貯蔵・取扱いの基準は3段階で確認する
危険物の貯蔵・取扱い基準は、次の3段階に分けると整理しやすくなります。
- 政令第24条 — 製造所等に共通する基準
- 政令第25条 — 第1類〜第6類ごとの基準
- 政令第26条 — 貯蔵するときに追加される基準
「火気を避ける」「1日に1回以上くず・かすを処理する」は第24条、「第1類と可燃物を接触させない」は第25条、「異なる類を同じ貯蔵所に置かない」は第26条です。標識・掲示板は重要ですが、施設ごとの位置・構造・設備基準で定められるため、第24条の共通基準とは分けて覚えます。
現行法令の確認先
指定数量以上の基本ルールは消防法 第10条、共通・類別・貯蔵の基準は危険物の規制に関する政令 第24条〜第26条で確認できます。同時貯蔵等の例外は危険物の規制に関する規則 第38条の4・第39条にあります。
この記事は試験学習向けの概要です。実際の保管・作業では、施設の許可内容、製品SDS、予防規程・作業手順、容器メーカーの指定、所轄消防の指示を優先してください。
指定数量以上は許可施設が前提
消防法第10条第1項は、指定数量以上の危険物について、貯蔵所以外の場所で貯蔵しないこと、また製造所・貯蔵所・取扱所以外の場所で取り扱わないことを定めています。
- ガソリンの指定数量は200L。指定数量以上を保管するなら、許可を受けた貯蔵所等が必要
- 消防長または消防署長の承認を受けた仮貯蔵・仮取扱いは、10日以内の例外
- 指定数量未満でも自由ではなく、消防法第9条の4に基づく市町村条例を確認する
- 製造所等では、許可・届出に係る品名、数量、指定数量の倍数を超えて貯蔵・取扱いしない
指定数量と倍数計算は指定数量の一覧と計算方法、仮貯蔵・仮取扱いは許可・完成検査・仮使用との違いで確認できます。
政令第24条|第1号〜第14号の共通基準
第24条は、危険物の類にかかわらず製造所等で守る共通基準です。条文の順序で確認します。
| 号 | テーマ | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 1 | 品名・数量 | 許可・届出の品名、数量、指定数量の倍数を超えない |
| 2 | 火気 | みだりに火気を使用しない |
| 3 | 立入り | 係員以外をみだりに出入りさせない |
| 4 | 整理・清掃 | 常に整理・清掃し、空箱など不要な物件をみだりに置かない |
| 4の2 | 貯留設備等 | たまった危険物があふれないよう随時くみ上げる |
| 5 | くず・かす | 1日に1回以上、性質に応じて安全な場所で処置する |
| 6 | 遮光・換気 | 危険物の性質に応じて遮光または換気を行う |
| 7 | 計器の監視 | 温度・湿度・圧力を監視し、性質に応じた適正値を保つ |
| 8 | 漏れ等の防止 | 漏れ、あふれ、飛散を防ぐために必要な措置を講じる |
| 9 | 危険性の増大防止 | 変質や異物混入等によって危険性が増さないようにする |
| 10 | 設備等の修理 | 安全な場所で危険物を完全に除去した後に行う |
| 11 | 容器 | 性質に適応し、破損・腐食・裂け目等がない容器を使う |
| 12 | 粗暴な取扱い | 転倒、落下、衝撃、引きずり等をみだりに行わない |
| 13 | 着火源の防止 | 可燃性蒸気・ガス・微粉等のおそれがある場所では電気接続を完全にし、火花を発する器具・工具・履物等を使わない |
| 14 | 保護液 | 保護液中で保存する危険物を保護液から露出させない |
安全上の注意:「みだりに火気を使用しない」ことを、溶接等を自己判断で行えるという意味に読み替えないでください。実作業は施設の工事・火気使用手続、危険物と可燃性蒸気の除去、測定、監視、設備停止、所轄消防との調整など、現場ごとの手順に従います。
政令第25条|第1類〜第6類ごとの基準
第25条は、消防法上の類別に応じて避ける行為を定めています。化学的な理由を一言で決めつけず、まず法令の表現を正確に確認します。
| 類 | 避ける行為 | 追加条件・確認点 |
|---|---|---|
| 第1類 | 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱、衝撃、摩擦 | アルカリ金属の過酸化物とこれを含むものは水との接触も避ける |
| 第2類 | 酸化剤との接触・混合、炎・火花・高温体との接近、過熱 | 鉄粉・金属粉・マグネシウム等は水・酸、引火性固体はみだりな蒸気発生を避ける |
| 第3類 | 自然発火性物品は炎・火花・高温体との接近、過熱、空気との接触 | 禁水性物品は水との接触を避ける。物質によって両方の性状を持つ場合がある |
| 第4類 | 炎・火花・高温体との接近、過熱 | みだりに蒸気を発生させない |
| 第5類 | 炎・火花・高温体との接近、過熱、衝撃、摩擦 | 「すべて分子内酸素で反応する」など一律な理由づけはしない |
| 第6類 | 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱 | 「第1類の液体版」「必ず酸素を放出する」と単純化しない |
