結論から言います
第4類危険物は、ひと言でいうと「引火性液体」です。ガソリン・灯油・アルコール…ぜんぶ第4類。
で、ここが超大事なポイントなんですが——液体そのものが燃えているわけじゃないんです。液面から出る蒸気に火がつく。これが第4類の燃え方の本質です。
(燃え方の詳しいメカニズムは「燃焼の仕組みをわかりやすく解説!3要素・燃焼の種類・自然発火・粉じん爆発」で解説しています)
第4類に共通する5つの特徴
① すべて液体
② 蒸気は空気より重い(蒸気比重>1)
③ 多くは水より軽い(液比重<1)
④ 水に溶けないものが多い
⑤ 電気の不良導体 → 静電気が溜まりやすい
この5つを押さえておけば、試験の「共通性質」系の問題はかなり解けるようになります。では、それぞれ詳しく見ていきましょう!
第4類の5つの共通性質
① すべて「液体」
第4類危険物は、常温(20℃)で液体のものだけが分類されています。気体や固体は入りません。
ガソリン、灯油、軽油、重油、アルコール、アセトン…第4類に入っているものを思い浮かべてみてください。ぜんぶ液体ですよね。
「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、試験ではこういう基本的なところがサラッと出ます。「第4類は固体と液体の両方を含む」みたいな選択肢が出たら、迷わず×です。
ちなみに…
危険物の6つの類は「固体」「液体」できれいに分かれています。液体は第4類(引火性液体)と第6類(酸化性液体)だけ。残りの第1類・第2類・第3類・第5類には固体が含まれます。この分類は「消防法と危険物の定義をわかりやすく解説!第1〜6類の分類も一気に理解」で整理しています。
② 蒸気は空気より重い(蒸気比重>1)
第4類危険物の蒸気は、すべて空気より重いです。つまり蒸気比重が1より大きい。
これが何を意味するかというと——蒸気は上に昇らず、床面・溝・地下室など低い場所に溜まるということ。
イメージしてみてください。ガソリンスタンドで給油中にガソリンがこぼれたとします。蒸気は目に見えないまま地面をはうように広がっていきます。そして何メートルも離れた場所にある火源(タバコの火、電気のスパークなど)まで到達して——ドカン。こういう事故が実際に起きるんです。
蒸気比重の計算
蒸気比重 = その物質の分子量 ÷ 29(空気の平均分子量)
たとえばガソリンの主成分オクタン(C₈H₁₈)なら分子量114 → 114÷29 ≒ 3.93
空気の約4倍の重さ!そりゃ床に溜まりますよね。
(詳しくは「引火点・発火点・燃焼範囲の違いをわかりやすく解説!蒸気比重の計算方法も」で解説しています)
③ 多くは水より軽い(液比重<1)★例外あり!
油を水に入れると浮きますよね? あれは油の比重(密度)が水より小さいから。第4類危険物の多くは水より軽い(液比重が1未満)です。
でも、ここが試験の超頻出ポイント——「すべて水より軽い」わけじゃないんです!
水より重い第4類危険物が存在します。以下の物質は比重が1を超えています:
| 物質名 | 比重 | 分類 |
|---|---|---|
| 二硫化炭素(にりゅうかたんそ) | 1.26 | 特殊引火物 |
| クロロベンゼン | 1.11 | 第2石油類 |
| 酢酸(さくさん) | 1.05 | 第2石油類 |
| ニトロベンゼン | 1.20 | 第3石油類 |
| グリセリン | 1.26 | 第3石油類 |
| エチレングリコール | 1.11 | 第3石油類 |
| アニリン | 1.02 | 第3石油類 |
試験では「第4類はすべて水より軽い」という選択肢がよく出ます。これは誤りです。「多くは水より軽い」が正しい表現。二硫化炭素やグリセリンなどの例外をしっかり覚えておきましょう。
なぜ水より重いかどうかが重要?
消火のときに関わってきます。水より軽い油に水をかけると、油が水の上に浮いて燃えながら広がってしまいます。一方、水より重い液体(二硫化炭素など)は水の下に沈むので、水で覆うことができる場合もあります。
④ 水に溶けないものが多い ★例外あり!
ガソリン・灯油・軽油…油と水は混ざりませんよね。第4類危険物は水に溶けないもの(非水溶性)が多いです。
でも、これにも例外があります。水に溶ける(水溶性の)第4類危険物も結構あるんです:
「水に溶けるか溶けないか」が特に重要になるのは消火のときです。
水溶性 vs 非水溶性 → 泡の種類が変わる!
