酸・塩基は「プロトン移動」、pHは「溶液の状態」で考える
このページは、酸・塩基・pH・中和を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。
先に結論をいうと、ブレンステッド酸はプロトン(H+)を与える化学種、ブレンステッド塩基は受け取る化学種です。pHは水素イオンの活量に基づく溶液の尺度であり、酸そのものの強弱、濃度、腐食性、消防法上の分類を一つの数字だけで決めることはできません。
定義・pH・危険物分類・試験範囲の確認先
酸と塩基はIUPAC Gold Book「Brønsted acid」、「Brønsted base」、pHはIUPACのpH、酸の強さはIUPACのacidityを参照しています。pH測定には校正と測定条件が必要なことはNISTのpH Metrologyで確認できます。
危険物の6分類は総務省消防庁「危険物とは?」、試験科目・問題数は消防試験研究センター、出題範囲は公式の過去に出題された問題を参照しました。以下の問題文はすべて当サイトで作成しています。
ブレンステッド酸
H+を与える
反応相手と組で判断
ブレンステッド塩基
H+を受け取る
OH−を含まない例もある
pH
水素イオン活量の尺度
強弱・危険度とは分ける
ミニテスト10問
問1
ブレンステッド酸の説明として、正しいものはどれか。
(1)プロトン(H⁺)を与える化学種
(2)プロトンを受け取る化学種
(3)電子を必ず与える化学種
(4)OH⁻を含む物質だけ
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正解:(1)プロトン(H⁺)を与える化学種
ブレンステッド酸はプロトン供与体です。酸・塩基は反応相手との間で起こるプロトン移動として判断します。酸化還元における電子移動とは別の整理です。
問2
ブレンステッド塩基の説明として、正しいものはどれか。
(1)プロトンを受け取る化学種
(2)水中で必ずOH⁻へ電離する物質だけ
(3)酸素原子を含む化学種だけ
(4)電子を必ず受け取る酸化剤
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正解:(1)プロトンを受け取る化学種
ブレンステッド塩基はプロトン受容体です。アンモニアNH₃のように式中にOH⁻を持たなくても、H⁺を受け取ってNH₄⁺になる化学種は塩基として働きます。
問3
HCl+H₂O→H₃O⁺+Cl⁻で、共役酸塩基対として正しい組合せはどれか。
(1)H₃O⁺とCl⁻
(2)HClとH₃O⁺
(3)H₂OとCl⁻
(4)HClとCl⁻
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正解:(4)HClとCl⁻
共役酸と共役塩基はH⁺一つ分だけ異なります。HClがH⁺を与えるとCl⁻になるため、HCl/Cl⁻が一組です。もう一組はH₂O/H₃O⁺です。
問4
pHの定義に最も近い説明はどれか。
(1)水溶液中の水素イオン活量の常用対数に負号を付けた量
(2)酸の物質量そのもの
(3)溶液の腐食性を直接示す百分率
(4)消防法上の危険度を示す番号
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正解:(1)水溶液中の水素イオン活量の常用対数に負号を付けた量
pHは概念的に−log₁₀a(H⁺)で定義されます。希薄溶液の初歩計算では濃度で近似することがありますが、厳密には活量を用い、測定には標準液による校正などが必要です。
問5
同じ温度・溶媒条件で、pH3の溶液AとpH4の溶液Bを比べる。水素イオン活量について正しいものはどれか。
(1)AはBの約4/3倍
(2)AはBの約10倍
(3)AとBは同じ
(4)pHだけでは大小も分からない
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正解:(2)AはBの約10倍
pHは常用対数の尺度なので、1小さくなると水素イオン活量は約10倍です。ただし、この比較だけで酸の種類、酸解離定数、全濃度、腐食性まで同じ比になるとはいえません。
問6
pH3の水溶液について、正しい説明はどれか。
(1)必ず弱酸だけを含む
(2)必ず強酸だけを含む
(3)酸性側だが、pHだけでは酸そのものの強弱や濃度を一意に決められない
(4)pH3なら消防法第6類である
