第5種消火設備とは?小型消火器と簡易消火用具
第5種消火設備は、小型消火器、水バケツ・水槽、乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩を使う消火設備です。危険物施設では、施設が「著しく消火困難」「消火困難」「その他」のどれに当たるか、対象物へ消火剤が適応するか、必要な能力単位を満たすか、設置位置が基準に合うかを順に確認します。
第4種も消火器ですが、第4種は大型消火器、第5種は小型消火器です。番号は性能の優劣ではありません。また、水バケツや乾燥砂が第5種に含まれるからといって、どの危険物にも使えるわけではありません。適応性は危険物の規制に関する政令・別表第五で確認します。
先に答え:「第5種=消火器1本」「指定数量10倍=消火器1本」とは限りません。必要量は、建築物等と危険物の所要単位を求め、設置する第5種設備の能力単位と照合して決めます。地下タンク・移動タンクなどは個数や仕様の特則も先に確認します。
現行法令の確認先
消火設備の3区分はe-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」第20条、所要単位・設備区分・設置基準は「危険物の規制に関する規則」第29条〜第35条で確認できます。
消火設備と対象物の適応表は政令別表第五、警報設備は政令第21条と規則第37条・第38条です。消防庁の「現行の危険物施設における泡消火設備の基準について」参考資料にも、現行の適応表と施設別基準が整理されています。
第一種〜第五種消火設備の分類
| 区分 | 主な設備 | 確認点 |
|---|---|---|
| 第一種 | 屋内消火栓設備・屋外消火栓設備 | 人がホースを操作する水系設備。屋外消火栓が包含できる建築物は原則1階・2階部分 |
| 第二種 | スプリンクラー設備 | 熱感知部の作動により散水する設備。すべての危険物に一律適応するわけではない |
| 第三種 | 水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備 | 固定式または移動式がある。施設・危険物・煙の充満のおそれにより認められる方式が変わる |
| 第四種 | 大型消火器 | 防護対象物までの歩行距離30m以下が原則。第一〜第三種と併置する場合の例外あり |
| 第五種 | 小型消火器、水バケツ・水槽、乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩 | 多くの施設で歩行距離20m以下が原則だが、施設区分と併置設備による例外がある |
第5種の種類と能力単位を一覧で確認する
危険物規則第31条・別表第二は、第5種の能力単位を次のように定めています。小型消火器の能力単位は、消火器の技術上の規格を定める省令による表示を確認します。
| 第5種設備 | 規則上の容量・構成 | 能力単位 | 適応性の確認 |
|---|---|---|---|
| 小型消火器 | 消火剤・充塡量・型式ごとの表示 | 消火器の規格による | 大型なら第4種。対象物に適応する消火剤を選ぶ |
| 消火専用バケツ | 8Lを3個 | 1.0 | 電気設備・第4類等には能力単位を持たない |
| 水槽 | 80L+専用バケツ3個/190L+6個 | 1.5/2.5 | 水バケツと同じ対象欄を確認する |
| 乾燥砂 | 50L+スコップ | 0.5 | 危険物への適応は別表第五の○印で確認 |
| 膨張ひる石・膨張真珠岩 | 160L+スコップ | 1.0 | 危険物への適応は別表第五の○印で確認 |
消防庁の危険物施設における消火設備資料は、別表第五の○印が「その対象物に適応する設備」を示すこと、第4種の消火器は大型、第5種は小型であることを明記しています。水を使えるか、粉末ならどの薬剤系統かまで表の行と列を交差させて読みます。
安全上の注意:水バケツが第5種に含まれていても、禁水性物品、金属火災、電気設備、油火災へ一律に水を使うことはできません。実際の火災では退避・119番通報を優先し、設置済み設備の適応表示、製品SDS、施設の緊急手順、消防機関の指示に従ってください。


第三種は「固定式の特殊設備だけ」ではない
第三種には水蒸気、水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末の各消火設備があります。設備方式には固定式と移動式があり、第三種=すべて固定式という整理はできません。
ただし、屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所では固定式に限られる場合があり、火災時に煙が充満して人が接近しにくい場所では、屋内消火栓や移動式第三種ではなく、第二種または移動式以外の第三種が求められます。
また、水蒸気消火設備は使える対象が限定されます。設備名だけで選ばず、政令別表第五の対象物との適応と、規則第33条の施設別指定を確認します。
消火設備は危険物の「類」だけで決めない
政令別表第五は、建築物、電気設備、第1類〜第6類の危険物をさらに細分して、各消火設備が適応するかを示しています。
- 第1類でも、アルカリ金属の過酸化物等とその他の第1類では適応設備が異なる
- 第2類でも、鉄粉・金属粉・マグネシウム、引火性固体、その他で適応が異なる
- 第3類でも、禁水性物品とその他で適応が異なる
- 第4類でも、水溶性、非水溶性、設備・火災規模等により泡や水系設備の選択が変わる