非水溶性の液体(ガソリンなど)→ 普通の泡消火剤でOK
水溶性の液体(アセトン・アルコールなど)→ 普通の泡だと溶けてしまう → 耐アルコール泡(水溶性液体用泡)が必要
試験では「水溶性の危険物にはどの泡を使うか」という問題がよく出ます。「耐アルコール泡」がキーワードです。(各物質ごとの消火法の使い分けは「第4類の消火方法まとめ!水をかけてはいけない理由と泡消火剤の使い分け」で詳しく整理しています)
⑤ 電気の不良導体 → 静電気が溜まりやすい
第4類危険物の多くは電気を通しにくい(不良導体)です。電気を通さないということは、発生した静電気がそのまま溜まり続けるということ。
身近な例でいうと、セルフのガソリンスタンドで給油前に「静電気除去パッド」に触れますよね。あれは体に溜まった静電気を逃がすためです。もし静電気の火花がガソリンの蒸気に引火したら大変なことになります。
工場などでは、タンクに液体を注入するときの流動で静電気が発生します。流速が速いほど静電気が発生しやすくなります。(静電気の詳しいメカニズムは「静電気と電気の基礎をわかりやすく解説!」をどうぞ)
静電気対策の3本柱
① 接地(アース)する — 容器・配管・設備を地面につないで電気を逃がす
② 流速を遅くする — 液体をゆっくり流して静電気の発生を抑える
③ 湿度を上げる — 空気中の水分が電気を逃がしてくれる

第4類の分類と指定数量
第4類危険物は引火点の低い順に10の品名に分けられています。引火点が低いほど火がつきやすい=危険度が高い、というわけです。
| 品名 | 引火点の目安 | 指定数量 |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | -20℃以下 | 50L |
| 第1石油類(非水溶性) | 21℃未満 | 200L |
| 第1石油類(水溶性) | 21℃未満 | 400L |
| アルコール類 | — | 400L |
| 第2石油類(非水溶性) | 21℃以上70℃未満 | 1,000L |
| 第2石油類(水溶性) | 21℃以上70℃未満 | 2,000L |
| 第3石油類(非水溶性) | 70℃以上200℃未満 | 2,000L |
| 第3石油類(水溶性) | 70℃以上200℃未満 | 4,000L |
| 第4石油類 | 200℃以上250℃未満 | 6,000L |
| 動植物油類 | 250℃未満 | 10,000L |
見てわかるとおり、引火点が低い(危険な)ものほど指定数量が少ない=少量でも規制の対象になります。特殊引火物はたった50Lで規制がかかるのに対し、動植物油類は10,000Lまで大丈夫。それだけ危険度が違うということですね。
水溶性のものは非水溶性の2倍の指定数量になっています。水溶性のほうが少しだけ扱いやすい(水で薄められる)ためです。
(指定数量や倍数計算について詳しくは「指定数量とは?品名ごとの数量一覧と倍数計算をわかりやすく解説」をチェックしてください)
第4類の火災予防のポイント
第4類は「蒸気に火がつく」のが特徴でしたよね。だから予防のキーワードは「蒸気を出さない・溜めない・火を近づけない」です。
具体的なポイントを整理しましょう:
火気厳禁
これは当然ですね。蒸気が漂っている場所で火を使ったらアウトです。ガソリンスタンドの「火気厳禁」の看板はまさにこれ。タバコの火、ライターの火花、電気スパーク——どれも引火の原因になります。

換気を十分に
蒸気は空気より重くて低い場所に溜まるんでしたよね(②の性質)。だから、特に地下室やピット(床下の溝)は要注意。十分な換気で蒸気を外に逃がすことが大切です。
容器は密閉
蒸気が出るのは液面から。容器のフタをしっかり閉めて、蒸気の発生そのものを抑えます。使い終わったらすぐにフタを閉める——これ基本中の基本です。
静電気対策
先ほど解説した3本柱です。接地(アース)、流速を遅くする、湿度を上げる。工場では導電性の作業靴を履いたり、床材を導電性にしたりもします。
直射日光・加熱を避ける
温度が上がると蒸気の発生量が増えます。保管場所は直射日光の当たらない冷暗所が原則です。夏場の車内にスプレー缶を放置して破裂…なんてニュースを聞いたことありませんか? あれも同じ原理です。
第4類の消火方法
さて、いざ第4類の危険物が燃えてしまったら、どうやって消すか?
