結論から言います — 甲種の性質20問は「横断力」で決まる
甲種の試験では、性質の科目だけで20問も出ます。しかも乙種のように「第4類だけ」ではなく、第1類〜第6類のすべてから出題されます。
つまり、各類の知識をバラバラに覚えるだけでは足りません。「この物質は何類?」「水が使えるのはどの類?」「可燃性なのはどれ?」といった、類をまたいだ横断的な問題にスパッと答えられるかどうかが合否を分けます。
この記事では、全6類の性質・消火方法を一気に比較・整理して、甲種特有の横断問題に強くなるための知識を身につけていきましょう。最後には「この物質は何類?」判別トレーニングもあるので、ぜひ腕試しに挑戦してみてください!
甲種の性質20問 — 攻略の3つのカギ
甲種の性質は20問。合格ラインは60%なので、12問以上の正解が必要です。出題の特徴を押さえておきましょう。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 出題範囲 | 第1類〜第6類のすべてから出題 |
| 甲種特有の難しさ | 類をまたいだ比較・判別問題が多い |
| 攻略のカギ | ①各類の共通性質を横断整理 ②消火方法の違いを比較 ③紛らわしい物質を区別 |
乙種では「この類の物質はどんな性質?」という縦の知識が問われますが、甲種では「この性質を持つのはどの類?」「この2つの物質の違いは?」という横の知識が問われます。この記事は、その横断力を鍛えるための記事です。
全6類の性質 — ひと目でわかる比較表
まずは全体像をつかみましょう。6つの類を一覧で比較します。
| 類 | 性質名・状態 | 代表的な物質 |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体(不燃性) | 塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過酸化ナトリウム |
| 第2類 | 可燃性固体 | 硫黄(いおう)、赤りん、マグネシウム、鉄粉 |
| 第3類 | 自然発火性物質・禁水性物質 | ナトリウム、カリウム、黄りん、アルキルアルミニウム |
| 第4類 | 引火性液体 | ガソリン、灯油、軽油、アルコール類 |
| 第5類 | 自己反応性物質 | ニトログリセリン、TNT、過酸化ベンゾイル |
| 第6類 | 酸化性液体(不燃性) | 過酸化水素、硝酸、過塩素酸 |
ここで注目してほしいのは、「固体」「液体」の組み合わせと「可燃性」「不燃性」の違いです。この2つの軸で整理すると、類の判別が格段にしやすくなります。
可燃性 vs 不燃性 — 横断整理で一発理解
「この危険物は燃えるの? 燃えないの?」——これは甲種の試験で非常によく出るテーマです。直感に反するものがあるので、しっかり整理しましょう。
可燃性の類(自分自身が燃える)
| 類 | 性質名 | ポイント |
|---|---|---|
| 第2類 | 可燃性固体 | 名前のとおり、燃えやすい固体。火がつきやすく、燃焼速度も速い |
| 第4類 | 引火性液体 | 蒸気に火がつく。ガソリンが代表格 |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 分子内に酸素を含み、自分自身で燃焼・爆発する |
不燃性の類(自分自身は燃えない)
| 類 | 性質名 | ポイント |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体 | 自身は燃えないが、他の物質を酸化して燃焼を助ける |
| 第6類 | 酸化性液体 | 自身は燃えないが、有機物と接触すると発火させる |
第3類は「物質による」
第3類は少しややこしいです。性質名が「自然発火性物質および禁水性物質」と長いことからも分かるように、物質によって性質が異なります。
- 自然発火性のみ:黄りん(空気中で自然発火するが、水とは反応しない → 水中保存)
- 禁水性のみ:りん化カルシウム、炭化カルシウムなど
- 両方の性質あり:ナトリウム、カリウム、アルキルアルミニウムなど(空気でも水でも危ない)
第3類の多くは可燃性ですが、「第3類=可燃性」と一括りにするのではなく、物質ごとに判断する必要があります。これが甲種の試験でよく狙われるポイントです。
