【解答・解説】甲種模擬試験 第3回

解答・解説

採点する前に

このページは、甲種模擬試験 第3回の五肢択一オリジナル問題に対応する解答・解説です。まず45問を最後まで解き、法令15問、物化10問、性質20問の正答数を分けて記録してください。

科目・問題数は消防試験研究センター、試験方法・時間・合格基準は「試験の方法」、法令問題はe-Gov法令検索「消防法」と関連政省令で確認してください。

第1科目:危険物に関する法令

問1 正解:(5)引火点が35℃の固形アルコール

問題:次のうち、消防法上の危険物に該当するものを選ぶ

消防法の危険物には、品名ごとに「ここから先は除く」という線引きがあります。引火性固体は固形アルコールその他1気圧で引火点が40℃未満のものなので、引火点35℃の固形アルコールは第2類の危険物です。金属粉からは、銅粉・ニッケル粉と、目開き150μmの網ふるいを通過するものが50%未満のものが除かれます。鉄粉は目開き53μmの網ふるいを通過するものが50%未満のもの、マグネシウムは目開き2mmの網ふるいを通過しない塊状のものと直径2mm以上の棒状のものが除かれます。粒の粗いものや塊は、細かい粉に比べて燃え広がりにくいからです。根拠は、消防法別表第一の備考と、危険物の規制に関する規則第1条の3です。

問2 正解:(3)4.0

問題:同一の製造所で、ナトリウム5kg、赤りん50kg、硝酸600kg、アセトン400Lを取り扱っている。この製造所の指定数量の倍数の合計として正しいものを選ぶ

指定数量は、ナトリウム(第3類)10kg、赤りん(第2類)100kg、硝酸(第6類)300kg、アセトン(第4類・第1石油類・水溶性)400L です。5÷10=0.5、50÷100=0.5、600÷300=2.0、400÷400=1.0 で、合計は 4.0 です。類が違っても、品名ごとに「数量÷指定数量」を出して足すやり方は変わりません。アセトンを非水溶性の200Lで計算すると 5.0 になるので、水溶性かどうかを先に確かめます。なお、類の違う危険物を同じ貯蔵所で貯蔵することは、原則としてできません(危険物の規制に関する政令第26条)。

問3 正解:(4)簡易タンク貯蔵所(タンクを屋外に設けるもの)

問題:次の製造所等のうち、保安距離を確保する必要はないが、周囲に空地を保有しなければならないものを選ぶ

保安距離が必要なのは、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所の5つで、この5つは保有空地も必要です。簡易タンク貯蔵所は保安距離の対象ではありませんが、タンクを屋外に設ける場合は、タンクの周囲に1m以上の幅の空地が必要です(危険物の規制に関する政令第14条)。地下タンク貯蔵所には、保安距離も保有空地も定められていません。

問4 正解:(1)移動タンク貯蔵所の移動貯蔵タンクの容量は20,000L以下とし、2,000L以下ごとに間仕切りを設ける

問題:タンクの容量や基数について誤っているものを選ぶ

移動貯蔵タンクの容量は30,000L以下で、内部を4,000L以下ごとに完全な間仕切りで区切ります(危険物の規制に関する政令第15条第1項第3号)。容量2,000L以上のタンク室には、防波板も設けます。屋内貯蔵タンクは指定数量の40倍以下(第4石油類・動植物油類以外の第4類は20,000L以下。同政令第12条第1項第4号)、簡易貯蔵タンクは1基600L以下・3基以内で、同じ品質の危険物は2基以上置けません(同政令第14条)。屋外貯蔵タンクと地下貯蔵タンクには、政令上の容量の上限はありません。

問5 正解:(2)地下にあって点検しにくいので、定期点検を行わなければならない製造所等からは除かれている

問題:地下タンク貯蔵所について誤っているものを選ぶ

地下タンク貯蔵所は、漏れに気づきにくいので、指定数量の倍数にかかわらず定期点検の対象です(危険物の規制に関する政令第8条の5)。地下タンクのある製造所・給油取扱所・一般取扱所も同じです。地下貯蔵タンクと地下埋設配管には、漏れの点検もあります。タンク室との間隔0.1m以上と乾燥砂、頂部を地盤面から0.6m以上下にすること、通気管又は安全装置、屋外の注入口は、同政令第13条第1項の基準のとおりです。地下タンク貯蔵所には、保安距離と保有空地の定めはありません。

