三態変化は「向き・熱・条件」の3点で解く
このページは、物質の三態変化と潜熱を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。
先に結論をいうと、固体・液体・気体のどの向きに変化するかを特定し、温度変化に使う熱と状態変化に使う熱を分ければ解けます。ただし、「状態変化中は必ず温度一定」という覚え方には、純物質・一定圧力・平衡に近い変化という条件が必要です。
用語・物性値・試験範囲の確認先
昇華の定義はIUPAC Gold Book、水の相変化データはNIST Chemistry WebBookを参照しています。ドライアイスの白い霧は、USGSの解説も確認できます。
危険物取扱者試験の科目名・問題数は消防試験研究センターの試験科目、出題の確認は公式の過去に出題された問題を参照しました。掲載問題はすべて当サイトで作成したものです。
固体 ⇄ 液体
融解 / 凝固
液体 ⇄ 気体
気化 / 凝縮
固体 ⇄ 気体
昇華 / 凝華(気体から固体)
ミニテスト10問
問1
固体が液体へ変化する現象はどれか。
(1)融解
(2)凝固
(3)凝縮
(4)昇華
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正解:(1)融解
固体から液体への変化が融解、液体から固体への変化が凝固です。向きを矢印で書いてから名称を選ぶと混同しにくくなります。
問2
液体が気体へ変化する現象の総称として、最も適切なものはどれか。
(1)気化
(2)凝縮
(3)凝固
(4)融解
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正解:(1)気化
液体から気体への変化は気化です。蒸発は主に液面から起こり、沸騰は液体内部でも気泡が生じる気化です。「蒸発」と「気化」を同じ範囲の語として扱わないようにします。
問3
一定圧力で純物質をゆっくり加熱し、液体と気体が平衡に近い状態で共存している。加えた熱の主な使われ方として適切なものはどれか。
(1)必ず外へ失われる
(2)すべて温度上昇に使われる
(3)化学結合を切って別物質にする
(4)主に気化を進める
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正解:(4)主に気化を進める
相変化中に加えた熱は、主に分子間の相互作用に関係するエネルギー状態を変えて気化を進めます。化学反応のように別物質をつくる説明ではありません。
問4
加熱曲線の水平部分について、正しい説明はどれか。
(1)純物質を一定圧力で平衡に近く変化させると、転移温度付近で現れる
(2)混合物でも必ず一点の温度で完全に水平になる
(3)圧力が変わっても位置は変わらない
(4)どの物質にも必ず同じ温度で現れる
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正解:(1)純物質を一定圧力で平衡に近く変化させると、転移温度付近で現れる
教科書の水平部分には条件があります。混合物、圧力変化、過熱・過冷却、測定位置や加熱速度などにより、実測の温度は一定にならないことがあります。
問5
融解潜熱を334 kJ/kgとする物質2.0 kgを、融点で全量融解させるのに必要な熱量は何kJか。熱損失は無視する。
(1)167 kJ
(2)334 kJ
(3)668 kJ
(4)1,336 kJ
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正解:(3)668 kJ
潜熱による熱量は Q=mL です。2.0 kg×334 kJ/kg=668 kJとなります。状態変化だけを扱う区間なので、比熱と温度差を掛けません。
問6
水の気化熱を約2.26 MJ/kg(100℃付近)とする。0.50 kgがすべて気化するときに吸収する熱量の概算はどれか。
(1)0.45 MJ
(2)1.13 MJ
(3)2.26 MJ
(4)4.52 MJ
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正解:(2)1.13 MJ
0.50 kg×2.26 MJ/kg=1.13 MJです。これは指定した温度付近の代表値を使った計算です。実際の消火では、水が適切でない危険物もあるため、数値だけから注水可否を判断しません。
問7
ドライアイスを空気中に置いたときの説明として、正しいものはどれか。
(1)融解だけが起こる
(2)白い霧は固体二酸化炭素が燃えた煙である
(3)必ず液体二酸化炭素を経て気体になる
(4)固体二酸化炭素は昇華し、二酸化炭素自体は無色で、見える白い霧は主に冷やされて生じた微小な水滴である
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正解:(4)固体二酸化炭素は昇華し、二酸化炭素自体は無色で、見える白い霧は主に冷やされて生じた微小な水滴である
通常の大気圧ではドライアイスは固体から気体へ直接変化します。見える白い霧を二酸化炭素ガスそのものと説明しないことが重要です。換気の悪い場所では二酸化炭素の滞留にも注意します。
問8
同じ純粋な液体について、外圧を高くしたときの沸点の一般的な変化はどれか。
(1)低くなる
(2)高くなる
(3)必ず0℃になる
(4)圧力とは無関係
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正解:(2)高くなる
沸騰は液体の蒸気圧が外圧とつり合う付近で起こるため、外圧が高いほど一般により高い温度が必要です。沸点は物質固有の一つの数値ではなく、圧力条件と組にして扱います。
問9
氷が水になる変化について、正しいものはどれか。
(1)燃焼反応である
(2)水素と酸素へ分解する化学変化である
(3)物理変化であり、化学組成はH2Oのままである
(4)酸化還元反応である
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正解:(3)物理変化であり、化学組成はH2Oのままである
融解では状態が変わりますが、化学組成は変わりません。「分子間の配置や運動状態が変わること」と「分子内の化学結合が変わること」を区別します。
問10
状態変化の温度について、誤っているものはどれか。
(1)沸点は圧力で変わる
(2)混合物は温度範囲をもって変化することがある
(3)純物質の融点と凝固点は同じ圧力の平衡条件で対応する
(4)純度・圧力・変化速度に関係なく、すべての物質は状態変化中に必ず完全な一定温度となる
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正解:(4)純度・圧力・変化速度に関係なく、すべての物質は状態変化中に必ず完全な一定温度となる
一定温度という教科書モデルには条件があります。試験問題でも、純物質か混合物か、圧力が一定か、どの区間を扱うかを読んでから判断します。
採点後は「顕熱」と「潜熱」を分けて復習する
- 温度を変える区間:Q=mcΔTを使う
- 状態を変える区間:Q=mLを使う
- 複数区間:各区間の熱量を別々に求めて合計する
- 条件:純度、圧力、初期温度、最終状態、熱損失の有無を確認する
冷却効果だけで消火方法を決めない
水は大きな気化熱を持ちますが、すべての危険物火災に適するわけではありません。実火災では安全確保・避難・119番通報を優先し、設置設備の表示、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示に従ってください。
採点後の復習順
- 物質の三態と状態変化で用語を確認する
- 熱量・比熱・潜熱の計算で式を使い分ける
- 消火の基礎で冷却消火とのつながりを確認する
- 密度・比重・気体の法則ミニテストへ進む
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