乙種第3類(自然発火性・禁水性)

第3類危険物の物質②|水反応生成物・性状区分・SDS確認表

第3類の物質②を「判定」と「生成物」に分けて整理

この記事では、第3類のうち、有機金属化合物、金属の水素化物・りん化物、カルシウムまたはアルミニウムの炭化物、塩素化けい素化合物を扱います。

試験では「水との反応で生じる代表的な気体」が重要ですが、反応式だけで保管・消火方法まで決めることはできません。法令上の品名、性状区分、製品形態、SDSを分けて確認します。

法令上の区分を確認する

第3類の品名はe-Gov法令検索の消防法別表第一、性状試験と指定数量は総務省消防庁の消防法令抜粋で確認できます。第3類は、空気中での発火危険、または水との接触による発火・可燃性ガス発生の性状を示す固体・液体です。

第3類の性状区分を2本の試験から読む

第3類は「自然発火性または禁水性」を示す固体・液体です。すべての物質が空気と水の両方に同じ強さで反応する、という定義ではありません。この記事で扱う品名は、自然発火性試験と水との反応性試験のどちらで、どの結果が出たかを分けて読みます。

性状区分 自然発火性試験の結果 水との反応性試験の結果 指定数量
第一種 試験物品が発火 発生ガスが自然に発火 10kg
第二種 ろ紙を焦がす 発生ガスが近づけた火炎で着火 50kg
第三種 第一種・第二種以外で、第3類の法令上の性状を示すもの。水反応側では、可燃性成分を含むガスが1kgにつき1時間当たり200L以上発生する基準を含む 300kg

根拠は危険物の規制に関する政令 第1条の5・別表第三です。発生ガスが自然発火する結果と、火炎を近づけて着火する結果は同じではありません。また、200Lという数字だけでなく、試験物品1kg・1時間当たりという単位と、ガスが可燃性成分を含む条件まで一組で記録します。

家庭で再現しない:危険物の試験及び性状に関する省令は試料量、温湿度、器具、観察手順を定めています。水を加える、空気中へ落とす、発生ガスへ点火するといった確認は、火災・爆発・中毒・腐食性物質へのばく露につながります。

確認試験記録は「物質名」だけでは足りない

総務省消防庁の第3類確認試験結果報告書には、物品名に加えて、全成分と重量%、固体・液体、固体なら塊状・粒状・粉状、自然発火性試験、水との反応性試験、可燃性ガス発生量を記録する欄があります。これは、同じ代表物質名でも溶液・分散品・混合物を同一視できない理由を具体的に示しています。

学習時も「水素化ナトリウム=水素」だけで終わらせず、①製品状態、②どちらの試験結果か、③第一種〜第三種、④指定数量、⑤SDSの順に記録します。

品名と指定数量を対応させる

代表物質 消防法上の品名 指定数量
ジエチル亜鉛 有機金属化合物(アルキルアルミニウム・アルキルリチウムを除く) 性状により
10kg・50kg・300kg
水素化ナトリウム・水素化リチウム 金属の水素化物
りん化カルシウム 金属のりん化物
炭化カルシウム カルシウムまたはアルミニウムの炭化物
炭化アルミニウム
トリクロロシラン その他のもので政令で定めるもの(塩素化けい素化合物)

この表の物質は、名称だけで一律300kgにはなりません。自然発火性試験と水との反応性試験に基づき、第一種10kg、第二種50kg、第三種300kgのどれに該当するかを確認します。カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウム・黄りんのように、政令別表第三で品名ごとの数量が直接示される物質とは分けて覚えてください。

水との反応で生じる代表的な物質

反応する物質 代表的な生成物 学習上の注意
ジエチル亜鉛 エタン(C2H6 空気・水との反応性は溶媒や濃度も確認
金属水素化物 水素(H2 純物質と鉱油分散品を同じ状態として扱わない
りん化カルシウム りん化水素(ホスフィン、PH3 有毒・可燃性。水を加えて確認しない
炭化カルシウム アセチレン(C2H2 発熱と可燃性ガス発生を組み合わせて確認
炭化アルミニウム メタン(CH4 炭化カルシウムの生成物と区別
トリクロロシラン 塩化水素を含む加水分解生成物 腐食性と可燃性ガス発生の危険も確認

反応式は「生成ガスの識別」に限定して使う

水との反応式は生成物を区別する助けになりますが、反応速度、自然発火の有無、性状区分、消火剤まで式だけで決まりません。代表的な純物質の量論式と、そこから言えないことを分けます。

代表物質 学習用の反応式 区別する生成物 式だけでは決めないこと
ジエチル亜鉛 Zn(C2H5)2 + 2H2O → Zn(OH)2 + 2C2H6 エタン 濃度・溶媒を含む製品の自然発火性
水素化ナトリウム NaH + H2O → NaOH + H2 水素 純物質と鉱油分散品の同一扱い
りん化カルシウム Ca3P2 + 6H2O → 3Ca(OH)2 + 2PH3 ホスフィン 不純物、毒性、自然発火性の程度
炭化カルシウム CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2 アセチレン 発熱・ガス発生速度・製品純度
炭化アルミニウム Al4C3 + 12H2O → 4Al(OH)3 + 3CH4 メタン 炭化カルシウムと同じ対応を使うこと
トリクロロシラン 単一の完結式へ固定しない 加水分解で塩化水素・シラントリオール等を生じ得る 縮合を含む生成物、腐食性、火災時対応

