乙種第6類(酸化性液体)

過塩素酸・過酸化水素・硝酸・ハロゲン間化合物をわかりやすく解説!第6類危険物の全物質

結論から言います

第6類危険物(酸化性液体)の共通性質と火災予防・消火をわかりやすく解説」で学んだ共通性質をふまえ、今回は第6類の全物質を個別に解説します。試験で狙われるポイントは次の通り。

  • 過塩素酸 — 有機物と接触で自然発火。時間経過で分解・黄変して爆発の危険
  • 過酸化水素 — 濃度36%以上が危険物。密栓禁止(酸素ガス発生)。安定剤を添加
  • 硝酸 — 日光で黄褐色に変色。濃硝酸は鉄・アルミに不動態を作る
  • ハロゲン間化合物水と爆発的に反応して猛毒のフッ化水素を発生。注水禁止

特に硝酸の「不動態」過酸化水素の「密栓禁止」は超頻出。この2つだけでも確実に覚えておきましょう。


第6類の全物質 — 試験で問われるポイント
過塩素酸 HClO₄
最強の酸化力
白煙(発煙性)
有機物→自然発火
経時黄変→爆発危険
過酸化水素 H₂O₂
密栓禁止!
O₂ガス発生
36%以上が危険物
安定剤(リン酸)添加
硝酸 HNO₃
日光で黄褐色変色
濃→不動態(Fe,Al,Ni)
希→金属を溶かす
銅は濃でも溶ける
ハロゲン間化合物
注水禁止!
水→爆発+HF発生
BrF₃/BrF₅/IF₅
乾燥砂・粉末消火

過塩素酸(HClO₄)— 指定数量300kg

項目 性質
化学式 HClO₄
外観 無色の液体(空気中で白煙を出す)
比重 約1.8
水溶性 水と任意の割合で混合(溶解時に発熱)
酸化力 非常に強い

過塩素酸は無機酸の中で最も強い酸化力を持つ物質の一つです。空気中で白煙を出す発煙性があり、強い刺激臭があります。

有機物との接触で自然発火
おがくず、木片、紙、布などの有機物に触れると自然発火します。アルコールなどの有機溶剤と混合すると急激な酸化反応で爆発する危険があります。

経時変化で爆発の危険
時間の経過とともに徐々に分解して黄色く変色します。この分解生成物が触媒となり、さらに分解が加速して爆発的に分解することがあります。定期的に検査し、変色しているものは廃棄する必要があります。

水に溶けるとき激しく発熱するので、水中に滴下するときは注意が必要です。消火は大量の水で希釈冷却します。


過酸化水素(H₂O₂)— 指定数量300kg

項目 性質
化学式 H₂O₂
外観 無色の液体(弱酸性)
比重 約1.5
融点 -0.4℃
沸点 152℃
水溶性 水と任意の割合で混合
危険物該当濃度 36重量%以上

過酸化水素は身近なところだとオキシドール(消毒液)の成分です。ただしオキシドールの濃度は約3%。危険物として規制されるのは濃度36重量%以上のものです。

試験ポイント①:密栓禁止

★ 過酸化水素は密栓してはいけない!

過酸化水素は常温でも徐々に分解して酸素ガスを発生します。
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂↑

密栓すると酸素ガスで内圧が上昇し、容器が破裂する恐れがあります。必ず通気口のある栓を使います。

試験ポイント②:分解を促進するもの

過酸化水素の分解は以下のものによって加速されます。

  • 熱・日光 — 直射日光や加熱で分解が促進
  • 金属イオン — 鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)などの金属イオンが触媒となって分解を促進
  • 有機物 — 有機物と接触すると酸化反応で発火の恐れ

だから保存時は安定剤(リン酸など)を添加して分解を抑制し、冷暗所で保管します。金属容器は分解を促進するため避け、ガラスやポリエチレンの容器を使います。

試験ポイント③:濃度による違い

濃度が高いほど不安定です。濃度50%以上では常温でも分解が進行しやすくなります。

消火は大量の水で希釈冷却します。水で薄めて酸化力を下げるのが基本です。


硝酸(HNO₃)— 指定数量300kg

項目 性質
化学式 HNO₃
外観 無色の液体(光で黄褐色に変色)
比重 約1.5
沸点 86℃(68%硝酸)
水溶性 水と任意の割合で混合

硝酸は工業的にも非常に重要な酸で、火薬・肥料・染料の製造に使われます。純粋な硝酸は無色ですが、日光や加熱で分解して二酸化窒素(NO₂)が発生し、これが溶け込んで黄褐色に変色します。

試験ポイント①:不動態 — 超頻出!

