受験ガイド

危険物試験の計算問題の解き方|問題文から式を選ぶ7欄手順

計算問題で止まる原因は、公式を知らないことより、問題文のどの条件を式へ移すか決められないことです。指定数量、蒸気比重、熱量、mol、ヘス、ファラデーは式が違いますが、解く順番は共通化できます。

この記事の役割:6分野の公式をもう一度詳しく教える記事ではありません。「求める量 → 条件 → 単位 → 式 → 検算」の順で、問題文から使う関係式を選ぶ横断手順を作ります。各分野の理論と追加例題は対応する基礎記事へ分けます。

実試験の科目とサイト内演習を分ける

消防試験研究センターの試験科目及び問題数では、甲種は法令15問・物理学及び化学10問・性質消火20問、乙種は15問・10問・10問、丙種は法令10問・燃焼及び消火の基礎5問・性質消火10問です。計算だけの独立科目があるわけではありません。

公式の試験方法は、甲種・乙種が五肢択一、丙種が四肢択一で、各科目60%以上を合格基準としています。当サイトの4択演習は学習用であり、実試験の選択肢数と同じとは限りません。

また、公式の過去に出題された問題は、習得すべき知識・技能の目安として過去問題の一部を公開したものです。公開例にない計算が今後出ない、または本記事の6種類だけで全範囲を覆う、とは判断しません。

最初の60秒で埋める7欄計算カード

書く内容 見落としやすい点
1 求める量 倍数、比、J、mol、kJ/mol、gなど 名称だけでなく答えの単位まで書く
2 与えられた値 数値と単位を対で抜く 使わない値が混ざる場合がある
3 条件 標準状態、相変化なし、電流効率など 条件が式の適用範囲を決める
4 単位変換 kg↔g、kJ↔J、min↔s 代入後に直すと桁を落としやすい
5 関係式 文字のまま一行で書く 数値を先に並べない
6 代入 単位付きで代入する 係数、価数、温度差を確認
7 検算 単位、符号、桁、範囲 選択肢と合うだけで終わらせない

このカードの中心は3欄目の「条件」です。たとえば熱量でも、温度だけが変わるならQ=mcΔTを検討しますが、融解や沸騰が入れば潜熱の区間を分けます。同じ見た目の数値でも、条件が違えば式も変わります。

問題文の合図から6つの入口を選ぶ

問題文の合図 最初に置く関係 適用前の確認
複数の危険物・指定数量 倍数=Σ(数量÷指定数量) 品名、性状区分、水溶性、同一場所
気体の空気に対する重さ 蒸気比重≈モル質量÷空気の平均モル質量 同温・同圧の近似、問題指定の29等
質量・比熱・温度差 Q=mcΔT 相変化・反応なし、比熱の単位
質量・化学式・係数比 n=m/M → 反応係数比 モル質量、反応式、気体条件
複数の反応式・ΔH 反応式を加減し、ΔHも同じ操作 向き、係数、状態記号
電流・時間・析出量 Qe=It → ne=Qe/F → m=Mne/z 秒、電子数z、電流効率

ここでQは熱量にも電気量にも使われるため、本記事では電気量をQeと書き分けました。問題文の記号は、その問題の定義を優先します。

入口1:指定数量は「割ってから足す」

消防法第10条の指定数量以上を判断するとき、異なる危険物のリットル数を先に足してはいけません。分母となる指定数量が品名・性状区分ごとに違うためです。

ガソリン100Lと灯油500Lなら、非水溶性第一石油類の指定数量200L、非水溶性第二石油類の1,000Lを使い、100÷200+500÷1,000=1.0倍です。検算では、各項0.5と0.5を別々に残します。1.0は「以上」に含まれます。

品名別の分母と全類の計算は指定数量と倍数計算で確認します。本記事では、合算前に各分母を書く手順だけを横断ルールとして使います。

入口2:蒸気比重は液体の比重と混ぜない

問題が「空気に対する蒸気の重さ」を尋ね、同じ温度・圧力の理想気体近似を使うなら、モル質量を空気の平均モル質量で割ります。問題が29を与えた場合、アセトンC3H6Oのモル質量58なら58÷29=2.0です。

答えは比なので単位を持ちません。液体の密度や水に対する比重を使っていないか、最後に確認します。密度、蒸気比重、ボイル・シャルルの区別は密度・比重と気体の法則へ戻ります。

入口3:熱量は状態変化の有無を先に見る

200g、比熱0.45J/(g・K)の物体を25℃から125℃へ上げる架空例では、相変化がなく比熱一定とします。ΔT=100Kなので、Q=200×0.45×100=9,000Jです。gとKが消えてJが残ることを検算します。

途中で融解・沸騰するなら、この一式だけでは解けません。温度が変わる区間と状態が変わる区間に分けます。計算例は比熱・熱量Q=mcΔT、潜熱は物質の三態・加熱曲線で確認します。

入口4:molは「g→mol→係数比→答え」の一方通行

化学反応の量を求めるときは、質量を直接係数比へ入れません。まずn=m/Mでmolに直し、つり合った反応式の係数比を使い、最後に求める単位へ戻します。

プロパン44gを完全燃焼させる架空例では、C3H8のモル質量を44g/molとすると1molです。C3H8+5O2→3CO2+4H2OよりCO2は3mol。気体体積を求めるなら、問題が示す温度・圧力とモル体積を使います。「1molは常に22.4L」と条件を外して固定しません。

