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熱化学・ヘスの法則ミニテスト10問|ΔH・生成エンタルピー

熱化学は「反応式・状態・ΔHの符号」をセットで読む

このページは、熱化学とヘスの法則を確認する4択のオリジナル問題10問です。公式過去問題の転載ではありません。

現在一般的な表記では、定圧で系が熱を放出する発熱反応の反応エンタルピーΔrHは負、吸熱反応は正です。「発生した熱量」を正の大きさで答える問題とは符号が逆になるため、何を求めているかを先に確認します。

熱化学データと用語の確認先

NIST Chemistry WebBookの一酸化炭素二酸化炭素の標準生成エンタルピーを使うと、CO(g)の燃焼は約−283.0kJ/molと求められます。

NISTの水の熱化学データはH2O(g)とH2O(l)で値が異なることを示しています。平均結合エンタルピーの意味はIUPAC Gold Bookで確認できます。数値問題では、問題文が指定する温度、圧力、物質の状態とデータを優先してください。

ミニテスト10問

問1

定圧で熱を周囲へ放出する発熱反応について、反応エンタルピーΔᵣHの符号はどれか。

(1)常に正
(2)負
(3)常に0
(4)反応式の係数に関係なく符号は決められない

正解:(2)負

系のエンタルピーが減少するためΔᵣHは負です。一方、「周囲へ放出された熱量の大きさ」を尋ねる場合は正の値で表すことがあるので、ΔHと熱量の大きさを区別します。

問2

A→B、ΔH=−50kJという熱化学反応式を逆向きのB→Aにした。正しいΔHはどれか。

(1)−100kJ
(2)−50kJ
(3)+25kJ
(4)+50kJ

正解:(4)+50kJ

反応を逆向きにするとΔHの符号を反転します。また反応式全体をn倍すればΔHもn倍します。反応式とΔHは切り離さずに扱います。

問3

ヘスの法則の説明として、最も適切なものはどれか。

(1)同じ初期状態と最終状態なら、反応経路が違っても全体のΔHは同じ
(2)触媒を加えると全体のΔHが必ず小さくなる
(3)反応段階が多いほど発熱量が増える
(4)気体の反応だけに使える

正解:(1)同じ初期状態と最終状態なら、反応経路が違っても全体のΔHは同じ

エンタルピーは状態関数なので、初期・最終の物質、量、状態、条件が同じなら全体の変化は経路に依存しません。各式の反転・倍数操作に合わせてΔHも操作して足し合わせます。

問4

ある物質1molの標準生成エンタルピーの説明として、正しいものはどれか。

(1)構成元素の基準状態から、その物質1molが生成する反応の標準反応エンタルピー
(2)その物質1molを完全燃焼させるときの熱量
(3)任意の化合物から生成するときの最大発熱量
(4)その物質を1K温めるのに必要な熱量

正解:(1)構成元素の基準状態から、その物質1molが生成する反応の標準反応エンタルピー

温度などを明示した標準状態と、元素の基準状態を確認します。たとえばCO₂(g)ならC(黒鉛)+O₂(g)→CO₂(g)です。生成物が1molになるように式を書きます。

問5

298.15Kにおける標準生成エンタルピーを0と置く物質として、適切なものはどれか。

(1)C(黒鉛)
(2)CO(g)
(3)CO₂(g)
(4)CH₄(g)

正解:(1)C(黒鉛)

元素の基準状態の標準生成エンタルピーは0です。炭素では298.15K・標準圧力の基準状態は黒鉛であり、化合物のCO、CO₂、CH₄や炭素の別の同素体を一律に0とはしません。

問6

CO(g)+1/2 O₂(g)→CO₂(g)。ΔfH°[CO(g)]=−110.5kJ/mol、ΔfH°[CO₂(g)]=−393.5kJ/mol、ΔfH°[O₂(g)]=0とする。ΔᵣH°はどれか。

