受験ガイド

乙4試験で間違えやすい20項目|法令・物化・性質を整理

この20項目の使い方

乙4の法令、基礎的な物理学・化学、危険物の性質・消火から、用語や条件を取り違えやすい20項目を整理します。公表された出題頻度の順位ではないため、苦手分野を見つけるための確認表として利用してください。

  1. 誤りの例を読み、どの語句・数値が違うかを先に考える
  2. 正しい説明を読み、理由を一文で言い直す
  3. 末尾の確認問題を解き、誤答した項目の解説記事へ戻る

公式情報と分けて確認する

乙種試験は法令15問、基礎的な物理学・化学10問、性質・消火10問です。五肢択一式で、合格には各科目60%以上が必要です。最新の科目・問題数は消防試験研究センター「試験科目及び問題数」、試験方法は「試験の方法」で確認してください。

法令の原文はe-Gov法令検索「消防法」、危険物の類別は総務省消防庁「危険物とは?」で確認できます。物性値や実際の保管・消火方法は、物質名、濃度、温度、製品形態で変わるため、製品SDSと施設の手順を優先してください。


法令のひっかけパターン(8選)

パターン1:「届出」と「許可」のすり替え

❌ ひっかけ例:「製造所の位置を変更するときは、市町村長等に届出をしなければならない。」

⭕ 正しくは:位置・構造・設備の変更は「変更許可」が必要です。「届出」ではありません。詳しくは「届出のすべて」。届出で済むのは品名・数量・倍数の変更や、用途廃止などです。

確認のポイント:位置・構造・設備の変更は変更許可、品名・数量・指定数量の倍数の変更は原則として変更予定日の10日前までの届出、用途廃止は遅滞なく届出です。「ハード/ソフト」だけで決めず、手続名・申請先・時期を組み合わせて覚えましょう。

パターン2:「以上」と「未満」の境界トラップ

❌ ひっかけ例:「引火点が21℃の液体は、第1石油類に分類される。」

⭕ 正しくは:第1石油類は引火点21℃「未満」。ちょうど21℃は第2石油類です。

なぜ間違えるか:「21℃」という数字を覚えていても、「以上」なのか「未満」なのかを忘れる。ルール:境界値が出たら必ず「その数字を含むか含まないか」を確認しましょう。

パターン3:「消防長又は消防署長」と「市町村長等」の混同

❌ ひっかけ例:「仮貯蔵の承認は、市町村長等に申請する。」

⭕ 正しくは:仮貯蔵・仮取扱いの承認は「消防長又は消防署長」です(→「設置許可・仮使用」)。市町村長等は設置許可・変更許可の申請先です。

確認のポイント:製造所等の設置・変更は市町村長等の許可、指定数量以上の危険物を製造所等以外で10日以内に仮貯蔵・仮取扱いする場合は消防長または消防署長の承認、と手続名と権限者を対にして覚えます。

パターン4:保安監督者の「選任条件」

❌ ひっかけ例:「危険物保安監督者は、甲種または乙種の免状を持つ者であれば、実務経験がなくても選任できる。」

⭕ 正しくは:6か月以上の実務経験が必要です。免状を持っているだけではダメ。

なぜ間違えるか:免状の種類(甲種 or 乙種)ばかり注目して、「実務経験」の条件を見落とす。丙種では保安監督者になれないことも要注意です。

パターン5:「すべての製造所等」トラップ

❌ ひっかけ例:「保安距離はすべての製造所等に必要である。」

⭕ 正しくは:政令で保安距離の基準が置かれている主な対象は製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所です。施設名だけでなく、条文の例外や特例も問題文の条件と合わせて確認します。

なぜ間違えるか:「すべて」と書かれると「そうかな?」と思ってしまう。確認のポイント:「すべて」「必ず」とある選択肢は、条文に例外や条件がないかを確認します。断定語があるだけで誤りと決めないことも大切です。

