結論から言います
屋内貯蔵所と屋外貯蔵所は、どちらも危険物を「保管しておく」ための施設ですが、中身のルールはまるで違います。
ざっくりまとめると――
屋外貯蔵所:屋根なしで危険物を保管する施設。ただし貯蔵できる危険物が限定されているのが最大の特徴。ガソリンは置けません!
試験では「どの施設にどんな構造基準があるか」「屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物はどれか」がよく出ます。特に屋外貯蔵所の "貯蔵できる・できない" の線引きはひっかけ問題の定番です。
それでは、それぞれの基準を詳しく見ていきましょう。
屋内貯蔵所とは?
屋内貯蔵所は、建物の中で危険物を容器に入れて保管する施設です。工場や倉庫の敷地内に「危険物専用の保管庫」を建てて、そこにドラム缶やポリタンクなどに入った危険物を置いておくイメージですね。

「製造所等の区分 — 3種12施設をわかりやすく完全整理」でも紹介した通り、屋内貯蔵所は7種類ある貯蔵所のうちのひとつです。
ポイントは、タンクではなく容器で保管するということ。タンクに入れて保管する場合は「屋内タンク貯蔵所」という別の施設になります。
屋内貯蔵所の構造基準(政令 第10条)
屋内貯蔵所の建物には、かなり細かい構造基準が定められています。ひとつずつ見ていきましょう。
1. 独立した専用の建物であること
屋内貯蔵所は他の用途と兼用できません。「1階が事務所で2階が危険物倉庫」とか「工場の一角を仕切って使う」というのはNG。危険物を保管するためだけの、独立した建物が必要です。
理由はシンプルで、万が一の火災・爆発のときに被害を最小限にするためです。
2. 地階を設けないこと
地下室は禁止です。危険物の蒸気は空気より重いものが多く、地下に溜まると爆発の危険が跳ね上がります。さらに、地下だと消火活動もやりにくい。だから地階はダメ、というわけです。
3. 軒高6m未満・床面積1,000㎡以下
建物のサイズにも上限があります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 軒高(のきだか) | 6m未満 |
| 床面積 | 1,000㎡以下 |
「軒高」というのは、地面から屋根の軒(のき=屋根が外壁から飛び出した部分の下端)までの高さのこと。要するに「あまり高い建物にするな」ということです。高すぎると火災時に消防隊が対応しにくくなりますからね。
4. 壁・柱・床 — 耐火構造 or 不燃材料
壁・柱・床は耐火構造、または不燃材料で造ることが求められます。木造はNG。火に強い材料で建てることで、外部からの延焼を防ぎ、内部の火災が広がるのも抑えます。
5. 屋根 — 不燃材料+軽量な金属板でふく
これは製造所の屋根と同じ考え方です。
- 屋根は不燃材料で造り、軽量な金属板などでふく
- はりは不燃材料
- 天井は設けない
なぜ屋根を「軽い材料」にするのか? 万が一、爆発が起きたときに爆風が上方向に抜けるようにするためです。重い屋根だと爆風が横に広がって、被害が拡大してしまいます。
天井を設けないのも同じ理由。天井があると爆風の逃げ場がなくなり、建物全体が吹き飛ぶ危険があります。
覚え方のコツ
「屋根は軽く、天井はなし」= 爆発したら上に抜けてくれ!というルール。製造所もまったく同じ構造です。
6. 窓・出入口 — 防火設備、ガラスは網入り
窓や出入口のドアは防火設備(防火戸など)にする必要があります。ガラスを使う場合は網入りガラス。熱でガラスが割れても、網があることで飛散や延焼を防ぎます。
7. 床 — 液体が浸み込まない+傾斜+貯留設備
床には3つの要件があります。
- 浸透しない構造:コンクリートなどで液体が地面に浸み込まないようにする
- 適当な傾斜:こぼれた液体が一か所に流れるようにする
- 貯留設備(ためます):流れてきた液体を溜めて外に漏れないようにする
危険物は液体が多いので、万が一こぼれても外部に流出しない仕組みが必要なんですね。
8. 棚を設ける場合 — 不燃材料
容器を棚に並べて保管する場合、その棚は不燃材料で造らなければいけません。木製ラックはNGです。
9. 採光・照明・換気設備
屋内貯蔵所には採光(自然光を取り入れる窓など)・照明・換気の設備が必要です。暗い倉庫だと作業時に事故が起きやすく、換気が悪いと可燃性蒸気が充満してしまいます。
10. 避雷設備 — 指定数量の倍数10以上で必要
