結論から言います
危険物の保存方法は「その危険物が何と反応して危険になるか」で決まります。空気と反応するなら密封する、水と反応するなら水を避ける、光で分解するなら遮光する — シンプルな原則ですが、物質ごとに違うので混同しやすいポイントです。
- この記事では全6類の保存方法を1ページに集約
- 保護液の種類(水中・灯油中)の使い分けを横断整理
- 試験で「入れ替え」「すり替え」が出やすい紛らわしい保存法を比較
保護液の横断まとめ — 試験の超頻出テーマ
保護液は「危険な反応を防ぐために液体に浸して保存する」方法です。何を何に浸けるかがよく出題されます。
水中保存するもの
| 物質 | 類 | 水中保存の理由 |
|---|---|---|
| 黄りん | 第3類 | 空気に触れると自然発火(自然発火性のみ・禁水性ではない) |
| 二硫化炭素 | 第4類 | 引火点-30℃以下、発火点90℃。蒸気の発散と発火を防ぐため水で覆う |
| ニトロセルロース | 第5類 | 乾燥すると衝撃で爆発する。水またはアルコールで湿潤状態を保つ |
覚え方:「き(黄りん)に(二硫化炭素)に(ニトロセルロース)」が水中保存。3つだけなので丸覚えが早いです。3つとも「空気に触れると危険」が共通点です。
灯油中に保存するもの
| 物質 | 類 | 灯油中保存の理由 |
|---|---|---|
| ナトリウム | 第3類 | 水と激しく反応(禁水性)、空気中でも酸化される |
| カリウム | 第3類 | ナトリウムより反応性が高い。同じく禁水性 |
| リチウム | 第3類 | 軽金属。水にも空気にも反応する |
覚え方:「アルカリ金属は灯油に入れる」。ナトリウム・カリウム・リチウムはすべてアルカリ金属で、水にも空気にも反応するため、水を含まない灯油(不活性な液体)に沈めて保存します。
ひっかけ注意:「ナトリウムを水中に保存する」はバツ!水と激しく反応して水素ガスが発生し、発火・爆発します。「黄りん=水」「Na/K=灯油」を絶対に混同しないでください。
第1類(酸化性固体)の保存
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 可燃物との接触を避ける | 酸化性物質が酸素を供給し、可燃物が激しく燃える |
| 加熱・衝撃・摩擦を避ける | 分解して酸素を放出する |
| 密栓して冷暗所に保存 | 湿気による劣化を防ぐ |
同時貯蔵の禁止:第1類(酸化性固体)と第2類(可燃性固体)・第4類(引火性液体)は同じ場所に貯蔵できません。酸化剤と可燃物の組み合わせは火災・爆発の原因になるからです。
第2類(可燃性固体)の保存
| 物質 | 保存のポイント |
|---|---|
| 鉄粉・金属粉・Mg | 水気を避ける(水素発生)、密封保存 |
| 硫黄 | 粉じん爆発に注意、静電気に注意 |
| 赤りん | 酸化剤との接触を避ける、粉じん対策 |
| 引火性固体 | 火気を避け、冷暗所に保存 |
第3類(自然発火性・禁水性)の保存
第3類は「自然発火性のみ」「禁水性のみ」「両方」の3パターンがあり、保存方法が大きく異なります。
| 分類 | 代表物質 | 保存方法 |
|---|---|---|
| 自然発火性のみ | 黄りん | 水中に保存 |
| 禁水性のみ | りん化カルシウム、炭化カルシウム | 密封・乾燥保存 |
| 両方 | Na、K、Li、アルキルアルミニウム | 灯油中 or 不活性ガス中 |
アルキルアルミニウムの保存は特別:灯油中保存ではなく不活性ガス(窒素等)封入が必要です。灯油とも反応する非常に危険な物質で、空気にも水にも灯油にも反応しうるため、完全に不活性な雰囲気で密封します。
第4類(引火性液体)の保存
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 火気を避ける | 引火性液体なので当然 |
| 密栓する | 蒸気が漏れると引火の危険 |
| 冷暗所に保存 | 温度が上がると蒸気圧が上がり危険性増大 |
| 静電気対策(接地など) | 流動で静電気が発生 → 蒸気に引火 |
| 容器は通気性のないもの | 蒸気の放出を防ぐ |
例外 — 二硫化炭素:前述のとおり水中に保存します。発火点が90℃と極めて低く、蒸気が漏れると非常に危険なため、水で蓋をして蒸気の発散を防ぎます。第4類で水中保存するのは二硫化炭素だけです。
第5類(自己反応性物質)の保存
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 加熱・衝撃・摩擦を絶対に避ける | 分子内に酸素を含み、爆発的に分解する |
| 冷暗所、通風良好な場所 | 温度上昇による自己分解を防ぐ |
| 少量ずつ分散して保存 | 大量にまとめると爆発の規模が大きくなる |
ニトロセルロースの保存:乾燥すると衝撃で爆発するため水またはアルコールで湿らせた状態で保存します。なお、ニトログリセリンをけいそう土に染み込ませたのがダイナマイト — 衝撃感度を下げる工夫です。
第6類(酸化性液体)の保存
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 有機物・可燃物との接触を避ける | 強い酸化力で可燃物を発火させる |
| 耐酸性の容器を使用 | 強酸性の液体が多い(硝酸、過塩素酸等) |
| 直射日光を避ける | 過酸化水素は光で分解して酸素を発生 |
過酸化水素の容器には通気口を設ける!
