乙種第1類(酸化性固体)

第1類危険物(酸化性固体)|法令上の判定・指定数量・火災対応

第1類危険物は消防法上の酸化性固体です。ただし、「酸素を含む固体」「物質名に硝酸・塩素酸と付く固体」を一律に第1類とする分類ではありません。消防法別表第一の品名に該当するか、法令所定の試験でどの性状を示すか、混合物なら含有物を含めてどう判定されるかを順に確認します。

この記事の役割:第1類を「共通性質の丸暗記」ではなく、法令上の定義→品名→性状区分→指定数量→製品SDSの順に判定できるようにします。個々の物質の色・水溶性は塩素酸塩・無機過酸化物硝酸塩・過マンガン酸塩・重クロム酸塩で確認してください。

消防法が定める「酸化性固体」

消防法 別表第一の備考では、酸化性固体を、固体であって、酸化力の潜在的な危険性または衝撃に対する敏感性を法令所定の試験で判定し、所定の性状を示すものと定義しています。したがって、法令上の出発点は「第1類はすべて同じ反応をする」という説明ではなく、試験物品がどの判定基準に該当するかです。

ここでいう固体は、同別表の定義上、1気圧・20℃で液状のもの、または20℃を超え40℃以下で液状となるもの、および1気圧・20℃で気体状のものを除いたものです。日常語の「見た目が粉だから固体」だけでなく、法令の定義へ戻ります。

「不燃性」「酸素放出」は便利な要約だが定義そのものではない

試験学習では、第1類は一般に「自身は燃焼しにくいが、可燃物の燃焼を促進する」と整理されます。ただし、消防法の定義は「すべてが加熱で酸素を放出する」「すべて同じ消火剤を使える」とは書いていません。分解生成物、水との反応、混触危険、適応する消火剤は物質・濃度・製品形態によって変わります。

この区別をしておくと、「第1類=大量の水」「無機過酸化物=すべて同じ」という過度な一般化を避けられます。試験問題では代表例を使って判定し、実際の取扱いでは製品の最新版SDSと施設の手順を優先します。

第1類を判定する5段階

  1. 状態を確認する:消防法別表第一の定義で固体に当たるかを確認する。
  2. 品名を確認する:11区分のどこに当たるか、またはそのいずれかを含有する物品かを確認する。
  3. 性状試験を確認する:粉粒状かその他の形状かに応じ、燃焼試験・大量燃焼試験と、落球式打撃感度試験・鉄管試験による判定を確認する。
  4. 第一種・第二種・第三種を確認する:試験結果に基づく性状区分を確認する。
  5. 指定数量を対応させる:性状区分に対応する50kg・300kg・1,000kgを使う。

危険物の規制に関する政令 第1条の3は試験の枠組みを定め、危険物の試験及び性状に関する省令は各試験の細目を定めています。個人が危険物を混合・加熱して区分を確かめるものではありません。学習では試験名と判定の流れを理解し、製品の分類はメーカー資料や所轄消防機関の確認に従います。

法令試験が見ているもの

試験物品 酸化力側の試験 衝撃敏感性側の試験 学習上の意味
粉粒状の物品 標準物質と木粉を用いる燃焼試験 試験物品と赤りんを用いる落球式打撃感度試験 燃焼時間または爆発確率を法令基準と比較する
その他の物品 大量燃焼試験 鉄管試験 燃焼時間と鉄管の状態を法令基準と比較する

この試験構造から分かるのは、第1類が「分子中の酸素原子の数」だけで決まらないことです。化学式を暗記する前に、法令は物品の性状を試験で判定する、と押さえます。

消防法別表第一の11区分

番号 法令上の品名 サイト内の確認先
1〜3 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物 物質別の比較
4〜9 亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類 6品名の比較
10 その他のもので政令で定めるもの 政令第1条の2と別表を確認
11 前各号のいずれかを含有するもの 混合物は含有率・試験結果・製品資料を確認

代表物質の名前が一致しても、製品が溶液・混合物・安定化品であれば、純物質の暗記表だけでは分類できません。逆に、商品名だけを見ても法令上の品名は確定しません。「法令上の品名」「化学物質名」「製品名」を別の欄に書くと混同を減らせます。

