法令(共通)

屋内貯蔵所・屋外貯蔵所の基準をわかりやすく解説!貯蔵できる危険物の条件も

結論から言います

屋内貯蔵所屋外貯蔵所は、どちらも危険物を「保管しておく」ための施設ですが、中身のルールはまるで違います。

ざっくりまとめると――

屋内貯蔵所:建物の中に危険物を保管する施設。構造基準が細かく定められている(建物、空地、屋根、床、換気設備など)

屋外貯蔵所:屋根なしで危険物を保管する施設。ただし貯蔵できる危険物が限定されているのが最大の特徴。ガソリンのように引火点が0℃未満の第1石油類は対象外です。

試験では「どの施設にどんな構造基準があるか」「屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物はどれか」がよく出ます。特に屋外貯蔵所の "貯蔵できる・できない" の線引きはひっかけ問題の定番です。

それでは、それぞれの基準を詳しく見ていきましょう。

屋内貯蔵所とは?

屋内貯蔵所は、建物の中で危険物を容器に入れて保管する施設です。工場や倉庫の敷地内に「危険物専用の保管庫」を建てて、そこにドラム缶やポリタンクなどに入った危険物を置いておくイメージですね。

屋内貯蔵所の外観(危険物 屋内貯蔵所の看板、火気厳禁・立入禁止の掲示)
屋内貯蔵所の外観。「危険物 屋内貯蔵所」の看板、火気厳禁・立入禁止の掲示、消火器が設置されている

「製造所等の区分 — 3種12施設をわかりやすく完全整理」でも紹介した通り、屋内貯蔵所は7種類ある貯蔵所のうちのひとつです。

ポイントは、タンクではなく容器で保管するということ。タンクに入れて保管する場合は「屋内タンク貯蔵所」という別の施設になります。

公式情報で確認するポイント

屋内貯蔵所の位置・構造・設備は危険物政令第10条、屋外貯蔵所の位置・構造・設備は第16条で確認できます。屋外貯蔵所で扱える危険物の範囲は、同令第2条の貯蔵所区分にも定められています。

e-Gov法令検索で危険物の規制に関する政令を確認する

屋内貯蔵所の構造基準(政令 第10条)

屋内貯蔵所の建物には、危険物政令第10条で位置・構造・設備の基準が定められています。試験で問われやすい部分を中心に確認しましょう。

1. 独立した専用の建物であること

屋内貯蔵所は原則として独立した専用の建築物とします。「1階が事務所で2階が危険物倉庫」「工場の一角を仕切って使う」といった形ではなく、危険物を保管するための専用建物として押さえましょう。

理由はシンプルで、万が一の火災・爆発のときに被害を最小限にするためです。

2. 地階を設けないこと

屋内貯蔵所の貯蔵倉庫は、床を地盤面以上に設けるのが基本です。可燃性蒸気が低い場所に滞留しやすいことや、火災時の対応を考えると、地階に危険物を置く構造は避けるべきものとして理解できます。

3. 軒高6m未満・床面積1,000㎡以下

建物のサイズにも上限があります。

項目 基準
軒高(のきだか) 6m未満
床面積 1,000㎡以下

「軒高」というのは、地面から屋根の軒(のき=屋根が外壁から飛び出した部分の下端)までの高さのこと。要するに「あまり高い建物にするな」ということです。高すぎると火災時に消防隊が対応しにくくなりますからね。

試験の数字:「軒高6m未満」「床面積1,000㎡以下」はセットで覚えましょう。どちらかだけ変えたひっかけ問題が出ます。

4. 壁・柱・床・はり — 原則は耐火構造と不燃材料

原則として、貯蔵倉庫の壁・柱・床は耐火構造はりは不燃材料で造ります。指定数量の倍数が10以下の場合など、条件によって一部を不燃材料とできる例外もありますが、まずは「壁・柱・床は耐火、はりは不燃」と整理すると試験で扱いやすいです。

5. 屋根 — 原則は不燃材料+軽量な金属板でふく

原則は製造所の屋根と同じ考え方です。ただし、危険物の種類によっては、屋根を耐火構造にできる場合や、温度管理のために難燃性・不燃材料の天井を設けられる場合があります。