問6 正解:(4)液体の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクを設置・変更するときに、完成検査を受ける前に受ける

問題:完成検査前検査について正しいものを選ぶ

完成検査前検査は、液体の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクを設置・変更するとき、工事の工程ごとに市町村長等が行う検査です(消防法第11条の2、危険物の規制に関する政令第8条の2)。出来上がってからでは確かめにくい部分を、完成検査の前に見ます。タンク本体は水張検査か水圧検査を受け、容量1,000kL以上の屋外貯蔵タンクには、基礎・地盤検査と溶接部検査が加わります。固体だけを貯蔵する施設に、この検査はありません。

問7 正解:(3)指定数量以上の危険物を、10日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う — 市町村長等の承認

問題:製造所等に関する手続きと、その種類・相手先の組合せとして誤っているものを選ぶ

仮貯蔵・仮取扱いを承認するのは、所轄の消防長又は消防署長です(消防法第10条第1項ただし書)。同じ「承認」でも、変更工事中に工事と関係のない部分を使う仮使用は、市町村長等が承認します(同法第11条第5項ただし書)。設置・変更は許可(同法第11条第1項)、予防規程は認可(同法第14条の2)、品名・数量・倍数の変更は10日前までの届出(同法第11条の4)、譲渡・引渡しは遅滞なく届出(同法第11条第6項)です。

問8 正解:(5)危険物施設保安員を定めるのは、指定数量の倍数が100以上の製造所・一般取扱所と、移送取扱所である(一部の施設を除く)

問題:危険物施設保安員について正しいものを選ぶ

危険物施設保安員は、製造所等の構造・設備の点検などの保安の業務を、危険物保安監督者のもとで行う人です。定めるのは、指定数量の倍数が100以上の製造所・一般取扱所と移送取扱所です(消防法第14条、危険物の規制に関する政令第36条。同規則第60条で一部が除かれます)。免状や実務経験の要件はなく、選任・解任の届出も必要ありません。届出が必要なのは、危険物保安統括管理者と危険物保安監督者です。

問9 正解:(1)危険物取扱者が消防法令に違反したとき、免状の返納を命じることができるのは、勤務先の製造所等がある市町村の長である

問題:危険物取扱者と免状について誤っているものを選ぶ

免状の返納を命じることができるのは、その免状を交付した都道府県知事です(消防法第13条の2第5項)。市町村長等に、この権限はありません。また都道府県知事は、返納を命じられた日から1年を経過しない人や、消防法令に違反して罰金以上の刑に処せられ、執行を終えた日などから2年を経過しない人には、免状を交付しないことができます(同条第4項)。立会いができるのは甲種(全類)と乙種(免状の類)で、丙種はできません。

問10 正解:(3)第3類 — 自然発火性物品は水との接触を避け、禁水性物品は空気との接触を避ける

問題:危険物の類ごとに共通する貯蔵・取扱いの技術上の基準として誤っているものを選ぶ

第3類は、自然発火性物品が「炎・火花・高温体との接近、過熱、空気との接触を避ける」、禁水性物品が「水との接触を避ける」です。(3)は組合せが逆になっています。自然発火性物品の黄りんは、空気に触れないように水の中で貯蔵します。カリウムやナトリウムのように両方の性質をもつ物品は、空気も水も避けるので、灯油などの保護液の中で貯蔵します。根拠は、危険物の規制に関する政令第25条第1項です。

問11 正解:(2)硫黄

問題:運搬容器の外部に表示する危険等級について危険等級Ⅰに当たらないものを選ぶ

危険等級Ⅰは、第1類の第一種酸化性固体、第3類のカリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウム・黄りんなど、第4類の特殊引火物、第5類の第一種自己反応性物質、そして第6類のすべてです。硫黄は、硫化りん・赤りんと同じ危険等級Ⅱです(第2類に危険等級Ⅰはありません)。第4類は、特殊引火物がⅠ、第1石油類とアルコール類がⅡ、それ以外がⅢです。根拠は、危険物の規制に関する規則第39条の2です。

