法令(共通)

製造所等の区分 -3種12施設をわかりやすく完全整理

結論から言います

危険物を扱う施設は、全部で12種類あります。

そしてこの12施設は、大きく3つのグループに分かれます。

  • 製造所(1種類)――危険物を「作る」施設
  • 貯蔵所(7種類)――危険物を「貯める」施設
  • 取扱所(4種類)――危険物を「使う・売る」施設

この3グループ・12施設をまとめて「製造所等(せいぞうしょとう)」と呼びます。消防法の条文にもバッチリ出てくる正式名称です。

身近な例でイメージしよう

ガソリンスタンド = 給油取扱所(取扱所の1つ)
タンクローリー = 移動タンク貯蔵所(貯蔵所の1つ)
化学工場 = 製造所

試験では「この施設はどのグループ?」「貯蔵所は全部でいくつ?」といった問題が出ます。まずは3グループの数(1・7・4)をしっかり押さえましょう。

この記事では、12施設すべてを1つずつ丁寧に解説していきます。紛らわしい施設の見分け方も整理するので、最後まで読めばスッキリ理解できるはずです。

なぜ12種類に分かれている?

「12種類って多くない? もっとシンプルにまとめられないの?」と思うかもしれません。

でも、考えてみてください。ガソリンスタンドと化学工場では、扱い方もリスクもまったく違いますよね。タンクローリーで運ぶのと、倉庫に保管するのでも、必要な安全対策は異なります。

つまり、施設ごとに危険の種類が違うから、それぞれに合った安全基準が必要なんです。だから12種類に細かく分かれているわけですね。

この「製造所等」の根拠となる条文を見てみましょう。

消防法 第10条第1項

指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。

……はい、いきなり読む気が失せますよね。大丈夫です、噛み砕きます。

現代語訳

指定数量以上の危険物は、許可を受けた施設(製造所・貯蔵所・取扱所)でしか扱えません
ただし、消防長または消防署長の承認があれば、10日以内に限って仮に貯蔵・取扱いをすることができます。

ポイントは2つです。

  • 指定数量以上の危険物は、勝手にどこにでも置けるわけじゃない。ちゃんと許可を受けた「製造所等」でのみ扱える
  • 例外として、消防長等の承認があれば10日以内の仮貯蔵・仮取扱いはOK

「指定数量って何?」という方は、指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説で基本を押さえておくと、この先の理解がグッと深まります。

全12施設の一覧

それでは、3グループ・12施設を一覧で見てみましょう。まずはカード形式で全体像をつかんでください。

製造所等 = 3グループ・12施設
製造所(1施設)
(1) 製造所
貯蔵所(7施設)
(2) 屋内貯蔵所
(3) 屋外タンク貯蔵所
(4) 屋内タンク貯蔵所
(5) 地下タンク貯蔵所
(6) 簡易タンク貯蔵所
(7) 移動タンク貯蔵所
(8) 屋外貯蔵所
取扱所(4施設)
(9) 給油取扱所
(10) 販売取扱所
(11) 移送取扱所
(12) 一般取扱所

1 + 7 + 4 = 12。この数字はそのまま試験に出るので、ゴロ合わせでも何でもいいので覚えてしまいましょう。「イナシ(1・7・4)」――「いなし」と覚えるのもアリです。

施設の判定フロー ― 「作る・貯める・使う」で分類
その施設で危険物を…?
作る(製造)

製造所(1施設)
貯める(貯蔵)

貯蔵所(7施設)
使う・売る(取扱い)

取扱所(4施設)

試験では「○○はどのグループに属するか?」という問いが定番です。迷ったときは「作る・貯める・使う」のどれか?で判断すると、正解にたどり着きやすくなります。

各施設をもう少し詳しく

全体像がつかめたところで、1つずつ見ていきましょう。特に試験に出やすい施設には「頻出!」マークを付けています。

製造所(1施設)

施設名 どんな施設?
製造所 危険物を製造する施設。化学工場や石油精製プラントなど。原料を化学反応させて危険物を作り出す場所です。

製造所は1種類だけなので、シンプルですね。「危険物を作る場所=製造所」、これだけ覚えればOKです。

製造所の構造や設備の基準(屋根・壁・床にそれぞれ細かい条件があります)については、製造所の構造・設備基準をわかりやすく解説!屋根が軽い理由・床の傾斜の意味もで詳しく取り上げています。

貯蔵所(7施設)