第25条第2項には、同条第1項の基準によらないことが通常である場合の例外があります。その場合でも、災害防止のための十分な措置が必要です。したがって、試験学習では「原則となる基準」を覚えつつ、実務へ一律に転用しないことが大切です。
保存方法は危険物の保存・水との反応、類別の違いは第1類〜第6類の横断比較で確認できます。
政令第26条|貯蔵するときの追加基準
第26条では、共通・類別基準に加えて、貯蔵所で守る基準を定めています。特に重要なのが次の3点です。
- 貯蔵所では危険物以外の物品を貯蔵しない。ただし規則第38条の4の例外がある
- 類を異にする危険物を同一の貯蔵所・室で貯蔵しない。ただし規則第39条の例外がある
- 第3類のうち黄りんなど水中に貯蔵する物品と、禁水性物品を同一の貯蔵所で貯蔵しない
異なる類の禁止は、屋内貯蔵所・屋外貯蔵所だけに限定した原則ではありません。政令第26条は同一の貯蔵所での貯蔵を原則禁止し、省令が例外を定めています。
異なる類を同時貯蔵できる例外
規則第39条第1号は、屋内貯蔵所または屋外貯蔵所で、危険物を類ごとに取りまとめ、相互に1m以上の間隔を置く場合について、次の組合せを例外としています。
| 区分 | 組合せ | 条件 |
|---|---|---|
| イ | 第1類 + 第5類 | 第1類からアルカリ金属の過酸化物・含有物を除く |
| ロ | 第1類 + 第6類 | 類ごとにまとめ、相互に1m以上 |
| ハ | 第2類 + 自然発火性物品 | 自然発火性物品は黄りんまたは黄りん含有物に限る |
| ニ | 第2類の引火性固体 + 第4類 | 第2類全体ではなく引火性固体に限る |
| ホ | アルキルアルミニウム等 + 特定の第4類 | 第4類側がアルキルアルミニウムまたはアルキルリチウムを含有 |
| ヘ | 有機過酸化物を含む第4類 + 有機過酸化物を含む第5類 | 両側とも有機過酸化物またはその含有物 |
| ト | 第4類 + 特定物質を含む第5類 | 第5類側が規則に列挙された特定物質またはその含有物 |
このほか、規則第39条第2号には、告示に適合する容器に類を異にする危険物を収納して屋内貯蔵所に貯蔵する例外があります。試験では、単に「性質が似ている類なら同時貯蔵できる」と覚えず、列挙された組合せ・物質条件・1m以上を確認してください。
旧来の覚え方で注意したい点
- 「第1類と第6類」「引火性固体と第4類」だけが例外ではない
- 第1類と第5類には、アルカリ金属の過酸化物を除く条件がある
- 第2類と第3類が広く認められるのではなく、黄りん等に限る組合せがある
- 1m離せば、どの類でも同時貯蔵できるわけではない
危険物以外の物品を置ける例外
危険物以外の物品も原則として同じ貯蔵所に置けませんが、規則第38条の4は例外を定めています。たとえば、危険物に該当しない不燃性物品で、貯蔵する危険物や他の物品と危険な反応を起こさないものは、条件を満たせば対象になります。
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所での例外は、物品をそれぞれ取りまとめ、相互に1m以上の間隔を置くことが基本です。危険物と同じ類の品名欄に掲げる物品を主成分とする非危険物、引火点を有する非危険物、合成樹脂類等、有機過酸化物関連、火薬類関連など、組合せごとに条件が異なります。
「不燃材料なら何でも置ける」「段ボールは少量ならよい」と自己判断せず、規則の該当区分と施設の許可・運用を確認します。
確認問題
問1:危険物のくず・かすは、作業した日だけ処理すればよい?
政令第24条第5号は、1日に1回以上、危険物の性質に応じて安全な場所で処置することを定めています。「週1回」「必要になったとき」ではありません。
問2:危険物が残っているおそれのある設備は、換気と立会いがあれば修理できる?
その説明だけでは足りません。政令第24条第10号は、安全な場所で危険物を完全に除去した後に修理することを定めています。実務では施設の工事手順も従います。
問3:第5類はすべて「分子内に酸素を持つから危険」と説明できる?
一律には説明できません。政令第25条は、炎・火花・高温体との接近、過熱、衝撃、摩擦を避けるという基準を定めています。物質の反応機構は個別に確認します。
問4:異なる類は、1m以上離せば同時貯蔵できる?
できません。原則は禁止で、規則第39条に列挙された組合せ等に限り、類ごとに取りまとめて1m以上の間隔を置く例外があります。
問5:黄りんなど水中に貯蔵する物品と禁水性物品は、どちらも第3類なので同じ貯蔵所に置ける?
置けません。政令第26条第1項第1号の3は、水中に貯蔵する物品と禁水性物品を同一の貯蔵所で貯蔵しないことを定めています。
復習するときの順序
- 政令第24条の共通基準を確認する
- 政令第25条の類別基準を確認する
- 政令第26条の貯蔵所での原則を確認する
- 規則第38条の4・第39条の例外を、物質条件と1m以上の間隔まで確認する
- 運搬・移送・貯蔵の基準ミニテストで制度を見分ける
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