問12 正解:(5)ガソリンを移送するときは、移送のつど、出発地の市町村長等に届け出なければならない

問題:移動タンク貯蔵所による危険物の移送について誤っているものを選ぶ

危険物の移送に、そのつどの届出は必要ありません。手続きがあるのは、アルキルアルミニウム・アルキルリチウムなどを移送する場合で、移送の経路などを書いた書面を関係消防機関へ送付し、写しを携帯します。危険物取扱者の乗車と免状の携帯は消防法第16条の2、出発前の点検や、長時間の移送で2人以上の運転要員を確保すること(連続4時間を超える、又は1日9時間を超える場合)は、危険物の規制に関する政令第30条の2と同規則第47条の2に定められています。2人以上の運転要員の決まりには例外があり、ガソリン・灯油・軽油や、アルコール類などを移送するときは対象から外れます。

問13 正解:(4)指定数量の倍数が10以上の製造所等に設けるが、移動タンク貯蔵所は除かれる

問題:製造所等に設ける警報設備について正しいものを選ぶ

警報設備は、指定数量の倍数が10以上の製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)に設けます(危険物の規制に関する政令第21条、同規則第36条の2)。種類は、自動火災報知設備・消防機関に報知ができる電話・非常ベル装置・拡声装置・警鐘の5つです(同規則第37条)。どれを設けるかは施設の種類や規模で決まり、倍数が10以上ならすべて自動火災報知設備、というわけではありません。警報設備は火災を知らせる設備で、消火設備の代わりにはなりません。

問14 正解:(1)走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、免状の提示を求めることができるのは消防吏員に限られ、警察官は含まれない

問題:消防法に定める立入検査などについて誤っているものを選ぶ

走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、乗車している危険物取扱者に免状の提示を求めることができるのは、消防吏員又は警察官です(消防法第16条の5第2項)。火災の防止のため特に必要があるときに限られます。同条第1項は、市町村長等が、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っていると認められるすべての場所(許可を受けていない場所を含みます)について、資料の提出を命じ、職員に立入検査や最少限度の収去をさせることができると定めています。立ち入る職員は証票を携帯し、請求があれば示します。

問15 正解:(2)第2類(引火性固体を除く)—「火気厳禁」

問題:製造所等に設ける掲示板のうち、危険物に応じた注意事項を表示するものについて危険物と表示の組合せとして誤っているものを選ぶ

引火性固体を除く第2類の掲示板は、「火気注意」です。「火気厳禁」は、第2類の引火性固体、第3類の自然発火性物品、第4類、第5類。「禁水」は、第1類のアルカリ金属の過酸化物と、第3類の禁水性物品です。色は、「禁水」が青地に白文字、「火気厳禁」「火気注意」が赤地に白文字です。第6類と、アルカリ金属の過酸化物以外の第1類には、注意事項の掲示板の定めがありません。根拠は、危険物の規制に関する規則第18条です。

第2科目:物理学及び化学

問16 正解:(4)2,221kJ

問題:生成熱を、二酸化炭素 394kJ/mol、水(液体)286kJ/mol、プロパン 105kJ/mol とする(いずれも発熱)。プロパン(C3H8)1mol が完全燃焼して、二酸化炭素と液体の水になるときに発生する熱量として正しいものを選ぶ

反応式は C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O です。ヘスの法則から、反応で出る熱量は「生成物の生成熱の合計 − 反応物の生成熱の合計」で求められます。単体の酸素の生成熱は 0 です。(3×394 + 4×286)− 105 = 1,182 + 1,144 − 105 = 2,221kJ。係数の 3 と 4 を掛け忘れると 575kJ、プロパンの生成熱を足してしまうと 2,431kJ になります。エンタルピーで書くと、プロパンの燃焼エンタルピーは ΔH = −2,221kJ/mol です。

問17 正解:(5)168L

問題:原子量を H=1、C=12、O=16、空気中の酸素の体積の割合を20%、気体1mol の体積を 22.4L(0℃・1気圧)とする。エタノール(C2H5OH)23g を完全燃焼させるのに必要な空気の体積(0℃・1気圧)として正しいものを選ぶ

