乙種第4類(引火性液体)

第1石油類とは?ガソリン・アセトン・ベンゼンなど引火点21℃未満の液体を解説

結論から言います

第1石油類とは、1気圧で引火点が21℃未満の引火性液体のことです。

21℃未満ということは、真冬以外はほぼ常温で引火する危険があるということ。つまり「普通に生活している温度帯で火がつく液体」なんです。

ざっくりまとめると:

  • 引火点21℃未満の液体 → 常温で蒸気が出て引火する可能性あり
  • 指定数量:非水溶性 200L水溶性 400L
  • 代表物質:ガソリン、ベンゼン、トルエン、アセトン
  • 取り扱いには十分な注意が必要

ガソリンをイメージすると分かりやすいですね。ガソリンスタンドで給油中にライターを使ったら大事故 ―― あれはまさに「常温で引火する第1石油類」の怖さです。

では、具体的にどんな物質があるのか、それぞれの性質を詳しく見ていきましょう。

第1石油類の定義

消防法別表第一 備考(第4類の分類)
第1石油類とは、アセトン、ガソリンその他1気圧において引火点が21度未満のものをいう。

要するに、「気温が21℃より低い温度でも火がつく液体」ということです。

引火点・発火点・燃焼範囲の違いの記事で解説したとおり、引火点とは「蒸気に火を近づけたときに引火する最低温度」です。21℃未満ということは、春・秋の穏やかな日でも火がつくということですから、取り扱いに要注意な液体ですね。

第4類危険物の共通性質でも触れたとおり、第4類はすべて引火性液体ですが、品名ごとに引火点で細かく分類されています。第1石油類の位置づけを整理すると、こうなります。

品名 引火点
特殊引火物 −20℃以下(+他の条件)
第1石油類 21℃未満
アルコール類 (炭素数で分類)
第2石油類 21℃以上 70℃未満
第3石油類 70℃以上 200℃未満
第4石油類 200℃以上 250℃未満

特殊引火物よりは引火点が高いものの、21℃未満はかなり低いです。春先や秋口の気温でも十分引火する温度帯ですから、取り扱いには常に注意が必要ということですね。

指定数量の解説記事で詳しく触れましたが、第1石油類の指定数量は非水溶性200L・水溶性400L。水溶性は水で薄められるぶん指定数量が大きく設定されています。

非水溶性の物質(指定数量200L)

まずは水に溶けない(非水溶性)の第1石油類から見ていきます。指定数量は200L。ガソリンのドラム缶1本分(200L)がちょうど指定数量というわけです。

ガソリン(最重要!)

第1石油類の中で最も出題されるのがガソリンです。試験ではほぼ確実に出ると思ってください。

ビーカーに入ったガソリン(オレンジ色)
ガソリンはオレンジ色に着色されている。無色の灯油や軽油と区別するためだ
項目 データ
引火点 −40℃以下
発火点 約300℃
沸点 40〜220℃(混合物)
燃焼範囲 1.4〜7.6%
比重 0.65〜0.75
蒸気比重 3〜4
水溶性 溶けない(非水溶性)
ガソリンの試験頻出ポイント

  • 混合物である(単一物質ではない)→ だから沸点に幅がある(40〜220℃)
  • 自動車用ガソリンはオレンジ色に着色されている(灯油や軽油と区別するため)
  • 蒸気比重3〜4 → 空気より重い → 地面を這うように広がる
  • 引火点−40℃以下 → 真冬の屋外でも確実に引火する

「ガソリンと灯油の違い」もよく問われます。見た目はどちらも液体ですが、ガソリンは常温で引火するのに対し、灯油は引火点が40℃以上なので常温では引火しにくい。だからこそガソリンは灯油より厳しく管理されているんですね。

蒸気比重が3〜4ということは、空気の3〜4倍の重さ。ガソリンの蒸気はフワッと上には行かず、地面に沿って低いところに溜まります。地下ピットや側溝に蒸気が溜まって、離れた場所の火種で引火する ―― これが実際の事故パターンです。引火点・発火点の記事で解説した蒸気比重の考え方がここで活きてきますね。

ベンゼン

項目 データ
引火点 −11℃
発火点 498℃
沸点 80℃
比重 0.88
蒸気比重 2.7

ベンゼンは芳香族炭化水素(ほうこうぞくたんかすいそ)の代表格。名前に「芳香」とついているとおり、独特の甘い匂いがします。

ただし、ベンゼンは発がん性がある有毒物質です。甘い匂いにつられて吸い込んではいけません。現在は使用が厳しく制限されています。

もう一つ、試験で狙われやすいのが凝固点(ぎょうこてん)5.5℃という数値。冬場の気温が5℃を下回ると固まることがあるんです。「液体の第4類なのに固まるの?」と意外に感じるかもしれませんが、凝固点が高めの物質はけっこうあります。