★ 濃硝酸は鉄・アルミニウム・ニッケルに不動態を形成する

濃硝酸に鉄・アルミニウム・ニッケルなどの金属を浸けると、金属の表面に緻密な酸化被膜(不動態が形成されて、それ以上腐食が進まなくなります。これが不動態です。

ただし希硝酸(薄い硝酸)では不動態は形成されず、金属を溶かして腐食します。

不動態のポイントをまとめると:

  • 濃硝酸 → 鉄・アルミニウム・ニッケルに不動態を形成(腐食しない)
  • 希硝酸金属を溶かす(腐食する)
  • → 濃硝酸でも希硝酸でも溶ける(不動態を形成しない)
  • 金・白金 → 硝酸単独では溶けない(王水=濃硝酸1+濃塩酸3の混合液で溶ける)

試験ポイント②:発煙硝酸

濃硝酸に二酸化窒素(NO₂)を加圧して溶かしたもの発煙硝酸です。褐色の液体で、空気中で褐色の窒息性蒸気を発します。普通の硝酸よりさらに酸化力が強いです。

試験ポイント③:有機物との反応

硝酸が有機物(おがくず、紙、布、わらなど)と接触すると自然発火することがあります。これは過塩素酸と同じパターンですね。保管場所に可燃物を置いてはいけません。

消火は大量の水で希釈冷却します。


ハロゲン間化合物 — 指定数量300kg

ハロゲン間化合物は異なるハロゲン元素(フッ素・塩素・臭素・ヨウ素)同士の化合物です。第6類の中で最も特殊な物質群で、水と爆発的に反応するという他の第6類にはない危険性があります。

試験に出る物質は3つです。

三フッ化臭素(BrF₃)

項目 性質
化学式 BrF₃
外観 無色〜灰黄色の発煙液体、刺激臭
比重 約2.8
融点 8.8℃
沸点 約126℃

五フッ化臭素(BrF₅)

項目 性質
化学式 BrF₅
外観 無色の発煙液体
比重 約2.8
融点 -61.3℃
沸点 40.5℃

五フッ化ヨウ素(IF₅)

項目 性質
化学式 IF₅
外観 無色〜淡黄色の液体
比重 約3.2
融点 9.4℃
沸点 100.5℃

ハロゲン間化合物の共通ポイント

★ 水と爆発的に反応する → 注水禁止!

ハロゲン間化合物はすべて水と爆発的に反応して、猛毒のフッ化水素(HF)を発生します。フッ化水素はガラスを溶かすほどの強力な酸で、吸入すると肺を激しく侵します。消火は乾燥砂または粉末消火剤で行います。

  • 有機物との接触でも発火(可燃物に触れると激しく反応)
  • ほとんどの金属を腐食する
  • フッ素原子の数が多いほど反応性が高い(BrF₃ → BrF₅ → より危険)

3つの物質の比較表 — 試験で差がつく!

比較項目 BrF₃ BrF₅ IF₅
融点 8.8℃ -61.3℃ 9.4℃
沸点 126℃ 40.5℃ 100.5℃

ハロゲン間化合物の3つの物質の比較表です。ただし試験では個々の融点・沸点よりも、「全て水と反応する」「注水禁止」「乾燥砂で消火」という共通ルールの方がはるかに重要です。


第6類 全物質の横断比較

第6類 — 覚えるべき「例外」まとめ
密栓禁止
過酸化水素
分解で酸素ガス発生
→ 通気口のある栓を使う
注水禁止
ハロゲン間化合物
水と爆発的に反応
→ 乾燥砂・粉末で消火
不動態を形成
濃硝酸
鉄・Al・Niに酸化被膜
※希硝酸では腐食する

試験で狙われる引っかけ5パターン

❶ 「過酸化水素は密栓して保管する」→ 禁止!

過酸化水素は分解で酸素ガスを発生します。密栓すると内圧上昇で容器破裂。通気口のある栓を使います。「蒸気の発散を防ぐために密栓」は他の第6類には正しいですが、過酸化水素だけは例外です。

❷ 「濃硝酸はすべての金属を溶かす」→ 不動態を作るものがある

濃硝酸は鉄・アルミニウム・ニッケルの表面に不動態(酸化被膜)を形成して、腐食が進みません。「濃い = 強い = 何でも溶かす」は誤りです。むしろ希硝酸の方が金属を溶かしやすいのです。

❸ 「銅にも不動態を形成する」→ 銅は溶ける

不動態を形成するのは鉄・Al・Niだけ。銅は濃硝酸でも希硝酸でも溶けます(不動態を作らない)。「不動態 = 全金属」と覚えると間違えます。また金・白金は硝酸単独では溶けません(王水なら可)。

❹ 「ハロゲン間化合物は水で消火」→ 注水禁止!

