受験ガイド

危険物の消火方法を全6類で比較|類別だけで決めない確認ポイント

この記事の使い方

危険物第1類〜第6類の消火を、試験で比較しやすいように整理します。ただし、実際の火災で使う消火剤や設備は、類別だけでは決められません。同じ類でも、物質名、濃度、粒度、含水・湿潤状態、混入物、容器、火災規模によって反応が変わるためです。

  1. 消防法上の類と品名を確認する
  2. 自然発火性・禁水性・水溶性など、個別物質の性質を確認する
  3. 問題文に示された消火剤・設備の適応条件を読む
  4. 類全体の傾向と、品名ごとの例外を分けて覚える

公式情報と試験用整理を分ける

危険物の類別・品名はe-Gov法令検索「消防法」別表第一、危険物施設の消火設備基準は「危険物の規制に関する規則」第四章で確認できます。試験の科目・問題数は消防試験研究センター、試験方式は「試験の方法」が公式情報です。

この記事の問題は4択の学習用です。実際の甲種・乙種試験は五肢択一式、丙種は四肢択一式です。

実際の火災では、類を推測して近づかない

火災を発見したら周囲へ知らせ、安全な経路で避難し、119番通報と施設の緊急手順を優先してください。初期消火は、訓練を受け、退路が確保され、設置された消火器・設備の表示で対象火災への適応を確認できる場合に限ります。容器表示やSDSを確認できない物質へ、自己判断で水・砂・消火剤をかけないでください。


消火の4原理

消火剤の名称だけで覚える前に、燃焼を止める仕組みを整理します。一つの消火剤が複数の作用を持つ場合もあるため、「泡=窒息だけ」のように一対一で固定しないことが大切です。

原理 確認すること 学習上の例
冷却 燃焼物や周囲の温度を下げる 水・水噴霧による熱の除去
窒息 燃焼に必要な酸素濃度を下げる、液面を覆う 泡・不活性ガスなど
除去 可燃物の供給を安全に止める 設備手順に従った供給停止
抑制 燃焼の連鎖反応を抑える 適応が確認された粉末消火剤など

試験では4原理を区別しますが、実設備の選定は、防護対象物、危険物の性状・数量、施設構造に応じた法令基準と設計条件で判断します。


全6類を比較するときの確認軸

法令上の性状 消火を考える前の確認点
第1類 酸化性固体 品名、水との反応、分解条件、混在する可燃物
第2類 可燃性固体 金属・非金属、粉じん・塊、禁水性、引火性固体
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質 自然発火性・禁水性の一方か両方か、保護液、反応生成物
第4類 引火性液体 水溶性、液比重、蒸気、流出範囲、泡消火薬剤の適応
第5類 自己反応性物質 分解温度、衝撃・摩擦感度、濃度、安定剤、湿潤状態
第6類 酸化性液体 濃度、温度、水・有機物・金属との反応、接触した可燃物

この表は「使う消火剤」を直接決める表ではありません。まず、問題文やSDSで追加確認すべき条件を見つけるための表です。


第1類〜第6類の学習ポイント

第1類(酸化性固体)

第1類は酸化性固体で、一般に可燃物の燃焼を助けます。試験では水による冷却を基本例として扱うことがありますが、アルカリ金属の過酸化物など、水との反応を個別に確認すべき品名があります。

  • 「第1類はすべて自ら酸素を放出する」と一律化しない
  • 水の可否は品名・製品条件を確認する
  • 窒息作用だけで十分かは、燃焼している物質と反応を見て判断する

第2類(可燃性固体)

第2類には、硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体など性質の異なる品名があります。粉末か塊か、金属か非金属かでも燃え方と水反応性が変わります。

  • 「金属なら必ず水素発生」「非金属なら必ず水が使える」と二分しない
  • 粒度・形状・純度を確認する
  • 乾燥砂も、対象物質と設備手順を確認せず万能扱いしない

第3類(自然発火性物質・禁水性物質)

第3類は、自然発火性または禁水性の一方、あるいは両方の性質を持つ物質です。第3類だからすべて水が使えない、すべて二酸化炭素と反応する、という整理はできません。

  • ナトリウムなど禁水性物質と、試験上水中保存で整理する黄りんを区別する
  • 空気・水との反応生成物を品名別に確認する
  • 保護液や消火材を自己判断で変更しない

第4類(引火性液体)

第4類では、流出した燃焼液を棒状注水で広げる危険、可燃性蒸気の滞留、再着火に注意します。ただし、霧状水・泡・粉末・不活性ガスの適応は、火災規模、物質、水溶性、設備によって異なります。

