消防試験研究センターの令和3〜7年度(2021〜2025年度)を合計すると、危険物取扱者試験の受験者数は延べ1,607,570、合格者数は延べ641,313でした。
5年間で、年度の受験者数は342,492から311,230へ9.1%減り、合格率は43.6%から38.3%へ5.3ポイント下がっています。ただし、この変化だけで試験問題が難しくなったとは判断できません。受験区分、科目免除、欠席、同じ人の複数回受験など、年度集計表だけでは分からない条件があるためです。
この記事では、5年度の公式表から申請者・受験者・合格者を転記し、全体、甲種、乙4、乙4以外の乙種、丙種に分けて再計算します。年度合計を人数のように見せず、試験実施件数の集計として読める範囲と限界を整理します。
5年統計の要点
- 年度の全受験者数は5年間で31,262減少
- 乙4の受験者構成比は68.5%から71.5%へ上昇
- 申請者に対する受験者の比率は90.0%から88.0%へ低下
- 合格率の変化を問題難易度だけで説明することはできない
令和3〜7年度の全体推移
各年度は4月から翌年3月までの確定値です。消防試験研究センターの年度表にある危険物取扱者試験の「合計」を使い、申請者に対する受験者の比率だけを当サイトで追加計算しました。
| 年度 | 申請者 | 受験者 | 合格者 | 公式合格率 | 申請→受験の比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 380,486 | 342,492 | 149,368 | 43.6% | 90.0% |
| 令和4年度 | 359,120 | 321,632 | 127,765 | 39.7% | 89.6% |
| 令和5年度 | 355,508 | 315,915 | 122,942 | 38.9% | 88.9% |
| 令和6年度 | 357,126 | 316,301 | 122,102 | 38.6% | 88.6% |
| 令和7年度 | 353,604 | 311,230 | 119,136 | 38.3% | 88.0% |
令和3年度と令和7年度を比べると、申請者は26,882減(-7.1%)、受験者は31,262減(-9.1%)、合格者は30,232減(-20.2%)です。合格者の減少率が受験者より大きいのは、同時に全体合格率が5.3ポイント下がったためです。
5年度の合計1,607,570は、各年度の公式「受験者」を足した延べ値です。同じ人が別の類や別の年度に受験すれば複数回数えられるため、「160万人の別々の人が受験した」という意味ではありません。
甲種・乙4・乙4以外・丙種を分けて比較
乙種は6類合計だけを見ると、受験者の多い乙4に全体の動きが強く反映されます。そこで、乙種計から乙4を引き、乙1・乙2・乙3・乙5・乙6の合算を「乙4以外」として別に計算しました。
| 年度 | 甲種 | 乙4 | 乙4以外の乙種合算 | 丙種 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 受験者 | 合格率 | 受験者 | 合格率 | 受験者 | 合格率* | 受験者 | 合格率 | |
| R3 | 22,835 | 39.6% | 234,481 | 36.1% | 60,956 | 71.1% | 24,220 | 51.4% |
| R4 | 22,278 | 36.8% | 223,009 | 31.5% | 54,301 | 70.2% | 22,044 | 51.0% |
| R5 | 20,963 | 31.7% | 223,797 | 32.0% | 50,113 | 68.7% | 21,042 | 48.4% |
| R6 | 21,257 | 35.2% | 223,846 | 31.7% | 50,511 | 66.1% | 20,687 | 49.3% |
| R7 | 20,296 | 34.0% | 222,545 | 31.9% | 48,420 | 65.2% | 19,969 | 48.0% |
*乙4以外は、公式表の乙種計から乙4を差し引いた受験者・合格者を使い、合格者÷受験者で当サイトが計算した合算率です。各類の合格率を単純平均した値ではありません。
乙1〜乙6は全類で同じ動きではない
乙種の各類について、5年間の両端だけを比較すると次のようになります。受験者数と合格率はすべて公式表の値、増減は当サイトの計算です。
| 乙種 | R3受験者 | R7受験者 | 受験者の増減 | R3合格率 | R7合格率 | 率の差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 乙1 | 11,168 | 7,931 | -29.0% | 70.5% | 65.7% | -4.8pt |
| 乙2 | 10,385 | 8,840 | -14.9% | 72.3% | 66.0% | -6.3pt |
| 乙3 | 13,056 | 10,275 | -21.3% | 71.0% | 65.1% | -5.9pt |
| 乙4 | 234,481 | 222,545 | -5.1% | 36.1% | 31.9% | -4.2pt |
| 乙5 | 12,977 | 10,972 | -15.5% | 71.0% | 62.1% | -8.9pt |
| 乙6 | 13,370 | 10,402 | -22.2% | 70.7% | 67.6% | -3.1pt |
6類すべてでR7の受験者数と合格率がR3を下回っていますが、下がり幅は同じではありません。乙4の受験者は5.1%減で、ほかの5類より減少率が小さくなっています。これが、危険物試験全体に占める乙4の構成比が上がった一因です。
一方、乙5の合格率差が最も大きいからといって、乙5の問題が最も難化したとは言えません。各類の受験者に科目免除利用者がどの程度含まれるか、問題構成や受験回数がどう違うかは公表されていません。
