乙種第2類(可燃性固体)

第2類危険物(可燃性固体)の共通性質と火災予防・消火をわかりやすく解説

結論から言います

第2類危険物は「可燃性固体」――つまり、火をつけるとよく燃える固体です。

第1類が「自分は燃えないけど他を燃やす酸化剤」だったのに対し、第2類は自分自身が燃える燃料。比較的低い温度で着火し、燃焼速度が速いのが特徴です。粉末状のものは粉じん爆発の危険もあります。

この記事では、乙種第2類(乙2)試験で問われる第2類危険物の共通性質・火災予防・消火方法をまとめて解説します。


第2類危険物の定義

消防法 別表第1では、第2類危険物を次のように定義しています。

消防法 別表第1(第2類)

可燃性固体とは、固体であって、火炎により着火しやすいもの、又は比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体をいう。

ざっくり言うと、「火を近づけるとすぐ燃える固体、または40℃未満で引火する固体」です。

「40℃未満で引火」というのは引火性固体(固形アルコールやゴムのりなど)のことで、第4類(引火性液体)の固体版のようなイメージです。


第2類の共通性質 ― 6つのポイント

① 可燃性の固体で、着火しやすい

第2類はすべて自分自身が燃える物質です。第1類(酸化性固体)が「自分は燃えないけど他を燃やす」だったのとは正反対。比較的低い温度で着火し、いったん燃え始めると燃焼速度が速いのが特徴です。

② 酸化されやすい(還元性がある)

第2類の多くは酸化されやすい還元性物質です。だからこそ、第1類(酸化性固体)や第6類(酸化性液体)のような酸化剤と混ぜると極めて危険。衝撃や摩擦で爆発的に燃焼します。

身近な例でいえば、花火は酸化剤(塩素酸カリウム=第1類)と燃料(硫黄・金属粉=第2類)を混ぜて作られています。あの激しい燃焼は、酸化剤と還元剤の反応そのものです。

③ 微粉状のものは粉じん爆発の危険がある

鉄粉・アルミニウム粉・マグネシウム粉・硫黄粉など、微粉末の状態で空気中に舞い上がると、着火源があれば一気に爆発します。これが「粉じん爆発」です。

粉じん爆発が起こる条件は、可燃性の粉じん + 空気(酸素)+ 着火源が同時にそろうこと。粉末にすると表面積が大幅に増えるため、塊の状態では燃えにくい鉄でも粉末にすると爆発的に燃焼します。

④ 比重は1より大きい(水より重い)

第2類危険物はすべて水より重い固体です。この点は第1類と同じです。

⑤ 水にほとんど溶けない

第2類の物質は基本的に水に溶けません。ただし、水との反応性は物質によって大きく異なるため、消火方法に影響します(後述)。

⑥ 有毒ガスを発生するものがある

硫化りん → 水と反応して硫化水素(H₂S)を発生(腐卵臭の有毒ガス)、燃焼で亜硫酸ガス(SO₂)も発生
硫黄 → 燃焼で亜硫酸ガス(SO₂)を発生(刺激性の有毒ガス)
金属粉・マグネシウム → 水と反応して水素ガス(H₂)を発生(爆発性)


品名と指定数量

第2類危険物の品名と指定数量を整理します。

品名 指定数量
硫化りん 100 kg
赤りん 100 kg
硫黄 100 kg
鉄粉 500 kg
金属粉(第一種可燃性固体) 100 kg
金属粉(第二種可燃性固体) 500 kg
マグネシウム(第一種可燃性固体) 100 kg
マグネシウム(第二種可燃性固体) 500 kg
引火性固体 1,000 kg

💡 金属粉・マグネシウムの区分

金属粉とマグネシウムは、着火試験の結果に応じて第一種可燃性固体(100kg)か第二種可燃性固体(500kg)に分かれます。第一種は3秒以内に着火するもの、第二種は3秒超〜10秒以内のもの。アルミニウム粉や亜鉛粉は一般的に第一種に該当します。

鉄粉は他の金属粉と比べて燃焼しにくいため、品名として個別に500kgと定められています。引火性固体は固形アルコールやゴムのりなど、第4類に近い性質を持つ固体で、指定数量は最も大きい1,000kgです。


火災予防の方法

第2類は「燃えやすい固体」なので、予防のポイントは「火気を近づけない」「酸化剤と混ぜない」「粉じんを飛散させない」の3点です。

共通の予防策

火気・加熱を避ける — 低温で着火するため、火花・静電気・高温にも注意
酸化剤との接触・混合を避ける — 第1類や第6類と混ぜると衝撃で爆発
微粉の飛散を防ぐ — 粉じん爆発防止のため、粉末を舞い上げない。換気を十分に行う
容器を密栓して冷暗所に保管 — 吸湿や異物混入を防ぐ
静電気の防止 — 接地(アース)をとる。特に粉末の移し替え時に注意

金属粉・マグネシウム・鉄粉の追加注意点

水・湿気を避ける — 水と反応して水素ガスを発生させ、着火源があると爆発
酸・アルカリとの接触を避ける — アルミニウム・亜鉛は両性金属で、酸にもアルカリにも反応して水素ガスを出す

硫化りんの追加注意点

水との接触を避ける — 水と反応して有毒な硫化水素(H₂S)を発生


消火方法 ― 物質ごとに「水が使えるかどうか」が変わる!

