法令(共通)

タンク貯蔵所の基準をわかりやすく解説!屋外・屋内・地下・簡易タンクの違いと防油堤

結論:タンク貯蔵所は4種類、違いを押さえれば得点源になる

タンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設を「タンク貯蔵所」と呼びますが、実はこれ、4種類あります。

  • 屋外タンク貯蔵所 ── 屋外にドーンと置く大型タンク
  • 屋内タンク貯蔵所 ── 建物の中(タンク専用室)に設置
  • 地下タンク貯蔵所 ── 地面の下に埋めるタンク(ガソリンスタンドでおなじみ)
  • 簡易タンク貯蔵所 ── 600L以下の小さなタンク

試験では「この4種類の違い」を問う問題がめちゃくちゃ出ます。特に防油堤(ぼうゆてい)の容量地下タンクの漏れ検知簡易タンクの容量制限は定番中の定番です。

この記事では4つのタンク貯蔵所をひとつずつ噛み砕いて解説し、最後に比較表でスッキリ整理します。製造所等の区分 — 3種12施設をわかりやすく完全整理でタンク貯蔵所の全体像をまだ見ていない方は、先にそちらをチェックしてみてください。

タンク貯蔵所4種 ― 設置場所のイメージ
屋外タンク
屋外に大型タンク
防油堤で囲む
保安距離あり
屋内タンク
建物内の専用室
40倍以下
ためます設置
地下タンク
地面の下に埋設
漏れ検知装置
通気管4m以上
簡易タンク
屋外に小型タンク
600L以下×3基
保有空地1m

1. 屋外タンク貯蔵所(政令 第11条)

名前のとおり、屋外にタンクを設置して危険物を貯蔵する施設です。石油コンビナートや製油所にある巨大な円筒形タンクをイメージしてください。あの大きなタンクがまさに屋外タンク貯蔵所です。

屋外タンク貯蔵所と防油堤の全景
屋外タンク貯蔵所 — タンクの周囲に防油堤(コンクリート製の堤防)が設けられている

屋外タンク貯蔵所の主な基準

屋外タンクは規模が大きく、万が一の事故で大量の危険物が漏れ出すリスクがあります。そのため保安距離・保有空地が必要です。保安距離・保有空地が必要な施設は全部で5つありますが、屋外タンク貯蔵所はそのうちの1つ。詳しくは保安距離と保有空地 — どの施設に必要?距離の数値もわかりやすく解説を参照してください。

  • タンクの構造:鋼板などで造り、水張試験(水圧試験)に合格すること。「本当に漏れないか?」を水で確認するわけですね
  • 通気管:直径30mm以上。先端は雨水が入らない構造にする(タンク内部に水が混入すると危険物の品質が変わったり、事故の原因になります)

超重要!防油堤(ぼうゆてい)

屋外タンク貯蔵所で最も試験に出るのが「防油堤」です。

防油堤とは、タンクの周囲にぐるっと築く堤防のこと。万が一タンクから危険物が漏れたとき、外にダラダラ流れ出ないように「ここで食い止める」ための壁です。

防油堤の数値(超頻出!)

  • 容量:タンク容量の110%以上(タンクが2基以上ある場合は、最大のタンクの容量の110%以上)
  • 高さ:0.5m以上
  • 材質:鉄筋コンクリートまたは土
  • 防油堤内の面積:80,000m²以下
  • 水抜口を設ける(雨水がたまるため排水が必要)

なぜ「110%以上」なのか? タンクの中身が全部漏れても、防油堤の中に余裕を持って収まるようにするためです。100%ちょうどだと、ギリギリすぎてあふれる危険がありますよね。だから10%の余裕を持たせて「110%以上」と定められています。

2基以上タンクがある場合は、一番大きなタンクの容量を基準にします。「全部のタンクの合計」ではないので注意してください。一番デカいやつが全部漏れたケースに対応できればOK、という考え方です。

2. 屋内タンク貯蔵所(政令 第12条)

建物の中に設けた専用の部屋(タンク専用室)にタンクを設置して貯蔵する施設です。

屋外タンクとの大きな違いは、容量に上限があること。建物の中にあるので、大量に貯蔵すると火災時に建物ごと大惨事になりかねません。そこで容量が制限されています。

屋内タンク貯蔵所の主な基準

  • タンク容量指定数量の40倍以下(ただし第4類の第4石油類・動植物油類は20,000L以下
  • タンク専用室の構造:壁・柱・床は耐火構造、はり・屋根は不燃材料
  • :危険物が浸透しない構造傾斜をつけて+ためますを設ける

「ためます」というのは、床にくぼみ(溝)を作って、漏れた危険物がそこに集まるようにした構造のこと。傾斜で流れてきた液体をキャッチするわけです。

条文の現代語訳

タンク専用室は「燃えにくい部屋」にしなさい。壁・柱・床は火に耐えられる構造(耐火構造)、はりと屋根は燃えない素材(不燃材料)で造ること。そして床は液体が染み込まないようにして、傾斜とくぼみ(ためます)で漏れた液をキャッチできるようにしなさい。