乙4以外の合算率は、R7なら「乙種計の合格者102,643-乙4合格者71,059=31,584」「乙種計の受験者270,965-乙4受験者222,545=48,420」とし、31,584÷48,420=65.2%で求めました。6類の率を足して6で割る単純平均とは、受験者数の重みが異なります。
乙4の受験者構成比は68.5%から71.5%へ
危険物試験全体に占める乙4受験者の割合は、令和3年度の68.5%から令和7年度の71.5%へ3.0ポイント上がりました。乙4受験者も11,936減っていますが、甲種、乙4以外、丙種を含む全体の減少がそれ以上だったため、構成比は上がっています。
- 甲種受験者: 22,835 → 20,296(-2,539、-11.1%)
- 乙4受験者: 234,481 → 222,545(-11,936、-5.1%)
- 乙4以外の乙種合算: 60,956 → 48,420(-12,536、-20.6%)
- 丙種受験者: 24,220 → 19,969(-4,251、-17.6%)
乙4が全体の中心であることは分かりますが、受験者が多いこと自体は試験の難しさ、就職上の価値、個人の合格可能性を示しません。乙4の試験制度と学習順は乙4の試験概要と乙4ロードマップ、甲種・丙種は甲種の受験資格と試験内容、丙種の試験内容で別々に確認できます。
5年の変化は一直線ではない
令和3年度から令和7年度までの両端を比べると減少していますが、毎年同じ幅で下がったわけではありません。全申請者は令和5年度355,508から令和6年度357,126へ増え、全受験者も315,915から316,301へ増えています。
合格率も区分ごとに上下しています。甲種は31.7%(R5)から35.2%(R6)、34.0%(R7)と動き、乙4は32.0%(R5)、31.7%(R6)、31.9%(R7)です。「5年間で低下」と「毎年低下」は別の説明なので、年度途中の増減を省いて単純な下降線として扱いません。
合格率の低下を「難化」と断定できない4つの理由
1. 受験者の構成が年度ごとに同じとは限らない
公式表は、初回受験か再受験か、学習時間、実務経験、使用教材を分けていません。受験者集団が同じ条件でなければ、合格率の差を問題だけの変化に分解できません。
2. 乙種には科目免除がある
他の乙種免状を持つ人が別の乙種を受験すると、法令と物理・化学が全部免除され、性質・消火10問を35分で受験できます。年度表には免除の有無別の受験者・合格者がないため、乙1〜乙6の率を同条件として比較できません。免除条件は乙種の科目免除で確認してください。
3. 合格率は合格基準ではない
甲種・乙種・丙種は、いずれも科目ごとに60%以上が合格基準です。年度合格率38.3%を自分の目標点にするのではなく、受験する区分の各科目で60%を安定して超えることが必要です。
4. 公式表は問題の同一性を示していない
年度集計から、全会場で同じ問題が使われたか、設問別正答率がどう変わったかは分かりません。消防試験研究センターの公開問題は過去に出題された問題の一部であり、年度の全試験問題を比較する資料ではありません。入手先は公式公開問題の使い方にまとめています。
申請者と受験者の差は何を示すか
申請者に対する受験者の比率は、令和3年度90.0%、令和7年度88.0%でした。逆に見ると、申請者と受験者の差は令和3年度37,994、令和7年度42,374です。
ただし、この差をすべて「当日欠席」とは断定しません。公式集計表には差が生じた理由、申請取消しや振替の扱い、同一人の申請状況が示されていないからです。本記事では、受験者÷申請者を便宜上「申請→受験の比率」と呼び、欠席率とは呼びません。
実際に受験する際は、申請後の決済、受験票の印刷、写真貼付、会場と集合時刻を自分の受験地の案内で確認します。当日の準備は危険物試験の持ち物をチェックリストとして使えます。
5年統計を学習計画へ使う方法
- 受験区分を先に固定する: 全体合格率ではなく、自分が受ける甲種・乙種・丙種の問題数と科目を確認する
- 科目別に採点する: 模擬試験も合計点だけでなく、公式基準どおり科目別60%を確認する
- 率を個人の確率にしない: 過去の集団結果から自分の合否を予測せず、誤答分野を記録する
- 最新年度は背景と一緒に読む: 乙4の令和7年度を詳しく確認するときは乙4合格率31.9%の分析へ進む
当サイトのミニテスト一覧と模擬試験一覧は、公式過去問の転載ではなくオリジナル問題です。年度合格率と競うのではなく、科目ごとの弱点を見つけるために使ってください。
集計方法と出典
- 対象: 令和3年度〜令和7年度の5年度
- 出典: 消防試験研究センター「試験実施状況」の各年度確定表
- 公式値: 申請者、受験者、合格者、合格率
- 当サイト計算: 5年合計、前年差・増減率、申請→受験の比率、乙4構成比、乙4以外の乙種合算率
- 丸め: 割合は小数第1位、増減率も小数第1位
再計算では、各年度ページの最初の「危険物取扱者試験」表だけを使用し、同じページにある消防設備士試験や予防技術検定の値は混ぜていません。また各ページは当年度値と前年度値を併記していますが、年度の重複集計を避けるため、各ページの先頭にある当年度行だけを採用しました。
確認した公式ページは、令和3年度、令和4年度、令和5年度、令和6年度、令和7年度です。
数字からは分からないこと
個人の合格確率、問題の難易度、学習時間、受験回数、科目免除の有無別成績、次年度の合格率は、この5年表だけでは分かりません。
まとめ
令和3〜7年度の危険物取扱者試験は、延べ受験者1,607,570、延べ合格者641,313でした。年度の受験者は5年間で9.1%減り、全体合格率は43.6%から38.3%へ下がりました。
一方、受験者構成や科目免除の内訳は公表されていないため、合格率低下を試験の難化と断定することはできません。統計は自分の合格確率を占うためではなく、受験区分ごとに条件が異なることを確認し、科目別60%という公式基準へ学習を戻すために使います。
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