第2類の消火で最も重要なのは、物質によって水が使えるものと使えないものがあることです。これは試験の超頻出テーマです。

第2類の消火方法まとめ
水が使える
赤りん
(水噴霧・泡OK)
硫黄
(霧状の水OK、棒状放水NG)
引火性固体
(泡・粉末・CO₂)
注水厳禁!
硫化りん
(水でH₂S発生)
鉄粉
(水でH₂発生)
金属粉
(水でH₂発生・爆発)
マグネシウム
(水でH₂発生・爆発)

注水厳禁の物質は乾燥砂で消火

水が使えない物質は、乾燥砂・膨張ひる石(バーミキュライト)・膨張真珠岩(パーライト)で覆って窒息消火します。

金属粉やマグネシウムの火災に水をかけると、水素ガスが発生して爆発的に燃焼し、火勢がさらに強まります。絶対に注水してはいけません。

硫黄は「霧状の水OK、棒状放水NG」

硫黄は消火に水を使えますが、棒状放水(ホースから直接水をぶつける)は禁止です。硫黄の融点は約115℃と低いため、火災時には溶けて液体になっています。棒状放水すると溶けた硫黄が飛び散って火災が拡大してしまいます。霧状の水(水噴霧)で静かに冷却するのが正解です。

すべてに共通して有効な消火方法

乾燥砂はすべての第2類危険物の消火に使えます。迷ったら乾燥砂と覚えておけばOKです。


第2類と他の類との関係

比較 第2類との関係
第1類
(酸化性固体)
第2類は「燃料」、第1類は「酸素の供給源」。混合すると爆発的に燃焼する最悪の組み合わせ。混載禁止
第4類
(引火性液体)
どちらも可燃性だが、固体vs液体の違い。引火性固体は第4類に近い性質を持つ
第6類
(酸化性液体)
第1類と同じく酸化剤。第2類と混合すると発火・爆発の危険

ポイントは、第2類(還元剤・燃料)は酸化剤(第1類・第6類)と混ぜてはいけないということ。これは危険物全体を通じた最重要ルールの1つです。


まとめ

第2類危険物(可燃性固体)の共通性質をおさらいします。

自分自身が燃える可燃性固体。着火しやすく、燃焼速度が速い
酸化剤と混合すると爆発する(第1類・第6類との混合厳禁)
・微粉状のものは粉じん爆発の危険がある
比重は1より大きい(水より重い)、水にほとんど溶けない
・消火は物質によって異なる:赤りん・硫黄は水OK、金属粉・マグネシウム・鉄粉・硫化りんは注水厳禁
乾燥砂はすべてに有効

個別の物質の詳しい性質は、次の記事で解説します。


理解度チェック!

問1 第2類危険物(可燃性固体)の共通する性質として、正しいものはどれか。

(1)自身は不燃性で、他の可燃物の燃焼を促進する
(2)比較的低温で着火しやすく、燃焼速度が速い
(3)すべて液体である
(4)水によく溶ける

解答を見る

正解:(2)
第2類は可燃性固体で、比較的低温で着火しやすく燃焼速度が速いのが特徴です。(1)は第1類(酸化性固体)の性質。(3)第2類は固体です。(4)第2類は水にほとんど溶けません。

問2 第2類危険物の火災予防について、正しいものはどれか。

(1)酸化剤と混合しても問題ない
(2)微粉状のものが空気中に舞い上がると、粉じん爆発の危険がある
(3)金属粉は水・湿気と接触しても安全である
(4)火気を近づけても着火しにくい

解答を見る

正解:(2)
鉄粉・アルミニウム粉・マグネシウム粉・硫黄粉などの微粉状の物質が空気中に飛散すると、着火源があれば粉じん爆発を起こします。(1)酸化剤と混合すると爆発の危険。(3)金属粉は水と反応して水素ガスを発生。(4)第2類は比較的低温で着火しやすい。

問3 第2類危険物の消火方法について、正しいものはどれか。

(1)マグネシウムの火災には大量の水をかけて冷却する
(2)硫黄の火災には棒状放水が最も効果的である
(3)鉄粉の火災には乾燥砂で覆って窒息消火する
(4)すべての第2類危険物に二酸化炭素消火剤が有効である

解答を見る

正解:(3)
鉄粉は水と反応して水素ガスを発生するため注水厳禁。乾燥砂で覆って窒息消火します。(1)マグネシウムも水と反応して水素ガスを出すため注水厳禁。(2)硫黄は棒状放水すると溶けた硫黄が飛散して危険。霧状の水ならOK。(4)金属火災にCO₂は不十分です。

問4(応用) 第2類危険物と第1類危険物の比較として、正しいものはどれか。

(1)第1類も第2類も自身が可燃性である
(2)第2類は酸化性の物質であり、第1類は可燃性の物質である
(3)第2類(可燃性・還元剤)と第1類(酸化性・酸化剤)を混合すると爆発的に燃焼する危険がある
(4)第2類と第1類は性質が似ているため、同じ場所に貯蔵しても問題ない

解答を見る

正解:(3)
第2類は可燃性の還元剤(燃料)、第1類は酸化性の酸化剤(酸素供給源)です。この組み合わせは衝撃・加熱・摩擦で爆発的に燃焼するため、混合・近接貯蔵は厳禁です。花火は第1類と第2類の混合物で作られており、あの激しい燃焼はまさにこの酸化還元反応です。(1)第1類は不燃性。(2)説明が逆。(4)混載禁止です。

関連まとめ: 全6類の横断比較指定数量 総まとめ

第2類の学習をさらに進めたい方は「おすすめ参考書・問題集」もチェックしてみてください。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-乙種第2類(可燃性固体)