芳香族・異性体・重合は「構造」と「反応方式」を分ける
このページは、芳香族化合物、異性体、重合反応を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。
ベンゼンを「単結合と二重結合が高速で入れ替わる分子」と考えず、π電子の非局在化として整理します。重合は、学校で使う付加重合・縮合重合という分類に加え、IUPACの連鎖重合・重縮合の定義も確認します。
芳香族・異性体・重合の確認先
IUPAC Gold Bookの芳香族性、共鳴、構造異性を参照しています。共鳴式は別々の分子が行き来する図ではなく、単一のLewis構造では表し切れない電子状態の寄与構造です。
連鎖重合と重縮合の定義、IUPAC資料のヨウ素価も確認しました。
スチレンは厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のモデルSDSで、引火性、有害性、熱・光・酸化剤等による重合の可能性を確認できます。
ミニテスト10問
問1
ベンゼンの炭素-炭素結合について、最も適切な説明はどれか。
(1)π電子が環状に非局在化し、6本のC-C結合は等価に扱われる
(2)3本の単結合と3本の二重結合が固定されている
(3)単結合型と二重結合型の2分子が高速で入れ替わる
(4)炭素原子間に結合はない
問2
IUPACの芳香族性の説明に合うものはどれか。
(1)環状共役系が電子の非局在化により、仮想的な局在構造より安定化される性質
(2)芳香を感じる有機化合物すべての性質
(3)ベンゼン環を描ける物質は条件なしですべて同じ反応性を示す
(4)炭素数が6なら必ず芳香族になる
問3
キシレンC₆H₄(CH₃)₂の位置異性体は何種類か。
(1)2種類
(2)3種類
(3)4種類
(4)6種類
問4
構造異性体(constitutional isomers)の組合せはどれか。
(1)エタノールCH₃CH₂OHとジメチルエーテルCH₃OCH₃
(2)メタンCH₄とエタンC₂H₆
(3)水H₂Oと過酸化水素H₂O₂
(4)ベンゼンC₆H₆とトルエンC₇H₈
問5
構造異性体と立体異性体の違いとして、適切なものはどれか。
(1)構造異性体は原子のつながり方が異なり、立体異性体はつながり方が同じで空間配置が異なる
(2)どちらも必ず分子式が異なる
(3)立体異性体は同素体と同じ意味である
(4)構造異性体は同一物質の別名だけをいう
問6
スチレンからポリスチレンができる反応の説明として、適切なものはどれか。
(1)反応性末端へモノマーが加わる連鎖重合の代表例である
(2)スチレン分子から必ず水が1分子ずつ外れる
(3)スチレンは重合しない
(4)ポリスチレンはスチレンと同じ低分子である
問7
重縮合(polycondensation)の説明として、IUPACの定義に合うものはどれか。
(1)さまざまな重合度の分子同士が縮合反応し、低モル質量の副生成物を伴って鎖が成長する
(2)C=Cを持つモノマーだけが反応する
(3)開始・成長・停止を持つ連鎖反応だけをいう
(4)高分子を熱分解する反応である
問8
スチレンのモデルSDSに沿う安全上の説明はどれか。
(1)引火性液体で、熱・光・酸化剤・酸素・過酸化物などの影響で重合することがある
(2)不燃性で、加熱しても変化しない
(3)重合反応は危険を伴わないため容器内でも放置できる
(4)においを直接かいで濃度を判定する
問9
ヨウ素価の定義として、正しいものはどれか。
(1)油脂100gが吸収するヨウ素のg数として不飽和度を表す
(2)油脂1molに含まれるヨウ素原子数
(3)油脂を中和するKOHのg数
(4)油脂の引火点を℃で表す
問10
トルエン・フェノール・安息香酸の構造の説明として、正しいものはどれか。
(1)ベンゼン環にそれぞれメチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基が結合する
(2)3物質は同じ分子式の異性体である
(3)3物質はすべて同じ官能基を持つ
(4)フェノールはベンゼン環にエチル基が結合した物質である
採点後は3本の軸で整理する
- 電子構造:ベンゼンは固定二重結合ではなくπ電子の非局在化
- 異性:分子式、原子の連結関係、空間配置の順に確認
- 重合方式:モノマーの見た目だけでなく、鎖が成長する仕組みと副生成物を確認
- 安全:モノマーの引火性・有害性・意図しない重合をSDSで確認
芳香族溶剤・重合反応を実物で試さない
ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、フェノール等には引火性や健康有害性があります。においを直接かぐ、加熱する、試薬を混ぜる、重合を試す行為は避け、実務では製品SDSと施設手順に従ってください。
採点後の復習順
- 有機化学の応用で芳香族・高分子を確認する
- 有機化合物の基礎で官能基へ戻る
- 有機化合物・官能基ミニテストで構造式を復習する
- 第4石油類・動植物油類でヨウ素価と蓄熱条件を確認する
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