パターン6:「都道府県知事」の手続きの混乱

❌ ひっかけ例:「免状を亡失した場合は、居住地の都道府県知事に再交付を申請する。」

⭕ 正しくは:再交付の申請先は「免状を交付した都道府県知事」(→「免状制度の詳細」)または「書換えをした都道府県知事」です。居住地は関係ありません。

なぜ間違えるか:日常生活では住民票のある自治体に申請することが多いので、つい「居住地」と思い込む。

パターン7:定期点検の「有資格者」

❌ ひっかけ例:「定期点検は、危険物取扱者の立会いがあれば、危険物取扱者以外の者でも行うことができる。」

⭕ 正しくは:これは正しい文です! 引っかかるのは「定期点検は危険物取扱者しかできない」と思い込んでいるケース。立会いがあれば無資格者でも点検可能です。

なぜ間違えるか:「正しい文を誤りと判断してしまう」のもひっかけの一種。「正しいものはどれか」と聞かれたとき、正しい選択肢を「怪しい」と排除してしまうパターンです。

パターン8:運搬と移送の混同

❌ ひっかけ例:「タンクローリーで危険物を運搬する場合、危険物取扱者の乗車は不要である。」

⭕ 正しくは:タンクローリー(移動タンク貯蔵所)で運ぶのは「移送」であって「運搬」ではありません。移送には危険物取扱者の乗車が必要です。運搬(トラック等で容器に入れて運ぶ)には取扱者の同乗義務はありません。


物理学・化学のひっかけパターン(6選)

パターン9:「引火点が低い=発火点も低い」の誤解

❌ ひっかけ例:「引火点が低い物質ほど、発火点も低い傾向がある。」

⭕ 正しくは:引火点は点火源があるときに引火する最低温度、発火点は点火源なしで自ら発火する最低温度で、別の物性値です。一方から他方を機械的に推定せず、問題に示された物質・条件ごとに判断します。

パターン10:「蒸気比重が1より大きい=空気より重い」の応用

❌ ひっかけ例:「第4類危険物の蒸気は空気より軽く、上方へ拡散しやすい。」

⭕ 確認したい知識:乙4で扱う代表的な第4類危険物の可燃性蒸気は空気より重く、低所やくぼみに滞留しやすいものが多くあります。ただし、実務では物質名・蒸気密度・温度・換気条件をSDSで確認し、「第4類だから必ず」とだけ判断しません。

パターン11:静電気の「湿度」トラップ

❌ ひっかけ例:「湿度を低くすると静電気の蓄積を防止できる。」

⭕ 正しくは:加湿は静電気対策の一つですが、一律の湿度値だけで安全とは判断できません。接地・ボンディング、流速管理、帯電しにくい設備などを組み合わせ、施設の基準に従います。乾燥時は帯電しやすくなる点を押さえましょう。

パターン12:燃焼の3要素の「除去」

❌ ひっかけ例:「消火の方法は、冷却消火・窒息消火・除去消火の3つだけである。」

⭕ 正しくは:学習上は冷却・窒息・除去に、燃焼の連鎖反応を抑える抑制消火を加えた4分類で整理します。消火剤の作用は一つに限らないため、製品・設備ごとの適応も確認します。

パターン13:「水は比熱が大きい」の応用

❌ ひっかけ例:「水の比熱は、液体のなかで最も小さい。」

⭕ 正しくは:常温付近の水は比熱が約4.2 J/(g・K)と大きく、蒸発時にも多くの熱を奪います。「すべての液体で最大」と暗記するのではなく、冷却に利用される理由を比熱と蒸発潜熱から説明できるようにします。

パターン14:酸化と還元の「同時進行」

❌ ひっかけ例:「酸化反応と還元反応は、別々に独立して起こる。」

⭕ 正しくは:酸化と還元は必ず同時に起こる(酸化還元反応)。一方が酸化されれば、もう一方は還元されます。鉄が錆びる(酸化)とき、酸素は還元されています。


性質のひっかけパターン(6選)

パターン15:「水より重い第4類」の見落とし

❌ ひっかけ例:「第4類危険物はすべて水より軽い。」

⭕ 正しくは:代表的な第4類には水より軽いものが多い一方、水より重い物質もあります。二硫化炭素、グリセリン、酢酸、ニトロベンゼン、クロロベンゼンなどを比較してください。比重は温度・濃度などの条件で変わるため、数値は問題文やSDSの条件と合わせて扱います。

