引火点・発火点・燃焼範囲を10問で区別する
このページは、引火点、発火点(自然発火温度)、燃焼範囲を確認する4択のオリジナル問題です。公式過去問題の転載ではありません。最初に3つの用語を区別し、その後で公的なモデルSDSの数値を読み取ります。
物性値は、純物質か混合物か、測定方法、温度・圧力、参照資料によって差が生じます。数値だけを固定して並べるのではなく、何の値か・どの条件か・どの製品かを一緒に確認してください。
公式問題と公的SDSを確認する
実際の出題範囲は消防試験研究センター「過去に出題された問題」で確認できます。個別物質の参考値は、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」の二硫化炭素、ジエチルエーテル、エタノール、ガソリンのモデルSDSを参照しています。
モデルSDSは学習上の確認先です。実務では、手元の製品名・濃度・製品番号を特定し、メーカーが交付する最新SDSを優先してください。
| 用語 | 確認するもの | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 引火点 | 点火源を近づけたときに引火する蒸気を生じる最低の液温 | 液体そのものが自然に燃え出す温度ではない |
| 発火点 (自然発火温度) |
外部の火炎・火花を直接与えなくても発火する温度 | 引火点との大小は単純に連動しない |
| 燃焼範囲 (爆発範囲) |
空気中で火炎が伝わり得る可燃性蒸気濃度の下限〜上限 | 範囲外でも漏えい現場へ近づいてよいという意味ではない |
ミニテスト10問
問1
引火点の説明として、最も適切なものはどれか。
(1)液体が沸騰を始める温度
(2)点火源を近づけたときに引火する蒸気を生じる最低の液温
(3)点火源なしで発火する最低温度
(4)蒸気濃度が必ず上限界を超える温度
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正解:(2)点火源を近づけたときに引火する蒸気を生じる最低の液温
引火点は、所定の試験条件で点火源を近づけたとき、引火する蒸気を生じる最低の液温です。沸点や自然発火温度とは別の物性です。測定方法には密閉式などがあり、SDSの測定条件も確認します。
問2
発火点(自然発火温度)の説明として、最も適切なものはどれか。
(1)外部の火炎・火花を直接与えなくても発火する温度
(2)液体が凝固する温度
(3)可燃性蒸気の濃度下限
(4)引火後に必ず燃焼が継続する最低液温
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正解:(1)外部の火炎・火花を直接与えなくても発火する温度
自然発火温度は、外部の火炎や火花を直接与えなくても、所定条件で物質が発火する温度です。引火点が低い物質ほど自然発火温度も必ず低い、という関係ではありません。
問3
燃焼範囲(爆発範囲)の説明として、正しいものはどれか。
(1)液体の温度範囲
(2)空気中で火炎が伝わり得る可燃性蒸気濃度の下限から上限
(3)消火剤が使える濃度範囲
(4)法令上の指定数量の範囲
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正解:(2)空気中で火炎が伝わり得る可燃性蒸気濃度の下限から上限
下限より薄い混合気は燃料不足、上限より濃い混合気は通常は酸素不足で火炎が伝わりにくくなります。ただし、漏えい後の希釈や換気で濃度が範囲内へ移ることがあるため、「上限超過なら安全」とは判断できません。
問4
SDSの引火点欄にある「c.c.」や「密閉式」を読むとき、適切な考え方はどれか。
(1)密閉式の測定値であり、測定方法も数値と一緒に確認する
(2)自然発火温度と同じ意味
(3)濃度の単位vol%を示す
(4)どの製品でも同じ値になることを示す
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正解:(1)密閉式の測定値であり、測定方法も数値と一緒に確認する
c.c.はclosed cup(密閉式)の表記です。引火点は測定方法、試料の組成、参照資料で差が出ることがあるため、数値だけを切り離さずに読みます。
問5
二硫化炭素のモデルSDSに記載された組合せはどれか。
(1)引火点−30℃(密閉式)・自然発火温度90℃・燃焼範囲0.6〜60vol%
(2)引火点13℃・自然発火温度363℃・燃焼範囲3.3〜19vol%
(3)引火点−45℃・自然発火温度175℃・燃焼範囲1.7〜48vol%
(4)引火点−30℃・自然発火温度363℃・燃焼範囲1.7〜48vol%
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正解:(1)引火点−30℃(密閉式)・自然発火温度90℃・燃焼範囲0.6〜60vol%
厚生労働省モデルSDSの第9項にある参考値です。旧教材や別資料では燃焼範囲に異なる値が掲載されることがあるため、この問題ではリンク先SDSの値を答えます。「第4類で必ず最小・最大」と範囲を限定せず、資料名と一緒に確認してください。