  • 屋根は不燃材料で造り、軽量な金属板などでふく
  • はりは不燃材料
  • 天井は設けない

なぜ屋根を「軽い材料」にするのか? 万が一、爆発が起きたときに爆風が上方向に抜けるようにするためです。重い屋根だと爆風が横に広がって、被害が拡大してしまいます。

天井を設けないのも同じ理由。天井があると爆風の逃げ場がなくなり、建物全体が吹き飛ぶ危険があります。

覚え方のコツ

屋根は軽く、天井はなし」= 爆発時の圧力を上方向へ逃がす考え方です。製造所の基準とも共通しています。

6. 窓・出入口 — 防火設備、ガラスは網入り

窓や出入口のドアは防火設備(防火戸など)にする必要があります。延焼のおそれのある外壁に設ける出入口は、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備とします。ガラスを使う場合は網入りガラスです。

7. 床 — 液体が浸み込まない+傾斜+貯留設備

床には3つの要件があります。

  • 浸透しない構造:コンクリートなどで液体が地面に浸み込まないようにする
  • 適当な傾斜:こぼれた液体が一か所に流れるようにする
  • 貯留設備(ためます):流れてきた液体を溜めて外に漏れないようにする

液状の危険物では、万が一こぼれても外部に流出しない仕組みが必要です。禁水性物品などでは、水が床面に浸入・浸透しない構造も重要になります。

8. 棚を設ける場合 — 不燃材料

容器を棚に並べて保管する場合、その棚は不燃材料で造らなければいけません。木製ラックは認められません。

9. 採光・照明・換気・排出設備

屋内貯蔵所には採光(自然光を取り入れる窓など)・照明・換気の設備が必要です。さらに、引火点70℃未満の危険物を貯蔵する倉庫では、内部に滞留した可燃性蒸気を屋根上へ排出する設備も求められます。

10. 避雷設備 — 指定数量の倍数10以上が原則

指定数量の倍数が10以上の貯蔵倉庫には、原則として避雷設備を設けます。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合は例外です。

倍数が10未満の小規模な貯蔵所には必要ありません。「指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説」で倍数の計算方法を確認しておきましょう。

屋内貯蔵所の構造基準まとめ

項目 基準
建物 独立した専用建物
地階 設けない
軒高・床面積 6m未満・1,000㎡以下
壁・柱・床・はり 原則、壁・柱・床は耐火構造、はりは不燃材料。小規模等では一部例外あり
屋根 不燃材料+軽量金属板
天井 設けない
窓・出入口 防火設備、網入りガラス。延焼外壁の出入口は自動閉鎖の特定防火設備
浸透防止+傾斜+貯留設備
不燃材料
採光・照明・換気・排出 採光・照明・換気が必要。引火点70℃未満は可燃性蒸気を屋根上へ排出
避雷設備 倍数10以上で設置。周囲の状況により安全上支障がない場合は例外

屋内貯蔵所の貯蔵基準

建物の構造だけでなく、「どうやって保管するか」にもルールがあります。

容器の積み重ね高さは3m以下

ドラム缶やポリタンクなどの容器を積み重ねる場合、その高さは原則3m以下です。高く積みすぎると倒れて容器が破損し、危険物が漏れ出す恐れがありますからね。

屋内貯蔵所の内部(ラックに整然と並ぶドラム缶、火気厳禁・換気扇の掲示)
屋内貯蔵所の内部。ドラム缶がラックに整然と並び、換気設備・火気厳禁の掲示が確認できる
ひっかけ注意:「6m以下」「5m以下」など数値を変えた選択肢が出ます。正解は3m以下です。

類別・品名ごとに区分して貯蔵

危険物は類別・品名ごとにきちんと分けて貯蔵しなければいけません。「ここは第4類の灯油コーナー」「ここは第2類の硫黄コーナー」というように区分します。

同じ貯蔵所の中で異なる類の危険物を一緒に貯蔵することは原則禁止です。第1類(酸化性固体)と第2類(可燃性固体)を同じ場所に置いたら、接触して大惨事になりかねません。ただし、組み合わせによっては例外的に一緒に貯蔵できるケースもあります。

屋外貯蔵所とは?

