法令(共通)

指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説

結論から言います

指定数量とは、ひとことで言うと「この量以上の危険物を置くなら、ちゃんと許可を取ってくださいね」という基準ラインのことです。

消防法で物質ごとに決められていて、この数量を超えると市町村長等の許可が必要になります。

ポイント:数値が小さい=少量でも危険=規制が厳しい

たとえばガソリンの指定数量は200L。ドラム缶たった1本分です。これを超える量を保管するなら、許可を受けた施設(=ガソリンスタンドなど)でないとダメ、ということですね。

逆に、比較的おとなしい動植物油類は10,000L。危険度が低いぶん、指定数量は大きく設定されています。

この記事では、指定数量の法律上の根拠、全6類の数値一覧、そして試験で超頻出の倍数計算まで、まるっと解説していきます。

指定数量って何? -- 法律の根拠

まず「指定数量」という言葉がどこから出てくるのか、法律の条文を見てみましょう。

消防法 第9条の4

指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。

つまり、こういうこと:

「指定数量以上の危険物を扱うなら、きちんと許可を受けた施設(製造所・貯蔵所・取扱所)でやりなさい。それ以外の場所に置いちゃダメですよ」ということです。

ただし例外として、消防長や消防署長の承認があれば、10日以内に限って仮に貯蔵・取扱いができます。工事現場で一時的に燃料を保管する場合などがこれにあたります(詳しくは設置許可・完成検査の記事で解説しています)。

なぜ指定数量が必要なの?

理由はシンプルで、「少量なら家庭でも使うけど、大量になると火災・爆発のリスクが跳ね上がるから」です。

灯油のポリタンク1個(18L)なら自宅に置いても問題ありませんよね。でも、これがタンクローリー1台分(数千L)になったら話は別です。万が一漏れたら大惨事になりかねません。

だから「この量を超えたら、専門の施設で管理してね」というボーダーラインが必要なわけです。それが指定数量です。

ちなみに、ガソリンスタンドに許可が必要な理由もここにあります。大量のガソリンや軽油を扱っているので、指定数量をはるかに超えている=消防法の規制対象、ということですね。

消防法における危険物の定義や第1類~第6類の分類については「消防法と危険物の定義をわかりやすく解説!第1~6類の分類も一気に理解」で詳しく解説しています。

第4類の指定数量一覧(乙4受験者は必須!)

乙種第4類を受験する人は、ここの数値を丸暗記してください。試験では「ガソリンの指定数量は?」「灯油は?」と直球で聞かれることがあります。

品名 指定数量 代表的な物質
特殊引火物 50L ジエチルエーテル、二硫化炭素
第1石油類(非水溶性) 200L ガソリン、ベンゼン、トルエン
第1石油類(水溶性) 400L アセトン、ピリジン
アルコール類 400L メタノール、エタノール
第2石油類(非水溶性) 1,000L 灯油、軽油
第2石油類(水溶性) 2,000L 酢酸
第3石油類(非水溶性) 2,000L 重油、クレオソート油
第3石油類(水溶性) 4,000L グリセリン、エチレングリコール
第4石油類 6,000L ギヤー油、シリンダー油
動植物油類 10,000L アマニ油、ヤシ油

覚え方のコツ

数値の並びをそのまま覚えましょう:50 → 200 → 400 → 400 → 1,000 → 2,000 → 2,000 → 4,000 → 6,000 → 10,000

大原則:危険度が高いものほど指定数量は小さい

特殊引火物が50Lと極端に小さいのは、発火点が低く引火しやすい超危険な物質だからです。一方、動植物油類は引火点が高くて比較的おとなしいので、10,000Lまで許容されています。

また、同じ石油類でも「水溶性は非水溶性の2倍」になっている点に注目してください。水溶性の液体は水で薄められるぶん、消火しやすい=リスクが相対的に低い、ということです。

なぜ第4類だけ10段階に分かれるの?

