乙種第4類(引火性液体)

第1石油類とは?指定数量・水溶性・代表物質を一覧比較

第1石油類は、消防法上の第4類危険物の一つです。アセトン、ガソリンと、1気圧で引火点が21℃未満の引火性液体が定義の中心です。指定数量は非水溶性液体200L、水溶性液体400Lです。

先に結論:「引火点が21℃未満」だけで判定を終えません。特殊引火物に当たらないかを確認し、次に第1石油類、水溶性・非水溶性の順で見ます。実際の製品は混合物や濃度差があるため、製品名だけでなく最新版SDS第9項と第15項を確認します。

第1石油類の定義と指定数量

消防法別表第一は、第1石油類としてアセトン、ガソリンを名称で掲げ、その他は1気圧で引火点21℃未満のものとしています。21℃は含まれません。引火点21℃の液体を、数字だけで第1石油類へ入れないことが最初の境界です。

確認項目 法令上の基準 読み違い
品名 第4類・第1石油類 「第1類危険物」とは別
引火点 1気圧で21℃未満 21℃は含まない
非水溶性 指定数量200L 密度・比重とは別
水溶性 指定数量400L 少し溶けるだけでは決めない

指定数量は危険物の規制に関する政令別表第三に定められています。たとえば、非水溶性の第1石油類100Lは100÷200=0.5倍、水溶性100Lは100÷400=0.25倍です。複数の危険物を同じ場所で扱う場合は、品名・性状ごとに数量を指定数量で割って合計します。計算方法は指定数量と倍数計算で確認できます。

水溶性は「水に少し溶けるか」では決めない

政令別表第三の備考では、水溶性液体を20℃・1気圧で同容量の純水と緩やかに混ぜ、流動が収まった後も均一な外観を保つものとしています。それ以外が非水溶性液体です。日常語の「水に溶ける」と、消防法上の判定は同じとは限りません。

この違いがよく分かるのが酢酸エチルです。厚生労働省モデルSDSには水への溶解度の掲載値がありますが、適用法令欄は第1石油類・非水溶性液体です。「わずかに溶けるから水溶性」と読み替えず、法令上の区分まで確認します。

実務での確認順:SDS第1項で製品名、第3項で組成、第9項で引火点・溶解度、第15項で消防法上の品名と水溶性区分を確認します。別製品の数値を継ぎ合わせず、同じ版のSDS内でそろえます。

第1石油類の代表物質一覧

次の引火点は、消防庁資料または厚生労働省モデルSDSの掲載例です。純物質の学習値と、組成が変わる市販製品の値を同じ固定値として扱わないでください。

代表例 法令上の性状・指定数量 引火点の掲載例
ガソリン 非水溶性・200L −40℃以下(消防庁資料)
ベンゼン 非水溶性・200L −11℃(密閉式)
トルエン 非水溶性・200L 4.4℃(密閉式)
酢酸エチル 非水溶性・200L −4℃(密閉式)
n-ヘキサン 非水溶性・200L −22℃(密閉式)の例
アセトン 水溶性・400L −20℃(密閉式)
ピリジン 水溶性・400L 20℃(密閉式)

ピリジンの20℃は21℃未満なので第1石油類です。一方、引火点がちょうど21℃なら「21℃未満」ではありません。境界問題では、数値だけでなく「未満・以上」を書いて判定します。

n-ヘキサンとアセトンが特殊引火物ではない理由

特殊引火物は、発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下などの条件で判定します。引火点が−20℃以下という一つの数字だけでは決まりません。

n-ヘキサンのモデルSDSは、引火点−22℃、沸点約69℃、自然発火点225℃等の掲載例を示し、適用法令欄を第1石油類・非水溶性としています。アセトンのモデルSDSも、引火点−20℃、沸点56℃、自然発火温度465℃の掲載例で、適用法令欄は第1石油類・水溶性です。

つまり、判定は特殊引火物の組合せ条件→第1石油類→水溶性区分の順です。「引火点が低いからすべて特殊引火物」とはしません。詳しい境界は特殊引火物の判定で確認してください。

ガソリンは混合物なので値を一つに固定しない

ガソリンは複数成分からなる製品です。消防庁は、ガソリン蒸気の引火点を−40℃以下とし、蒸気は空気より重く低い場所を伝って広がると注意喚起しています。液面から離れた場所の火花や静電気でも、可燃性蒸気へ引火するおそれがあります。

一方、沸点範囲、密度、蒸気圧、燃焼範囲は製品・季節・試験条件で変わり得ます。「ガソリンは必ず沸点40〜220℃」「蒸気比重は必ず3〜4」のように固定せず、対象製品のSDSを確認します。実物へ火を近づけたり、色や臭いで識別したりしないでください。

消火剤は水溶性・非水溶性だけで一律に決めない

学習上は、水溶性液体には耐アルコール性泡を使う、と整理することがあります。しかし、実際のSDS第5項を見ると、物質ごとに粉末、二酸化炭素、泡、耐アルコール泡、細噴霧水などの記載が異なります。たとえば酢酸エチルのモデルSDSは、非水溶性区分でもアルコール耐性泡を適切な消火剤の一つに挙げています。

したがって「非水溶性なら普通泡だけ」「水溶性なら水で薄めればよい」と決めません。製品SDS、設備仕様、火災規模、消防機関の指示を優先します。実火災では記事を見ながら消火を試みず、退避・119番通報・施設の緊急手順に従ってください。第4類全体の整理は第4類危険物の消火方法で確認できます。

4問で分類手順を確認する

問1:引火点がちょうど21℃の液体は、引火点だけを見て第1石油類と判定できるでしょうか。

できません。第1石油類の基準は21℃未満なので、21℃は含みません。物品全体の法令区分を確認します。

問2:酢酸エチルは水に一定量溶けるため、消防法上も水溶性液体でしょうか。

非水溶性液体です。消防法上の水溶性は、20℃で同容量の純水と混ぜた後も均一な外観を保つかで判定します。

問3:n-ヘキサンは引火点−22℃の掲載例があるため、必ず特殊引火物でしょうか。

違います。特殊引火物は引火点だけでなく沸点または発火点との組合せで判定します。モデルSDSの適用法令欄は第1石油類・非水溶性です。

問4:第1石油類100Lを扱うとき、非水溶性と水溶性で指定数量の倍数は同じでしょうか。

違います。非水溶性は100÷200=0.5倍、水溶性は100÷400=0.25倍です。

まとめ

  • 第1石油類はアセトン、ガソリンと、1気圧で引火点21℃未満の引火性液体が中心
  • 指定数量は非水溶性200L、水溶性400L
  • 水溶性は20℃で同容量の純水と混ぜた後の外観で判定する
  • n-ヘキサンやアセトンは引火点だけで特殊引火物にしない
  • 混合製品の物性値と消火剤は、対象製品の最新版SDSで確認する

次の復習先

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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