官能基は「部分構造」、物性と危険性は分子全体で考える
このページは、有機化合物の分類と官能基を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。
官能基は、異なる化合物に現れても似た化学的性質を示す原子または原子団です。ただし、水への溶けやすさ、引火性、毒性、消防法上の分類は、官能基だけでなく炭素骨格、分子量、濃度、混合物の組成などにも左右されます。構造の見分け方と実際の安全判断を分けて確認しましょう。
官能基・化合物群・試験範囲の確認先
基本定義はIUPAC Gold Bookのfunctional group、alcohols、ethers、aldehydes、ketones、estersを参照しています。油脂に関係するグリセリドはIUPACのglyceridesで確認できます。
危険物取扱者試験の科目名と問題数は消防試験研究センター、出題範囲は公式の過去に出題された問題を参照しました。掲載問題はすべて当サイトで作成しています。
酸素を1個含む型
アルコール R−OH
エーテル R−O−R′
カルボニルを含む型
アルデヒド R−CHO
ケトン R−CO−R′
酸・誘導体の型
カルボン酸 R−COOH
エステル R−COO−R′
ミニテスト10問
問1
官能基の説明として、最も適切なものはどれか。
(1)異なる化合物中でも似た化学的性質を示し、化合物群の特徴に関わる原子または原子団
(2)有機化合物に含まれる炭素原子すべての総称
(3)分子量だけを決める数字
(4)消防法上の類別番号
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正解:(1)異なる化合物中でも似た化学的性質を示し、化合物群の特徴に関わる原子または原子団
IUPACは官能基を、異なる化合物に現れても似た化学的性質を示し、化合物群の特徴的な物理的・化学的性質に関わる原子または原子団として説明しています。官能基は重要な手掛かりですが、分子全体の性質を単独で決めるものではありません。
問2
IUPACの化合物群としてのアルコールに最も合う説明はどれか。
(1)ヒドロキシ基−OHが飽和炭素原子に結合した化合物
(2)−OHを含む化合物はフェノールも含めすべてアルコール
(3)酸素を含む化合物はすべてアルコール
(4)R−O−R′の構造を持つ化合物
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正解:(1)ヒドロキシ基−OHが飽和炭素原子に結合した化合物
アルコールでは−OHが飽和炭素原子に結合しています。芳香環の炭素へ−OHが直接結合するフェノール類や、C=Cの炭素へ結合するエノール類は区別します。R−O−R′はエーテルです。
問3
エーテルに該当する基本構造はどれか。
(1)R−CO−R′
(2)R−CHO
(3)R−COOH
(4)R−O−R′
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正解:(4)R−O−R′
エーテルは二つの炭素側の基が酸素を介して結ばれたR−O−R′型の化合物です。ジエチルエーテルCH₃CH₂−O−CH₂CH₃が代表例です。RとR′は同じでも異なっても構いません。
問4
アルデヒドとケトンの区別について、正しいものはどれか。
(1)アルデヒドではカルボニル炭素に水素が結合し、ケトンではカルボニル炭素に二つの炭素原子が結合する
(2)C=Oを持つ化合物はすべてケトンである
(3)アルデヒドは酸素を含まない
(4)ケトンには炭素原子がない
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正解:(1)アルデヒドではカルボニル炭素に水素が結合し、ケトンではカルボニル炭素に二つの炭素原子が結合する
アルデヒドはR−C(=O)H、ケトンはR−C(=O)−R′です。どちらもC=Oを含みますが、カルボニル炭素へ何が結合しているかで区別します。C=Oはカルボン酸やエステルにも含まれるため、「C=Oなら必ずケトン」ではありません。
問5
アセトンCH₃COCH₃の分類として、正しいものはどれか。
(1)アルデヒド
(2)ケトン
(3)カルボン酸
(4)エーテル
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正解:(2)ケトン
アセトンではカルボニル炭素の両側に炭素原子が結合しているためケトンです。化合物群の分類と危険性は別に確認し、実際の取扱いでは製品ラベルとSDSを優先します。
問6
酢酸エチルCH₃C(=O)OCH₂CH₃の分類として、正しいものはどれか。
(1)アルデヒド
(2)エーテルだけに分類される
(3)エステル
(4)アルコール