物質量、モル濃度、質量パーセント濃度まで含む手順はmol計算と化学量論で復習します。

入口5:ヘスは反応式への操作をΔHへ写す

ヘスの法則では、求めたい反応式を先に書きます。与えられた式を逆向きにしたらΔHの符号を反転し、係数を2倍にしたらΔHも2倍にします。式を足したときに中間物質が消え、出発物質と生成物、状態記号が目標式と一致するかを確認します。

C(黒鉛)+O2→CO2が−394kJ、CO+1/2O2→CO2が−283kJなら、前者から後者を引いてC+1/2O2→COを作り、ΔH=−394−(−283)=−111kJです。理論と別の計算例は熱化学方程式とヘスの法則へ分けます。

入口6:ファラデーは時間を秒へ直してから始める

電流Iと時間tから電気量Qe=Itを求め、電子の物質量ne=Qe/F、目的物質の物質量ne/zへ進みます。zは1molの物質の反応に必要な電子のmol数です。

2Aを4,825秒、F=96,500C/mol、Cu2++2e−→Cu、Cu=64g/molという架空条件なら、Qe=9,650C=0.1F、電子0.1mol、銅0.05mol、質量3.2gです。電流効率が与えられた場合は、その条件も反映します。電極反応と追加例題は電池と電気分解で確認します。

誤答を「計算ミス」でまとめない

誤答の型 見つけ方 直し方
分類ミス 指定数量の分母が違う 品名・性状区分・水溶性へ戻る
条件ミス 相変化、標準状態、効率を無視 7欄カードの3欄目を書き直す
単位ミス J/kJ、g/kg、min/sが混在 代入前に単位の組をそろえる
係数ミス 質量比を係数比として使う いったんmolへ直す
符号ミス ヘスで式を逆にしても符号が同じ 反応式の横に操作を書く
桁ミス 答えの単位・概算が不自然 有効数字より先に10の位を確認

間違えた問題には「単位ミス」だけでなく、分類・条件・係数・符号・桁のどれかを一つ記録します。同じ問題を解き直したとき、答えだけでなく7欄カードを再現できれば、別の数値にも手順を移せます。

本番前の90秒チェック

  1. 求める量と単位に下線を引いたか。
  2. 与えられた数値へ単位を書き添えたか。
  3. 相変化、温度・圧力、効率、同一場所などの条件を拾ったか。
  4. 文字式を書いてから数値を代入したか。
  5. 係数・価数・温度差をそのまま落としていないか。
  6. 単位が目的の単位へ消えたか。
  7. 符号・桁・答えの範囲が不自然でないか。

式を計算する前の判定練習6問

次の架空問題では、数値を最後まで計算せず、最初に選ぶ関係と追加条件だけを判定します。公式を見た瞬間に代入する癖を止めるための練習です。

  1. ガソリンと灯油の数量が並ぶ:各数量を対応する指定数量で割ってから合計します。水溶性区分と、同一場所での貯蔵・取扱いかを確認します。
  2. エタノール蒸気が空気の何倍かを問う:モル質量の比を検討します。同温・同圧の近似か、空気の平均モル質量として何を使うかを問題文から拾います。
  3. 氷を−10℃から水20℃まで加熱する:Q=mcΔT一つでは終わりません。氷を温める区間、融解の区間、水を温める区間へ分け、与えられた比熱と融解熱を使います。
  4. エタノールの質量から燃焼に必要な酸素量を問う:質量をmolへ直し、つり合った反応式の係数比を使います。酸素の答えが質量か体積かで最後の変換を決めます。
  5. 3本の反応式から目的反応のΔHを問う:目的反応を先に書き、各式の向きと係数を合わせます。途中で消える物質と状態記号を確認します。
  6. 電流と分数、金属イオンの価数が示される:分を秒へ直してQe=Itへ進みます。電子数zと電流効率の指定を確認してから析出質量を求めます。

選択肢は検算に使い、式の根拠にはしない

択一式では、桁や符号から明らかに合わない選択肢を外すことは有効です。ただし、「近い数字を作れたから正しい」では、単位変換と適用条件の誤りを見逃します。先に7欄カードで式を決め、最後に選択肢を検算へ使います。

たとえば200g×0.45J/(g・K)×100Kなら、200×0.5×100を概算して約10,000Jと見積もれます。厳密値9,000Jがこの桁にあることは確認できますが、相変化がある問題へ同じ式を使ってよい根拠にはなりません。概算は計算過程の桁を点検する道具です。

復習記録は答えではなく原因を残す

誤答ノートには、問題全文や正解番号を写すより、①選んだ入口、②見落とした条件、③誤った単位、④正しい一行目、⑤翌日に再現できたか、の5点を残します。たとえば「熱量・相変化を見落とし・Q=mcΔTだけを使用・区間分割から再開」と書けば、次の問題にも修正方法を移せます。

同じ分野を3問続けて誤った場合は、計算速度ではなく前提知識へ戻ります。指定数量なら品名分類、蒸気比重ならモル質量、熱なら状態変化、molなら反応式、ヘスなら状態記号、ファラデーなら酸化還元と電極反応を復習します。

10問で横断確認する場合は危険物の計算問題ミニテストを使い、誤答した分野だけ基礎記事へ戻ります。乙4の学習順は乙4学習ロードマップで確認してください。

まとめ

6分野を横断する共通手順は、求める量、与えられた値、条件、単位変換、関係式、代入、検算の7欄です。指定数量は割ってから合計し、蒸気比重は液体比重と分け、熱量は相変化、molは係数比、ヘスは向きと符号、ファラデーは秒と電子数を確認します。公式を増やす前に「この式を使える条件」を一行で書くことが、計算を再現できる形にします。

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

運営者情報と、記事を公開するまでの確認手順を見る →

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-受験ガイド