乙種第4類(引火性液体)

第3石油類とは?指定数量・A重油・代表物質を一覧比較

第3石油類は、消防法上の第4類危険物の一つです。重油、クレオソート油と、1気圧で引火点が70℃以上200℃未満の引火性液体が定義の中心で、指定数量は非水溶性液体2,000L、水溶性液体4,000Lです。

先に結論:「引火点70℃以上200℃未満」だけで全製品を機械的に分類しません。消防法は重油とクレオソート油を名称で掲げています。A重油・C重油の引火点、密度、自然発火点は製品ごとに幅があるため、試験では法令上の品名、実務では対象製品の最新版SDSを確認します。

第3石油類の定義と指定数量

消防法別表第一の備考は、第3石油類を「重油、クレオソート油その他一気圧において引火点が70度以上200度未満のもの」としています。法文は、名称が明記された重油・クレオソート油と、引火点で判定する「その他」の液体を続けた構造です。

確認項目 法令上の整理 読み違い
品名 重油、クレオソート油、その他の該当液体 引火点の数字だけで名称列を消さない
引火点範囲 「その他」は70℃以上200℃未満 発火点・沸点と混同しない
非水溶性 指定数量2,000L 少し溶けるかだけで決めない
水溶性 指定数量4,000L 液体比重とは別の区分

指定数量は危険物の規制に関する政令別表第三で確認できます。たとえば非水溶性の第3石油類1,000Lなら1,000÷2,000=0.5倍、水溶性800Lなら800÷4,000=0.2倍です。同じ場所で扱うなら、品名・性状ごとに割った後で合計します。詳しい計算は指定数量と倍数計算で確認してください。

A重油の引火点が60℃でも第3石油類になる理由

検索で最も混乱しやすいのが、法令の70℃という境界とA重油の製品値です。ENEOS「A重油一般品」SDSは、引火点を60〜120℃(PM)、自然発火点を約240℃、密度を0.82〜0.90g/cm3(15℃)としながら、適用法令欄では消防法 危険物第4類第3石油類としています。

これは矛盾ではありません。消防法の文は「引火点70℃以上200℃未満の液体だけ」を第3石油類とする書き方ではなく、先に重油を名称で掲げ、その後に「その他」の引火点範囲を続けています。したがって、A重油を引火点60℃という一つの値だけで第2石油類へ移しません。

実務での確認順:商品名だけで終えず、対象製品のSDS第1項で製品名、第9項で引火点・密度・溶解度、第15項で消防法上の区分を同じ版のSDS内で確認します。別製品の数値を継ぎ合わせません。

A重油とC重油は固定値で比べない

ENEOS石油便覧は、重油の引火点を一般に60〜150℃の範囲とし、高粘度の重油を加熱使用するときは、引火点以上に高くする場合の保安に注意を求めています。A・B・Cという通称は粘度等の製品規格と関係しますが、消防法上の第一〜第四石油類をその文字だけで決める表ではありません。

製品SDSの例 引火点 自然発火点 密度(15℃) 消防法
A重油一般品 60〜120℃(PM) 約240℃ 0.82〜0.90g/cm3 第3石油類
LSC重油 70〜230℃(PM) 約250℃ 0.87〜1.00g/cm3 第3石油類

この2製品だけでも、引火点と密度は一つの固定値ではありません。「A重油は60℃、C重油は70℃」「重油は必ず水より軽い」と無条件に暗記せず、問題文または製品SDSの条件を読みます。LSC重油の密度上限は1.00g/cm3であり、C重油全体を0.82〜0.95とすることもできません。

引火点と自然発火点は別

  • 引火点:所定の試験条件で、点火源を近づけたときに蒸気が引火する最低温度。
  • 自然発火点:外部の火炎・火花を直接与えなくても、加熱により発火する温度の指標。

重油の検索では「引火点 発火点」が一緒に調べられていますが、同じ温度ではありません。上のA重油SDSの例では引火点60〜120℃、自然発火点約240℃です。詳しい用語の境界は引火点・発火点・燃焼範囲で整理できます。