指定数量の倍数が10以上の場合は、避雷設備(避雷針)を設けなければなりません。大量の危険物を保管している場所に雷が落ちたら大惨事になりかねないので、当然のルールですね。
倍数が10未満の小規模な貯蔵所には必要ありません。「指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説」で倍数の計算方法を確認しておきましょう。
屋内貯蔵所の構造基準まとめ
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 建物 | 独立した専用建物 |
| 地階 | 設けない |
| 軒高・床面積 | 6m未満・1,000㎡以下 |
| 壁・柱・床 | 耐火構造 or 不燃材料 |
| 屋根 | 不燃材料+軽量金属板 |
| 天井 | 設けない |
| 窓・出入口 | 防火設備、網入りガラス |
| 床 | 浸透防止+傾斜+貯留設備 |
| 棚 | 不燃材料 |
| 採光・照明・換気 | 必要 |
| 避雷設備 | 倍数10以上で必要 |
屋内貯蔵所の貯蔵基準
建物の構造だけでなく、「どうやって保管するか」にもルールがあります。
容器の積み重ね高さは3m以下
ドラム缶やポリタンクなどの容器を積み重ねる場合、その高さは原則3m以下です。高く積みすぎると倒れて容器が破損し、危険物が漏れ出す恐れがありますからね。

類別・品名ごとに区分して貯蔵
危険物は類別・品名ごとにきちんと分けて貯蔵しなければいけません。「ここは第4類の灯油コーナー」「ここは第2類の硫黄コーナー」というように区分します。
同じ貯蔵所の中で異なる類の危険物を一緒に貯蔵することは原則禁止です。第1類(酸化性固体)と第2類(可燃性固体)を同じ場所に置いたら、接触して大惨事になりかねません。ただし、組み合わせによっては例外的に一緒に貯蔵できるケースもあります。
屋外貯蔵所とは?
ここからは屋外貯蔵所です。屋外貯蔵所は、屋根のない屋外の場所で危険物を保管する施設です。
「屋根なしで危険物を置いておくの?」と思うかもしれませんが、すべての危険物を置けるわけではありません。ここが最大のポイントです。
屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物(政令 第16条)
屋外貯蔵所には貯蔵できる危険物が限定されているという、他の貯蔵所にはない大きな特徴があります。試験での出題頻度が非常に高いので、しっかり押さえましょう。
貯蔵できる危険物の一覧
| 類 | 貯蔵できるもの |
|---|---|
| 第2類 | 硫黄(いおう)、硫黄のみを含む引火性固体(引火点0℃以上のもの) |
| 第4類 | 第1石油類(引火点0℃以上)、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類 |
つまり、第2類と第4類の一部だけが屋外貯蔵所で保管できます。第1類・第3類・第5類・第6類は屋外貯蔵所に置けません。
「引火点0℃以上」がカギ
上の表をよく見ると、第4類の中でも引火点が低すぎるものは除外されているのがわかります。
・特殊引火物(二硫化炭素、ジエチルエーテルなど)
・第1石油類のうち引火点0℃未満のもの(ガソリン=引火点 −40℃、アセトン=引火点 −20℃ など)
屋外は風通しがよい反面、火気や日光に直接さらされます。引火点が極端に低い危険物を屋外に放置すると、わずかな火花で引火してしまう。だから引火点が低すぎるものは屋外に置いちゃダメ、ということです。
引火点について詳しくは「引火点・発火点・燃焼範囲の違いをわかりやすく解説!」をどうぞ。
超頻出のひっかけ問題パターン
試験では「この危険物は屋外貯蔵所で貯蔵できるか?」という問題が定番中の定番です。代表的なものを整理しておきます。
| 危険物 | 屋外貯蔵所 | 理由 |
|---|---|---|
| ガソリン | 置けない | 第1石油類だが引火点 −40℃(0℃未満) |
| 二硫化炭素 | 置けない | 特殊引火物(引火点 −30℃) |
| アセトン | 置けない | 第1石油類だが引火点 −20℃(0℃未満) |
| 灯油 | 置ける | 第2石油類(引火点 約40℃) |
| 軽油 | 置ける | 第2石油類(引火点 約45℃) |
| 重油 | 置ける | 第3石油類 |
| 硫黄 | 置ける | 第2類(固体で安定性が高い) |