指定数量は品名ではなく性状区分に対応する

性状区分 指定数量 確認する根拠
第一種酸化性固体 50kg 政令別表第三の性質欄と備考
第二種酸化性固体 300kg 政令別表第三の性質欄と備考
第三種酸化性固体 1,000kg 第一種・第二種以外とする政令上の区分

たとえば、法令上の分類がすでに第一種酸化性固体と確認された物品75kgなら、指定数量の倍数は75÷50=1.5です。第一種20kgと第二種150kgを同じ場所で扱うという架空例なら、20÷50+150÷300=0.4+0.5=0.9と計算します。計算方法は指定数量と倍数計算で確認できます。

この例は計算手順の説明であり、物質名から第一種・第二種を決める例ではありません。最初に製品の法令分類と数量を確定してから式へ入れます。

火災予防と消火は「類→品名→製品」の順に絞る

第1類では、可燃物・還元性物質との接触、加熱、衝撃、摩擦、汚染などを避ける方向が共通の入口になります。しかし、保存温度、容器、水との反応、分解生成物、適応消火剤は物質別です。次の順で資料を確認します。

  1. 類別:酸化性固体として可燃物の燃焼を強める可能性を認識する。
  2. 品名・物質名:無機過酸化物、硝酸塩、過マンガン酸塩などの違いを確認する。
  3. 製品SDS第2項:危険有害性の要約と絵表示を確認する。
  4. SDS第5・7・10項:火災時の措置、取扱い・保管、安定性・反応性を確認する。
  5. 施設の手順:設置された消火設備、退避・通報手順、消防機関の指示に従う。

水の扱いを一律暗記しない:水が消火剤として示される物質がある一方、水との接触に特別な注意が必要な無機過酸化物もあります。「第1類なら必ず注水」「無機過酸化物なら製品条件を見ず必ず同じ消火剤」と決めず、物質別SDSと現場の指示を確認してください。保存・水反応の横断整理は危険物の保存・水との反応にまとめています。

誤りやすい5つの断定を修正する

  • 「第1類は全部白色」:色は物質別です。過マンガン酸塩や重クロム酸塩には有色の代表物質があります。
  • 「第1類は全部、水に溶ける」:溶解度は物質と温度条件で異なります。
  • 「第1類は全部、加熱すると酸素だけを出す」:分解生成物を一律に決められません。
  • 「品名が同じなら指定数量も同じ」:第一種・第二種・第三種の性状区分を確認します。
  • 「類が分かれば消火剤も決まる」:物質・製品・火災規模・設備をSDSと施設手順で確認します。

試験問題を「どの階層の話か」で読み分ける

第1類の設問が難しく見える原因の一つは、法令の分類と代表物質の性質が同じ選択肢に並ぶことです。設問を読んだら、最初に次のどの階層を聞いているかを余白へ書きます。

設問の言葉 確認する階層 戻る資料 よくある取り違え
「酸化性固体とは」 法令上の定義 消防法別表第一の備考 代表物質の色で定義する
「第1類の品名」 法令上の11区分 消防法別表第一 商品名をそのまま品名にする
「第一種の指定数量」 性状区分と数量 政令別表第三 品名番号の「一」と混同する
「過マンガン酸カリウムの色」 代表物質の物性 物質別SDS第9項 第1類全体の色へ広げる
「火災時の措置」 製品・現場条件 SDS第5項と施設手順 類別だけで消火剤を確定する

「第一類」と「第一種」も別の軸です。第一類は危険物の類別、第一種酸化性固体は第1類の中の性状区分です。第一類だから指定数量50kgなのではなく、第一種と確認された物品が50kgです。

製品資料から法令分類を確認するときの記録欄

実物の分類を確認するときは、物質名だけを検索するのではなく、次の欄を一件ずつ埋めます。空欄があれば推測で補わず、供給者または所轄消防機関へ確認します。

  1. 製品の特定:製品名、メーカー、版番号、SDS改訂日を記録する。
  2. 組成:単一物質か混合物か、成分と濃度をSDS第3項で確認する。
  3. 消防法情報:SDS第15項の適用法令と、類別・品名・性状区分を確認する。
  4. 数量:保管・取扱量の単位をkgへそろえ、指定数量の倍数を計算する。
  5. 安全条件:SDS第5・7・10項から、消火、保管、避ける条件を別々に転記する。
  6. 確認日:確認した日と資料URLを残し、SDS改訂時に見直せるようにする。