トルエン

項目 データ
引火点 4℃
発火点 480℃
沸点 111℃
比重 0.87
蒸気比重 3.1

トルエンは、化学的に言うとベンゼンにメチル基(−CH₃)がくっついた構造です。ベンゼンの親戚みたいなものですね。

塗料や接着剤の溶剤として広く使われていて、シンナーの主成分として聞いたことがある方もいるかもしれません。有毒ですが、ベンゼンほどの発がん性はないとされています。

引火点4℃なので、冬でも暖房が効いた室内なら十分引火します。塗装作業中の換気が重要とされるのは、このためです。

酢酸エチル(さくさんエチル)

項目 データ
引火点 −4℃
発火点 426℃
沸点 77℃
比重 0.90

酢酸エチルは果物のような甘い香りがする液体です。実は、バナナやパイナップルの香りの成分でもあるんですよ。化学的に言うとエステル(酢酸+エタノールの脱水縮合)で、「エステルの香り=フルーティーな香り」は有機化学の基本知識です。

接着剤や塗料の溶剤として使われているほか、食品の香料にも利用されます。

ここで注意したいのが、酢酸エチルは水にわずかに溶けるのですが、分類上は「非水溶性」です。「少し溶ける = 水溶性」ではないんですね。試験ではこの引っかけが出ることがあるので覚えておきましょう。

n-ヘキサン

項目 データ
引火点 −22℃
発火点 225℃
沸点 69℃
比重 0.66

n-ヘキサンは石油エーテルの主成分で、食品工場での油の抽出などに使われる溶剤です。

引火点−22℃と非常に低く、発火点も225℃と他の第1石油類に比べてかなり低い。つまり引火もしやすく、発火もしやすい物質ということです。比重0.66と軽いので水に浮きます。

水溶性の物質(指定数量400L)

次は水に溶ける(水溶性)の第1石油類です。指定数量は400Lで、非水溶性の2倍。水に溶けるぶん、水で希釈して危険度を下げられるという考え方から、指定数量が多めに設定されています。

アセトン

項目 データ
引火点 −20℃
発火点 465℃
沸点 56℃
比重 0.79
蒸気比重 2.0

アセトンはマニキュアの除光液として身近な存在。ツンとした独特の匂いがしますよね。

水にもよく溶けるため水溶性に分類されます。消防法の条文でも「アセトン」が第1石油類の例示として真っ先に挙げられています。

引火点−20℃と非常に低いので、除光液を使うときも火気の近くでは絶対にNG。日常生活でも気をつけたい物質です。

ピリジン

項目 データ
引火点 20℃
発火点 482℃
沸点 115℃
比重 0.98

ピリジンの特徴は何といっても悪臭(不快な刺激臭)。化学の実験で嗅いだことがある人は、忘れられない匂いだと思います。

水に溶ける性質があり、引火点は20℃。第1石油類は「21℃未満」が条件ですから、ピリジンはギリギリで第1石油類に入っている物質です。あと1℃高かったら第2石油類 ―― そう考えると面白いですよね。

非水溶性と水溶性の違い ―― なぜ重要?

「水に溶けるか溶けないか」なんて、試験にそんなに出るの? ―― 実はめちゃくちゃ重要です。理由は大きく2つあります。

理由1:消火時の泡消火剤が変わる

火災を消すとき、液体火災には泡消火剤を使いますが、水溶性の液体に普通の泡をかけると泡が溶けて消えてしまうんです。

区分 使える泡消火剤
非水溶性(ガソリン等) 普通の泡消火剤でOK
水溶性(アセトン等) 耐アルコール泡(水溶性液体用泡)が必要

消火の原理や消火剤の種類については「第4類の消火方法まとめ」で詳しく解説しています。水をかけてはいけない理由と泡消火剤の使い分けを確認しておきましょう。

理由2:指定数量が違う

区分 指定数量
非水溶性 200L
水溶性 400L

水溶性の方が指定数量が大きい(つまり規制がゆるい)のは、水で希釈できるぶん危険度が下がるという考え方からです。

試験対策のコツ:
「非水溶性か水溶性か」を聞く問題は定番です。主要物質だけでも覚えておきましょう。
非水溶性:ガソリン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、n-ヘキサン
水溶性:アセトン、ピリジン