エタノールの分子量は 46 なので、23g は 0.50mol です。反応式は C2H5OH + 3O2 → 2CO2 + 3H2O で、エタノール1mol に酸素3mol が必要です。酸素は 0.50×3=1.5mol、体積は 1.5×22.4=33.6L。空気の20%が酸素なので、空気は 33.6÷0.20=168L です。33.6L は酸素だけの体積で、問われているのは空気の体積です。必要な空気は酸素の約5倍、と覚えておくと検算できます。

問18 正解:(1)二酸化炭素消火剤は、主に燃焼の連鎖反応を止める抑制効果(負触媒効果)で消火し、窒息効果はない

問題:消火剤とその消火効果について誤っているものを選ぶ

二酸化炭素消火剤の主な働きは、空気中の酸素の濃度を下げる窒息効果です(気化するときの冷却効果も少しあります)。燃焼の連鎖反応を止める抑制効果(負触媒効果)が主な働きなのは、ハロゲン化物消火剤と粉末消火剤です。二酸化炭素は電気を通さず、消火のあとに汚れを残さないので、電気設備の火災に向きます。ただし、閉め切った場所で使うと酸素が足りなくなるので、人のいる場所では注意が必要です。強化液は、霧状に放射すれば油火災と電気火災にも使えます。

問19 正解:(3)64

問題:容積1L の密閉容器に水素 1.0mol とよう素 1.0mol を入れ、一定の温度に保ったところ、H2 + I2 ⇄ 2HI の反応が平衡に達し、よう化水素が 1.6mol 生じていた。この温度での平衡定数として正しいものを選ぶ

よう化水素が 1.6mol できたので、水素とよう素は 0.8mol ずつ減り、平衡のときはどちらも 0.2mol です。容積は1L なので、濃度はそのまま [H2]=0.2、[I2]=0.2、[HI]=1.6(mol/L)。K = [HI]2 ÷([H2][I2])= 1.62 ÷(0.2×0.2)= 2.56 ÷ 0.04 = 64。はじめの量(1.0mol)のまま計算すると 2.56、HI の係数の2乗を忘れると 40 になります。平衡定数は温度で決まる値で、触媒を加えても変わりません。

問20 正解:(2)0.32g

問題:銅の原子量を 63.5、ファラデー定数を 96,500C/mol とする。硫酸銅(Ⅱ)水溶液を、白金電極を使って 0.50A の電流で 32分10秒間 電気分解したとき、陰極に析出する銅の質量として最も近いものを選ぶ

流れた電気量は 0.50A×1,930秒=965C で、電子の物質量は 965÷96,500=0.010mol です。陰極の反応は Cu2+ + 2e− → Cu なので、電子2mol で銅1mol が析出します。銅は 0.010÷2=0.0050mol、質量は 0.0050×63.5≒0.32g です。「÷2」を忘れると 0.64g になります。時間を秒に直す(32分10秒=1,930秒)、イオンの価数で割る、の2つが間違えやすい所です。

問21 正解:(3)0.080mol/L

問題:濃度のわからない酢酸水溶液 20mL を、0.10mol/L の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ、中和するのに 16mL を要した。この酢酸水溶液のモル濃度として正しいものを選ぶ

酢酸も水酸化ナトリウムも1価なので、「酸の濃度×体積=塩基の濃度×体積」で求められます。c×20=0.10×16 から、c=0.080mol/L です。体積の比を逆にすると 0.125mol/L になります。酢酸は弱酸ですが、中和に必要な塩基の量は、酸の強弱に関係なく、酸の物質量と価数で決まります。弱酸と強塩基の中和では、中和点の水溶液が弱い塩基性になるので、指示薬にはフェノールフタレインを使います。

問22 正解:(5)過マンガン酸カリウム KMnO₄ のマンガン(Mn)

問題:次の化合物に含まれる、かっこ内の原子の酸化数が最も大きいものを選ぶ

化合物の中では、水素を+1、酸素を−2、カリウムを+1 とし、全体の合計が 0 になるように求めます。過マンガン酸カリウムのマンガンは +7、重クロム酸カリウムのクロムは+6、硝酸の窒素と塩素酸カリウムの塩素は+5 です。過酸化水素は例外で、酸素の酸化数が−1 になります(−O−O− の結合があるため)。ここに並べた5つは、どれも相手を酸化する力が強く、第1類(酸化性固体)か第6類(酸化性液体)の危険物です。

