甲種の性質(全類横断)

【甲種】全6類の性質を横断演習|比重・水溶性・色・分類を12問で確認

全6類を「分類」と「物性」に分けて横断する

甲種の「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」は20問です。類をまたぐ問題では、物質名だけを丸暗記するより、消防法上の類別と、比重・水溶性・色などの物理的性質を分けて整理すると判断しやすくなります。

この記事では、比重、水溶性、色、潮解性・吸湿性、昇華と類別の5テーマを比較し、最後に12問で確認します。数値や物性は温度、濃度、製品組成で変わることがあるため、実務では使用製品のSDSを優先してください。

公式情報で確認するポイント

甲種の科目別問題数は消防試験研究センター「試験科目及び問題数」、第1類〜第6類の性状と品名はe-Gov法令検索の消防法 別表第一総務省消防庁「危険物とは?」で確認できます。個別物質の物性・取扱いは、使用製品のSDSと容器表示を確認してください。

テーマ1:第4類の液比重を横断比較する

液比重は、同じ条件で測った水の密度を基準にした値です。1より大きければ水より重く、1より小さければ水より軽いと判断します。ただし、水より重いことと水に溶けることは別の性質です。

第4類には水より軽い液体が多い一方、次のような代表例は液比重が1を超えます。値は常温付近の目安であり、温度・濃度・資料によって差があります。

物質 液比重の目安 水との関係 第4類の品名
二硫化炭素 約1.26 非水溶性 特殊引火物
クロロベンゼン 約1.1 非水溶性 第2石油類
ニトロベンゼン 約1.2 非水溶性 第3石油類
酢酸 約1.05 水溶性 第2石油類
グリセリン 約1.26 水溶性 第3石油類
エチレングリコール 約1.1 水溶性 第3石油類

固体である第1類を「固体だから必ず水より重い」と扱うことはできません。固体か液体か、密度が1より大きいか、水に溶けるかは、それぞれ別の項目として確認します。

テーマ2:第4類の水溶性・非水溶性を判別する

水溶性と非水溶性は、第4類の品名や指定数量を確認するときの重要な区分です。代表例を対にして覚えます。

品名 水溶性の代表例 非水溶性の代表例
特殊引火物 アセトアルデヒド、酸化プロピレン 二硫化炭素、ジエチルエーテル
第1石油類 アセトン、ピリジン ガソリン、ベンゼン、トルエン
第2石油類 酢酸 灯油、軽油、キシレン、クロロベンゼン
第3石油類 グリセリン、エチレングリコール 重油、ニトロベンゼン

「水中に保存する」と「水に溶ける」も同じ意味ではありません。二硫化炭素は水より重い非水溶性液体であり、水との位置関係と溶解性を分けて理解します。実際の保存方法は、指定容器・製品SDS・施設の手順に従ってください。

テーマ3:特徴的な色を類別とセットで覚える

色は物質判別の手掛かりになりますが、純度、濃度、粒径、温度、溶液状態によって見え方が変わる場合があります。試験対策では代表的な色と類別をセットで確認します。

物質 代表的な外観 類別
過マンガン酸カリウム 暗紫色〜赤紫色 第1類
重クロム酸カリウム 橙赤色 第1類
硫黄 黄色 第2類
赤りん 赤褐色 第2類
黄りん 淡黄色〜白色のろう状固体 第3類
硝酸 純品は無色。溶存する窒素酸化物などで黄〜赤褐色を帯びる場合がある 第6類

過マンガン酸カリウムと重クロム酸カリウム、黄りんと赤りんは、色だけでなく類別も対にして確認すると混同を減らせます。

テーマ4:潮解性と吸湿性は物質ごとに確認する

吸湿は空気中の水分を取り込む現象、潮解は吸収した水分によって固体が溶液になるところまで進む現象です。似ていますが同義ではありません。

「ナトリウム塩はすべて潮解する」「カリウム塩は潮解しない」という一律なルールは使えません。同じ陽イオンを含んでも、陰イオン、結晶水、温度、相対湿度などで挙動が変わるためです。

学習上の注意:潮解性・吸湿性は物質名ごとに確認します。実務では、製品SDSの「物理的及び化学的性質」「取扱い及び保管上の注意」を読み、名称の一部だけで保管条件を決めないでください。

テーマ5:昇華性と消防法上の類別を分ける

昇華は、固体が液体を経ずに気体へ移る現象です。ナフタレンは昇華性を示す代表例ですが、常温で固体のナフタレンを第4類・第2石油類とは分類しません。消防法別表第一の第4類は「引火性液体」であり、引火点の数値だけで類別を決めることはできないためです。

「蒸気が発生する」「引火点がある」「燃える」といった性質だけで、第4類と判断しないようにします。法令上の類別は、物品の状態、品名、性状試験、濃度や組成を含めて確認します。

5テーマを比較するときの判定順

確認項目 混同しやすい点 判定方法
類別 名称・引火点だけで決める 消防法別表第一の品名と性状を確認
比重 水溶性と同じだと考える 数値が1より大きいかを確認
水溶性 水中保存と同じだと考える 溶解性を独立して確認
色・外観 純度や濃度の影響を無視する 代表色と条件をセットで確認
潮解・吸湿 Na/Kだけで一律判断する 物質別・製品別のSDSを確認

試験では選択肢がどの項目を問うているかを先に見ます。実務では、この比較表だけで保存・消火・漏えい対応を決めず、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示に従ってください。

