決まらない

危険物政令別表第三では、第5類の指定数量を次の2段階に分けています。

  • 第一種自己反応性物質:10kg
  • 第二種自己反応性物質:100kg

第一種は、孔径9mmのオリフィス板を用いる圧力容器試験で破裂板が破裂するものです。第二種は第一種以外です。したがって、「有機過酸化物・硝酸エステル類・ニトロ化合物は必ず10kg」と品名だけで固定せず、実際の性状判定を確認します。

指定数量10kg・100kgは4段階で判断する

消防庁の消防法令抜粋では、孔径9mmのオリフィス板を用いる圧力容器試験で破裂板が破裂するものを第一種自己反応性物質、それ以外を第二種自己反応性物質とし、指定数量をそれぞれ10kg・100kgとしています。

段階 確認すること 決まること
1 製品特定 化学名、濃度、希釈剤、安定剤、湿潤剤、混合物の組成 同じ通称でも別条件の製品を区別
2 第5類該当 消防法の品名と、法令上の性状を示すか 第5類危険物に該当するか
3 性状区分 9mmオリフィス板の圧力容器試験による第一種・第二種 10kgまたは100kg
4 数量確認 貯蔵・取扱量、複数危険物なら指定数量の倍数合計 消防法・条例上の手続や基準の確認先

指定数量は「安全に置ける上限」ではありません。消防法上の規制を適用する基準量であり、指定数量未満でも市町村条例、SDS、施設ルール、労働安全衛生上の措置などを確認します。

共通性質は法令の定義から押さえる

確認軸 学習のポイント 避ける一律表現
法令上の性状 熱分析試験または圧力容器試験で自己反応性を判定 すべて同じ仕組みで燃える
分解条件 温度、衝撃、摩擦、汚染、混触を物質別に確認 少しの振動で必ず爆発する
製品形態 濃度、希釈剤、安定剤、湿潤剤、容器を確認 同じ品名なら保管方法も同じ
消火 製品SDS、設備の適応表示、火災規模、消防機関の指示を確認 窒息消火は全部無効・大量の水だけが唯一

製品ごとに条件が違う例

この違いから、第5類全体を一つの分子構造や消火方法で説明できないことが分かります。モデルSDSは一般的な参考資料なので、実際に扱う製品の最新版SDSを確認してください。

火災予防・保管で確認する順序

  1. 物質名と法令上の品名を確認する
  2. 濃度・希釈剤・安定剤・湿潤状態を確認する
  3. 管理温度と避けるべき条件をSDS第7・10項で確認する
  4. 指定容器・通気機構・保管設備をメーカー資料と施設手順で確認する
  5. 火災時の退避・通報・消火設備を事前の緊急時計画で確認する

湿潤剤を補う、乾燥させる、別容器へ移す、栓を緩める、安定剤を加えるなどの操作を、学習記事だけを根拠に自己判断で行ってはいけません。

加熱・衝撃・乾燥・混合を試さない

第5類には、温度上昇、衝撃、摩擦、汚染、混触などで急激に分解する物質が含まれます。味やにおいの確認、加熱、打撃、乾燥、混合、容器の加工を行わないでください。異常や火災時は安全確保・避難・119番通報を優先し、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示に従ってください。

確認問題

問1:第5類はすべて分子内に酸素を持つ?

解答を見る

いいえ。アゾ化合物や金属のアジ化物なども含まれ、全品名を分子内酸素だけで説明できません。

問2:第一種・第二種の指定数量は?

解答を見る

第一種は10kg、第二種は100kgです。

問3:有機過酸化物なら必ず第一種10kg?

解答を見る

品名だけでは固定できません。第一種・第二種は法令上の性状試験に基づいて判定します。

問4:第5類の消火は大量の水だけに固定できる?

解答を見る

固定できません。物質、濃度、製品形態、火災規模、SDS、設備の適応表示、消防機関の指示を確認します。

問5:保管方法を決めるときに品名以外で見るものは?

解答を見る

濃度、希釈剤、安定剤・湿潤剤、管理温度、指定容器、製品SDS、施設手順を確認します。

第5類の復習順

  1. この記事で法令上の定義・11の品名・指定数量を確認する
  2. 物質①物質②を品名区分ごとに比較する
  3. 第5類ミニテスト10問で誤答した物質を記録する
  4. 乙5 4択練習を解き、誤答した記事だけ読み直す
資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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