問23 正解:(1)アセトン

問題:2-プロパノール(CH3CH(OH)CH3)を酸化したときに生じる化合物として正しいものを選ぶ

2-プロパノールは、−OH の付いた炭素にほかの炭素が2つ結合した第二級アルコールです。第二級アルコールを酸化するとケトンになるので、生じるのはアセトン(CH3COCH3)です。第一級アルコールは、酸化するとアルデヒドを経てカルボン酸になります(エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸)。第三級アルコールは酸化されにくい、という違いもあります。ジエチルエーテルは、エタノール2分子から水がとれてできる化合物で、酸化の生成物ではありません。

問24 正解:(2)塩化カルシウム

問題:次の物質を、それぞれ水 1kg に 0.10mol ずつ溶かした。電解質は水溶液の中で完全に電離するものとして凝固点が最も低くなる水溶液を選ぶ

うすい溶液の凝固点降下の大きさは、溶質の種類ではなく、溶けている粒子(分子やイオン)の数で決まります。グルコース・尿素・スクロースは電離しないので、粒子は 0.10mol のまま。塩化ナトリウムは Na+ と Cl− に分かれて 0.20mol、塩化カルシウムは Ca2+ と2つの Cl− に分かれて 0.30mol になります。粒子が最も多い塩化カルシウムの水溶液が、凝固点が最も低くなります。道路の凍結防止剤に塩化カルシウムが使われるのは、この性質を利用したものです。沸点上昇も同じ考え方です。

問25 正解:(4)木炭 — 分解燃焼

問題:物質とその主な燃焼の形態の組合せとして誤っているものを選ぶ

木炭やコークスは、熱しても可燃性の気体をほとんど出さず、固体の表面で酸素と反応して燃えます。これが表面燃焼で、炎を出さずに赤く光って燃えるのが特徴です。分解燃焼は、木材や石炭のように、熱で分解して出た可燃性ガスが燃える形です。ガソリンなどの液体は、液面から蒸発した蒸気が燃える蒸発燃焼。固体でも、硫黄は融けて蒸発し、ナフタレンは昇華して、その蒸気が燃えるので蒸発燃焼です。ニトロセルロースのように分子の中に酸素を含むものは、外から酸素をもらわなくても燃える自己燃焼(内部燃焼)をします。

第3科目:危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

問26 正解:(3)第3類の危険物は、自然発火性又は禁水性をもつ物質で、すべて固体である

問題:危険物の類ごとの性状について誤っているものを選ぶ

第3類の危険物には、固体だけでなく液体もあります。アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、ジエチル亜鉛、トリクロロシランなどは液体です。消防法の別表第一でも、第3類は「固体又は液体」と定められています。また、第3類の多くは自然発火性と禁水性の両方をもちますが、黄りんのように自然発火性だけのものもあります。第1類と第6類は、自分は燃えずに相手を燃えやすくする酸化性の物質(固体と液体)。第5類は、燃えるものと酸素を1つの分子の中にもつものが多く、空気がなくても燃焼や爆発を起こします。

問27 正解:(5)火災のときは、大量の水をかけて冷却するのが最もよい

問題:過酸化ナトリウムについて誤っているものを選ぶ

過酸化ナトリウムは、第1類の無機過酸化物のうちアルカリ金属の過酸化物で、水と激しく反応して熱と酸素を出します(2Na2O2 + 2H2O → 4NaOH + O2)。注水すると、発熱と酸素で火災がかえって大きくなるので、水は使いません。初期の消火には、乾燥砂などを使います。第1類の多くは大量の水による冷却が基本ですが、アルカリ金属の過酸化物はその例外で、貯蔵所の掲示板も「禁水」です。

問28 正解:(4)加熱すると分解するが、単独では爆発することはない

問題:硝酸アンモニウムについて誤っているものを選ぶ

硝酸アンモニウム(硝安)は、加熱すると分解し、急激に熱したり強い衝撃を与えたりすると、単独でも爆発することがあります。可燃物や金属粉が混ざると、さらに危険です。大量に貯蔵していた硝酸アンモニウムが爆発した事故は、世界で何度も起きています。白色の結晶で吸湿性が強く、水に溶けるときに熱を吸収します。アルカリと反応するとアンモニアが出ます。肥料として身近な物質ですが、消防法では第1類の硝酸塩類です。