たとえば炭化カルシウムと炭化アルミニウムは、どちらも法令上は「カルシウムまたはアルミニウムの炭化物」ですが、代表的な生成ガスはアセチレンとメタンで異なります。品名が同じ欄にあっても、反応生成物まで同じとは限りません。

物質別SDSで確認するポイント

水素化ナトリウム

厚生労働省の水素化ナトリウムモデルSDSは、水・アルコール・希酸との反応で水素を発生することを示しています。消火剤欄では塩化ナトリウム系の金属火災用粉末などと、使用できない消火剤が区別されています。「第3類は乾燥砂」と一語で済ませず、実際の製品SDSを確認します。

りん化カルシウム

りん化カルシウムのモデルSDSは、水との接触で水酸化カルシウムとホスフィンを生じること、腐食性・急性毒性などの危険を示しています。発生ガスの名称だけでなく、接触・吸入を避ける必要がある物質として整理してください。

炭化カルシウム

炭化カルシウムのモデルSDSでは、水に触れると自然発火のおそれがある可燃性ガスを発生するとされています。古い用途例をまねて、水を滴下したり発生ガスへ点火したりしてはいけません。

トリクロロシラン

トリクロロシランのモデルSDSは、水・湿気による加水分解で塩化水素を生じること、水との接触で自然発火のおそれがある可燃性ガスを発生すること、皮膚腐食性などを示しています。沸点・引火点の暗記だけで安全な容器や温度を決めず、製品指定を優先します。

SDSを8欄の「水反応カード」に転記する

物質ごとの説明を読んだら、次の8欄を一行にまとめます。文章を丸写しせず、法令判定と製品対応を別欄にするのがポイントです。

  1. 製品の特定:製品名、供給者、SDS改訂日
  2. 組成・状態:純物質/混合物、濃度、溶液/分散品/固体
  3. 消防法上の品名:有機金属化合物、金属の水素化物など
  4. 試験軸:自然発火性、水との反応性、または両方
  5. 性状区分:第一種・第二種・第三種
  6. 水反応生成物:水素、ホスフィン、アセチレン、メタン等
  7. SDS第5・7項:火災時の措置、取扱い・保管
  8. SDS第10項:避ける条件、混触危険、分解生成物

空欄が残ったときは、代表物質の記憶で埋めません。実際の製品SDS、供給者の技術資料、確認試験結果へ戻ります。モデルSDSは学習用の確認先であり、製品濃度や安定化剤を反映した供給者SDSの代わりにはなりません。

3つの誤答をカードで防ぐ

  • 生成ガスが分かる→指定数量も分かる:誤り。性状区分は法令試験の結果で確認する。
  • 水と反応する→すべて第一種:誤り。自然発火、火炎で着火、ガス発生量という結果の違いがある。
  • 第3類→乾燥砂:誤り。物質・製品・火災規模・設備により、SDS第5項と施設手順を確認する。

指定数量と消火を一律にしない理由

  • 指定数量は、品名ではなく第一種・第二種・第三種の性状判定で変わる
  • 同じ物質名でも、純物質、溶液、分散品、濃度で危険性と対応が変わる
  • 水との反応生成物が同じでも、使用できる消火剤や容器が同じとは限らない
  • モデルSDSは参考資料であり、実際に扱う製品のSDSと施設手順を優先する

水反応や消火方法を実物で確かめない

第3類の反応は、火災・爆発・可燃性ガス・有毒または腐食性物質へのばく露につながります。実物へ水を加える、においを確かめる、着火する、容器を開けるなどの行為はしないでください。漏えい・火災時は安全確保・避難・119番通報を優先し、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示に従ってください。

確認問題

問1:このページの物質はすべて指定数量300kg?

いいえ。性状判定により第一種10kg、第二種50kg、第三種300kgを確認します。

問2:金属の水素化物が水と反応して生じる代表的な気体は?

水素です。ただし、反応を実物で確かめてはいけません。

問3:りん化カルシウムと水から生じる代表的な気体は?

有毒・可燃性のりん化水素(ホスフィン)です。

問4:炭化カルシウムと炭化アルミニウムの生成ガスは同じ?

異なります。代表的には、炭化カルシウムはアセチレン、炭化アルミニウムはメタンを生じます。

問5:第3類なら消火剤は乾燥砂に固定できる?

固定できません。物質、製品形態、火災規模、SDS、設備の適応表示、施設手順を確認します。

第3類の復習順

  1. 第3類の共通性質で自然発火性・禁水性の定義を確認する
  2. 物質①とこの記事を品名・指定数量・水反応で比較する
  3. 第3類ミニテスト10問で生成ガスと性状区分を解き直す
  4. 乙3 4択練習で誤答した物質だけ読み直す
資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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