(1)−504.0kJ/mol
(2)−283.0kJ/mol
(3)+283.0kJ/mol
(4)+504.0kJ/mol

正解:(2)−283.0kJ/mol

ΔᵣH°=ΣνΔfH°(生成物)−ΣνΔfH°(反応物)より、−393.5−(−110.5)=−283.0kJ/molです。発生熱量の大きさなら283.0kJ/molと表します。

問7

燃焼エンタルピーの反応式でH₂O(l)とH₂O(g)を区別する理由として、正しいものはどれか。

(1)物質の状態が違うとエンタルピーが異なる
(2)化学式が同じならΔHは必ず同じ
(3)液体の標準生成エンタルピーは常に0
(4)気体の水は反応式に書けない

正解:(1)物質の状態が違うとエンタルピーが異なる

NISTの298.15K付近の値では、H₂O(l)のΔfH°は約−285.83kJ/mol、H₂O(g)は約−241.83kJ/molです。燃焼生成物を液体水とするか水蒸気とするかでΔHが変わります。

問8

表にある平均結合エンタルピーを使う計算について、適切な説明はどれか。

(1)主に気相の結合についての平均値で、ΔH≈切る結合の合計−できる結合の合計と見積もる
(2)液体・固体を含めても常に厳密値になる
(3)結合を切るときは必ずエネルギーを放出する
(4)分子の種類に関係なく同じ結合は完全に同じ値を持つ

正解:(1)主に気相の結合についての平均値で、ΔH≈切る結合の合計−できる結合の合計と見積もる

平均結合エンタルピーは、気相の結合解離エンタルピーを平均した値です。分子環境や相変化を簡略化するため近似計算であり、標準生成エンタルピーから得る値と一致しないことがあります。

問9

強酸と強塩基の中和熱について、最も適切な説明はどれか。

(1)希薄水溶液ではH⁺(aq)+OH⁻(aq)→H₂O(l)が中心で約−57kJ/molだが、条件により変わる
(2)酸・塩基の種類や濃度に関係なく正確に−56.5kJ/mol
(3)中和は常に吸熱反応
(4)弱酸でも電離の影響は一切ない

正解:(1)希薄水溶液ではH⁺(aq)+OH⁻(aq)→H₂O(l)が中心で約−57kJ/molだが、条件により変わる

希薄な強酸・強塩基では似た値になりますが、濃度、温度、希釈、弱酸・弱塩基の電離などが熱収支へ影響します。固定値をすべての中和へ適用しません。

問10

C₂H₆(g)の燃焼についてΔcH°=−1560kJ/molとする。モル質量30g/molのC₂H₆を15g燃焼させたとき、系のΔHはどれか。

(1)−3120kJ
(2)−1560kJ
(3)−780kJ
(4)+780kJ

正解:(3)−780kJ

15g÷30g/mol=0.50molなので、ΔH=(−1560kJ/mol)×0.50mol=−780kJです。周囲へ放出される熱量の大きさは780kJです。実際の値は燃焼生成物の状態などの条件に依存します。

採点後は4点をそろえて計算する

  1. 反応式:係数と向きを確定する
  2. 状態:固体・液体・気体・水溶液を省略しない
  3. 符号:発熱のΔHは負、放出熱量の大きさは正
  4. データ:温度・圧力・基準状態と単位をそろえる

燃焼・中和は理論計算として解く

可燃物への点火や、酸・塩基の混合で数値を確かめないでください。この記事は計算学習用であり、実験手順ではありません。

採点後の復習順

  1. 熱化学・ヘスの法則の基本で符号規約を確認する
  2. 熱量計算ミニテストでQ=mcΔTを復習する
  3. mol計算ミニテストで物質量換算を確認する
  4. 計算問題6パターンで複合問題へ進む

資格太郎

この記事を書いた人

「危険物取扱者への道」運営者。危険物取扱者試験を独学で学習している受験生です。免状は保有していないため、記載する内容は消防法・危険物の規制に関する政令および規則の条文(e-Gov法令検索)と、消防試験研究センターの公開情報で必ず確認してから公開しています。

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