問29 正解:(1)酸を加えると安定になるので、貯蔵するときは少量の酸を加えておく

問題:亜塩素酸ナトリウムについて誤っているものを選ぶ

亜塩素酸ナトリウムは、酸と混ざると二酸化塩素を発生します。二酸化塩素は有毒で、濃度が高くなると爆発する気体です。酸は近づけてはいけません。漂白剤や殺菌剤として使われる身近な薬品ですが、酸性の洗剤などと混ぜると危険なのは、このためです。第1類の亜塩素酸塩類で、自分は燃えませんが、加熱すると分解して酸素を出し、有機物や還元性の物質と混ざると、摩擦や衝撃で発火・爆発するおそれがあります。

問30 正解:(4)水(三硫化りんは熱水)と反応して、有毒で可燃性の硫化水素を発生する

問題:硫化りんについて正しいものを選ぶ

硫化りんは、りんと硫黄の化合物で、第2類の危険物です。五硫化りんと七硫化りんは水と、三硫化りんは熱水と反応して、硫化水素を発生します。硫化水素は、腐った卵のようなにおいがする有毒な気体で、燃えます。そのため、五硫化りんの火災に水は使わず、乾燥砂や二酸化炭素などで消火します(消火剤の向き不向きは、硫化りんの種類で違います)。燃えると、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)とりんの酸化物ができます。融点は、三硫化りん(約173℃)<五硫化りん(約290℃)<七硫化りん(約310℃)の順です。

問31 正解:(2)水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリとは反応しない

問題:アルミニウム粉について誤っているものを選ぶ

アルミニウムは両性元素で、酸にもアルカリにも溶けて水素を発生します。亜鉛粉も同じです。粉末は表面積が大きいので、塊のアルミニウムよりずっと反応しやすく、水とも徐々に反応して水素を出します。燃えているところに水をかけると、発生した水素に火がついて爆発するおそれがあるので、注水はしません。乾燥砂などで覆って窒息消火します。アルミニウム粉は、第2類の「金属粉」です。

問32 正解:(5)赤りんも黄りんも、二硫化炭素によく溶ける

問題:赤りんと黄りんについて誤っているものを選ぶ

二硫化炭素やベンゼンに溶けるのは黄りんで、赤りんは水にも二硫化炭素にも溶けません。同じりんの同素体でも、性質は大きく違います。黄りんは、白色〜淡黄色のろう状の固体で、猛毒。空気中で酸化されて自然発火するおそれがあるので、水の中で貯蔵します(第3類・自然発火性物品)。赤りんは赤褐色の粉末で、黄りんより安定していて毒性も低く、マッチ箱の側面の薬に使われています(第2類)。ただし赤りんも、酸化剤と混ざると、摩擦や衝撃で発火します。

問33 正解:(3)りん化カルシウム — メタン

問題:第3類の危険物と、水と反応したときに発生する気体の組合せとして誤っているものを選ぶ

りん化カルシウムが水と反応して発生するのは、りん化水素(ホスフィン)です。りん化水素は、有毒で燃えやすい気体です。メタンを発生するのは、炭化アルミニウムです。ナトリウムなどのアルカリ金属と、水素化リチウムなどの金属の水素化物は水素、炭化カルシウム(カーバイド)はアセチレン、ジエチル亜鉛はエタンを発生します。どの気体も可燃性なので、これらの火災に水や泡は使えません。「何が出るか」は物質ごとに違うので、組合せで覚えます。

問34 正解:(1)水や水蒸気と反応して、可燃性のアセチレンを発生する

問題:トリクロロシランについて誤っているものを選ぶ

トリクロロシランが水や水蒸気と反応して発生するのは、塩化水素です。塩化水素は水に溶けると塩酸になるので、水分があると多くの金属を腐食します。条件によっては可燃性の水素が出ることもあるので、注水は避けます。アセチレンを発生するのは、炭化カルシウムです。トリクロロシランは、第3類では少数派の液体で、沸点が約32℃と低く、非常に揮発しやすい物質です。引火点も常温よりずっと低く、蒸気は広い濃度の範囲で空気と爆発性の混合気をつくります。半導体に使う高純度のシリコンをつくる原料です。