覚え方のコツ
「引火点0℃が境界線」と覚えましょう。0℃以上なら屋外OK、0℃未満は屋外NG。ガソリン(−40℃)は真冬でも余裕で引火する超危険な液体なので、屋根なしの屋外には置けないわけです。
各物質の引火点を確認したい方は「特殊引火物とは?」や「第1石油類とは?」もチェックしてみてください。
屋外貯蔵所の構造基準
屋外貯蔵所は建物がないぶん、構造基準は屋内貯蔵所ほど多くありません。ただし押さえておくべきポイントはあります。
1. 場所の選定
湿潤(しつじゅん)な場所や湧水(ゆうすい)のある場所を避けること。水分が多い場所だと、水と反応する危険物(第3類の禁水性物質など)はもちろん危険ですし、容器の腐食も進みやすくなります。
2. 柵や塀で区画する
屋外貯蔵所の周囲は柵(さく)や塀(へい)で区画しなければいけません。外部の人や車両が勝手に入らないようにするためです。
3. 架台(かだい)を設ける場合
容器を地面に直接置くのではなく架台(棚のような台)に載せる場合は、不燃材料で造り、堅固な基礎に固定する必要があります。風で倒れたり、地震で崩れたりしないようにするためです。
4. 保安距離・保有空地が必要
屋外貯蔵所は、「保安距離と保有空地」が必要な5施設のうちのひとつです。周囲の住宅や学校から一定の距離を確保し、消防活動のための空きスペースも必要になります。
屋内貯蔵所と屋外貯蔵所の比較
最後に、2つの貯蔵所の違いを表で整理しておきましょう。
| 項目 | 屋内貯蔵所 | 屋外貯蔵所 |
|---|---|---|
| 建物 | 専用の独立建物 | 建物なし(屋外) |
| 貯蔵できる危険物 | 制限なし(全類OK) | 第2類・第4類の一部のみ |
| 保安距離・保有空地 | 必要 | 必要 |
・軒高6m未満・床面積1,000㎡以下
・容器の積み重ね高さ 3m以下
・屋根は軽量な不燃材料(製造所と同じ理屈)
・保安距離・保有空地 必要
【屋外貯蔵所】
・貯蔵できる危険物は限定的(引火点0℃以上のみ)
・ガソリン・特殊引火物は貯蔵NG(引火点が低すぎる)
・保安距離・保有空地 必要
【両方の共通点】
・どちらも「容器に入れて」貯蔵する施設(タンクではない)
まとめ問題
ここまでの内容を理解できたか、チェックしてみましょう!
【問題1】屋内貯蔵所の構造について、正しいものはどれか。
(1)屋内貯蔵所の建物の軒高は、8m未満としなければならない。
(2)屋内貯蔵所には、天井を設けなければならない。
(3)屋内貯蔵所の屋根は、不燃材料で造り、軽量な金属板等でふかなければならない。
(4)屋内貯蔵所の棚は、木材で造ることができる。
(5)屋内貯蔵所には、地階を設けることができる。
【問題2】屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物として、正しいものはどれか。
(1)ガソリン
(2)二硫化炭素
(3)アセトン
(4)灯油
(5)ジエチルエーテル
【問題3】屋内貯蔵所における危険物の貯蔵について、誤っているものはどれか。
(1)容器を積み重ねる場合、積み重ね高さは3m以下としなければならない。
(2)類別・品名ごとに区分して貯蔵しなければならない。
(3)指定数量の倍数が10以上の場合、避雷設備を設けなければならない。
(4)異なる類の危険物を同じ貯蔵所で一緒に貯蔵することは、一切禁止されている。
(5)床は、危険物が浸透しない構造としなければならない。
【問題4】屋外貯蔵所について、誤っているものはどれか。
(1)屋外貯蔵所では、第1類の危険物を貯蔵することはできない。
(2)屋外貯蔵所には、保安距離と保有空地が必要である。
(3)架台を設ける場合は、不燃材料で造り、堅固な基礎に固定しなければならない。
(4)屋外貯蔵所では、第4類の危険物であればすべて貯蔵することができる。
(5)屋外貯蔵所は、湿潤な場所や湧水のある場所を避けて設置しなければならない。
【問題5】次の危険物のうち、屋外貯蔵所で貯蔵できるものの組み合わせとして正しいものはどれか。
A:硫黄 B:重油 C:ナトリウム D:過酸化水素 E:軽油
(1)A と B と E
(2)A と C と D
(3)B と D と E
(4)A と B と D
(5)C と D と E
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