電極は「正負」より先に酸化・還元で判定する
このページは、電池と電気分解を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。
アノード(陽極)では酸化、カソード(陰極)では還元が起こります。この対応は電池でも電気分解でも同じです。一方、放電中のガルバニ電池ではアノードが負、電解槽ではアノードが正となるため、「正極=還元」だけを無条件に当てはめないことが大切です。
電気化学用語と定数の確認先
IUPAC Gold Bookは、アノードを酸化が起こる電極、カソードを還元が起こる電極と定義しています。自発反応で化学エネルギーを電気エネルギーへ変換するセルはガルバニ電池です。
NISTのCODATA定数表でファラデー定数、米国エネルギー省の燃料電池解説で電気化学反応による直流発電とシステム構成を確認できます。数値問題では問題文が指定する近似値を使います。
ミニテスト10問
問1
アノード(陽極)とカソード(陰極)の定義として、正しいものはどれか。
(1)アノードで酸化、カソードで還元
(2)アノードで還元、カソードで酸化
(3)両方で酸化だけが起こる
(4)正負が決まるまで反応は定義できない
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正解:(1)アノードで酸化、カソードで還元
電子を放出する酸化がアノード、電子を受け取る還元がカソードです。この反応による定義は、ガルバニ電池と電解槽の両方で共通です。
問2
ダニエル電池を放電させるとき、電極と電子の流れの組合せとして正しいものはどれか。
(1)Zn極が負のアノード、Cu極が正のカソードで、外部回路の電子はZn極からCu極へ流れる
(2)Cu極が負のアノードで、電子はCu極からZn極へ流れる
(3)両極とも正極である
(4)電子は塩橋だけを通って移動する
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正解:(1)Zn極が負のアノード、Cu極が正のカソードで、外部回路の電子はZn極からCu極へ流れる
Zn→Zn²⁺+2e⁻が酸化、Cu²⁺+2e⁻→Cuが還元です。放電中のガルバニ電池ではアノードが負、カソードが正です。塩橋は主にイオン移動で電気的中性を保ちます。
問3
外部直流電源で非自発反応を進める電解槽について、正しいものはどれか。
(1)正端子側がカソードで酸化
(2)電源の正端子側がアノードで酸化、負端子側がカソードで還元
(3)負端子側がアノードで還元
(4)交流電源なら電極反応を固定できる
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正解:(2)電源の正端子側がアノードで酸化、負端子側がカソードで還元
電解槽では外部電源が電子を引き抜く正端子側がアノード、電子を供給する負端子側がカソードです。アノード=酸化、カソード=還元は変わらず、正負だけが放電中のガルバニ電池と異なります。
問4
鉛蓄電池の放電について、正しい説明はどれか。
(1)Pb+PbO₂+2H₂SO₄→2PbSO₄+2H₂Oが進み、一般に硫酸濃度は低下する
(2)両電極のPbSO₄が消失して硫酸濃度が上がる
(3)全体反応で硫酸は生成も消費もされない
(4)放電は水の電気分解だけである
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正解:(1)Pb+PbO₂+2H₂SO₄→2PbSO₄+2H₂Oが進み、一般に硫酸濃度は低下する
負極Pbと正極PbO₂は放電でともにPbSO₄となり、硫酸が消費されて水が生成します。開放型電池では密度が充電状態の目安になりますが、温度補正や製品仕様が必要で、密閉型を自己判断で開けません。
問5
Zn²⁺/Znの標準還元電位を−0.76V、Cu²⁺/Cuを+0.34Vとする。ダニエル電池の標準起電力はどれか。
(1)−1.10V
(2)−0.42V
(3)+0.42V
(4)+1.10V
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正解:(4)+1.10V
標準還元電位を使い、E°cell=E°cathode−E°anode=+0.34−(−0.76)=+1.10Vです。実際の平衡電極電位は温度と各化学種の活量にも依存します。
問6
ファラデー定数Fと電気量Qについて、正しい説明はどれか。
(1)1molの電子は6.02×10²³Cを持つ
(2)Fは電子1個の質量である
(3)Qは電流を時間で割って求める
(4)Fは電子1molが持つ電気量の大きさで約9.6485×10⁴C/mol、一定電流ならQ=It
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正解:(4)Fは電子1molが持つ電気量の大きさで約9.6485×10⁴C/mol、一定電流ならQ=It
NISTのCODATA値は約96485.33C/molです。試験でF=96500C/molと指定されればその近似値を使います。1A=1C/sなので、時間は秒へ直してQ=Itを計算します。
問7
2.00Aを965s流した。F=96500C/molとすると、移動した電子の物質量はどれか。
(1)0.00200mol
(2)0.0200mol
(3)0.200mol
(4)2.00mol
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正解:(2)0.0200mol
Q=It=2.00A×965s=1930C、n(e⁻)=Q/F=1930/96500=0.0200molです。先に電気量から電子のmolを求めてから、半反応式の電子係数を使います。
問8
Cu²⁺+2e⁻→Cu。問7の電気量で、Cu=64.0、電流効率100%としたときの銅の析出質量はどれか。
(1)0.320g
(2)0.640g
(3)1.28g
(4)6.40g
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正解:(2)0.640g
Cuは電子2molにつき1mol析出するので、n(Cu)=0.0200/2=0.0100molです。質量は0.0100mol×64.0g/mol=0.640g。実際には副反応や電流効率も確認します。
問9
十分なCu²⁺を含むCuSO₄水溶液を不活性な白金電極で電気分解する単純化した問題について、適切な組合せはどれか。
(1)アノードでCu²⁺が還元される
(2)カソードでSO₄²⁻が酸化される
(3)カソードでCu²⁺が還元され、アノードで水が酸化される
(4)電極材質や濃度に関係なく生成物は常に同じ
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正解:(3)カソードでCu²⁺が還元され、アノードで水が酸化される
この条件ではカソードでCu²⁺+2e⁻→Cu、アノードで水の酸化によるO₂発生を考えます。実際の優先反応は電極材質、濃度、電位、過電圧などで変わるため、条件を省略しません。
問10
燃料電池について、最も適切な説明はどれか。
(1)水素以外の燃料は原理上使えない
(2)電気を内部へ蓄えて繰り返し放電するだけの二次電池
(3)燃料と酸化剤を外部から供給し、電気化学反応で化学エネルギーを電気へ変換する
(4)方式や燃料に関係なく排出物は必ず水だけ
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正解:(3)燃料と酸化剤を外部から供給し、電気化学反応で化学エネルギーを電気へ変換する
水素・酸素型は反応生成物として水を生じますが、燃料電池には複数方式があり、燃料処理や上流工程も含めた排出は条件で異なります。「燃焼させずに電気化学反応を使う」点を押さえます。
採点後は4段階で電極問題を解く
- 半反応を書く:酸化か還元かを決める
- 電極名を付ける:酸化=アノード、還元=カソード
- セルの種類を確認する:放電中の電池か、外部電源を使う電解槽か
- 量を計算する:Q=It、n(e⁻)=Q/F、電子係数、モル質量の順
電池の分解・短絡・自作電気分解をしない
鉛蓄電池の希硫酸、充電時のガス、短絡電流、電気分解で生じるガスや有害物質には危険があります。端子の短絡、密閉電池の開封、薬品の電気分解を自己判断で行わないでください。
採点後の復習順
- 電池・電気分解の基本で半反応を確認する
- 酸化・還元ミニテストで電子移動を復習する
- 金属・イオン化傾向ミニテストで電極電位の前提を確認する
- mol計算ミニテストで析出量計算を復習する
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