安全上の注意:試験用の適応表を、現場で一般の人が消火剤を自己判断する手順として使わないでください。実際の火災では、危険物の品名・濃度・状態、設置済み設備の適応、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示を優先します。
「著しく消火困難・消火困難・その他」の3区分
| 区分 | 政令上の基本 | 重要な補足 |
|---|---|---|
| 著しく消火困難 | 第一・第二・第三種のうち施設に指定された設備+第四種+第五種 | 施設・危険物ごとに認められる設備が異なる。放射能力範囲内で第四種を省略できる場合等がある |
| 消火困難 | 第四種+第五種 | 第一〜第三種を基準どおり設けた放射能力範囲内では第四種を省略できる場合がある |
| その他 | 第五種 | 第一〜第四種の放射能力範囲内では、第五種を所要単位の5分の1以上に軽減できる場合がある |
「著しく消火困難なら第一〜第三種を全部設置する」という意味ではありません。規則第33条の表に従い、製造所・屋内貯蔵所・タンク貯蔵所・給油取扱所などの区分ごとに指定された設備を選びます。
区分判定の代表例
- 一般的な製造所・一般取扱所では、指定数量100倍以上、延べ面積1,000m²以上、高さ6m以上の部分に危険物取扱設備がある場合などが「著しく消火困難」の候補
- 同じく規則第33条に該当しないもので、指定数量10倍以上、延べ面積600m²以上などは「消火困難」の候補
- 屋内貯蔵所、タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所には、それぞれ別の数量・面積・構造条件がある
高引火点危険物、危険物の品名、施設形態などによる除外・特例が多いため、倍数だけで全施設を判定しないでください。
所要単位と能力単位は4手順で照合する
所要単位は、建築物その他の工作物の規模または危険物の量を表す基準です。能力単位は、第5種消火設備の消火能力を表す数値です。名称が似ていますが、必要側と設備側に分けて計算します。
- 施設区分を決める:著しく消火困難、消火困難、その他のどれかを規則第33条〜第35条で判定する。
- 所要単位を求める:建築物等と危険物を分け、規則第30条で計算する。
- 適応設備だけを選ぶ:政令別表第五の○印がある消火剤・用具に絞る。
- 能力単位を合計する:小型消火器の表示または規則別表第二の数値を合計し、施設区分ごとの必要値以上にする。
| 対象 | 1所要単位 | 確認点 |
|---|---|---|
| 製造所・取扱所の建築物 | 耐火構造の外壁:延べ100m²/それ以外:50m² | 対象部分の延べ面積を使う |
| 貯蔵所の建築物 | 耐火構造の外壁:延べ150m²/それ以外:75m² | 製造所・取扱所と分母が違う |
| 屋外の工作物 | 水平最大面積を建坪として上記区分で計算 | 建築物の分母へ対応させる |
| 危険物 | 指定数量の10倍 | 指定数量の倍数を先に求める |
たとえば「その他の製造所等」で、耐火構造の外壁を持つ製造所建築物200m²、危険物が指定数量30倍なら、建築物2所要単位+危険物3所要単位です。規則第35条第3号の原則では、両方に適応する第5種設備の能力単位を必要数まで設けます。第一種〜第四種を設ける場合は、その放射能力範囲内に限って第5種を当該所要単位の5分の1以上とできるただし書があります。
5分の1へ軽減できることと、第五種を0にできることは別です。また、地下タンク貯蔵所は第5種2個以上、移動タンク貯蔵所は自動車用消火器の種類・充塡量・個数などの特則があります。設計・変更時は、最新の許可条件と所轄消防の確認を優先してください。
第四種30m・第五種20mの例外
- 第四種:防護対象物の各部分から一つの設備までの歩行距離30m以下。第一〜第三種と併置する場合は例外
- 第五種:多くの製造所等では歩行距離20m以下。第一〜第四種と併置する場合は例外
- 地下タンク・簡易タンク・移動タンク貯蔵所、給油取扱所、販売取扱所の第五種は「有効に消火できる位置」に設ける


警報設備は5種類
危険物規則第37条は、警報設備を次の5種類に区分しています。
- 自動火災報知設備
- 消防機関に報知できる電話
- 非常ベル装置
- 拡声装置
- 警鐘
指定数量の倍数が10以上なら、すべて自動火災報知設備が必要という意味ではありません。規則第38条第1号に該当する製造所・一般取扱所、屋内貯蔵所、一定の屋内タンク貯蔵所・屋内給油取扱所等には自動火災報知設備が必要です。
それ以外の製造所等(移送取扱所を除く)で指定数量の倍数が10以上の場合は、電話・非常ベル・拡声装置・警鐘のうち1種類以上を設けます。自動信号装置を備えた第二種または第三種消火設備は、条件上、自動火災報知設備とみなされます。
確認問題
問1:第三種消火設備はすべて固定式?
問2:著しく消火困難な施設では第一〜第三種を全部設置する?
問3:危険物の1所要単位は指定数量の何倍?
問4:第五種はすべての施設で必ず歩行距離20m以下?
問5:指定数量10倍以上なら必ず自動火災報知設備?
消火設備・警報設備の復習順
- 第一種〜第五種の設備名を区別する
- 政令別表第五で危険物との適応を確認する
- 著しく消火困難・消火困難・その他の違いを確認する
- 所要単位と能力単位、30m・20mの例外を確認する
- 消火設備・警報設備・所要単位ミニテストで誤答を確認する
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