消火方法の横断比較 — 水が使える類・使えない類
消火方法は、甲種の横断問題で最も出やすいテーマの1つです。特に「水が使えるかどうか」がカギになります。
水による消火の可否
| 分類 | 該当する類 | 理由 |
|---|---|---|
| 水が有効 | 第1類(多くの物質)、第2類(一部)、第5類 | 冷却消火が効果的。第5類は大量の水で冷却するのが基本 |
| 水は原則NG | 第3類(禁水性物質)、第4類 | 第3類は水と反応して発火・爆発。第4類は水より軽く、水面に広がって火災が拡大 |
| 水は不要(自身は不燃) | 第6類 | 自身は燃えない。周囲の可燃物の消火に合わせた方法を選ぶ |
注水厳禁の物質リスト
以下の物質には絶対に水をかけてはいけません。試験でもよく出るので、必ず覚えておきましょう。
| 類 | 物質 | 水との反応 |
|---|---|---|
| 第1類 | 過酸化ナトリウム(アルカリ金属の過酸化物) | 水と反応して酸素を発生 → 燃焼を助長 |
| 第2類 | マグネシウム、金属粉(アルミニウム粉など) | 高温の金属が水と反応して水素を発生 → 爆発の恐れ |
| 第3類 | ナトリウム、カリウム、アルキルアルミニウム、炭化カルシウムなど | 水と激しく反応し、可燃性ガス(水素など)を発生 → 発火・爆発 |
注意すべきポイントは、第1類にも注水厳禁の物質があるということです。第1類は基本的に水が使えますが、アルカリ金属の過酸化物(過酸化ナトリウムなど)は例外です。このような「原則の中の例外」が甲種では狙われます。
各類の主な消火方法まとめ
| 類 | 主な消火方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 第1類 | 大量の水で冷却消火 | アルカリ金属の過酸化物は注水厳禁 → 乾燥砂 |
| 第2類 | 水・泡・乾燥砂 | 金属粉・マグネシウムは注水厳禁 → 乾燥砂。引火性固体は泡・粉末 |
| 第3類 | 乾燥砂・膨張ひる石 | 禁水性物質は水・泡・強化液すべてNG。黄りんは水中保存だが消火も水 |
| 第4類 | 泡・CO2・粉末消火剤 | 水は原則NG(水溶性液体用泡=耐アルコール泡を使い分け) |
| 第5類 | 大量の水で冷却消火 | 分子内に酸素があるため窒息消火は効かない |
| 第6類 | 自身は不燃 → 周囲の可燃物に合わせる | 流出時は大量の水で希釈。乾燥砂で流出拡大を防止 |
消火方法で特に覚えておきたいのは、「第5類には窒息消火が効かない」という点です。なぜなら、第5類は分子内に酸素を持っているため、空気を遮断しても自分の酸素で燃え続けるからです。だから大量の水で冷却するしかありません。
第1類(大部分)
第2類(一部)
第5類(大量の水)
第3類(禁水性)
第4類(水面拡大)
第1類一部・第2類一部
第3類禁水性物質
金属粉・Mg
アルカリ金属過酸化物
「この物質は何類?」判別トレーニング
ここからは実践です!物質名を見て「何類か」をパッと答えられるか、チャレンジしてみましょう。甲種の試験では、この判別力が直接問われます。
紛らわしい物質の整理 — 甲種の引っかけポイント
甲種の試験では、名前が似ている物質や、「過酸化」「硝酸」など共通のキーワードを持つ物質で引っかけてくる問題がよく出ます。ここで徹底的に整理しておきましょう。
「硝酸」がつく物質
| 物質名 | 類 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 硝酸カリウム | 第1類 | 酸化性の「固体」(硝酸塩類) |
| 硝酸 | 第6類 | 酸化性の「液体」そのもの |
| ニトログリセリン(硝酸エステル類) | 第5類 | 自己反応性物質(分子内に酸素を含む) |
ポイントは「硝酸○○」という塩は第1類、「硝酸」単体は第6類、硝酸から作られたエステル(ニトロ化合物)は第5類という区別です。
「過酸化」がつく物質
| 物質名 | 類 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 過酸化ナトリウム | 第1類 | 無機過酸化物 →「固体」で「酸化性」 |
| 過酸化水素 | 第6類 | 「液体」で「酸化性」 |