第6類の基本は「大量の水で希釈冷却」ですが、ハロゲン間化合物だけは例外。水と爆発的に反応して猛毒のフッ化水素(HF)を発生させます。消火は乾燥砂・粉末消火剤です。

❺ 「過塩素酸は安定した酸である」→ 経時劣化で爆発の危険

過塩素酸は時間とともに分解して黄色く変色し、この分解生成物が触媒となってさらに分解が加速 → 爆発的に分解することがあります。「古くなった過塩素酸は危険」と覚えましょう。

試験直前チェック ✔

✔ 過塩素酸 = 最強の酸化力 / 白煙(発煙性)/ 有機物接触で自然発火
✔ 過塩素酸 = 経時変化で黄変 → 爆発的に分解の危険
✔ 過酸化水素 = 密栓禁止(O₂ガス発生)/ 通気口のある栓
✔ 過酸化水素 = 36%以上が危険物 / 安定剤(リン酸)/ 金属イオンで分解促進
✔ 硝酸 = 日光で黄褐色変色(NO₂溶解)/ 遮光保管
✔ 濃硝酸 → 不動態形成(Fe・Al・Ni)/ 希硝酸 → 金属を溶かす
銅は不動態を作らない(濃でも希でも溶ける)/ 金・白金は王水で溶ける
✔ 発煙硝酸 = 濃硝酸 + NO₂ / 褐色 / さらに強い酸化力
✔ ハロゲン間化合物 = 注水禁止 / 水→爆発+猛毒HF / 乾燥砂・粉末消火
✔ 全品名の指定数量 = 一律300kg

理解度チェック!ミニテスト

問題1 過酸化水素の性質として正しいものはどれか。

(1)危険物に該当するのは濃度10%以上のもの (2)容器は密栓して保存する (3)分解すると酸素ガスを発生する (4)金属イオンは分解を抑制する

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正解:(3)分解すると酸素ガスを発生する
過酸化水素の分解式は 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂↑ です。(1)危険物に該当するのは36重量%以上。(2)分解で酸素を出すので密栓禁止。(4)金属イオン(鉄・銅・マンガン)は分解を「促進」します。

問題2 濃硝酸の性質として誤っているものはどれか。

(1)日光で分解して黄褐色に変色する (2)銅を容易に溶かす (3)鉄やアルミニウムに不動態を形成する (4)希硝酸よりも金属を腐食しやすい

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正解:(4)希硝酸よりも金属を腐食しやすい
濃硝酸は鉄・アルミニウム・ニッケルの表面に不動態(酸化被膜)を形成して腐食が進まなくなります。むしろ希硝酸の方が金属を溶かしやすいのです。これはよくあるひっかけ問題です。ただし銅は濃硝酸でも溶けます。

問題3 三フッ化臭素の消火方法として正しいものはどれか。

(1)大量の水で希釈冷却する (2)泡消火剤を放射する (3)霧状の水を噴射する (4)乾燥砂で覆って消火する

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正解:(4)乾燥砂で覆って消火する
三フッ化臭素は水と爆発的に反応して猛毒のフッ化水素を発生するため、(1)(2)(3)の水系消火剤はすべて使えません。乾燥砂または粉末消火剤で消火します。

問題4 過塩素酸の性質として正しいものはどれか。

(1)黄色い液体で刺激臭はない (2)有機物と接触しても反応しない (3)時間の経過で黄変し、爆発的に分解することがある (4)水と反応すると吸熱して温度が下がる

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正解:(3)時間の経過で黄変し、爆発的に分解することがある
過塩素酸は本来無色の液体((1)は誤り)で、有機物と接触すると自然発火します((2)は誤り)。水に溶けるときは激しく発熱((4)は逆)します。経時変化で分解・黄変し、爆発的に分解する危険があります。

問題5 第6類危険物のうち、水と爆発的に反応するものはどれか。

(1)過塩素酸 (2)過酸化水素 (3)硝酸 (4)五フッ化臭素

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正解:(4)五フッ化臭素
ハロゲン間化合物(三フッ化臭素・五フッ化臭素・五フッ化ヨウ素)は水と爆発的に反応して猛毒のフッ化水素を発生します。(1)過塩素酸・(2)過酸化水素・(3)硝酸は水に溶けますが、爆発的には反応しません。

問題6 次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア.過塩素酸は無色の液体で、空気中で白煙を発する。
イ.過酸化水素の分解は、鉄や銅の金属イオンによって抑制される。
ウ.希硝酸は鉄やアルミニウムの表面に不動態を形成する。
エ.ハロゲン間化合物は水と反応して猛毒のフッ化水素を発生する。
オ.過酸化水素は分解して酸素を発生するため、密栓してはならない。

(1)ア・エ (2)イ・ウ (3)イ・オ (4)ウ・エ

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正解:(2)イ・ウ
ア:正しい。過塩素酸は無色で発煙性があり白煙を出します。
イ:誤り。金属イオン(Fe・Cu・Mn)は分解を促進します(「抑制」ではない)。
ウ:誤り。不動態を形成するのは濃硝酸です。希硝酸は金属を溶かします。
エ:正しい。ハロゲン間化合物は水と爆発的に反応しフッ化水素を発生します。
オ:正しい。過酸化水素は酸素ガス発生のため密栓禁止です。

第6類の物質、しっかり整理できましたか?

不動態・密栓禁止・注水禁止の例外を確実にするには、問題演習が効果的です。おすすめ参考書・問題集はこちらで比較しています。通信講座で効率よく学びたい方はSAT危険物取扱者講座もチェックしてみてください。

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