代表物質は測定条件と水との関係を分ける

次の値は代表物質を比べるためのモデルSDS等の掲載例です。第3石油類に属する全製品の固定値ではなく、濃度・組成・試験方法によって変わります。

代表例 引火点の掲載例 密度・水との関係 確認点
ニトロベンゼン 88℃(密閉式) 相対密度1.2037、水2.09g/L(25℃) 経皮・吸入有害性も確認
アニリン 70℃・76℃(密閉式)の掲載例 密度1.02g/cm3、水34〜36g/L 空気・光で茶色へ変化
エチレングリコール 111℃(密閉式) 相対密度1.1、水と混和 誤飲・ばく露を避ける
グリセリン 純度・製品SDSで確認 水溶性の代表として学ぶ 化粧品等の希釈製品と純物質を分ける

密度が1より大きいことと、水に溶けることは別の性質です。ニトロベンゼンもアニリンも水より重い一方、水への溶け方は同じではありません。また、消防法上の「水溶性液体」は指定数量を決める区分なので、日常語の「少し溶ける」だけで判定せず、対象製品のSDS第15項も確認します。

グリセリンは水溶性の第3石油類の代表として学びますが、化粧品や食品などの希釈製品を、その名称だけで純グリセリンと同じ消防法区分へ読み替えません。身近な製品を燃やす・加熱する・味や臭いで識別するといった確認は行わないでください。

ボイルオーバーとスロップオーバーの違い

消防庁の石油コンビナート防災資料は、原油のほか重油や軽油でもボイルオーバーの事故例があるとし、高沸点液体の長時間火災では発生可能性を考慮するよう示しています。現象は次のように分けます。

現象 水分の位置・入り方 起きること
ボイルオーバー 長時間火災の高温層がタンク底部の水分へ達する 水が急激に沸騰し、大量の燃焼油を噴出・飛散させる
スロップオーバー 放水・降雨・泡消火等の水分が高温の油面近くへ入る 水分が気化し、油が泡状になって溢流する

「ボイルオーバーは重油で必ず起こる」「スロップオーバーは水をかけた瞬間に必ず起こる」という意味ではありません。油種、粘性、沸点範囲、水分、火災時間、タンク条件を伴う大規模災害の現象です。実火災では記事を使って消火を試みず、退避・119番通報・施設の緊急手順を優先します。

消火剤は「第3石油類だから一律」にしない

A重油・LSC重油のSDSは、霧状の強化液、粉末、二酸化炭素、泡を適切な消火剤として挙げ、棒状水は火災を拡大し危険な場合があるとしています。一方、エチレングリコールのモデルSDSは耐アルコール性泡、粉末、二酸化炭素、砂、噴霧水を挙げています。

したがって、「非水溶性なら普通泡、水溶性なら耐アルコール泡」という学習上の入口だけで実火災の消火剤を決めません。火災規模、設備、製品、泡の適合性をSDS第5項と施設手順で確認します。第4類全体の選び方は第4類危険物の消火方法で整理できます。

4問で境界を確認する

問1:A重油のSDSに引火点60℃が含まれていたら、必ず第2石油類でしょうか。

いいえ。消防法は重油を第3石油類の名称として掲げています。対象製品のSDS第15項も確認します。

問2:引火点と自然発火点は同じ温度でしょうか。

違います。引火点は点火源を与える試験、自然発火点は外部の火炎・火花を直接与えない加熱発火の指標です。

問3:第3石油類は重油以外すべて水より重い、と覚えてよいでしょうか。

全物質へ一般化できません。密度は製品・温度で変わります。問題文または対象SDSの値を使います。

問4:第3石油類の指定数量はすべて2,000Lでしょうか。

いいえ。非水溶性液体は2,000L、水溶性液体は4,000Lです。

まとめ

  • 第3石油類は重油・クレオソート油と、引火点70℃以上200℃未満の「その他」の液体が中心
  • 指定数量は非水溶性2,000L、水溶性4,000L
  • A重油は引火点60〜120℃の製品例でも、SDS上は第3石油類
  • 引火点・自然発火点・密度・水への溶解度は別々の性質
  • 重油や代表物質の数値・消火剤は、対象製品の最新版SDSで確認する

次の復習先

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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