| 過酸化ベンゾイル(BPO) | 第5類 | 有機過酸化物 → 自己反応性物質 |
見分け方は簡単です。「過酸化+金属名」=第1類(無機過酸化物)、「過酸化水素」=第6類(液体)、「過酸化+有機物の名前」=第5類(有機過酸化物)です。
「りん」がつく物質
| 物質名 | 類 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 黄りん | 第3類 | 空気中で自然発火 → 水中保存 |
| 赤りん | 第2類 | 可燃性固体 → マッチの側面に使用 |
| りん化カルシウム | 第3類 | 禁水性 → 水と反応してりん化水素(有毒ガス)を発生 |
| 硫化りん | 第2類 | 可燃性固体 → 摩擦・衝撃で発火 |
「黄りん=第3類」と「赤りん=第2類」の区別は、甲種でも乙種でも超頻出です。名前は似ていますが、性質はまったく違います。黄りんは空気中で勝手に発火するから水中保存、赤りんは安定だけど燃えやすいから第2類、と覚えましょう。
試験に出る!引っかけパターン5選
→ 誤り。アルカリ金属の過酸化物(Na₂O₂等)は水と反応して酸素を発生→燃焼を助長。乾燥砂で消火。「原則の中の例外」が狙われる。
→ 誤り。第5類は分子内に酸素を持つため窒息消火が効かない。空気を遮断しても自分の酸素で燃え続ける。大量の水で冷却が基本。
→ 誤り。過酸化水素は液体→第6類(酸化性液体)。「過酸化+金属名=第1類」だが「過酸化水素=第6類」。固体か液体かで判別。
→ 誤り。黄りん=第3類(自然発火性→水中保存)、赤りん=第2類(可燃性固体)。名前は似ているが性質はまったく違う。
→ 誤り。黄りんは自然発火性のみ(禁水性なし)→水中保存する。第3類でも物質ごとに判断が必要。
試験直前チェック
✔ 不燃性(酸化性):第1類(固体) / 第6類(液体) — 他の物質の燃焼を促進
✔ 注水厳禁:第3類禁水性 + 第2類金属粉Mg + 第1類アルカリ金属過酸化物
✔ 窒息消火NG:第5類(分子内に酸素)→ 大量の水で冷却
✔ 過酸化+金属名=第1類 / 過酸化水素=第6類 / 過酸化+有機物=第5類
✔ 硝酸塩類=第1類 / 硝酸=第6類 / 硝酸エステル(ニトロ化合物)=第5類
✔ 黄りん=第3類(水中保存) / 赤りん=第2類(可燃性固体)
✔ 第4類消火:泡・CO₂・粉末 / 水溶性は耐アルコール泡
理解度チェック — 3問で総仕上げ
ここまでの内容が身についているか、3問のクイズで確認しましょう。
(1)第1類と第3類 (2)第1類と第6類 (3)第2類と第5類 (4)第3類と第6類 → 解答を見る
(1)硫黄 (2)ニトロセルロース (3)カリウム (4)過マンガン酸カリウム → 解答を見る
(1)過酸化ナトリウム — 第1類、過酸化ベンゾイル — 第6類、過酸化水素 — 第5類
(2)過酸化ナトリウム — 第1類、過酸化ベンゾイル — 第5類、過酸化水素 — 第6類
(3)過酸化ナトリウム — 第6類、過酸化ベンゾイル — 第5類、過酸化水素 — 第1類
(4)過酸化ナトリウム — 第5類、過酸化ベンゾイル — 第1類、過酸化水素 — 第6類
→ 解答を見る
まとめ — 甲種の性質は「横断力」で攻略
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 可燃性の類:第2類(可燃性固体)・第4類(引火性液体)・第5類(自己反応性)。第3類は物質による
- 不燃性の類:第1類(酸化性固体)・第6類(酸化性液体)。自身は燃えないが他の物質の燃焼を助ける
- 注水厳禁:第3類の禁水性物質、第2類の金属粉・マグネシウム、第1類のアルカリ金属の過酸化物
- 窒息消火が効かない:第5類(分子内に酸素を持つため)→ 大量の水で冷却
- 紛らわしい物質:「硝酸○○」「過酸化○○」「○りん」は、固体か液体か・有機か無機かで判別
甲種の性質20問は範囲が広いですが、この記事で整理した「横断的な知識」があれば、類をまたいだ比較問題にも自信を持って答えられるはずです。各類の詳しい内容は個別の記事で深掘りしていきますので、あわせて学習を進めてみてください!
甲種の性質20問をもっと深く対策したい方へ
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