甲種の物化で「mol」は避けて通れない
甲種の「物理学及び化学」では、乙種にはなかった計算問題が出題されます。その中心にあるのがmol(モル)の概念です。molが分かれば、熱化学も電気分解も芋づる式に理解できます。
物質量(mol)とは?
molは「粒の数をまとめて数える単位」です。鉛筆を12本まとめて"1ダース"と呼ぶのと同じ発想で、原子や分子を6.02×10²³個まとめて"1 mol"と呼びます。
この6.02×10²³という数をアボガドロ定数(NA)といいます。
なぜこんな巨大な数? → 原子や分子は目に見えないほど小さいので、1個2個で扱うと数が天文学的になります。molでまとめることで、実用的なグラム単位と結びつけられます。
molと質量の関係
物質1 molの質量は、その物質の分子量(または原子量)にグラムをつけた値です。
| 物質 | 分子量 | 1 molの質量 |
|---|---|---|
| 水素 H₂ | 2 | 2 g |
| 水 H₂O | 18 | 18 g |
| エタノール C₂H₅OH | 46 | 46 g |
| メタン CH₄ | 16 | 16 g |
公式:mol数 = 質量(g)÷ 分子量(g/mol)
例:水36 gは何mol? → 36 ÷ 18 = 2 mol
molと気体の体積
気体の場合、標準状態(0℃・1気圧)で1 molの気体は22.4 Lの体積を占めます。これは気体の種類に関係なく一定です(理想気体の法則)。
公式:mol数 = 気体の体積(L)÷ 22.4(L/mol)
例:標準状態で44.8 Lのプロパンは何mol? → 44.8 ÷ 22.4 = 2 mol
モル濃度
溶液の濃度を表す方法の一つで、溶液1 Lに溶けている溶質のmol数です。
公式:モル濃度(mol/L)= 溶質のmol数 ÷ 溶液の体積(L)
例:水酸化ナトリウム(NaOH、分子量40)を4 g溶かして500 mLの溶液にした場合
mol数 = 4 ÷ 40 = 0.1 mol
モル濃度 = 0.1 ÷ 0.5 = 0.2 mol/L
化学反応の量的関係
化学反応式の係数の比 = molの比です。これが化学量論の核心です。
例:メタンの完全燃焼
CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O
この式は「メタン1 molが酸素2 molと反応して、二酸化炭素1 molと水2 molが生成する」と読みます。
| 物質 | mol数(=係数) | 質量 |
|---|---|---|
| CH₄ | 1 mol | 16 g |
| O₂ | 2 mol | 64 g |
| CO₂ | 1 mol | 44 g |
| H₂O | 2 mol | 36 g |
計算例:エタノールの燃焼
C₂H₅OH + 3O₂ → 2CO₂ + 3H₂O
問題:エタノール46 gを完全燃焼させたとき、必要な酸素は標準状態で何Lか?
解法:
① エタノールのmol数 = 46 ÷ 46 = 1 mol
② 係数の比より、酸素は3 mol必要
③ 気体の体積 = 3 × 22.4 = 67.2 L
質量パーセント濃度とモル濃度の換算
甲種では2つの濃度の換算問題も出ます。
質量パーセント濃度:溶液の質量に対する溶質の質量の割合(%)
モル濃度:溶液1 Lあたりの溶質のmol数(mol/L)
換算公式:モル濃度 = (質量パーセント × 密度 × 10)÷ 分子量
例:硫酸(H₂SO₄、分子量98)の49%水溶液、密度1.4 g/cm³のモル濃度
= (49 × 1.4 × 10)÷ 98 = 7.0 mol/L
mol計算で間違えやすい5パターン
❶ 「22.4 Lはどんな条件でも成り立つ」→ 標準状態限定!
1 mol = 22.4 Lが成り立つのは標準状態(0℃・1気圧)限定です。「25℃で44.8 Lの気体は何mol?」を22.4で割ると不正解。温度・圧力が標準状態でなければ、気体の状態方程式(PV=nRT)を使います。
❷ 「化学反応式の係数比 = 質量比」→ mol比!
CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O の係数はmol数の比(1:2:1:2)であって、質量の比(16:64:44:36)ではありません。「係数が2だから質量も2倍」は大間違い。必ずmolに変換してから計算します。
❸ 「モル濃度の分母は溶媒の体積」→ 溶液全体の体積!
モル濃度(mol/L)の分母は溶液全体の体積です。「水500 mLに溶かした」ではなく「溶かして500 mLの溶液にした」がポイント。溶質を加えると体積が変わるので、溶媒の体積と溶液の体積は一致しません。
❹ 質量パーセント濃度とモル濃度を混同する
質量パーセント(%)は質量÷質量×100、モル濃度(mol/L)はmol数÷体積。単位が全く違います。換算には「モル濃度 = (%×密度×10)÷分子量」の公式を使います。密度を忘れるミスが非常に多いです。
❺ mL→Lの単位変換を忘れる
モル濃度の分母はL(リットル)。問題文が「500 mL」で来たら0.5 Lに変換してから計算します。mLのまま割ると答えが1000倍ずれます。単位変換ミスは最も多い計算ミスの一つです。
mol計算 公式チェック ✔
✔ mol = 質量(g) ÷ 分子量(g/mol) → 「gをg/molで割ればmolになる」
✔ mol = 気体体積(L) ÷ 22.4(L/mol) → 標準状態(0℃・1気圧)限定!
✔ モル濃度(mol/L) = mol数 ÷ 溶液体積(L) → 溶媒ではなく溶液の体積
✔ 係数比 = mol比(質量比ではない!)
✔ 濃度換算: mol/L = (質量% × 密度 × 10) ÷ 分子量 → 密度を忘れない
理解度チェック
mol計算が苦手…という方へ
甲種の物化は計算問題が多いため、参考書で繰り返し練習するのが近道です。おすすめ参考書・問題集はこちらで比較しています。映像授業で理解を深めたい方はSAT危険物取扱者講座
もおすすめです。
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