法令(共通)

給油取扱所・販売取扱所の基準をわかりやすく解説!ガソリンスタンドのルールと試験頻出ポイント

結論から言います

給油取扱所とは、ガソリンスタンドのことです。そして販売取扱所は、塗料店や薬品店のように危険物を容器に入れたまま販売する施設です。

日本のガソリンスタンドの全景。キャノピー屋根の下に複数の給油機が並び、価格表示看板が見える
給油取扱所(ガソリンスタンド)── キャノピー屋根の下に給油空地と複数の給油機が並ぶ

どちらも取扱所(=危険物を取り扱う施設)の一種ですが、基準はかなり違います。特に給油取扱所は試験で毎回のように出題される超頻出テーマです。

試験で狙われる超重要ポイント

  • 給油空地 = 間口10m以上、奥行6m以上
  • 専用タンクは地盤面下に埋設
  • 固定給油設備のホースは全長5m以下
  • 建物には用途制限あり
  • 販売取扱所は第1種(15倍以下)第2種(15超〜40倍以下)

では、給油取扱所から詳しく見ていきましょう。

給油取扱所とは ── いわゆるガソリンスタンド

給油取扱所とは、固定した給油設備によって自動車等の燃料タンクに直接給油する取扱所です。

危険物の規制に関する政令 第3条第4号

給油取扱所とは、固定した給油設備によって自動車等の燃料タンクに直接給油するため危険物を取り扱う取扱所をいう。

要するに、「固定した機械(給油機)でクルマの燃料タンクにガソリンや軽油を直接入れる施設」がガソリンスタンド=給油取扱所です。

ポイントは「固定した給油設備」と「直接給油」の2つ。ドラム缶からジョウロで給油……なんてのは給油取扱所にはなりません。固定された給油機から、直接クルマのタンクに入れる施設だけが該当します。

給油取扱所の基準 ── ガソリンスタンドの構造ルール

給油空地(きゅうゆくうち)── 間口10m以上・奥行6m以上

給油取扱所には、給油空地を確保しなければなりません。

項目 基準
間口(道路に面する幅) 10m以上
奥行 6m以上
地盤面 コンクリート等で舗装

ガソリンスタンドに行くと、入口が広くて奥行もゆったりしていますよね。あれは「なんとなく広い」のではなく、法令で最低サイズが決まっているんです。

間口10m以上が必要な理由は、クルマが安全に出入りできるスペースを確保するため。火災時に逃げ遅れないよう、十分な広さが求められます。

注油空地もある

灯油・軽油を容器に詰め替えるための固定注油設備がある場合、その周囲にも注油空地を設けます。ホームセンター併設のガソリンスタンドで、灯油の詰め替えコーナーがあるのを見たことがあるかもしれません。あの周りのスペースが注油空地です。

専用タンク ── 地下に埋設

ガソリンスタンドの給油機に接続されているタンクは「専用タンク」と呼ばれ、地盤面下(=地下)に埋設しなければなりません。

「なぜ地下?」と思うかもしれませんが、理由は2つあります。

  • 火災時に延焼しにくい ── 地下にあれば、周囲の火から直接あぶられるリスクが低い
  • 外部からの衝撃を受けにくい ── クルマがぶつかっても地下なら被害が少ない

ちなみに、専用タンクの容量に上限はありません。ガソリンスタンドは大量に燃料を在庫する必要があるので、規模に応じた大きさのタンクを埋設できます。

一方、廃油タンク(使用済みオイル等を溜めるタンク)は10,000L以下と容量制限があります。

固定給油設備・固定注油設備

ガソリンスタンドの「給油機」のことを、法令では固定給油設備と呼びます。

設備 ホースの全長 先端の弁
固定給油設備 5m以下 開放状態で固定できない構造
固定注油設備 5m以下 同上

ホースが5m以下と決まっているのは、長すぎると他の車両に引っかかったり、取り回しが危険になるから。また、先端の弁(ノズル)は手を離すと自動的に閉まる構造です。セルフスタンドでガソリンを入れるとき、手を離すと止まりますよね。あれがこの基準によるものです。

ガソリンスタンドの給油機。赤(レギュラー)・黄(ハイオク)・緑(軽油)の3色ノズルとデジタル表示パネル
固定給油設備 ── 赤(レギュラー)・黄(ハイオク)・緑(軽油)のノズルで色分けされている

防火塀 ── 敷地の守り

給油取扱所の敷地境界線には、高さ2m以上の耐火構造の塀(防火塀)を設ける必要があります(道路に面する側を除く)。

隣の建物への延焼を防ぐための「壁」ですね。ガソリンスタンドの裏手に高いコンクリート壁があるのを見たことがあると思います。あれが防火塀です。

ガソリンスタンドと住宅の間に設置された防火塀
給油取扱所と隣接する建物の間に設けられた防火塀(高さ2m以上の耐火構造)