貯蔵所は7種類もあるので、ここが一番覚えるのが大変です。1つずつ整理していきましょう。

石油コンビナートの屋外タンク群の空撮
石油コンビナートの屋外タンク貯蔵所。大量の石油製品がタンクで貯蔵されている
施設名 特徴
屋内貯蔵所 建物の中で容器に入れて貯蔵する施設。いわゆる「倉庫」のイメージです。
屋外タンク貯蔵所 頻出! 屋外に設置されたタンクで貯蔵する施設。石油備蓄基地の巨大タンクをイメージしてください。防油堤(ぼうゆてい)で囲むなどの基準があります。
屋内タンク貯蔵所 建物の中に設置されたタンクで貯蔵する施設。屋外タンクの「屋内版」です。
地下タンク貯蔵所 頻出! 地下に埋設したタンクで貯蔵する施設。ガソリンスタンドの地面の下にあるタンクがまさにこれです。
簡易タンク貯蔵所 600リットル以下の小さなタンクで貯蔵する施設。同一品質の危険物ごとに1基、最大3基まで設置できます。
移動タンク貯蔵所 頻出! タンクローリーのこと。車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵・取扱いする施設です。「移動」と付いていますが、貯蔵所に分類されるのがポイント!
屋外貯蔵所 屋外の場所で容器に入れて貯蔵する施設。ただし、何でも置けるわけではなく、貯蔵できる危険物は限定されています(後述)。

「屋内」と「屋外」の整理

貯蔵所には「屋内/屋外」の区別が2パターンあります。
容器で貯蔵:屋内貯蔵所 / 屋外貯蔵所
タンクで貯蔵:屋内タンク貯蔵所 / 屋外タンク貯蔵所
「容器かタンクか」と「屋内か屋外か」で4施設。ここに地下タンク・簡易タンク・移動タンクを足して7施設です。

各貯蔵所の詳しい設置基準は以下の記事で個別に解説しています。

取扱所(4施設)

施設名 特徴
給油取扱所 最頻出! ガソリンスタンドのこと。固定給油設備を使って、車両などに直接給油する施設です。法令の試験で最も出題されやすい施設の1つです。
販売取扱所 危険物を容器入りのまま販売する施設。塗料店や溶剤を売るお店がこれにあたります。
第1種販売取扱所:指定数量の15倍以下
第2種販売取扱所:指定数量の15倍超〜40倍以下
移送取扱所 配管(パイプライン)で危険物を送る施設。石油をパイプラインで運ぶような大規模施設です。タンクローリーの「移動タンク貯蔵所」とは全くの別物!
一般取扱所 上の3つ(給油・販売・移送)に当てはまらない取扱所。ボイラーで重油を燃やす施設、部品の洗浄に溶剤を使う工場など、幅広い施設がここに入ります。

一般取扱所は意外と身近!
クリーニング店の溶剤使用、自動車整備工場の洗浄作業、印刷工場のインク取扱い、ボイラー室の重油燃焼――これらはすべて一般取扱所に該当する可能性があります。「給油・販売・移送のどれでもない取扱所」と覚えましょう。

給油取扱所と販売取扱所の設置基準(給油空地の確保、建物の構造制限など)については、給油取扱所・販売取扱所の基準をわかりやすく解説!ガソリンスタンドのルールと試験頻出ポイントで詳しく取り上げています。

紛らわしい施設の見分け方

12施設を覚えると、次に引っかかるのが「似た名前の施設の区別」です。試験でもここを狙って出題されます。1つずつ潰していきましょう。

「移動タンク貯蔵所」と「移送取扱所」の違い

名前に「移」が付いているので混同しやすいですが、まったくの別物です。

移動タンク貯蔵所 移送取扱所
何のこと? タンクローリー パイプライン
グループ 貯蔵所 取扱所

「移動タンク」はタンクローリーで貯蔵所。「移送」はパイプラインで取扱所。ここは本当によく出るので、確実に区別してください。

タンクローリー(移動タンク貯蔵所)
タンクローリー ── 車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵・運搬する「移動タンク貯蔵所」

ガソリンスタンドの「地下タンク」はどっち?

ガソリンスタンドに行くと、給油機の下に巨大なタンクが埋まっていますよね。あれは「地下タンク貯蔵所」です。

じゃあガソリンスタンドは「地下タンク貯蔵所」なの?――いいえ、違います。

ガソリンスタンドの分類

施設全体としては「給油取扱所」です。
その中にある地下タンク部分が「地下タンク貯蔵所」の基準を満たす必要がある、という関係です。
試験で「ガソリンスタンドはどれ?」と聞かれたら、迷わず給油取扱所を選びましょう。

「屋外貯蔵所」は何でも貯蔵できる?