  • 水溶性液体には、対象物質への適応が確認された泡消火薬剤が必要
  • 「普通泡」「耐アルコール泡」という名称だけでなく、製品・設備の表示を確認する
  • 二酸化炭素は閉鎖空間で人への窒息危険もあるため、自己判断で使用しない

第5類(自己反応性物質)

第5類は自己反応性物質です。有機過酸化物や硝酸エステル類だけでなく、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体、金属のアジ化物などを含みます。したがって「第5類はすべて分子内に酸素を持つ」という説明は成り立ちません。

  • 冷却が重要になる例はあるが、「大量の水だけが唯一」と一律化しない
  • 濃度、安定剤、湿潤・希釈状態、容器温度を確認する
  • 分解が進んだ物質には近づかず、施設の緊急計画と消防機関の指示を優先する

第6類(酸化性液体)

第6類は酸化性液体で、法令上の性状は不燃性ですが、他の可燃物の燃焼を促進することがあります。水で希釈・冷却できる例だけを覚えず、濃度・温度・混入物による反応の違いを確認します。

  • 燃えている可燃物と、漏えいした酸化性液体を分けて考える
  • 水や有機物との反応を物質・濃度別に確認する
  • 乾燥砂を含め、吸収材・封じ込め材は適合性が確認されたものを使う

○×表だけで覚えないための5つの注意

  1. 類と品名を分ける:同じ類でも反応性は同じではない
  2. 水の形だけで決めない:棒状・霧状という違いに加え、対象物質と設備の適応を見る
  3. 消火原理を一つに固定しない:一つの消火剤が冷却と窒息など複数の作用を持つことがある
  4. 消火と漏えい処理を混同しない:乾燥砂・吸収材の使用目的は状況で異なる
  5. 試験知識を現場手順に直結させない:実火災は設備表示、SDS、施設計画、消防機関の指示を優先する

確認問題

以下は4択の学習用問題です。答えだけでなく、他の選択肢が一律化しすぎていないか説明してみてください。

問題1

危険物の消火方法を確認する考え方として、最も適切なものはどれか。

(1)消防法上の類が分かれば、使用できる消火剤を一つに決められる。

(2)第3類はすべて禁水性なので、水の使用可否を品名別に確認する必要はない。

(3)類別に加え、物質名・製品形態・SDS・設備の適応表示を確認する。

(4)乾燥砂は全6類に共通する万能な消火剤である。

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正解:(3)。類別は最初の分類ですが、個別物質の反応性や設備条件までは決まりません。(1)(2)(4)は類全体または一つの消火材へ過度に一般化しています。

問題2

第5類危険物について、正しいものはどれか。

(1)すべて分子内に酸素を含む。

(2)すべての品名で窒息消火は無効である。

(3)大量の水だけが、すべての製品形態で唯一使える。

(4)分解条件や安定剤・湿潤状態などを品名・製品ごとに確認する。

解答を見る

正解:(4)。第5類には酸素を含まない品名区分もあり、濃度や製品形態も異なります。「すべて」「唯一」と一律化せず、問題文の条件と製品SDSを確認します。

問題3

第3類危険物の説明として、正しいものはどれか。

(1)すべて自然発火性と禁水性の両方を持つ。

(2)自然発火性または禁水性の一方、あるいは両方を持つ。

(3)すべて水中に保存する。

(4)すべて二酸化炭素と反応する。

解答を見る

正解:(2)。法令上の性状名は「自然発火性物質及び禁水性物質」ですが、個別物質は一方だけの性質を持つ場合もあります。

問題4

危険物火災を発見したときの行動として、最も適切なものはどれか。

(1)物質の類を確かめるため、容器の近くまで行く。

(2)まず水を少量かけ、反応を見て消火剤を決める。

(3)周囲へ知らせ、安全に避難し、119番通報と施設の緊急手順を優先する。

(4)煙が少なければ、表示のない消火器でも使用する。

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正解:(3)。物質が不明なまま近づいたり、試しに水や消火剤をかけたりすると危険です。初期消火は訓練、退路、設備の適応が確認できる場合に限ります。


復習の進め方

  1. 消火の4原理で冷却・窒息・除去・抑制を説明できるようにする
  2. 全6類の横断比較で法令上の性状と品名を確認する
  3. 消火方法の使い分けミニテストを解き、一律表現を見つける
  4. 誤答した類の個別記事へ戻り、物質名・状態・例外を確認する
  5. 最後に模擬試験一覧から受験区分を選び、科目別に採点する
資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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