他の類は2〜3段階なのに、第4類だけ10段階もあります。これは第4類の物質間で引火点の差が極端に大きいからです。

特殊引火物のジエチルエーテルは引火点-45℃。冷凍庫の中でも引火する超危険物質です。一方、動植物油類のアマニ油は引火点約220℃以上。普通に扱っている限り引火しません。

同じ「引火性液体」でも危険度にこれだけの差がある(引火点の仕組みは引火点・発火点・燃焼範囲の違いで詳しく解説しています)。だから10段階に分けて、危険なものには小さい指定数量(=厳しい規制)、おとなしいものには大きい指定数量(=緩やかな規制)を設定しているわけです。この考え方を理解しておくと、数値を忘れても「特殊引火物は一番少ないはず」と推測できます。

全6類の指定数量まとめ

第4類だけでなく、甲種受験者や他の乙種を受ける方のために、全6類の指定数量を一覧にまとめます。表が長くなるので、類ごとに分けて掲載しますね。

第1類(酸化性固体)

品名 指定数量
第一種酸化性固体 50kg
第二種酸化性固体 300kg
第三種酸化性固体 1,000kg

第2類(可燃性固体)

品名 指定数量
硫化りん 100kg
赤りん 100kg
硫黄(いおう) 100kg
第一種可燃性固体 100kg
鉄粉 500kg
第二種可燃性固体 500kg
引火性固体 1,000kg

第3類(自然発火性物質・禁水性物質)

品名 指定数量
カリウム 10kg
ナトリウム 10kg
アルキルアルミニウム 10kg
アルキルリチウム 10kg
第一種自然発火性物質及び禁水性物質 10kg
黄りん 20kg
第二種自然発火性物質及び禁水性物質 50kg
第三種自然発火性物質及び禁水性物質 300kg

第4類(引火性液体)

上のセクションで詳しく掲載していますので、そちらをご覧ください。

第5類(自己反応性物質)

品名 指定数量
第一種自己反応性物質 10kg
第二種自己反応性物質 100kg

第6類(酸化性液体)

品名 指定数量
全品名共通 300kg

全類共通の法則:「種別の数字が小さい=危険度が高い=指定数量が小さい」

第1類の「第一種酸化性固体」が50kgで最も厳しく、「第三種酸化性固体」は1,000kgと緩い。第3類も第5類も同じパターンです。この法則を知っておくと、細かい数値を忘れても推測できます。

倍数の計算方法 -- これが試験に出る!

指定数量の数値を覚えたら、次は倍数の計算です。ここは試験で本当によく出ます。計算問題が苦手な人も、やり方さえ覚えれば確実に得点できるので、しっかり押さえましょう。

倍数計算の3ステップ
品名を特定
「ガソリン」→
第1石油類(非水溶性)
指定数量を確認
第1石油類(非水溶性)
200L
割り算で倍数
貯蔵量 ÷ 指定数量
= 400 ÷ 200 = 2.0
複数品名がある場合は、③の結果を全部足す

倍数の基本公式

倍数 = 貯蔵量(取扱量) ÷ 指定数量

この倍数が1以上になると、消防法の規制対象。つまり市町村長等の許可が必要になります。

倍数が1未満(0.何倍)の場合は「少量危険物」と呼ばれ、消防法ではなく市町村の条例で規制されます。許可ではなく届出で済む場合が多いですが、まったく無規制というわけではありません。

指定数量の倍数と規制レベル
倍数 ≥ 1
消防法の規制対象 → 市町村長等の許可が必要
製造所・貯蔵所・取扱所でのみ貯蔵・取扱い可
倍数 < 1
少量危険物 → 市町村の条例で規制
届出が必要な場合あり(地域による)

計算例1:1品名だけの場合

問題:ガソリンを400L貯蔵する場合の倍数は?

ガソリンは第1石油類(非水溶性)なので、指定数量は200L

400L ÷ 200L = 2.0

倍数は2.0。1以上なので、市町村長等の許可が必要です。

計算例2:複数品名の合算(超頻出!)

問題:ガソリン100Lと灯油500Lを同じ場所で貯蔵する場合の倍数は?

複数の危険物を同じ場所で貯蔵する場合は、それぞれの倍数を足し算します。

ガソリン(第1石油類・非水溶性):指定数量 200L
灯油(第2石油類・非水溶性):指定数量 1,000L

100/200 + 500/1,000 = 0.5 + 0.5 = 1.0

合計倍数は1.0。1以上なので、許可が必要です!

