ミニテスト

金属・イオン化傾向ミニテスト10問|腐食・不動態・防食

イオン化傾向は出発点、腐食は環境条件まで確認する

このページは、金属・イオン化傾向・腐食・不動態を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。

先に結論をいうと、イオン化傾向は金属が酸化されてイオンになりやすい傾向を整理する学習軸です。一方、実際の腐食速度や異種金属接触腐食は、電解質、温度、酸素、表面皮膜、電位、面積比などに左右されます。暗記した一列だけで材質・防食・消火方法を決めません。

電位・腐食・不動態・試験範囲の確認先

電位の基準はIUPAC Gold Book「standard electrode potential」、不動態はIUPACのpassive stateを参照しています。異種金属接触腐食の成立条件と防食例は米国エネルギー省の材料科学ハンドブックで確認できます。

金属ナトリウムの水反応は厚生労働省「職場のあんぜんサイト」、危険物取扱者試験の科目名・問題数は消防試験研究センター、出題の確認は公式の過去に出題された問題を参照しました。掲載問題はすべて当サイトで作成しています。

イオン化傾向

酸化されやすさの学習軸
標準条件と実環境を区別

ガルバニ腐食

異種金属+電気的接触
+電解質

不動態

連続した皮膜が表面を隔てる
腐食ゼロとは限らない

ミニテスト10問

問1

金属の一般的性質について、正しい説明はどれか。

(1)電気・熱を伝えやすく展性・延性を示すものが多いが、例外や程度の差がある
(2)すべて常温で固体である
(3)すべて水より密度が大きい
(4)すべて同じ電気伝導率を持つ

正解:(1)電気・熱を伝えやすく展性・延性を示すものが多いが、例外や程度の差がある

金属光沢、電気・熱伝導性、展性・延性は代表的な性質ですが、程度には差があります。水銀は常温付近で液体で、リチウム・ナトリウム・カリウムは水より低密度です。「すべて」とする選択肢に注意します。

問2

基礎学習で用いるイオン化傾向の並びとして、正しいものはどれか。

(1)K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>H>Cu>Ag>Au
(2)Au>Ag>Cu>H>Fe>Zn>Al>Mg>Na>Ca>K
(3)K>Na>Ca>Fe>Al>Mg>Cu>H>Au
(4)H>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Cu

正解:(1)K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>H>Cu>Ag>Au

水素Hは金属ではありませんが、希薄な非酸化性酸から水素を発生させるかを比較する基準として列に置かれます。この並びは基礎学習の目安であり、実環境の腐食順位そのものではありません。

問3

Zn+Cu²⁺→Zn²⁺+Cu の反応について、正しいものはどれか。

(1)Znが酸化され、Cu²⁺が還元される
(2)Znが還元され、Cu²⁺が酸化される
(3)両方とも還元される
(4)電子移動はない

正解:(1)Znが酸化され、Cu²⁺が還元される

Znは2電子を失ってZn²⁺になり、Cu²⁺は2電子を受け取ってCuになります。イオン化傾向を反応式へつなげるときは、酸化半反応と還元半反応を分けて確認します。

問4

標準電極電位と実際の腐食について、正しい説明はどれか。

(1)標準電極電位は標準条件の基準で、実際の腐食は濃度・温度・皮膜・電解質などにも左右される
(2)標準電極電位だけで、あらゆる環境の腐食速度を一意に決められる
(3)電極電位は温度や組成と無関係である
(4)不動態皮膜は電位へ影響しない

正解:(1)標準電極電位は標準条件の基準で、実際の腐食は濃度・温度・皮膜・電解質などにも左右される

標準電極電位は定められた標準状態で比較する熱力学的な基準です。実機の腐食では、電解質組成、pH、温度、酸素、流れ、表面状態、不動態化などを合わせて評価します。

問5

鉄の大気腐食について、正しい説明はどれか。

(1)水分が電解質層をつくり、酸素や塩分などの環境条件が腐食反応へ影響する
(2)乾燥・湿潤・塩分に関係なく常に同じ速度で腐食する
(3)酸素と水があれば材質・温度に関係なく瞬時に全量がさびる
(4)腐食は化学反応ではない

正解:(1)水分が電解質層をつくり、酸素や塩分などの環境条件が腐食反応へ影響する

典型的な大気腐食では表面の水膜が電解質となり、鉄の酸化と酸素の還元などが組み合わさります。湿潤時間、塩化物、温度、酸素濃度差、皮膜などで進み方が変わるため、「酸素と水が必要」だけで全条件を説明しません。