問35 正解:(5)蒸気は空気より軽いので、高い所に滞留しやすい

問題:二硫化炭素について誤っているものを選ぶ

二硫化炭素の蒸気比重は約2.6で、空気より重く、低い所にたまります。第4類の危険物の蒸気は、ごく一部の例外を除いて空気より重い、と覚えておきます。二硫化炭素は特殊引火物で、発火点が約90℃と第4類の中で特に低く、引火点も−30℃以下です。水より重く(比重約1.3)、水に溶けないので、表面を水で覆って蒸気が出るのを防ぐ貯蔵のしかたができます。蒸気は有毒で、燃えると二酸化硫黄を出します。

問36 正解:(2)重合しやすい性質があり、重合で発生する熱によって、火災や爆発を起こすおそれがある

問題:酸化プロピレンについて正しいものを選ぶ

酸化プロピレン(プロピレンオキサイド)は特殊引火物で、重合しやすいのが特徴です。重合は分子が次々につながる反応で、熱が出ます。その熱で反応がさらに進み、容器の破裂や爆発につながることがあります。銅や銀などの金属や、酸・アルカリは重合を進めるので、貯蔵するときは窒素などの不活性ガスを封入します。引火点は約−37℃、沸点は約34℃と低く、水にもアルコールにもよく溶けます。蒸気は、空気の約2倍の重さです。

問37 正解:(3)水より軽く、水には溶けない

問題:酢酸について誤っているものを選ぶ

酢酸は、水より少し重く(比重約1.05)、水とどんな割合でも混ざります。第2石油類の水溶性液体なので、指定数量は2,000L、消火には水溶性液体用の泡(耐アルコール泡)を使います。濃い酢酸は約17℃で凍るので、氷酢酸とも呼ばれます。冬に固まった酢酸を温めて溶かすときは、火気に注意が必要です。引火点は約39℃で、真夏の直射日光が当たる場所などでは届きうる温度です。水溶液は弱い酸性で、金属やコンクリートを腐食します。

問38 正解:(4)アセトン < トルエン < 酢酸 < ニトロベンゼン

問題:次の危険物を、引火点の低いものから順に並べたものとして正しいものを選ぶ

引火点は、アセトン −20℃、トルエン 4℃、酢酸 39℃、ニトロベンゼン 88℃ です(資料によって数℃の違いがあります)。品名で見ると、アセトンとトルエンは第1石油類(21℃未満)、酢酸は第2石油類(21℃以上70℃未満)、ニトロベンゼンは第3石油類(70℃以上200℃未満)なので、品名の順がそのまま引火点の順になります。迷うのは同じ第1石油類のアセトンとトルエンですが、アセトンは真冬の屋外でも引火する、と覚えておくと区別できます。

問39 正解:(1)乾燥した状態のほうが安定なので、十分に乾燥させて貯蔵する

問題:過酸化ベンゾイルについて誤っているものを選ぶ

過酸化ベンゾイルは、乾燥すると危険性が増す物質です。乾いた状態では、わずかな摩擦や衝撃でも爆発的に分解するおそれがあります。そのため、水で湿らせたり、可塑剤などで薄めたりして、感度を下げた状態で扱います。第5類の有機過酸化物で、分子の中の −O−O− の結合が切れやすいことが、不安定さの原因です。日光・熱・強酸・アミン類などは分解を進めるので、冷暗所に置き、ほかの薬品と離します。

問40 正解:(2)どちらも、金属と反応して、衝撃に敏感な爆発性の金属塩をつくる

問題:ピクリン酸とトリニトロトルエン(TNT)について誤っているものを選ぶ

金属と反応して爆発性の金属塩をつくるのはピクリン酸で、トリニトロトルエン(TNT)は金属と反応しません。ピクリン酸は酸性が強く、鉄・銅・鉛などと反応してできるピクリン酸塩は、もとのピクリン酸より衝撃に敏感です。そのため、金属の容器を避けます。どちらも分子の中にニトロ基(−NO2)を3つもつニトロ化合物で、急に熱したり強い衝撃を与えたりすると爆発します。TNT は比較的安定で、爆薬として広く使われてきました。