過酸化水素は常温でもゆっくり分解して酸素ガスを発生します。容器を完全に密封すると内圧が上がって破裂する恐れがあるため、分解ガスが逃げるよう通気口のある容器を使います。
紛らわしい保存方法の比較表
試験で「入れ替え」が出やすいペアを整理します。
| 物質 | 保存方法 | 混同しやすい物質 |
|---|---|---|
| 黄りん | 水中 | Na/Kと入れ替えるひっかけ |
| ナトリウム・カリウム | 灯油中 | 黄りんと入れ替えるひっかけ |
| 二硫化炭素 | 水中 | 第4類なのに水中保存(例外) |
| ニトロセルロース | 水 or アルコール | 第5類なのに湿潤保存 |
| 過酸化水素 | 通気口あり容器 | 「密栓」はバツ(分解ガスで破裂) |
まとめ問題
問題1
次のうち、灯油中に保存する物質として正しいものはどれか。
(1)黄りん (2)カリウム (3)二硫化炭素 (4)ニトロセルロース
問題2
第6類危険物の過酸化水素の保存容器について、正しい記述はどれか。
(1)完全に密栓して保存する。
(2)分解ガスが逃げるよう通気口を設ける。
(3)ガラス容器に保存する。
(4)直射日光に当てて分解を促進する。
保存方法でやりがちなミス5選
→ 誤り。黄りんは自然発火性のみ(禁水性なし)→ 水中に保存。灯油中はNa/K。入れ替えが超頻出。
→ 注意。Li比重0.53 < 灯油0.80 → 灯油に浮いて空気に触れる。鉱物油が正しい。Na(0.97)/K(0.86)は灯油に沈むのでOK。
→ 誤り。密栓は✕。分解してO₂が発生 → 内圧上昇 → 容器破裂。通気口のある容器で保存。
→ 理由が違う。二硫化炭素は非水溶性。水より重い(比重1.26)ので水の底に沈み、水が蓋の役割をして蒸気の発散を防ぐ。「水溶性」が理由ではない。
→ 不完全。Na/Kは灯油中でOKだが、アルキルアルミニウムは灯油とも反応する → 不活性ガス(N₂等)封入が必要。「全部灯油」は誤り。
保存方法 クイックリファレンス
✔ 水中: 黄りん(3類) + 二硫化炭素(4類) + ニトロセルロース(5類・水orアルコール)
✔ 灯油中: Na(0.97) + K(0.86) — 灯油に沈む
✔ 鉱物油: Li(0.53) — 灯油に浮くため鉱物油
✔ 不活性ガス封入: アルキルAl + アルキルLi(空気も水も灯油も✕)
【密栓の可否】
✔ 密栓禁止: 過酸化水素(O₂発生) + MEKPO(分解ガス)
✔ 密栓必須: 第4類全般(蒸気漏れ防止)
【同時貯蔵禁止】
✔ 酸化性(1類・6類) × 可燃性(2類・4類) → 火災・爆発
✔ 第1類と第6類も混合は危険
保存方法をもっと演習したい方へ
物質ごとの保存法は動画で繰り返すと定着しやすい。SAT危険物取扱者講座
で効率対策。教材比較は「参考書・問題集ガイド」へ。
あわせて読みたい
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。