排水溝と油分離装置

給油空地や注油空地には排水溝を設け、そこに油分離装置(ためます)を接続します。

万が一ガソリンがこぼれても、そのまま下水に流れ込まないようにする仕組みです。水と油を分離して、油だけを回収できるようになっています。

給油取扱所のレイアウト(概念図)
← 道路(間口10m以上)→
給油空地(奥行6m以上)
コンクリート舗装 + 排水溝
固定給油設備(ホース5m以下)
専用タンク(地盤面下に埋設)
容量上限なし / 廃油タンクは10,000L以下
事務所・店舗
用途制限あり(住居は不可)
防火塁(2m以上)
耐火構造・道路側は除く
油分離装置(ためます)── こぼれた油を回収して下水への流出を防ぐ

建物の用途制限 ── ガソリンスタンドに何を建てていい?

給油取扱所の敷地内に建てられる建物には用途制限があります。なんでも自由に建てられるわけではありません。

建てていいもの

  • 給油・灯油の詰替えに関する作業場
  • 事務所
  • 自動車の点検・整備を行う作業場
  • 自動車の洗車を行う作業場
  • 店舗、飲食店、展示場

つまり、ガソリンスタンドに関係ある業務 + 日常的な商業施設はOK。コンビニ併設のガソリンスタンドやカフェ付きスタンドが増えているのは、この用途制限の範囲内だからです。

逆に、建てられないものの代表例は「住居」です。ガソリンスタンドの上にマンションを建てるなんてのはNGということですね。

セルフスタンドの追加基準

最近はセルフサービスのガソリンスタンドが増えていますが、正式名称は「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」です。

通常の給油取扱所の基準に加えて、セルフスタンドには追加の安全基準があります。

追加基準 内容
制御卓(監視装置) スタッフが顧客の給油操作を直接見える位置で監視し、異常時に給油を停止できる装置
給油量の上限 顧客が1回に給油できる量に制限を設ける
危険物取扱者の立会い 甲種または乙4の危険物取扱者が監視・制御・指示を行う

セルフスタンドだからといって「完全無人」ではありません。必ずスタッフが監視しています。お客さんがノズルの扱いを間違えたり、給油中にタバコを吸い始めたり……そんなときにすぐ給油を止められる体制が必要なんです。

セルフスタンドの静電気除去パッド。「はじめにタッチ!」の表示があり、手で触れている様子
静電気除去パッド ── 給油前にタッチして体の静電気を逃がす。ガソリン蒸気への引火を防ぐ重要な安全装置

販売取扱所とは ── 危険物を容器のまま売る施設

話を変えて、もうひとつの取扱所、販売取扱所を見ていきましょう。

販売取扱所とは、危険物を容器に入れたまま販売する取扱所です。塗料店で缶入りのシンナーを売る、薬品店でびん入りのアルコールを売る――そういった施設が該当します。

ポイント

販売取扱所では危険物を容器に入れたまま売ります。ガソリンスタンドのように「開けて注ぐ」わけではないので、給油取扱所とは性質が異なります。

第1種と第2種 ── 指定数量の倍数で区分

販売取扱所は、扱う危険物の量(指定数量の倍数)によって2種類に分かれます。

区分 指定数量の倍数 イメージ
第1種 15倍以下 小規模な塗料店・薬品店
第2種 15超〜40倍以下 大規模な塗料店・化学品卸

たとえば灯油(指定数量1,000L)を扱う場合、15倍なら15,000Lまで。第2種なら最大40,000Lまでということですね。

共通の基準

  • 建築物の1階に設置すること
  • 配合室(塗料を混ぜ合わせたりする作業室)を設けることができる
  • 危険物を配合する室の床は、危険物が浸透しない構造とし、傾斜をつけ、貯留設備を設ける

第1種と第2種の基準の違い

基準項目 第1種(15倍以下) 第2種(15超〜40倍)
壁を耐火構造とし、はりを不燃材料で造る 壁・柱・床・はりを耐火構造
天井 不燃材料 不燃材料
出入口の扉 防火設備 特定防火設備(自動閉鎖式)

第2種のほうが扱う量が多いので、基準がより厳しくなっています。特に出入口の扉は、第2種では「随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備」が必要です。火災時に自動でバタンと閉まるドアのことですね。

給油取扱所と販売取扱所の比較まとめ

取扱所の比較
給油取扱所
= ガソリンスタンド
固定給油設備で直接給油
給油空地: 間口10m×奥行6m
専用タンク: 地下埋設
ホース: 5m以下
防火塀: 2m以上
保安距離・空地: 不要
販売取扱所
= 塗料店・薬品店
容器入りのまま販売
第1種: 15倍以下
第2種: 15超〜40倍
1階に設置
配合室を設置可
保安距離・空地: 不要