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正解:(3)エステル
酢酸エチルはカルボン酸由来のアシル部分と酸素を介した炭素側の基を持つエステルです。構造をR−C(=O)−O−R′と区切ると、R−O−R′型の単純なエーテルと見分けやすくなります。
問7
アルケンの説明として、IUPACの基本的な化合物群に合うものはどれか。
(1)酸素原子を必ず含む
(2)炭素間二重結合を何個持っていてもすべてアルケンとだけ呼ぶ
(3)炭素間三重結合を一つ持つ
(4)鎖式炭化水素で炭素間二重結合を一つ持ち、一般式CₙH₂ₙで表される
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正解:(4)鎖式炭化水素で炭素間二重結合を一つ持ち、一般式CₙH₂ₙで表される
IUPAC Gold Bookのalkenesは、分岐していてもよい鎖式炭化水素でC=Cを一つ持つ化合物群です。二重結合が二つならアルカジエン、三つならアルカトリエンなどと区別します。エチレンC₂H₄は最も簡単な例です。
問8
単純なアルコールの酸化について、正しい説明はどれか。
(1)すべてのアルコールが必ず同じ順序でアルデヒド、カルボン酸になる
(2)第一級アルコールは条件によりアルデヒド、さらにカルボン酸へ酸化され、第二級アルコールはケトンへ酸化される
(3)第二級アルコールだけがアルデヒドになる
(4)アルコールの酸化では分子構造を確認する必要がない
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正解:(2)第一級アルコールは条件によりアルデヒド、さらにカルボン酸へ酸化され、第二級アルコールはケトンへ酸化される
初歩的な整理では、第一級アルコールの酸化でアルデヒド、さらにカルボン酸、第二級アルコールの酸化でケトンを考えます。反応生成物は構造、酸化剤、反応条件で変わるため、「すべてのアルコールが同じ順序」とはしません。
問9
有機化合物の水への溶けやすさについて、正しい説明はどれか。
(1)有機化合物は例外なく水に不溶である
(2)官能基、炭素骨格、分子量、温度などで変わり、「有機化合物はすべて水に溶けにくい」とは言えない
(3)−OHが一つあれば炭素数に関係なく必ず水と任意比で混ざる
(4)官能基は溶解性に影響しない
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正解:(2)官能基、炭素骨格、分子量、温度などで変わり、「有機化合物はすべて水に溶けにくい」とは言えない
エタノールやアセトンのように水とよく混ざる有機化合物もあります。一方、同じ官能基を持っていても疎水性の炭素骨格が大きくなると溶解性は変わります。物質名と測定条件を確認します。
問10
グリセリドの説明として、正しいものはどれか。
(1)すべて消防法上の動植物油類になる単一化合物
(2)グリセリンとアミノ酸だけからなるタンパク質
(3)グリセリンと脂肪酸からなるエステルの化合物群
(4)炭素を含まない無機塩
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正解:(3)グリセリンと脂肪酸からなるエステルの化合物群
グリセリドはグリセリンと脂肪酸のエステルで、結合するアシル基の数と位置によりモノ、ジ、トリの各グリセリドがあります。分子構造上の分類と、製品が消防法上どの品名・性状に該当するかは分けて確認します。
採点後は「部分構造→分子全体→製品情報」の順で確認する
- 官能基:化合物群を見分ける重要な部分構造
- アルデヒドとケトン:カルボニル炭素に水素が結合するかで区別
- カルボン酸とエステル:R−COOHとR−COO−R′を区別
- 物性:官能基だけでなく炭素骨格・分子量・温度も確認
- 安全判断:化学名、濃度、混合物組成、ラベル、SDS、消防法上の品名へ戻る
におい・燃え方・溶解性を自己流で試さない
有機溶剤には、引火性が高いもの、蒸気の吸入や皮膚接触が有害なもの、保存中に危険な生成物を生じ得るものがあります。官能基の名前だけで安全性や消火方法を決めないでください。
例として厚生労働省のアセトンSDSは引火性や換気・着火源管理の注意を示しています。容器を開けてにおいを確かめる、混ぜる、加熱する、点火する行為は避け、使用製品の最新SDSと施設手順に従ってください。
採点後の復習順
- 有機化合物と官能基の解説で構造を確認する
- アルコール類で消防法上の品名を確認する
- 第1石油類でアセトン・酢酸エチルなどを確認する
- 物質の分類・物理変化・化学変化ミニテストへ進む
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