注意:1品名では指定数量未満でも、複数品名の合計が1以上になれば許可が必要!

この例だと、ガソリン100Lだけなら倍数0.5で指定数量未満。灯油500Lだけでも倍数0.5で指定数量未満。でも、合わせると1.0になるので許可が必要になります。

試験ではこの「合算パターン」がよく出題されます。「1品名ずつは大丈夫でも、足したらアウトだった」というひっかけに注意してください。

計算例3:3品名の合算

問題:ガソリン60L、灯油400L、重油1,000Lを同じ場所で貯蔵する場合の倍数は?

ガソリン(第1石油類・非水溶性):指定数量 200L
灯油(第2石油類・非水溶性):指定数量 1,000L
重油(第3石油類・非水溶性):指定数量 2,000L

60/200 + 400/1,000 + 1,000/2,000 = 0.3 + 0.4 + 0.5 = 1.2

合計倍数は1.2。1以上なので許可が必要です。3品名とも単独では指定数量未満なのに、合わせると超えてしまう — 試験では「それぞれは大丈夫なのに、足したらアウト」パターンが頻出です。ガソリン・灯油・重油の指定数量(200L・1,000L・2,000L)はセットで丸暗記しておきましょう。

まとめ問題

ここまでの内容が頭に入っているか、4問のクイズでチェックしましょう!

問1

第4類危険物の指定数量について、正しいものはどれか。

(1)ガソリンの指定数量は100Lである
(2)灯油の指定数量は200Lである
(3)特殊引火物の指定数量は50Lである
(4)アルコール類の指定数量は200Lである

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正解:(3)
特殊引火物の指定数量は50Lです。ガソリン(第1石油類・非水溶性)は200L、灯油(第2石油類・非水溶性)は1,000L、アルコール類は400Lです。数値の入れ替えひっかけに注意しましょう。

問2

ガソリン100Lと灯油500Lを同じ場所で貯蔵している場合、指定数量の倍数として正しいものはどれか。

(1)0.5
(2)1.0
(3)1.5
(4)3.0

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正解:(2)
ガソリン100L÷200L=0.5、灯油500L÷1,000L=0.5、合計0.5+0.5=1.0です。それぞれ単独では指定数量未満でも、合算すると1.0以上になる典型的なパターンです。

問3

指定数量の倍数が1以上になった場合に必要な手続きはどれか。

(1)消防署に届出をする
(2)市町村長等の許可を受ける
(3)都道府県知事の認可を受ける
(4)特に手続きは必要ない

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正解:(2)
消防法第9条の4により、指定数量以上の危険物は市町村長等の許可を受けた施設でなければ貯蔵・取扱いができません。「届出」ではなく「許可」であることがポイントです。届出と許可は法律上まったく別物なので、この違いは確実に押さえましょう。

問4

第4類の品名のうち、指定数量が最も大きいものはどれか。

(1)第4石油類
(2)動植物油類
(3)第3石油類(非水溶性)
(4)第3石油類(水溶性)

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正解:(2)
動植物油類の指定数量は10,000Lで、第4類の中で最大です。第4石油類は6,000L、第3石油類(水溶性)は4,000L、第3石油類(非水溶性)は2,000Lです。危険度が比較的低い=引火点が高い物質ほど、指定数量は大きくなります。

問5

ガソリン80L、アセトン200L、灯油300Lを同じ場所で貯蔵する場合の倍数は?

(1)0.7
(2)0.9
(3)1.2
(4)1.9

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正解:(3)1.2
ガソリン=第1石油類(非水溶性)→ 指定数量200L
アセトン=第1石油類(水溶性)→ 指定数量400L
灯油=第2石油類(非水溶性)→ 指定数量1,000L

80÷200 + 200÷400 + 300÷1,000 = 0.4 + 0.5 + 0.3 = 1.2

ガソリンとアセトンはどちらも第1石油類ですが、ガソリンは非水溶性(200L)、アセトンは水溶性(400L)で指定数量が違います。「同じ石油類だから同じ指定数量」と思い込むと間違えるので注意!

指定数量の暗記に

指定数量は数値が多くて丸暗記が大変。暗記カード(単語帳)に書き出して繰り返すのが一番の近道です。
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