屋外貯蔵所は、名前だけ聞くと「屋外に何でも置ける施設」に見えますが、実は貯蔵できる危険物はかなり限定されています。

屋外貯蔵所で貯蔵できるのは、次の危険物です。

  • 第2類:硫黄(いおう)、引火性固体(引火点0℃以上のもの)
  • 第4類:第1石油類(引火点0℃以上)、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類

つまり、引火点が低すぎるもの(ガソリンや特殊引火物など)や、自然発火の恐れがあるもの(第3類)などは、屋外に容器で置いておくのは危険すぎるので貯蔵できない、ということですね。

「給油取扱所」と「販売取扱所」の違い

どちらも「危険物を売る施設」ですが、売り方が違います。

給油取扱所 販売取扱所
売り方 固定給油設備で直接給油 容器入りのまま販売
具体例 ガソリンスタンド 塗料店、溶剤販売店

ガソリンスタンドのように「ホースで直接注ぐ」のが給油取扱所。塗料店のように「缶や瓶に入ったまま棚に並べて売る」のが販売取扱所です。

この12施設と保安距離・保有空地の関係

12施設を覚えたら、次に押さえるべきは「どの施設に保安距離保有空地が必要か」です。

保安距離が必要な施設(5施設):製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所

「なぜこの5つ?」をざっくり言うと、火災や爆発が起きたとき周囲への影響が大きい施設だからです。地下タンク貯蔵所は地面の下にあるので周囲への影響が小さく、給油取扱所(ガソリンスタンド)は別途独自の安全基準が定められているため、保安距離の対象外になっています。

この「5施設」は試験で繰り返し問われるポイントです。詳しくは保安距離と保有空地 ― どの施設に必要?距離の数値もわかりやすく解説で整理しています。

試験直前チェック ── 製造所等の暗記ポイント
1. 3グループの数 → 1・7・4(イナシ)= 計12施設
2. 7つの貯蔵所 → 容器系2つ(屋内・屋外)+ タンク系5つ(屋外・屋内・地下・簡易・移動)
3. 保安距離が必要 → 5施設(製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク・屋外貯蔵所・一般取扱所)
4. 移動タンク≠移送 → タンクローリー(貯蔵所)vs パイプライン(取扱所
5. ガソリンスタンド = 給油取扱所(地下タンク貯蔵所ではない!)

まとめ問題

ここまでの内容が頭に入っているか、4問のクイズでチェックしてみましょう!

問1

製造所等のうち、貯蔵所に分類される施設の数はいくつか。

(1)4
(2)5
(3)7
(4)12

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正解:(3)7
貯蔵所は7施設です(屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・屋外貯蔵所)。取扱所が4施設、製造所が1施設で、合計12施設になります。

問2

ガソリンスタンドは、製造所等のどれに該当するか。

(1)製造所
(2)屋外タンク貯蔵所
(3)給油取扱所
(4)販売取扱所

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正解:(3)給油取扱所
ガソリンスタンドは「給油取扱所」に該当します。固定給油設備で車両等に直接給油する施設です。販売取扱所は容器入りのまま危険物を販売する施設(塗料店など)なので、間違えないようにしましょう。

問3

タンクローリーが該当する製造所等の施設はどれか。

(1)移送取扱所
(2)移動タンク貯蔵所
(3)屋外タンク貯蔵所
(4)一般取扱所

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正解:(2)移動タンク貯蔵所
タンクローリーは「移動タンク貯蔵所」で、貯蔵所の1つです。「移送取扱所」はパイプラインのことなので混同しないように注意してください。名前に「移動」が付いていますが、取扱所ではなく貯蔵所に分類されます。

問4

危険物を容器入りのまま販売する施設はどれか。

(1)給油取扱所
(2)一般取扱所
(3)販売取扱所
(4)製造所

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正解:(3)販売取扱所
販売取扱所は、塗料や溶剤などの危険物を容器入りのまま販売する施設です。指定数量の15倍以下が第1種、15倍超〜40倍以下が第2種に分かれます。給油取扱所は固定給油設備で車両等に直接給油する施設(ガソリンスタンド)なので、売り方が違います。

問5

次のうち、保安距離の規定が適用される施設の組合せとして正しいものはどれか。

(1)製造所、地下タンク貯蔵所、給油取扱所
(2)屋外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、一般取扱所
(3)製造所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所
(4)屋内貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、販売取扱所

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正解:(3)製造所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所
保安距離が適用されるのは、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所の5施設です。地下タンクは地中に埋設されているため、移動タンクは車両のため、給油取扱所・販売取扱所・簡易タンク貯蔵所にはそれぞれ独自の基準が適用されるため、保安距離の対象外です。施設の区分と保安距離の対象はセットで覚えておきましょう。

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