問6

異種金属接触腐食(ガルバニ腐食)が成立する基本条件として、適切なものはどれか。

(1)電位の異なる材料が電気的に接触し、両方へ電解質が接する
(2)異種金属を乾燥状態で離して置くだけ
(3)同じ金属名であれば環境に関係なく必ず起こる
(4)電気的接触を絶ち、電解質も除いた状態

正解:(1)電位の異なる材料が電気的に接触し、両方へ電解質が接する

ガルバニ腐食には電気的な導通とイオン電流を運ぶ電解質が必要です。一般に活性側がアノードとなって腐食し、貴側がカソードになりますが、順位は使用環境のガルバニ系列で確認します。

問7

異種金属接触腐食の面積比について、正しい説明はどれか。

(1)小さいアノードと大きいカソードの組合せは、アノード側の腐食を集中させることがある
(2)面積比は腐食へ影響しない
(3)大きいカソードほど必ず先に溶ける
(4)どの組合せでも両金属は同じ速度で溶ける

正解:(1)小さいアノードと大きいカソードの組合せは、アノード側の腐食を集中させることがある

カソード反応を受け持つ面積が大きく、アノード面積が小さいと、アノードの単位面積当たりの腐食電流が大きくなる場合があります。材質の組合せだけでなく、面積比、すき間、排水、被覆の欠陥も確認します。

問8

不動態について、正しい説明はどれか。

(1)連続した不動態皮膜が金属と電解質を隔て、腐食速度を大きく下げる状態だが、腐食が完全にゼロとは限らない
(2)金属が永久に一切反応しなくなる状態
(3)すべての金属がどの環境でも同じ皮膜をつくる状態
(4)表面皮膜が完全に失われた活性状態

正解:(1)連続した不動態皮膜が金属と電解質を隔て、腐食速度を大きく下げる状態だが、腐食が完全にゼロとは限らない

IUPACは不動態を、連続した腐食生成物の皮膜が金属相と電解質を隔てる状態として説明しています。皮膜中のイオン移動や皮膜成長は起こり得て、塩化物、温度、機械的損傷などで局部的に破壊される場合もあります。

問9

金属ナトリウムの水との反応について、正しいものはどれか。

(1)激しく反応して水素と熱を生じ、発火へ至ることがあるため、水を使った実演や処理をしない
(2)常温の水とは反応しない
(3)水へ入れると安全な食塩だけが直ちにできる
(4)家庭用消火器なら種類を問わず安全に処理できる

正解:(1)激しく反応して水素と熱を生じ、発火へ至ることがあるため、水を使った実演や処理をしない

厚生労働省のモデルSDSは、金属ナトリウムが水と激しく反応して水素を発生し、発火へ至る危険を示しています。類別の暗記を実験で確かめず、漏えい・火災時は退避して119番通報し、専門手順へ従います。

問10

亜鉛めっき鋼板の防食について、正しい説明はどれか。

(1)被覆による遮断に加え、傷部では条件により亜鉛がアノードとなって鋼を保護する
(2)亜鉛は鉄より常に貴なので、鉄だけを先に腐食させる
(3)傷があっても環境に関係なく永久に腐食しない
(4)防食材は内容物や温度を確認せず選べる

正解:(1)被覆による遮断に加え、傷部では条件により亜鉛がアノードとなって鋼を保護する

亜鉛めっきは環境を遮る被覆として働き、導通と電解質がある傷部では亜鉛が犠牲陽極として鋼の腐食を抑える場合があります。寿命や適否は被覆量、傷、環境、内容物との相性で変わります。

採点後は「反応傾向」と「腐食環境」を分ける

  • イオン化傾向:基礎反応を予測する学習軸として使う
  • 標準電極電位:標準条件の基準であり、腐食速度そのものではない
  • ガルバニ腐食:電位差、電気的接触、電解質、面積比を確認する
  • 不動態:皮膜で反応が抑えられるが、環境によって破壊されることがある
  • 材質選定:内容物、濃度、温度、流れ、SDS、設備基準を合わせて判断する

金属と薬品の反応を実演しない

アルカリ金属の水反応、金属と酸・塩基の反応、異種金属接触腐食を自己流で試さないでください。可燃性ガス、発熱、飛散、腐食性液体の漏えいにつながるおそれがあります。

タンク・配管・容器の材質は「ステンレスなら万能」「イオン化傾向が小さければ安全」と決めず、製品SDS、材料適合表、設計条件、点検記録、所轄消防や設備専門家の判断を確認してください。異常な腐食・膨れ・漏えいを見つけたら接近や自己修理を避け、施設手順に従ってください。

採点後の復習順

  1. 金属の性質とイオン化傾向で基本の並びを確認する
  2. 酸化・還元ミニテストで電子の向きを確認する
  3. 第3類危険物で禁水性を品名別に確認する
  4. 有機化合物・官能基ミニテストへ進む

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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