間違えやすい5つの引っかけ

試験でよく引っかかるポイント

1. ガソリンは「無色」と答える
本来は無色だが、安全のためオレンジ色に着色されている

2. アセトンを「非水溶性」と答える
アセトンは水溶性。指定数量は400L

3. ベンゼンの有害性を見落とす
ベンゼンは発がん性あり。トルエンと混同しない

4. トルエンとベンゼンを同一視する
トルエンのほうが毒性が低い。引火点も異なる

5. 酢酸エチルを「水溶性」と答える
エステルで水にわずかに溶けるが、消防法上は非水溶性

試験直前チェックカード

✔ 非水溶性:ガソリン・ベンゼン・トルエン・酢酸エチルセn-ヘキサン(指定数量200L)

✔ 水溶性:アセトン・ピリジン(指定数量400L)

✔ 引火点の範囲:21℃未満(第1石油類の定義)

✔ ガソリン:引火点−40℃以下・発火点約300℃・蒸気比重3~4

✔ ベンゼン:凝固点5.5℃(冬季に凝固する可能性)・発がん性

まとめ問題

ここまでの内容を5問でチェックしましょう!

【問1】第1石油類の定義として正しいものはどれか。

  1. 引火点が0℃未満の液体
  2. 引火点が21℃未満の液体
  3. 引火点が70℃未満の液体
  4. 発火点が100℃以下の液体
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正解:2(引火点が21℃未満の液体)
第1石油類は1気圧で引火点21℃未満の液体です。選択肢1は範囲が狭すぎ、3は第2石油類の上限(70℃未満)を含んでしまいます。4の「発火点100℃以下」は特殊引火物の定義の一部です。

【問2】ガソリンの性質として誤っているものはどれか。

  1. 引火点は−40℃以下である
  2. 蒸気比重は3〜4で低所に溜まりやすい
  3. 単一物質であり沸点は一定である
  4. 自動車用はオレンジ色に着色されている
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正解:3(単一物質であり沸点は一定である)
ガソリンは複数の炭化水素の混合物です。そのため沸点も一定ではなく、40〜220℃と幅があります。「ガソリンは混合物」は試験の定番ポイントなので、しっかり覚えておきましょう。

【問3】水溶性の第1石油類に該当するものはどれか。

  1. ガソリン
  2. トルエン
  3. アセトン
  4. ベンゼン
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正解:3(アセトン)
アセトンは水によく溶けるため水溶性に分類されます。ガソリン・トルエン・ベンゼンはいずれも水に溶けない非水溶性です。アセトンが水溶性の第1石油類の代表格として条文にも例示されている点を押さえましょう。

【問4】ベンゼンの特徴として正しいものはどれか。

  1. 無毒で安全に取り扱える
  2. 凝固点が低く冬でも凍らない
  3. 芳香族炭化水素で発がん性がある
  4. 水によく溶ける
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正解:3(芳香族炭化水素で発がん性がある)
ベンゼンは芳香族炭化水素の代表で、発がん性がある有毒物質です。凝固点は5.5℃と比較的高く、冬場は固まることもあります。水には溶けません(非水溶性)。

【問5】第1石油類に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア. アセトンの指定数量は400Lである
イ. ガソリンの蒸気比重は1より小さく、上方に拡散しやすい
ウ. 酢酸エチルは水にわずかに溶けるため水溶性に分類される
エ. トルエンはベンゼンと異なる物質であり、引火点はベンゼンより高い
オ. ピリジンの引火点は20℃で、第1石油類にギリギリ含まれる

  1. ア・イ・ウ
  2. イ・ウ・エ
  3. ア・エ・オ
  4. ウ・エ・オ
解答を見る

正解:3(ア・エ・オ)

各記述の判定:
ア:正しい — アセトンは水溶性の第1石油類なので指定数量は400Lです。
イ:誤り — ガソリンの蒸気比重は3〜4で空気より重く、低所に溜まります。「上方に拡散」は逆です。
ウ:誤り — 酢酸エチルは水にわずかに溶けますが、分類上は非水溶性(指定数量200L)です。
エ:正しい — トルエン(引火点4℃)はベンゼン(−11℃)にメチル基が付いた別物質で、引火点はトルエンの方が高いです。
オ:正しい — ピリジンの引火点は20℃。「21℃未満」の条件をギリギリ満たしています。

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