問41 正解:(5)火災のときは、棒状の水を勢いよくかけて消火するのが最もよい

問題:アジ化ナトリウムについて誤っているものを選ぶ

アジ化ナトリウムは、加熱すると分解して金属ナトリウムができます。そこへ水をかけると、ナトリウムが水と反応して水素を出し、危険です。そのため、試験の参考書では、第5類の中の例外として注水を避け、乾燥砂などで消火するとされています。厚生労働省のモデル SDS は水噴霧・泡・乾燥砂類を挙げていますが、棒状の放水は不適としています。どちらで見ても、棒状の水を勢いよくかける消火は適しません。アジ化ナトリウムそのものは比較的安定ですが、酸と反応すると有毒で爆発性のアジ化水素が、銅や鉛などの重金属と反応すると爆発性の重金属のアジ化物ができます。金属製のさじや排水管にも注意が必要な物質です。

問42 正解:(3)銅や銀は、水素よりイオン化傾向が小さいので、硝酸には溶けない

問題:硝酸について誤っているものを選ぶ

硝酸は酸化力が強いので、水素よりイオン化傾向が小さい銅や銀も溶かします(金と白金は溶けません)。このとき発生するのは水素ではなく、一酸化窒素や二酸化窒素などの窒素酸化物です。一方、鉄・ニッケル・アルミニウムなどは、濃硝酸に入れると表面にち密な酸化被膜ができ、それ以上反応が進まなくなります。これが不動態です。硝酸は第6類の危険物で、自分は燃えませんが、木くずや紙などの可燃物を発火させます。日光で分解するので、光を避けて貯蔵します。

問43 正解:(1)水と激しく反応して、有毒で腐食性の強いふっ化水素を発生する

問題:第6類のハロゲン間化合物(三ふっ化臭素・五ふっ化臭素・五ふっ化よう素)について正しいものを選ぶ

ハロゲン間化合物は、ふっ素と臭素、ふっ素とよう素のように、2種類のハロゲンが結合した化合物です。水と激しく反応して、ふっ化水素を発生するので、ほかの第6類と違って注水はできません。消火には、乾燥砂などを使います。自分は燃えませんが、多くの金属や非金属を酸化してふっ化物に変え、可燃物に触れると発熱・発火させます。一般に、ふっ素原子が多いものほど、反応性が高くなります。

問44 正解:(4)重クロム酸カリウム — 白色の粉末

問題:危険物とその色・形状の組合せとして誤っているものを選ぶ

重クロム酸カリウム(二クロム酸カリウム)は、橙赤色の結晶です。第1類の危険物は無色や白色のものが多いのですが、過マンガン酸カリウム(赤紫色)や重クロム酸カリウム(橙赤色)のように、色で見分けられるものがあります。第2類では、硫黄が黄色、赤りんが赤褐色。第3類の黄りんは、白色〜淡黄色のろうのような固体です。色は、貯蔵中の変質に気づく手がかりにもなります。たとえば硝酸は、本来は無色ですが、日光で分解すると黄褐色を帯びます。

問45 正解:(2)ニトロセルロース

問題:次の危険物の火災のうち、大量の水による冷却消火が適しているものを選ぶ

ニトロセルロースなどの第5類は、分子の中に酸素をもっていて、空気を断つ窒息消火が効きません。大量の水で冷やして、分解の勢いを止めるのが基本です(アジ化ナトリウムのような例外もあります)。ほかの4つは、どれも水をかけてはいけない物質です。過酸化カリウムは水と反応して酸素と熱を出し、マグネシウム粉とナトリウムは水素を出し、五ふっ化臭素はふっ化水素を出します。「類」だけで決めず、水と反応する物質かどうかを先に確かめるのが、消火方法を選ぶときの基本です。

採点後の見直し

  1. 法令は15問中9問、物化は10問中6問、性質は20問中12問を科目別の目安にする
  2. 計算問題(問2・問16・問17・問19〜問21)の誤答は、mol計算のやり方と計算問題の解き方で式の立て方から確認する
  3. 性質は、全6類の横断演習と保存・水との反応で、類ごとの例外を整理する
  4. 正解番号だけでなく、他の選択肢が誤りになる条件を一文で説明する
  5. 第3回の問題へ戻って解き直すか、ミニテスト一覧から誤答分野を選ぶ

答え合わせが終わったら


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