試験で狙われる引っかけポイント

給油取扱所・販売取扱所は試験の常連テーマです。以下の5つの「引っかけ」に注意しましょう。

引っかけ1: 専用タンク vs 廃油タンクの容量

専用タンクは容量上限なし。廃油タンクは10,000L以下。「専用タンクも10,000L以下」という選択肢は×です。

引っかけ2: 間口と奥行の数字の入れ替え

間口10m以上・奥行6m以上。「間口6m・奥行10m」と逆にした選択肢に注意。間口のほうが大きいと覚えましょう。

引っかけ3: ホースの長さ

固定給油設備のホース全長は5m以下。「3m以下」「10m以下」の選択肢が出たら×。

引っかけ4: 保安距離・保有空地は「不要」

給油取扱所・販売取扱所には保安距離・保有空地不要。「給油取扱所には保安距離が必要」は×。

引っかけ5: 販売取扱所の倍数の境目

第1種は15倍「以下」、第2種は15倍を超え40倍以下。「15倍未満」や「15倍を含む第2種」は×。

まとめ問題

最後に4問、理解度チェックをしておきましょう。

問1 給油取扱所の給油空地について、正しいものはどれか。

  1. 間口5m以上、奥行3m以上
  2. 間口8m以上、奥行5m以上
  3. 間口10m以上、奥行6m以上
  4. 間口12m以上、奥行8m以上
解答を見る

正解:3(間口10m以上、奥行6m以上)
給油空地は間口10m以上、奥行6m以上が必要です。クルマが安全に出入りできるスペースと、火災時の避難空間を確保するための基準です。

問2 給油取扱所の専用タンクについて、正しいものはどれか。

  1. 地上に設置し、容量は30,000L以下とする
  2. 地盤面下に埋設し、容量の上限はない
  3. 地盤面下に埋設し、容量は10,000L以下とする
  4. 地上に設置し、容量の上限はない
解答を見る

正解:2(地盤面下に埋設し、容量の上限はない)
専用タンクは地盤面下に埋設します。火災時の延焼リスクや外部からの衝撃を避けるためです。容量の上限はありませんが、廃油タンクは10,000L以下という制限があるので、混同しないように注意しましょう。

問3 給油取扱所の敷地内に設ける建築物として、認められないものはどれか。

  1. 自動車の点検・整備を行う作業場
  2. 飲食店
  3. 住居
  4. 事務所
解答を見る

正解:3(住居)
給油取扱所に建てられるのは、事務所・店舗・飲食店・展示場・自動車の点検整備や洗車を行う作業場などです。住居は認められていません。火災リスクのある場所に人が寝泊まりするのは危険だからです。

問4 第2種販売取扱所として扱える危険物の指定数量の倍数として、正しいものはどれか。

  1. 10以下
  2. 15以下
  3. 15を超え40以下
  4. 40を超え100以下
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正解:3(15を超え40以下)
販売取扱所は、第1種が指定数量の倍数15以下、第2種が15を超え40以下です。第2種のほうが扱う量が多いため、構造基準もより厳しくなっています。

問5 セルフスタンド(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所)について、誤っているものはどれか。

  1. 給油ホースの先端の弁は、開放状態で固定できない構造とする
  2. 顧客の給油操作を直接見える位置で監視し、異常時に給油を停止できる制御卓を設ける
  3. 甲種または乙種第4類の危険物取扱者が監視・制御・指示を行う
  4. セルフスタンドでは専用タンクを地上に設置することが認められている
解答を見る

正解:4
セルフスタンドであっても給油取扱所の基準は変わらないため、専用タンクは地盤面下に埋設しなければなりません。地上設置は認められていません。セルフスタンドには通常の基準に加えて「制御卓の設置」「危険物取扱者による監視」などの追加基準が上乗せされます。

試験直前チェックカード

給油取扱所

✔ 給油空地: 間口10m以上 × 奥行6m以上
✔ 専用タンク: 地下埋設・容量上限なし
✔ 廃油タンク: 10,000L以下
✔ ホース全長: 5m以下・先端は自動閉鎖弁
✔ 防火塀: 2m以上の耐火構造(道路側は除く)
✔ 保安距離・保有空地: 不要
✔ 建物用途: 事務所・店舗・飲食店はOK、住居はNG

セルフスタンド追加基準

✔ 制御卓: 直接見える位置で監視
✔ 監視者: 甲種 or 乙4の危険物取扱者

販売取扱所

✔ 第1種: 指定数量の15倍以下
✔ 第2種: 15超〜40倍以下
✔ 第2種の出入口: 特定防火設備(自動閉鎖式)
1階に設置・配合室OK

給油取扱所は法令問題で毎回のように出題される最重要テーマです。参考書で繰り返し確認しておきましょう。教材選びに迷ったら「おすすめ参考書・問題集の選び方」を参考にしてください。

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