ここからは屋外貯蔵所です。屋外貯蔵所は、屋根のない屋外の場所で危険物を保管する施設です。

「屋根なしで危険物を置いておくの?」と思うかもしれませんが、すべての危険物を置けるわけではありません。ここが最大のポイントです。

屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物(政令 第16条)

屋外貯蔵所には貯蔵できる危険物が限定されているという、他の貯蔵所にはない大きな特徴があります。試験での出題頻度が非常に高いので、しっかり押さえましょう。

貯蔵できる危険物の一覧

貯蔵できるもの
第2類 硫黄、硫黄のみを含有するもの、引火性固体(引火点0℃以上のもの)
第4類 第1石油類(引火点0℃以上)、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類

つまり、屋外貯蔵所として貯蔵・取り扱いできる危険物は、第2類と第4類の一部に限定されています。第1類・第3類・第5類・第6類は屋外貯蔵所の対象外です。

「引火点0℃以上」がカギ

上の表をよく見ると、第4類の中でも引火点が低すぎるものは除外されているのがわかります。

屋外貯蔵所に置けない第4類の危険物:
特殊引火物(二硫化炭素、ジエチルエーテルなど)
第1石油類のうち引火点0℃未満のもの(ガソリン=引火点 −40℃、アセトン=引火点 −20℃ など)

屋外は風通しがよい反面、火気や日光の影響を受けやすい場所です。引火点が極端に低い危険物は、わずかな点火源でも引火しやすいため、屋外貯蔵所の対象から外されています。

引火点について詳しくは「引火点・発火点・燃焼範囲の違いをわかりやすく解説!」をどうぞ。

よく出るひっかけ問題パターン

試験では「この危険物は屋外貯蔵所で貯蔵できるか?」という問題が定番中の定番です。代表的なものを整理しておきます。

危険物 屋外貯蔵所 理由
ガソリン 置けない 第1石油類だが引火点 −40℃(0℃未満)
二硫化炭素 置けない 特殊引火物(引火点 −30℃)
アセトン 置けない 第1石油類だが引火点 −20℃(0℃未満)
灯油 置ける 第2石油類(引火点 約40℃)
軽油 置ける 第2石油類(引火点 約45℃)
重油 置ける 第3石油類
硫黄 置ける 第2類(固体で安定性が高い)

覚え方のコツ

引火点0℃が境界線」と覚えましょう。第1石油類は引火点0℃以上なら対象になり得ますが、0℃未満は対象外です。第一石油類やアルコール類などでは、危険物の性質に応じた追加基準が定められる場合もあります。

各物質の引火点を確認したい方は「特殊引火物とは?」「第1石油類とは?」もチェックしてみてください。

屋外貯蔵所の構造基準

屋外貯蔵所は建物がないぶん、構造基準は屋内貯蔵所ほど多くありません。ただし押さえておくべきポイントはあります。

1. 場所の選定

屋外貯蔵所は、湿潤でなく、排水のよい場所に設置します。水分が残りやすい場所では、容器の腐食や危険物の性状に応じたリスクが高くなるため、立地条件も重要な基準です。

2. 柵や塀で区画する

屋外貯蔵所の周囲は柵(さく)や塀(へい)で区画しなければいけません。外部の人や車両が勝手に入らないようにするためです。

3. 架台(かだい)を設ける場合

容器を地面に直接置くのではなく架台(棚のような台)に載せる場合は、総務省令で定める構造・設備に適合させます。試験では、架台を設ける場合にも転倒・崩落を防ぐ構造が求められる点を押さえましょう。

4. 保安距離・保有空地が必要

屋外貯蔵所は、「保安距離と保有空地」が必要な5施設のうちのひとつです。周囲の住宅や学校から一定の距離を確保し、消防活動のための空きスペースも必要になります。

屋内貯蔵所と屋外貯蔵所の比較

最後に、2つの貯蔵所の違いを表で整理しておきましょう。

項目 屋内貯蔵所 屋外貯蔵所
建物 専用の独立建物 建物なし(屋外)
貯蔵できる危険物 屋外貯蔵所のような類別限定はない(性質に応じた特例あり) 第2類・第4類の一部のみ
保安距離・保有空地 必要 必要
保安距離・保有空地が必要な5施設(復習):製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所。詳しくは「保安距離と保有空地」の記事で確認できます。
試験直前チェック ── 屋内・屋外貯蔵所の暗記ポイント
【屋内貯蔵所】
・軒高6m未満・床面積1,000㎡以下
・容器の積み重ね高さ 3m以下
・屋根は軽量な不燃材料(製造所と同じ理屈)
・保安距離・保有空地 必要

【屋外貯蔵所】
・貯蔵できる危険物は第2類・第4類の一部(第1石油類は引火点0℃以上など)
ガソリン・特殊引火物は対象外
・保安距離・保有空地 必要

【両方の共通点】
・どちらも「容器に入れて」貯蔵する施設(タンクではない)