パターン16:「水溶性」の判定ミス

❌ ひっかけ例:「灯油は水溶性の第2石油類である。」

⭕ 正しくは:灯油は非水溶性の第2石油類です。酢酸は水溶性の第2石油類の代表例ですが、水溶性物質が酢酸だけという意味ではありません。灯油・軽油・キシレンなどの代表例と対にして覚え、分類は物質名と法令上の水溶性区分で確認します。

パターン17:「泡消火剤」の使い分け

❌ ひっかけ例:「アセトンの火災には、普通の泡消火剤が有効である。」

⭕ 正しくは:アセトンのような水溶性液体では、一般の油火災用泡は泡膜が壊れやすいため、法令・設備基準で適応が確認された水溶性液体用泡消火薬剤を用います。実際の消火剤は対象物質と設備の表示・SDS・施設手順で確認します。

パターン18:黄りんの「保存方法」

❌ ひっかけ例:「黄りんは灯油中に保存する。」

⭕ 正しくは:黄りんは水中に保存します(→「第3類の物質」)。試験上は、黄りんは水中、ナトリウムやカリウムは保護液中という対比で整理します。実際の製品は純度・形態・容器条件が異なるため、自分で移し替えず、SDSと保管設備の手順に従ってください。

パターン19:動植物油類の「自然発火」

❌ ひっかけ例:「ヨウ素価が小さい動植物油類ほど、自然発火しやすい。」

⭕ 正しくは:ヨウ素価が大きい油は不飽和結合が多く、酸化・乾燥しやすい傾向があります。ただし、自然発火は油の種類だけでなく、布などへの含浸、堆積、放熱の悪さ、温度にも左右されます。アマニ油などの乾性油は、酸化熱が蓄積する条件とセットで覚えます。

パターン20:第4類と「水での消火」

❌ ひっかけ例:「第4類危険物の火災には、絶対に水を使ってはならない。」

⭕ 正しくは:第4類という類別だけで、水の可否や消火方法を一律に決めることはできません。棒状の注水で燃焼液を拡散させる危険がある一方、霧状水や泡などの適応は物質、火災規模、設備基準で異なります。実火災では近づいて判断せず、避難・119番通報を優先し、施設の消火計画と消防機関の指示に従ってください。


ひっかけ発見の3鉄則
鉄則1
断定語は条件を確認
「すべて」「必ず」は
根拠と例外を確かめる
鉄則2
数値の差し替えに注意
保安講習3年→5年
写真書換10年→5年
鉄則3
「正しい」と「誤り」
問題文の最後の一文を
必ず2回読む

ひっかけを見抜く3つの鉄則

最後に、試験本番で使える「ひっかけ発見テクニック」を3つ紹介します。

鉄則1:「すべて」「必ず」は条件と根拠を確認する

断定的な表現があったら、条文・定義に条件や例外がないか確認します。ただし、断定語があるだけで誤りとは決めません。「第4類はすべて水より軽い」は二硫化炭素などの反例を示し、保安距離は対象施設と条文上の条件を確認して判断します。

鉄則2:数値の「微妙な差し替え」に注意

年数や期限は、対象となる手続と起算点を組み合わせて確認します。たとえば保安講習は受講義務が生じる条件と受講時期、免状写真は交付日または前回の写真書換え日から10年以内、というように数字だけを切り離さず覚えます。

鉄則3:「正しいもの」と「誤っているもの」を間違えるな

試験では「正しいものはどれか」と「誤っているものはどれか」が混在します。問題文の最後の指示語を確認し、「正しい」「誤っている」のどちらを選ぶか印を付けてから選択肢を読みます。