大原則:水をかけるのは基本的にNGです。
なぜか? 第4類の多くは水より軽い(③の性質)。水をかけると、油が水の上に浮いて燃えながら広がってしまうんです。これを「油火災の拡大」といいます。消火のつもりが逆に被害を広げてしまう、最悪のパターンですね。
(消火の原理について詳しくは「消火の原理と消火剤の種類をわかりやすく解説!冷却・窒息・除去・抑制の4つ」で解説しています)
では何を使って消すか? 以下の消火剤が有効です:
| 消火剤 | 効果 | 備考 |
|---|---|---|
| 泡消火剤 | 窒息+冷却 | 非水溶性に有効 |
| 耐アルコール泡 | 窒息+冷却 | 水溶性に使用 |
| CO2消火剤 | 窒息 | 屋内で有効 |
| 粉末消火剤 | 窒息+抑制 | 広く使える |
最重要ポイント:水溶性か非水溶性かで泡の種類が変わる!
アセトンやアルコールなどの水溶性液体に普通の泡をかけると、泡が溶けてしまって消火できません。水溶性の第4類には「耐アルコール泡(水溶性液体用泡)」を使います。これは試験で本当によく出るので、必ず覚えておきましょう。
間違えやすい5つの引っかけ
1. 「第4類は全て水より軽い」と覚える
→ 二硫化炭素(1.26)・グリセリン(1.26)・ニトロベンゼン(1.20)等は水より重い
2. 「蒸気も水と同じく軽い」と混同する
→ 液体は水より軽いものが多いが、蒸気は全て空気より重い(蒸気比重>1)
3. 水溶性の指定数量が多い理由を逆に覚える
→ 水溶性は水で希釈できるので危険度が低い→指定数量が非水溶性の2倍
4. 引火点が低い=指定数量が「多い」
→ 逆。引火点が低い=危険=指定数量は少なく設定される
5. 非水溶性の油火災に水をかける
→ 油が水に浮いて燃え広がる。泡・CO₂・粉末を使う
✔ 共通7特徴:引火性液体・蒸気比重>1・液比重<1(例外あり)・水に溶けにくい・電気不良導体・静電気蓄積・蒸発燃焼
✔ 水より重い例外:二硫化炭素・グリセリン・ニトロベンゼン・エチレングリコール・クロロベンゼン・酢酸・アニリン
✔ 石油類の引火点境界:21℃ / 70℃ / 200℃ / 250℃
✔ 消火:泡・CO₂・粉末。水溶性には耐アルコール泡
✔ 水溶性の指定数量=非水溶性の2倍
まとめ問題
ここまでの内容を4問のクイズでチェックしましょう! 間違えた問題があったら、該当する見出しに戻って復習してくださいね。
【問1】第4類危険物の共通性質として誤っているものはどれか。
- 引火性の液体である
- 蒸気は空気より重い
- すべて水より軽い
- 電気の不良導体が多い
【問2】第4類危険物の蒸気が低い場所に溜まりやすい理由として正しいものはどれか。
- 蒸気の温度が低いから
- 蒸気比重が1より大きいから
- 液体の比重が小さいから
- 水に溶けないから
【問3】水溶性の第4類危険物の火災に使用する泡消火剤として正しいものはどれか。
- 普通の泡消火剤
- 耐アルコール泡(水溶性液体用泡)
- 化学泡消火剤
- 泡消火剤は使用できない
【問4】第4類危険物の静電気対策として誤っているものはどれか。
- 容器や設備を接地(アース)する
- 液体の流速を速くする
- 室内の湿度を上げる
- 導電性の床材を使用する
【問5】第4類危険物に関する記述の組合せとして、すべて正しいものはどれか。
ア.第4類危険物の蒸気はすべて空気より重く、低所に滞留しやすい。
イ.水溶性の第4類危険物の指定数量は、同じ品名の非水溶性の2倍である。
ウ.第4類危険物はすべて水より軽いので、注水消火は行わない。
エ.非水溶性の引火性液体の火災に耐アルコール泡を用いてもよい。
- アとイのみ正しい
- イとウのみ正しい
- アとイとエが正しい
- アとウとエが正しい
- すべて正しい
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