まとめ問題

ここまでの内容を確認しておきましょう。

【問題1】屋内貯蔵所の構造について、正しいものはどれか。

(1)屋内貯蔵所の建物の軒高は、8m未満としなければならない。
(2)屋内貯蔵所には、天井を設けなければならない。
(3)屋内貯蔵所の屋根は、不燃材料で造り、軽量な金属板等でふかなければならない。
(4)屋内貯蔵所の棚は、木材で造ることができる。
(5)屋内貯蔵所には、地階を設けることができる。

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正解:3(屋根は不燃材料で造り、軽量な金属板等でふく)
(1)軒高は「8m未満」ではなく「6m未満」です。(2)天井は「設けない」が正解。爆発時に爆風が上方向に抜けるようにするためです。(4)棚は不燃材料で造る必要があり、木材は不可です。(5)地階は設けられません。蒸気が溜まるリスクや消火活動の困難さが理由です。

【問題2】屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物として、正しいものはどれか。

(1)ガソリン
(2)二硫化炭素
(3)アセトン
(4)灯油
(5)ジエチルエーテル

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正解:4(灯油)
灯油は第2石油類で引火点が約40℃あるため、屋外貯蔵所で貯蔵できます。(1)ガソリンは第1石油類ですが引火点が−40℃で0℃未満のため不可。(2)二硫化炭素と(5)ジエチルエーテルは特殊引火物なので不可。(3)アセトンは第1石油類ですが引火点が−20℃で0℃未満のため不可です。

【問題3】屋内貯蔵所における危険物の貯蔵について、誤っているものはどれか。

(1)容器を積み重ねる場合、積み重ね高さは3m以下としなければならない。
(2)類別・品名ごとに区分して貯蔵しなければならない。
(3)指定数量の倍数が10以上の場合、周囲の状況により安全上支障がない場合を除き、避雷設備を設ける。
(4)異なる類の危険物を同じ貯蔵所で一緒に貯蔵することは、一切禁止されている。
(5)床は、危険物が浸透しない構造としなければならない。

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正解:4(異なる類の危険物の貯蔵は「一切禁止」ではない)
異なる類の危険物を同じ屋内貯蔵所で貯蔵することは原則禁止ですが、一部の組み合わせでは例外的に認められています。「一切禁止」という断定的な表現が誤りです。(1)(2)(3)(5)は、基本基準として押さえる記述です。

【問題4】屋外貯蔵所について、誤っているものはどれか。

(1)屋外貯蔵所では、第1類の危険物を貯蔵することはできない。
(2)屋外貯蔵所には、保安距離と保有空地が必要である。
(3)架台を設ける場合は、総務省令で定める構造・設備に適合させなければならない。
(4)屋外貯蔵所では、第4類の危険物であればすべて貯蔵することができる。
(5)屋外貯蔵所は、湿潤でなく、排水のよい場所に設置しなければならない。

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正解:4(第4類でもすべて貯蔵できるわけではない)
屋外貯蔵所で貯蔵できるのは、第4類の中でも引火点0℃以上の第1石油類・アルコール類・第2〜第4石油類・動植物油類に限られます。特殊引火物やガソリンなど引火点0℃未満の危険物は貯蔵できません。これは試験でよく出る論点です。

【問題5】次の危険物のうち、屋外貯蔵所で貯蔵できるものの組み合わせとして正しいものはどれか。
A:硫黄 B:重油 C:ナトリウム D:過酸化水素 E:軽油

(1)A と B と E
(2)A と C と D
(3)B と D と E
(4)A と B と D
(5)C と D と E

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正解:1(A硫黄・B重油・E軽油)
硫黄は第2類で屋外貯蔵所に貯蔵できます。重油(第3石油類)と軽油(第2石油類)はいずれも第4類で引火点が高いため貯蔵可能です。ナトリウム(C)は第3類の禁水性物質で対象外。過酸化水素(D)は第6類の酸化性液体で対象外です。屋外貯蔵所で貯蔵できるのは第2類と第4類の一部だけということを押さえておきましょう。

屋内・屋外貯蔵所の復習順

屋内貯蔵所は構造基準、屋外貯蔵所は貯蔵できる危険物の限定が問われやすいテーマです。外部教材へ進む前に、関連する施設基準と貯蔵ルールをサイト内で確認しておきましょう。

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