SDS第15項の記載だけで許可・届出の要否を自己判断するのではなく、数量、施設、自治体条例、取扱いの実態を含めて所轄へ確認します。この記事の倍数例は試験計算の説明であり、施設設計や法定手続の判定書ではありません。

第1類の復習を3回に分ける

  1. 1回目は分類:酸化性固体の定義、11品名、第一種〜第三種、指定数量だけを答える。
  2. 2回目は物質:代表物質の色・水溶性・混触危険を、品名ごとの記事とSDSで確認する。
  3. 3回目は安全判断:消火剤や保管条件を一律化した選択肢を見つけ、物質別確認が必要な理由を説明する。

誤答ノートには正答だけでなく、「類別と性状区分を混同」「代表物質を品名全体へ一般化」「SDSの場面を混同」のどれだったかを記録します。同じ原因の誤答が続く場合は、問題数を増やす前に該当する階層へ戻ります。

よくある質問

化学式に酸素が多ければ第1類ですか?

酸素原子の数だけでは決まりません。消防法別表第一の品名と、政令・省令が定める性状試験による判定を確認します。

物質名が分かれば指定数量も決まりますか?

品名だけで第一種・第二種・第三種を固定しません。製品の法令上の性状区分を確認してから50kg・300kg・1,000kgを対応させます。

第1類の火災は水で消せばよいですか?

類別だけでは決められません。物質名と製品SDS第5項、現場の消火設備、消防機関の指示を確認します。水との接触に注意が必要な物質もあります。

家庭で色や反応を確かめてもよいですか?

行いません。酸化性固体と可燃物・還元性物質等の混触、加熱、摩擦は火災・爆発・有害物質へのばく露につながり得ます。法令資料とSDSで確認してください。

判定手順を使う練習問題

問1:商品名に「硝酸」とあれば第1類の硝酸塩類ですか?

商品名の一部だけでは判定できません。硝酸そのものは第6類の品名、硝酸塩類は第1類、硝酸エステル類は第5類です。化学名・組成と消防法上の品名を確認します。

問2:第一種30kgと第二種210kgの指定数量の倍数は?

分類と数量が確認済みという架空条件なら、30÷50+210÷300=0.6+0.7=1.3です。物質名から性状区分を推測してこの式へ入れないでください。

問3:第一種の「一」は消防法別表第一の品名番号1を指しますか?

別の軸です。品名番号1は塩素酸塩類、第一種酸化性固体は法令試験による性状区分です。品名番号と性状区分を対応表の同じ列に書かないようにします。

問4:粉粒状の物品とその他の物品で試験名は同じですか?

同じではありません。酸化力側は粉粒状で燃焼試験、その他で大量燃焼試験を使います。衝撃敏感性側は粉粒状で落球式打撃感度試験、その他で鉄管試験を使う枠組みです。

採点時は正誤だけで終わらせず、問1は「品名」、問2は「指定数量」、問3は「用語の軸」、問4は「法令試験」と誤答原因を分類します。次に解く問題で同じ原因がなくなったかを確認すると、代表物質の暗記と法令の判定が混ざりにくくなります。

根拠を開く順序も固定できます。定義と品名は消防法別表第一、試験の判定と指定数量は危険物の規制に関する政令、試験器具・手順の細目は危険物の試験及び性状に関する省令です。三つを同じ「消防法」とだけ記録せず、法令名と条・別表まで分けておくと、改正確認や誤答の見直しが速くなります。

まとめ

第1類は、消防法別表第一の酸化性固体です。学習するときは、①固体の定義、②11の品名区分、③法令試験、④第一種・第二種・第三種、⑤指定数量の順に整理してください。色、吸湿性、水反応、消火方法は、その後に代表物質と製品SDSで確認します。

次は塩素酸塩・過塩素酸塩・無機過酸化物残り6品名の比較へ進み、最後に第1類ミニテスト10問乙1 4択練習で誤答の原因を分類してください。

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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