演習問題12問――類をまたぐ比較に挑戦

設問が類別、比重、水溶性、外観、取扱いのどれを問うているかを確認してから選びましょう。

Q1:次のうち、水より重い第4類危険物はどれか。(1)ガソリン (2)灯油 (3)軽油 (4)二硫化炭素 (5)ジエチルエーテル → 解答を見る

正解:(4) 二硫化炭素
二硫化炭素の液比重は常温付近で約1.26です。数値は条件で変わりますが、水より重い代表例として確認します。

Q2:第3類で、禁水性を示す代表物質はどれか。(1)赤りん (2)炭化カルシウム (3)アセトン (4)硝酸 (5)硫黄 → 解答を見る

正解:(2) 炭化カルシウム
炭化カルシウムは第3類の「カルシウム又はアルミニウムの炭化物」に含まれ、水と反応してアセチレンを生じます。類別は消防法別表第一で確認します。

Q3:二硫化炭素の比重と水溶性の組合せで正しいものはどれか。(1)水より軽い・水溶性 (2)水より軽い・非水溶性 (3)水より重い・水溶性 (4)水より重い・非水溶性 → 解答を見る

正解:(4)
二硫化炭素は水より重い一方、非水溶性です。比重と溶解性は別の物性です。

Q4:黄りんと赤りんの類別で正しいものはどれか。(1)両方第2類 (2)両方第3類 (3)黄りん第3類・赤りん第2類 (4)黄りん第2類・赤りん第3類 → 解答を見る

正解:(3)
黄りんは第3類、赤りんは第2類です。名称は似ていますが、消防法上の類別が異なります。

Q5:過マンガン酸カリウムの代表的な色はどれか。(1)暗紫色〜赤紫色 (2)橙赤色 (3)黄色 (4)無色 (5)淡黄色 → 解答を見る

正解:(1)
過マンガン酸カリウムは暗紫色〜赤紫色、重クロム酸カリウムは橙赤色として区別します。

Q6:常温の純ナフタレンについて正しいものはどれか。(1)第4類の引火性液体 (2)第2石油類の液体 (3)白色の固体で昇華性を示す (4)第6類の酸化性液体 → 解答を見る

正解:(3)
ナフタレンは常温で固体です。昇華性や引火点があっても、常温の純物質を第4類・第2石油類とは分類しません。

Q7:第1類と第6類に共通する消防法上の性状はどれか。(1)酸化性 (2)引火性液体 (3)可燃性固体 (4)禁水性 (5)自己反応性 → 解答を見る

正解:(1) 酸化性
第1類は酸化性固体、第6類は酸化性液体です。固体・液体の違いも合わせて確認します。

Q8:水溶性の第1石油類の代表例はどれか。(1)ガソリン (2)ベンゼン (3)トルエン (4)アセトン (5)クロロベンゼン → 解答を見る

正解:(4) アセトン
アセトンは水溶性の第1石油類の代表例です。ガソリン、ベンゼン、トルエンは非水溶性です。

Q9:潮解性・吸湿性の確認方法として適切なものはどれか。(1)Na塩はすべて潮解すると覚える (2)K塩はすべて潮解しないと覚える (3)物質別・製品別にSDSを確認する (4)色だけで判断する → 解答を見る

正解:(3)
潮解性・吸湿性は陽イオン名だけで一律判断できません。試験では物質ごとの性質、実務では製品SDSを確認します。

Q10:硝酸の外観について適切な説明はどれか。(1)純品は常に褐色 (2)純品は無色で、窒素酸化物などにより着色する場合がある (3)常に暗紫色 (4)常に橙赤色 → 解答を見る

正解:(2)
純粋な硝酸は無色です。溶存する窒素酸化物などにより黄〜赤褐色を帯びる場合があります。

Q11:第4類の分類と水溶性の組合せで正しいものはどれか。(1)クロロベンゼン=水溶性第2石油類 (2)アセトン=非水溶性第1石油類 (3)グリセリン=水溶性第3石油類 (4)ナフタレン=水溶性第2石油類 → 解答を見る

正解:(3)
グリセリンは水溶性の第3石油類です。クロロベンゼンは非水溶性、アセトンは水溶性で、常温のナフタレンは第4類の引火性液体ではありません。

Q12:実際の危険物の保存・消火・漏えい対応を決めるとき、最も適切なのはどれか。(1)類別だけで一律に決める (2)語呂合わせだけで決める (3)使用製品のSDS・施設手順・消防機関の指示を確認する (4)個人で少量を混ぜて確かめる → 解答を見る

正解:(3)
同じ類でも物質、濃度、状態、設備、規模によって対応が異なります。混合や実演はせず、製品SDSと定められた手順を優先します。

まとめ――類別と物性を混ぜずに確認する

  • 類別:消防法別表第一の品名と性状で確認する
  • 比重:水より重いかと、水に溶けるかを分ける
  • 水溶性:水中保存の有無と同一視しない
  • 色・外観:純度、濃度、状態による違いを意識する
  • 潮解・吸湿:Na/Kの名称だけで一律判断しない
  • ナフタレン:昇華性はあるが、常温の純物質は第4類・第2石油類ではない

12問で迷った項目は、全6類の横断比較と各類の記事へ戻って確認しましょう。実務上の保存・消火・漏えい対応は、必ず使用製品のSDSと施設の手順を優先してください。

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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