問6
ジエチルエーテルのモデルSDSに記載された組合せはどれか。
(1)引火点13℃・自然発火温度363℃・燃焼範囲3.3〜19vol%
(2)引火点−45℃(密閉式)・自然発火温度175℃・燃焼範囲1.7〜48vol%
(3)引火点−30℃・自然発火温度90℃・燃焼範囲0.6〜60vol%
(4)引火点−45℃・自然発火温度90℃・燃焼範囲0.6〜60vol%
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正解:(2)引火点−45℃(密閉式)・自然発火温度175℃・燃焼範囲1.7〜48vol%
同モデルSDSでは、沸点35℃、引火点−45℃(密閉式)、自然発火温度175℃、燃焼範囲1.7〜48vol%です。古い暗記表の160℃や1.9〜36vol%を無条件に固定せず、参照したSDSの版・出典を確認します。
問7
エタノールのモデルSDSに記載された組合せはどれか。
(1)引火点13℃(密閉式)・自然発火温度363℃・燃焼範囲3.3〜19%
(2)引火点11℃・自然発火温度385℃・燃焼範囲0.6〜60%
(3)引火点−20℃・自然発火温度465℃・燃焼範囲1.7〜48%
(4)引火点13℃・自然発火温度90℃・燃焼範囲1.3〜6.0%
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正解:(1)引火点13℃(密閉式)・自然発火温度363℃・燃焼範囲3.3〜19%
厚生労働省モデルSDSに記載された純物質の参考値です。アルコール製品は水分・添加物・濃度が異なるため、消毒用製品や混合製品へ同じ値をそのまま当てはめません。
問8
ガソリンの物性値を学ぶとき、最も適切な説明はどれか。
(1)ガソリンは混合物なので、製品・組成や参照資料を確認する
(2)どのガソリンも引火点と燃焼範囲が小数第1位まで同一
(3)発火点が分かれば引火点は計算できる
(4)燃焼範囲が狭ければ静電気対策は不要
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正解:(1)ガソリンは混合物なので、製品・組成や参照資料を確認する
厚生労働省のモデルSDSには引火点−45℃、爆発範囲1.3〜6.0vol%、自然発火温度約300℃の例があり、消防試験研究センターの公開問題では燃焼範囲を「おおむね1〜8vol%」として扱う例があります。試験問題の条件と、手元の製品SDSを分けて確認してください。
問9
室温20℃で、引火点13℃のエタノールを考えるとき、適切な説明はどれか。
(1)必ず自然発火する
(2)点火源がなくても13℃で燃え続ける
(3)引火可能な蒸気を生じ得るため、着火源管理などが必要
(4)燃焼範囲を超えることが保証される
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正解:(3)引火可能な蒸気を生じ得るため、着火源管理などが必要
室温が引火点を上回ることは、点火源があれば引火し得る蒸気を生じる条件の一つです。自然発火温度へ達したという意味ではなく、蒸気濃度が常に燃焼範囲内になる保証でもありません。
問10
引火点・自然発火温度・燃焼範囲を安全に確認する方法として、最も適切なものはどれか。
(1)少量を点火して確かめる
(2)容器を開けて蒸気の濃さを臭いで判断する
(3)製品表示と最新SDS第9項を確認し、実物では試さない
(4)同じ法令区分なら他物質の数値を流用する
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正解:(3)製品表示と最新SDS第9項を確認し、実物では試さない
点火、加熱、蒸気の吸入、混合による確認は危険です。製品名・濃度・製品番号を特定し、メーカーSDS第9項、施設の安全手順、必要に応じて所轄消防の指導を確認してください。
採点後は「値・条件・意味」をセットにする
- 値:引火点、自然発火温度、燃焼範囲のどれか
- 条件:密閉式か、純物質か混合物か、どのSDS・製品か
- 意味:点火源が必要か、濃度範囲か、実務で何を管理するか
「引火点が最低」「燃焼範囲が最大」のような順位は、比較対象と参照資料を示さないと断定できません。試験では設問の条件に従い、実務では手元の製品SDSへ戻る習慣をつけてください。
物性値を実物で確かめない
危険物の点火・加熱、蒸気の採取、臭いによる判定はしないでください。漏えい、異臭、発煙、火災時は近づかず、安全確保・避難・119番通報を優先し、製品SDS、施設の緊急時手順、消防機関の指示に従ってください。
採点後の復習順
- 引火点・発火点・燃焼範囲の解説で3用語を整理する
- 特殊引火物で法令上の定義と代表物質を確認する
- 液比重・蒸気比重ミニテストで別の物性値との混同をなくす
- 燃焼・消火・静電気ミニテストで着火源管理を復習する
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