指定数量って何だっけ?という方は指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説をチェックしてくださいね。

3. 地下タンク貯蔵所(政令 第13条)

地面の下にタンクを埋めて危険物を貯蔵する施設です。一番身近な例はガソリンスタンド。あの地面の下にはガソリンや軽油を貯めた地下タンクが埋まっています。

ガソリンスタンドの地下タンク埋設工事の様子
地下タンクの埋設工事 — クレーンでタンクを吊り下げ、コンクリート製のタンク室に設置する

地下タンク貯蔵所の主な基準

  • タンクの周囲0.1m以上の間隔を保ち、その間に乾燥砂を詰める
  • タンク室コンクリートで造る
  • 漏れ検知装置必ず設ける(超重要!)
  • 通気管:直径30mm以上、地上4m以上の高さまで立ち上げる
なぜ漏れ検知装置が必要なの?
地下タンクは地面の中に埋まっているので、漏れても目で見て気づくことができません。屋外タンクなら「あ、液体が流れ出てる!」とすぐ分かりますが、地下だとそうはいきません。だから漏れを自動的に検知する装置が絶対に必要なんです。試験でも「地下タンク貯蔵所に必要な設備は?」→「漏れ検知装置」は鉄板の出題パターンです。

通気管の高さが「地上4m以上」と決められているのは、地下から立ち上げるため、周囲に可燃性蒸気が滞留しないよう十分な高さが必要だからです。屋外タンクの通気管にはこのような高さ制限はありません。

タンクの周囲に乾燥砂を詰めるのは、地下水や土壌からタンクを守る(腐食防止)とともに、万が一の漏洩時にある程度吸収させる役割があります。

4. 簡易タンク貯蔵所(政令 第14条)

4種類の中で一番小さいタンク貯蔵所です。「簡易」という名前のとおり、少量の危険物を手軽に貯蔵するための施設です。

簡易タンク貯蔵所(容量600Lの小型タンクと給油設備)
簡易タンク貯蔵所 — 容量600L以下の小型タンクに給油ノズルが付いた設備

簡易タンク貯蔵所の主な基準

  • 容量600L以下(1つのタンクにつき)
  • 設置数:1つの簡易タンク貯蔵所に、同一品質の危険物のタンクを3基まで
  • 設置場所屋外に設置
  • タンクの材質鋼板、厚さ3.2mm以上
  • 通気管:あり
  • 保安距離:不要 / 保有空地1m以上

600Lというのは、家庭用の灯油タンク(18Lポリ缶)の約33本分。スケール感としては小さめですよね。工事現場の燃料保管や、ちょっとした作業場での少量貯蔵に使われるイメージです。

小規模なので保安距離は不要ですが、周囲に1m以上の保有空地が必要です。「600L以下」「3基まで」「保有空地1m」は超頻出なので、セットで覚えましょう。

タンク判別フロー ── 「このタンクはどれ?」
タンクの設置場所は?
地下
地下タンク
漏れ検知装置
建物内
屋内タンク
40倍以下
屋外・小型
簡易タンク
600L以下×3基
屋外・大型
屋外タンク
防油堤110%
試験で「次の記述に該当する施設は?」と聞かれたら、まず設置場所で絞り込む!

4種類を比較表で整理しよう

ここまでの内容を一覧表にまとめます。試験直前の見直しにも使えますよ。

項目 屋外タンク 屋内タンク
設置場所 屋外 建物内(専用室)
容量制限 制限なし 指定数量の40倍以下
保安距離・保有空地 必要 不要
特徴的な設備 防油堤 ためます・傾斜
項目 地下タンク 簡易タンク
設置場所 地盤面下(埋設) 屋外
容量制限 制限なし 600L以下
保安距離 不要 不要
保有空地 不要 1m以上
特徴的な設備 漏れ検知装置 鋼板3.2mm以上

試験で狙われる数値を総まとめ

絶対に覚える数値リスト

  • 防油堤の容量 → タンク容量の110%以上
  • 防油堤の高さ → 0.5m以上
  • 防油堤内の面積 → 80,000m²以下
  • 屋内タンクの容量 → 指定数量の40倍以下
  • 地下タンクの周囲間隔 → 0.1m以上(乾燥砂を詰める)
  • 地下タンクの通気管高さ → 地上4m以上
  • 簡易タンクの容量 → 600L以下
  • 簡易タンクの設置数 → 3基まで
  • 簡易タンクの鋼板厚さ → 3.2mm以上
  • 通気管の直径(共通) → 30mm以上

よくあるひっかけパターン

試験では「もっともらしいウソ」を選択肢に混ぜてきます。よくあるパターンをチェックしておきましょう。

  • 「防油堤の容量はタンク容量の100%以上」 → ウソ! 正しくは110%以上
  • 「防油堤の容量は全タンクの合計容量の110%以上」 → ウソ! 正しくは最大タンクの容量の110%以上
  • 「簡易タンクの容量は1,000L以下」 → ウソ! 正しくは600L以下
  • 「屋外タンク貯蔵所に漏れ検知装置が必要」 → ウソ! 漏れ検知装置が必要なのは地下タンク
  • 「簡易タンクに保安距離が必要」 → ウソ! 簡易タンクは不要

まとめ問題にチャレンジ!