まとめ問題 — ひっかけ発見力チェック

問題1

次のうち、誤っているものはどれか。

(1)仮貯蔵は、消防長又は消防署長の承認を受けて10日以内で行う。

(2)指定数量以上の危険物を貯蔵する場合は、市町村長等の許可が必要である。

(3)危険物保安監督者は、甲種または乙種の免状を持っていれば実務経験がなくても選任できる。

(4)移動タンク貯蔵所で危険物を移送するときは、危険物取扱者が乗車しなければならない。

解答を見る

正解:(3)
危険物保安監督者には6か月以上の実務経験が必要です(パターン4参照)。免状を持っているだけでは選任できません。他の3つはすべて正しい記述です。

問題2

次のうち、正しいものはどれか。

(1)第4類危険物の蒸気は、すべて空気より軽い。

(2)引火点が低い物質ほど、発火点も低い傾向がある。

(3)黄りんは灯油中に保存する。

(4)湿度を高くすると、静電気の蓄積を防止しやすい。

解答を見る

正解:(4)
乾燥を避けることは静電気対策の一つです(パターン11参照)。(1)乙4で扱う代表的な可燃性蒸気には空気より重いものが多く、「すべて軽い」は誤り。(2)引火点と発火点は別の物性値。(3)試験上、黄りんは水中保存。


20パターン クイックリファレンス

【法令】
✔ 許可=ハード変更 / 届出=ソフト変更
✔ 第1石油類=21℃未満(ちょうど21℃は第2石油類)
✔ 仮貯蔵=消防長/署長 / 設置許可=市町村長等
✔ 保安監督者=甲種or乙種 + 6ヶ月実務
✔ 保安距離=5施設のみ("すべて"は誤り)
✔ 免状の再交付・書換え=申請区分ごとに申請先を確認
✔ 移送(タンクローリー) ≠ 運搬(容器でトラック)
【物化】
✔ 引火点と発火点は別の物性値(定義を分ける)
✔ 代表的な第4類蒸気=空気より重く低所に滞留しやすい
✔ 静電気→加湿だけでなく接地・ボンディング等を併用
✔ 消火は4つ(冷却/窒息/除去/抑制を忘れない)
【性質】
✔ 水より重い4類の例外あり(CS₂/グリセリン/酢酸等)
✔ 灯油=非水溶性(酢酸が水溶性の第2石油類)
✔ 水溶性液体→耐アルコール泡(普通泡は溶ける)
✔ 黄りん=水中 / Na,K=灯油中
✔ 乾性油=酸化熱が蓄積する条件も確認
✔ 消火方法=類別だけで決めず物質・設備の適応を確認
問題3:次のうち正しいものはどれか。(1)定期点検は危険物取扱者しか行えない (2)引火点が21℃の液体は第1石油類 (3)粉末消火剤の主な作用は冷却 (4)灯油にガソリンが混入すると引火点が著しく低下する → 解答を見る

正解:(4)
(1) 立会いがあれば無資格者も可能(パターン7)✕
(2) 21℃「未満」が第1石油類。ちょうど21℃は第2石油類(パターン2)✕
(3) 粉末の主な作用は抑制(負触媒効果)(パターン12)✕
(4) ガソリンの低い引火点が灯油の引火点を引き下げるため正しい ○

問題4:A〜Dの記述のうち誤っているものはいくつあるか。A:移動タンク貯蔵所で危険物を運ぶことを「運搬」という B:保安監督者は甲種免状があれば実務経験不要 C:酸化と還元は必ず同時に起こる D:乾性油を染み込ませた布を堆積すると、酸化熱が蓄積して自然発火することがある (1)1つ (2)2つ (3)3つ (4)4つ → 解答を見る

正解:(2) 2つ
A:誤り。正しくは「移送」。運搬は容器に入れてトラック等で運ぶこと(パターン8)
B:誤り。6ヶ月以上の実務経験が必要(パターン4)
C:正しい。酸化還元は必ず同時進行(パターン14)
D:正しい。酸化しやすい油が布などに含浸し、放熱しにくい条件では酸化熱が蓄積する(パターン19)

確認問題の後にすること

  1. 法令を間違えたら、届出と許可の判別ミニテストで手続名・申請先・時期を確認する
  2. 物化を間違えたら、燃焼・消火・静電気ミニテストまたは引火点・発火点ミニテストへ戻る
  3. 性質を間違えたら、水溶性の判別消火方法の使い分けを解く
  4. 最後に乙4模擬試験 第1回を科目別に採点し、同じ誤答が残っていないか確認する
資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

運営者情報と、記事を公開するまでの確認手順を見る →

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-受験ガイド