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正解:(3)酸性側だが、pHだけでは酸そのものの強弱や濃度を一意に決められない
酸の強さは、指定した溶媒中での酸解離定数などで表します。pHはその溶液の状態を示す量で、酸の強弱だけでなく濃度、共存成分、温度、活量係数などにも左右されます。
問7
pHの数値範囲について、正しいものはどれか。
(1)pH14を超えると必ず中性になる
(2)定義上、必ず0〜14の間だけである
(3)pHは1〜7だけである
(4)0〜14は希薄な水溶液を学ぶ代表範囲で、条件によって0未満や14超もあり得る
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正解:(4)0〜14は希薄な水溶液を学ぶ代表範囲で、条件によって0未満や14超もあり得る
0〜14は25℃付近の希薄な水溶液を扱う基礎学習で便利な範囲です。pHの定義自体がこの範囲へ固定されているわけではありません。高濃度溶液では単純な濃度近似も使えません。
問8
水溶液の中性について、正しいものはどれか。
(1)どの温度でも中性は厳密にpH7
(2)H₃O⁺とOH⁻がつり合う状態で、25℃付近の純水ではpH約7だが中性pHは温度で変わる
(3)pH7なら必ず溶質がない純水
(4)中性ではH₃O⁺もOH⁻も存在しない
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正解:(2)H₃O⁺とOH⁻がつり合う状態で、25℃付近の純水ではpH約7だが中性pHは温度で変わる
中性は水素イオン側と水酸化物イオン側がつり合う状態です。水の自己解離は温度に依存するため、「中性=常にpH7」と条件を外して暗記しません。
問9
弱酸を強塩基で滴定したときの当量点について、正しいものはどれか。
(1)酸と塩基の種類に関係なく必ずpH7
(2)生成した共役塩基の反応により、25℃付近ではpHが7より大きくなることがある
(3)当量点では必ず酸が大過剰
(4)当量点と中性点は常に同じ意味
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正解:(2)生成した共役塩基の反応により、25℃付近ではpHが7より大きくなることがある
当量点は反応量論的に酸と塩基が対応した点です。弱酸と強塩基では共役塩基が水と反応するため、典型的な水溶液滴定の当量点は塩基性側になります。強酸と強塩基の理想的な組合せだけを全例へ広げません。
問10
酸性と消防法上の危険物分類について、正しいものはどれか。
(1)pH7未満ならすべて消防法上の危険物である
(2)酸性物質はすべて第6類である
(3)酸性かどうかだけでは分類できず、品名・性状・濃度や製品情報を確認する
(4)塩基性物質は危険有害性を持たない
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正解:(3)酸性かどうかだけでは分類できず、品名・性状・濃度や製品情報を確認する
硝酸は消防法第6類の品名ですが、消防法の類別は単なる酸性・塩基性の区分ではありません。実際の製品は、法令上の品名と性状、濃度、容器表示、SDSを確認します。
採点後は「強さ・濃度・pH・当量点」を分ける
- 酸・塩基:H+を与えるか、受け取るかで判断する
- 酸・塩基の強さ:指定した溶媒中の解離平衡で比較する
- pH:溶液中の水素イオン活量に基づく尺度として読む
- 中性点:H3O+側とOH−側がつり合う点
- 当量点:滴定で反応量論的に対応した点。必ずしもpH7ではない
酸・塩基を混ぜて確かめない
濃厚な酸・塩基の混合や希釈では大きな発熱、飛散、腐食性蒸気などの危険があります。pHだけで安全性や保護具を決めず、製品SDSと施設手順を確認してください。
例として、厚生労働省の硝酸モデルSDSは酸化性・腐食性、水酸化ナトリウムのモデルSDSは酸との激しい反応や水接触時の発熱を示しています。異常時は退避・119番通報を優先し、自己判断で中和しないでください。
採点後の復習順
- 酸・塩基とpHの解説で定義と中和を確認する
- 物質の分類・化学反応式で電離と係数を確認する
- 第6類危険物で酸性と酸化性の違いを確認する
- 金属・イオン化傾向ミニテストへ進む
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