ここまでの内容が理解できているか、4問で確認しましょう。

【問題1】屋外タンク貯蔵所の防油堤について、正しいものはどれか。

(1)防油堤の容量は、タンク容量の100%以上としなければならない。
(2)防油堤の高さは、1m以上としなければならない。
(3)タンクが2基以上ある場合の防油堤の容量は、最大タンクの容量の110%以上としなければならない。
(4)防油堤の材質は、鋼板でなければならない。
(5)防油堤内の面積は、100,000m²以下としなければならない。

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正解:3(最大タンクの容量の110%以上)
1は「100%以上」が誤り。正しくは110%以上です。2は「1m以上」が誤り。正しくは0.5m以上。4は「鋼板」が誤り。防油堤の材質は鉄筋コンクリートまたは土です。5は「100,000m²以下」が誤り。正しくは80,000m²以下です。

【問題2】地下タンク貯蔵所の基準として、誤っているものはどれか。

(1)タンクの周囲には0.1m以上の間隔を保ち、乾燥砂を詰める。
(2)タンク室はコンクリートで造る。
(3)漏れ検知装置を設けなければならない。
(4)通気管は直径30mm以上で、地上2m以上の高さとする。
(5)ガソリンスタンドの地下タンクはこの施設に該当する。

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正解:4(地上2m以上 → 正しくは地上4m以上)
地下タンク貯蔵所の通気管は、直径30mm以上で地上4m以上の高さまで立ち上げなければなりません。地下から立ち上げるため、可燃性蒸気が周囲に滞留しないよう十分な高さが必要です。他の選択肢はすべて正しい記述です。

【問題3】簡易タンク貯蔵所について、正しいものはどれか。

(1)タンクの容量は1,000L以下である。
(2)1つの簡易タンク貯蔵所にタンクを5基まで設置できる。
(3)屋内に設置しなければならない。
(4)保安距離と保有空地が必要である。
(5)タンクは鋼板で造り、厚さ3.2mm以上とする。

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正解:5(鋼板で造り、厚さ3.2mm以上)
1は「1,000L以下」が誤り。正しくは600L以下です。2は「5基まで」が誤り。正しくは同一品質の危険物について3基までです。3は「屋内」が誤り。簡易タンクは屋外に設置します。4は保安距離・保有空地は不要です。小規模施設だからですね。

【問題4】タンク貯蔵所に関する記述で、誤っているものはどれか。

(1)屋外タンク貯蔵所には、保安距離と保有空地が必要である。
(2)屋内タンク貯蔵所のタンク容量は、指定数量の40倍以下と定められている。
(3)屋外タンク貯蔵所には、漏れ検知装置を設けなければならない。
(4)地下タンク貯蔵所のタンク室はコンクリートで造る。
(5)屋外タンク貯蔵所のタンクは、水張試験に合格しなければならない。

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正解:3(屋外タンク貯蔵所には漏れ検知装置は不要)
漏れ検知装置が必要なのは地下タンク貯蔵所です。屋外タンクは目視で漏れを確認できますが、地下タンクは地面の中に埋まっているため漏れに気づきにくい――だから漏れ検知装置が義務づけられています。これは試験で定番のひっかけ問題なので、「漏れ検知=地下タンク」としっかり結びつけましょう。

全問正解できましたか? 特に防油堤の110%地下タンクの漏れ検知簡易タンクの600L・3基は繰り返し出題されるポイントです。数値をセットで覚えておけば、本番でも自信を持って解けるはずです。

次のステップとして、設置許可・変更許可・完成検査・仮使用をわかりやすく解説!仮貯蔵との違いもも合わせて読んでおくと、タンク貯蔵所を設置するときの手続きが分かって理解が深まりますよ。

【問題5】次のうち、タンク貯蔵所に関する記述として正しいものはどれか。

(1)簡易タンク貯蔵所には保安距離・保有空地のいずれも不要である。
(2)屋内タンク貯蔵所のタンク専用室の壁・柱・床は不燃材料で造る。
(3)地下タンク貯蔵所のタンクの周囲には0.1m以上の間隔を保ち、乾燥砂を詰める。
(4)屋外タンク貯蔵所の防油堤の容量は、全タンクの合計容量の110%以上とする。
(5)簡易タンク貯蔵所のタンクの容量は、1基につき1,000L以下と定められている。

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正解:3(地下タンクの周囲に0.1m以上の間隔+乾燥砂)
1は保安距離は不要ですが保有空地(1m以上)は必要なので誤り。2は壁・柱・床は「耐火構造」であり、はり・屋根が「不燃材料」なので誤り。4は「全タンクの合計」ではなく「最大タンクの容量」の110%以上なので誤り。5は1,000Lではなく600L以下なので誤り。複数のひっかけポイントを組み合わせた総合問題です。

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